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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
526/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(180)~最終章 滅亡戦争(35)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


大きな戦いの一つは目の前に迫っていた。

 そして、翌日。

 リース王国軍は、昨日と同じ場所に向かい、ミラング共和国軍も同様である。

 さて、場所は、リース王国軍の中央軍。

 ファルアールトは、

 (今日こそは―…。)

と、心の中で思いながら、戦いの開始する時まで待つのだった。

 ファルアールトの気持ちとしては、今日の戦いで、ミラング共和国軍の本陣を壊滅に追い込み、自分達の勝利という功績を手に入れることに、何が何でも成功しないといけないと思っている。

 ファルアールトは、憎むべきリース王国軍の左軍の大将であるハミルニアよりも大きな功績を手に入れようと―…。

 そんななか、戦いの時は近づいていく。

 リース王国軍の中央軍の緊迫感は、かなりのものとなっていた。

 口で喋るべきではないという雰囲気が漂い、多くの者は沈黙を貫く。


 一方で、対峙しているミラング共和国軍の本陣では―…。

 「ここまで本陣を強化しても大丈夫なのか!!!」

と、エルゲルダは言う。

 エルゲルダとしては、さっさとリース王国を征服して、自分を貶めてきたラーンドル一派やレグニエド王に対して、見返してやるたいと思っているのだ。

 そのために必要なことを自分からするということは、愚かなことでしかないと思っている。

 他人にそれを実行するためのお膳立てを任せ、最後の美味しいところを自分が掠め取っていこうとしている。

 そして、ミラング共和国軍の軍事力が凄いことはラウナンやイルカルから聞いている以上、簡単にリース王国軍から勝利を手に入れられると思っていたのだが―…。

 予想に反して、ミラング共和国軍がリース王国軍に勝利できないことに対して、腹立たしさを感じている。

 だが、それを指摘することはできない。

 エルゲルダは、自らに実権がないことを薄々であるが、最初から気づいている。

 王様気取り、権力者気取りでいるけど、実権はラウナンによって握られてしまっているのだ。

 だからこそ、指摘するにしても、強気にはでることができないのだ。

 「大丈夫です。我々、シエルマスの工作力を発揮することによって、一気に戦局は我々の優位な方向に向き出すと思いますよ。エルゲルダ様は、大将らしく、落ち着いた振る舞いをするのが良いでしょう。偉い大将は、部下が勝手に動き、最大の成果を収めるものです。」

と、ラウナンは言う。

 表立っては、エルゲルダが良き大将としての振る舞いを説いているようにしているが、実際は、もうこれ以上、エルゲルダに喋らせないようにしているだけだ。

 なぜなら、エルゲルダが何かしらの作戦を提案しても、ろくなことにならないだろうということは、提案された作戦の内容を吟味すれば、すぐに分かってしまうことであるからだ。

 だからこそ、エルゲルダにはここで黙っていて、指示はラウナンやファルケンシュタイロが出せば良いのだ。それがリース王国軍に勝つために、必要なことなのだから―…。

 「そうか。」

と、エルゲルダは大人しく従う。

 ラウナンが危険人物であり、反抗すれば、自分の命がないということを理解しているからだ。それに、ラウナンの言う通りにしていれば、自分は幸福や快楽を得ることができるのだから、反抗するなんて絶対にいけないことだと、思っているのだ。

 そして、エルゲルダは大人しくなるのだった。

 (エルゲルダは大人しく、我々の言うことを聞きながら、いざという時に、我々の身代わり人形になるための役割を演じていれば良い。)

と、ラウナンは心の中で思うのだった。


 三十分の時間が経過する。

 リース王国軍の左軍の中。

 その中でのランシュがいる場所。

 近くには、アウルがいた。

 ヒルバスも近くにいる。

 そして、ランシュは、昨日の結果を思い出す。

 リース王国軍の中央軍がミラング共和国軍の本陣で決定的なダメージを与えることができなかった。

 そして、そこからハミルニアの言葉が綺麗に思い出される。


 ―いやぁ~、中央軍との話し合いでね、今日の戦いは本陣に攻めたんだけど、後、一歩のところで粘られて、本陣を落とすことができなかったみたい。まあ、彼らにしては、よく頑張った方だと思うよ。だけど、これで、こっちの優勢が少しだけ揺らいだんだよねぇ~。こうなると、左軍は戦わないといけなくなるわけだ。昨日と戦ったミラング共和国軍に―…。激戦必須だよ。ということで、ランシュ君とヒルバス君には戦ってもらいます。今回はごめんだけど、私の指揮に従ってもらうよ。もちろん、ランシュ君とヒルバス君に対して、不当な扱いをする気はない―


 そして、その言葉を思い出しながらランシュは考える。

 (昨日のハミルニアさんの表情は、完全に焦っているわけではないが、それでも、中央軍の行動のせいで、いろいろと不自由な選択をさせられているのがわかる。もしも、ハミルニアが総指揮できる立場であれば、とっくにここでの戦いはリース王国がものにしていただろう。そう考えると無駄な犠牲を増やしているにすぎない。後、俺とヒルバスの居場所がわかるミラング共和国軍のことに関しては、今のところ、何もするなと言っていた。いろいろとあることを知っているんだろうか。まあ、今は、自分たちの任務をこなすだけだ。)

と、ランシュは心の中で思う。

 そのように思いながらも警戒をしないわけではない。

 油断がどれだけ危険なものであるかを知っているのだ。

 その一方で、ランシュが考えながら行動していると、その近くで大人しくしていたシエルマスのイマニガは―…、

 (フン、リース王国の騎士団の騎士ともあろう者が油断しているとはな。まあ、移動中だから、ここでこいつを殺してしまうとリース王国軍の左軍を混乱させることができなくなるからな。今は、大人しくしておかないと―…。)

と、心の中で思いながら、ランシュを見る。

 観察していると言っても良い。

 イマニガからすれば、ランシュは油断そのものをしているようにしか見えない。

 だけど、ランシュは一切、油断はしていない。

 そのことを理解できていないようだ。

 まあ、人という生き物が完全に他者の気持ちが分かるということはないだろうが、完全に分からないということはないだろう。

 そして、イマニガはここで、ランシュを始末してしまっては、混乱を起こすことは可能であるが、その混乱の度合いはあまり大きなものになるとは思えなかった。

 理由としては、戦争が開始され、戦いの中で混乱を起こさせた方が、相手側を動揺させるには十分な効果を発揮すると、自らの経験則から理解しているのだ。

 だからこそ、今は大人しくして、自分のやろうとしていることを気づかれないようにしておく必要がある。

 気づかれないように、気づかれないように―…。


 リース王国軍の右軍。

 そこでは、アンバイドが軍の先頭にいた。

 すでに、右軍は戦う場所に到着していた。

 今日の戦いがどういう具合になるかは分からない。

 それでも、自身がやることは決まっており、それをやるだけだ。

 (……………………。)

 アンバイドは言葉を発さず、警戒の度合いを高めるのであった。

 そのアンバイドの態度につられて、近くにいる右軍は大人しくなるのだった。

 これから始まるは、敵を殺す戦いであり、油断すれば自身の命が明日の朝日を拝むことすらできないし、明日すら訪れないことになりかねないのだ。

 緊張感は、程よい警戒を生み、油断をなくしていく。

 しばらくの間、その状態が続く。


 リース王国軍の左軍。

 左軍は今日、戦う戦場に到着する。

 そこには、すでにミラング共和国軍の別の師団がおり、戦いがいつ始まってもおかしくはない。

 そして―…。

 双方の軍の先陣は、「いけええええええええええええええええ」と指揮官が声をあげると、双方は相手へと向かって行く。騎馬兵が戦いの中に入って行く。

 その間、リース王国軍の左軍の中央より前の方では、ランシュとヒルバスがいた。

 その二人は、そこそこ離れており、声をかけることも難しい。

 だけど、ランシュは中央より前と行っても、周囲を見渡せない場所ではなく、軍隊のまとまりの中では、先頭の方になっている。

 これはハミルニアの配慮だろうか、フォルクスの配慮だろうかは不明だが、ランシュはこっちの方が動きやすいということは理解しているので、この配置にしてくれたことには感謝している。

 そして、軍団のまとまりの僅かの隙間および、空中を若干飛んでみた感じで、ミラング共和国軍の布陣が昨日のそれと同じだと感じていた。

 だけど、これはあくまでもランシュが見た範囲でのことである。

 ランシュも、

 (ミラング共和国軍(ぐん)の内容が変わっているかもしれないので、注意が必要だ。)

と、心の中で思うのだった。

 そして、ランシュの隣には、今日、アウルがいた。

 その近くでは、

 (話を聞いた感じでは、ランシュ(あいつ)が我が軍に大規模な損害を与えている奴の一人か。空中を飛んだから間違いない。こいつはさっきも隙だらけだったから、殺すことは造作もない。すでに戦いは始まっているのだ。だから―…。)

と、イマニガがおり、心の中で、ランシュへと視線を定める。

 ランシュが油断しているということは、さっきのリース王国軍の左軍の移動中の間に、それを確認している。実際は、イマニガの思い込みの類でしかない。

 そして、イマニガは、今、リース王国軍の左軍とミラング共和国軍の戦いが始まっていることを知っている。さらに、イマニガは自らの天成獣の能力で死体を操り、死体の生前の記憶を基にして、アウルに喋らせる。

 作戦実行。

 「ランシュ先輩とヒルバス先輩、緊張しますね。最初の戦いは―…。ちょっと触れてもいいですか。」

と、アウルは言う。

 この言葉は、アウルに繋がっている糸を用いて、イマニガがおこなっており、声はアウルが発したものになっている。

 ゆえに、アウルが死体かどうか、分かりにくいし、区別も見た目からでも難しく、声でも難しくなっているのだ。

 死体だと判断するのは容易なことではない。

 「ああ、別に構わないが―…。」

と、ランシュは返事する。

 (アウルの奴―…、少し様子がおかしいな。何か少し臭くないか。俺も死体処理をしているから臭いと思われているだろうし―…。)

と、ランシュは心の中で思う。

 ランシュとしては、アウルがおかしいというのは知っているが、完全には信じられないが、昨日のトビマルの指摘で、アウルから違和感を感じることができた。

 「じゃあ、ここなら―…。」

と、アウルは言う。

 そして、アウルの動きから何か危険を感じたヒルバスは、

 「ランシュ君!!!」

と、叫ぶ。

 ランシュなら気づいているだろうとして放っておいても大丈夫だろうと判断したが、ランシュがアウルがすでに殺されていることに気づいており、何かを仕掛けてきた時にすぐにでも対処できるようにしておいたのだ。根拠や証拠があったとしても、物理的証拠がない以上、どうにもできないとヒルバスが判断したからだ。

 それに、アウルの死因とその背景を騎士団で共有しないと、被害が後々、大きくでるのではないかと、ヒルバスは思っていたからだ。アウルの死を完全に分かるように共有していれば、今後、アウルの死体を使った誰かが、リース王国軍の左軍を陥れるようなことをしても、対処が用意になるからだ。味方の犠牲者を減らすためだ。

 そして、ランシュは、敵がランシュとヒルバスが別行動した時に、二人の後をつけることができたのは、見えないほどに細い糸ではないかという結論には達していた。

 ランシュは、昨日のトビマルの会話を思い出し、走馬灯のような感じに流れる。


 ―俺はずっとというか、アウルと一緒にいた後からおかしく感じていたんだよ。酔っているように見えるけど、何か人の酔い方じゃない。これだと根拠は弱いが、一番疑ったのは、まるで生きているように感じるように見せかけている。そう、死体に生前の意識の記憶を保存して使う、天成獣と同じ奴の―…。今回のランシュとヒルバスの位置が知られたのは、そのアウルという奴の後であろう―


 ―何で教えてくれなかったんだ―


 ―ランシュなら気づいているのではないかと思っていたが、それの糸をただの糸に近い状態にするのに、時間がかかったからだ―


 ―それはどういうことだ?―


 ―たぶん、状況によっては、糸から毒を流して殺すつもりだったのだろう。ヒルバスはアウルに触れる、触れられることはなかったから、その心配はなかったけどな―


 その走馬灯のような感じが流れた後、ランシュの方も、ランシュに糸をつけた者を炙り出すことをせず、勝手に相手側が行動することによって、ランシュは逆に糸の正体を炙り出そうとしたのだ。

 〈攻撃しろ!!!〉

と、イマニガはアウルの命じる。

 アウルはその命令に従うことしかできないので、すぐに、柄に手をかけ、剣を引き抜き、ランシュを斬ろうとするのだった。

 それをランシュはすぐに気づき、シュッと避ける。

 ランシュは気づいて、言う。

 「アウル、お前、ミラング共和国軍の兵士の側だったのか?」

と。

 疑問形なのは、完全にアウルがミラング共和国軍側に寝返ったのか、元々、ミラング共和国軍の兵士でスパイとして、リース王国の騎士団に入団したのか、そのどっちなのかを判断することができないでいたからだ。

 それでも、警戒すべきことは理解していたので、警戒する。

 ヒルバスの方も、動きを止める。

 そして、ある可能性を考える。

 (トビマルが言うことから考えて、アウルがミラング共和国軍と通じているとは考えづらい。そうなると、アウルは数日前に殺された可能性があり、その後、死体を操られているのかもしれない。生きていた頃の記憶を残されたままに―…。)

と。

 ランシュは、この可能性は低いものであるが、トビマルがこのようなことで嘘を吐くとはとても思えなかったからだ。

 そして、警戒しながらも、アウルの方から視線を外さないようにする。

 「バレていたのか。俺はミラング共和国軍の兵士と繋がっていたのだよ。初戦の戦いで先輩方二人の危険に気づいたのだから―…。」

と、アウルは言う。

 ランシュは、アウルが殺された可能性を確信する。

 初戦の戦いでは、ランシュとヒルバスは別行動に近い感じで動いていたから、危険さを知ったのは初戦の戦い以後のことでないといけない。その場を見たような感じで言うことは有り得ない。

 そして、匂いで気づいている。

 (誤魔化してきたな。それに人の死体の特有の臭さなんだよ。つまり、どこかに死体を操る天成獣の能力を扱う奴がいるということだな。こういうタイプの相手は、どうやって戦えばいいか分からない。どこにいる。一体、どこに!!)

と、ランシュは心の中で思い、警戒する。

 トビマルが昨日言っていた言葉を思い出しながら、死体を扱う能力を有している天成獣の宿っている武器を扱う者を探す。

 そういう死体を操るとしても、状況をしっかりと把握しておかないと、俺と話すことはできないはずだ。

 そう考えると、ミラング共和国軍の兵士で、アウルを殺して、操っている奴が近くにいるかもしれないということだ。

 「ランシュ先輩、話を聞いているのですか?」

と、アウルは言う。

 アウルを操っているイマニガは、

 (俺の位置が近くにあると思って探ろうとしているのか、そうはさせない。)

と、心の中で思う。

 そう、イマニガは、自分の居場所を知られるわけにはいかない。

 戦いが始まっている以上、アウルという操り人形を失ったとしても怖くはない。

 アウル以外にも死体が発生することが確実に分かっているので、すぐに、操ることができる死体は腐るほどあるのだから―…。

 それよりも怖いことが、イマニガの居場所がバレることだ。

 バレてしまっても逃げ切れる自身はあるが、万が一のことがあるし、イマニガの姿を見られてしまえば、今後、行動することが難しくなる。

 「一々、五月蠅いな。話は聞いているさ。だけどなぁ~、嘘をつくのもいい加減にした方がいい。お前の正体は探せば確実に見つかる。」

と、ランシュは答える。

 ランシュは、アウルが死体であることに対して、確信を持っているし、近くにアウルの死体を扱うことに長けた者がいるのは分かっている。

 ヒルバスもさっきまでこちらの方を見ていたのであるが、その姿が見えなくなっている以上、ミラング共和国軍の間者が紛れ込んでおり、そっちの対処で忙しかった。

 「それはできませんよ。私は単独で、この軍の中に―…。」

と、アウルは言う。

 これは、イマニガの存在を気づかせないようにするためだ。

 アウル個人の裏切りにすることで、何とかイマニガの存在がいないものであることにする。

 そうすれば、今後も行動しやすいから、という理由で―…。

 「そんなことはありえないんだよ。お前から死体特有の臭さが感じられるし、それに俺は、お前の糸から操っている奴を引きずり出すことはできるんだよ。」

と、ランシュは言う。

 ランシュは、昨日、糸を大剣で斬ったが、それでも、何かしらの意味があると判断して、その糸を騎士服のズボンのポケットの中に、張り付けるようにしていたのだから―…。

 そして、ランシュは言いながら、その糸を握って、引っ張る。物凄い力で―…。

 そうすると、騎士団も入っている軍団の中の傭兵がいる場所から、引っ張られて、ランシュの目の前に―…。

 「うがががががががががががががががががが。」

 (引っ張られる―――――――――――――――――――――――――――――――――!!!)

 イマニガは、ランシュの馬鹿力に抵抗することができなかった。

 ゆえに、引っ張り出されるのだった。イマニガが―…。

 そして、引っ張られる間に、空中へと浮かされたのか、地面に落下し、背中からぶつかるのであった。

 ガタン!!!

 イマニガは自身の背中を地面にぶつける衝撃を受け、ダメージを受けるのだった。

 だが、天成獣から借りた力があるので、ある程度、衝撃を和らげることができるのだった。

 その姿をランシュやリース王国軍の左軍の兵士に晒すことになったが―…。

 

番外編 ミラング共和国滅亡物語(181)~最終章 滅亡戦争(36)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の投稿日は、2023年12月12日頃を予定しています。

では―…。

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