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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
520/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(174)~最終章 滅亡戦争(29)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。

 睨み合いがしばし続く。

 「そんな睨んでまた~。雑魚は雑魚だろ。」

と、アンバイドは言う。

 アンバイドは、ミラング共和国軍の天成獣部隊を見て、アンバイドはそのような感想を言う。

 そうしか考えられないのだ。

 決してアンバイドが油断しているわけではない。

 油断が最悪の結果になることをしっかりとしっているし、その怖さも知っている。

 そして、アンバイドには、相手の実力を見分けるぐらいの戦闘経験がある。

 その戦闘経験があるからこそ、自信を持って判断することができる。

 だけど、不測の事態を予想していないわけではない。

 そして、天成獣部隊の者達は、アンバイドの挑発に乗ってしまっているため、冷静な判断を下すのは難しそうだ。

 「てめぇ~。」

と、天成獣部隊の一人が言う。

 この人物は、大柄であり、短気の性格で、自分の思い通りにならないことがあると、すぐに他人や部下にあたる人物であり、周囲からの評判はあまり良くない。

 だけど、天成獣の宿っている武器を扱うことができる以上、ミラング共和国軍の中の天成獣部隊に所属することができ、実力を認められていたりする。

 そして、自分が実力者だと思っているからこそ、横柄な態度をとれるし、自分より強い者には頭にきたりする。実力を示させられた場合には従うのだが―…。

 「ふう~、十人ってところか。お前らは俺が見た感じだと、天成獣の宿っている武器を扱うようになってから数年ってところか。成長速度は、俺が見てきた中では下から数えた方が良さそうだな。よっぽど、良き師に出会うことができなかったのだろう。悲しきことだが、今はありがたい。天成獣の宿っている武器を本当に鍛えた者の実力を俺が教えてやるよ。」

と、アンバイドは言う。

 アンバイドは、むしろ、育て方が良くなかったという相手に対して、その師に感謝すらしている。

 なぜなら、こんな十対一の状況で、自分が一だとしても、確実に勝利する可能性が高い結果になっているのだから―…。

 それほどに、アンバイドと今の天成獣部隊の者達に対する実力差があるということだ。

 アンバイドは、別にふざけているわけではなく、冷静に事実を告げる。煽るようなことをしてはいるが―…。

 冷静さがないわけではない。

 プチィ。

 「てめぇ~」と言った者が自らの短気という性格を表現するかのように、頭にくるのであった。

 それは、アンバイドにとって、優位性になる可能性を高めるとも知らずに―…。

 「良くも言ってくれるなぁ~。テメーはよ―――――――――――――――――――!!!」

と、短気の者が激昂する。

 それは、アンバイドに舐められていることが気に食わないからだ。

 実力をしっかりと見た感じで判断することができれば、このような反応を示すことはなかった。

 むしろ、しっかりと逃げるという選択をしていたかもしれない。

 それほどに実力差があるのだ。

 アンバイドは、リース王国やミラング共和国がある地域では伝説の傭兵としての名が挙がるほどの実力者であり、天成獣の宿っている武器を用いての戦いにおいて、その噂を可能としているし、実力は折り紙付きである。

 そんなアンバイドに対して、短気の者はそのことを忘れて、自分を侮辱されたことに対して、吠える。

 気に食わない、気に食わない、気に食わない。

 アンバイド(あいつ)の全てが気に食わない!!!

 そのように思ってしまい、そのことが、短気の者の頭の中を支配し、冷静さを失う。

 だからこそ、気に食わないものを排除するため―…。

 「俺が潰してやる――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 アンバイドへと叫びながら、短気の者は攻めていく。

 その姿勢は第三者、いや、弱気者から見れば、恐ろしいものでしかない。

 というか、戦い慣れていない者は余計にそのような弱気になってしまうほどの迫力を感じさせ、弱気、怯え、それらの値を上昇させる。

 自らの実力というものを冷静に図ることも正確にできなくなっていくように―…。

 だけど、戦いに慣れた者、いや、相手の実力を見ただけである程度正確に測り、実力があるというものにとっては―…。

 「吠える暇があったら修行でもしてろ。」

と、アンバイドは言う。

 無意味だ。

 何の変化もない、波紋となって広がることすらない言葉でしかない。

 アンバイドは、冷静になったままである。

 表情も変化させず―…。

 そして、言った後に、素早く動き、短気の者を―…。

 ズン!!!

 斬る。

 真っ二つに―…。

 縦に―…。

 「家でな。」

と、アンバイドは付け加えるように言う。

 だけど、短気の者が家に帰ることはできない。

 すでに、この世にはいないのだから―…。

 言っていることは分かっているだろう。

 アンバイドによって、縦に真っ二つにされて生きられる人間は、この世にいないわけではないが、ずっと縦に真っ二つのままという状態で、傷が回復することなく生きられる人間はこの異世界に存在しない。

 そのような能力を持っている者がいたとしてもおかしくはないこの異世界であるが、そういう能力者は世の中でひっそりと暮らしているので、気づかれることはないし、気づかれないようにしているので、見つかる可能性はかなり低い。

 そして、そういう能力者でないからこそ、短気の者の人生は終わってしまったのだ。

 アンバイドという存在の実力を見るだけで、ある程度正確にはかることができずに―…。

 アンバイドも今の「家でな」という言葉も、敢えて、格好つけるためのものであるし、細かい意味があるわけではない。

 本当にややこしい。

 そして、短気の者が真っ二つにされた光景を見ながら、ミラング共和国軍の天成獣部隊で、アンバイドと対峙している九人の者達は驚きを隠せずにいた。

 (何なんだ。動きが一切、見えなかったぞ。)

 (こんなのを俺たちが相手にしないといけないのか。だが、我々は選ばれた存在なんだ。負けるはずがない!!!)

 (アンバイド―…。伝説の傭兵と言われる存在。実力が違い過ぎる。だが、九対一で勝てるはずがない。)

 それぞれに心の中で思うこともあろう。

 ミラング共和国軍の天成獣部隊に所属しているからこそ、彼らは選ばれた者であり、普通の人以上の力を持つことができているのだ。天成獣に選ばれることによって―…。

 だが、目の前にいるのは、天成獣に選ばれた者であり、かつ、実力を兼ね備え、さらに、伝説の傭兵と呼ばれるぐらいの実績を積み上げているアンバイドだ。

 そうである以上、ここにいる者たちが、アンバイドに適うことはないであろう。

 一対一で戦えば、確かにそうだ。

 ミラング共和国軍の天成獣部隊に所属している者は一人が殺されているが、九人いるのだ。この場には―…。

 という意味を考えれば、アンバイドをどうにかすることはできる。

 だからこそ、天成獣部隊に属する者達が一気に、アンバイドに襲い掛かるのだった。

 「お前は、私たちの力で息の根を止めてやる―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

と、一人が叫ぶ。

 その叫びをアンバイドは聞きながらも、危機が訪れていることは感じない。

 九対一の中の、一に属するアンバイドであるが、九からの攻撃を目や雰囲気から察しながらも、動揺する素振りすら見せない。

 心の奥底であったとしても―…。

 理解しているからだ。

 人の理解というものは完全に理解したことを指さないし、主観的なものを完全に排除することができない以上、どこかに間違いというものが存在しない可能を存在させることになり、自らの理解とは異なる結末になることもある。

 だけど、その自らの理解通りになることもある。

 結果も同様に、二つの考えられる可能性になる。

 そして、アンバイドの理解は、自らの理解通りとなり、結果も同様であった。

 それをもし、未来から過去を観察して理由付けをした場合、アンバイドが戦いの中で経験してきたものが直感というものへと押し込まれており、無意識でも回避できるほどになっているのだ。

 それができるほどに、戦っているし、天成獣部隊の九人よりもはるかに戦い、そして、生き残り、実力を身に付けてきたのだから―…。

 できないはずがない。

 アンバイドは、タイミングを計りながら、ベストな所を見極める。

 (攻撃が雑!!! 連携も雑!!! 良き師以前に、弱いながらの連携の重要さを理解していない!!! 天成獣の宿っている武器を扱う者で強い奴にあたったことがないのだな!!!)

と、心の中で思いながら、ベストタイミングだとアンバイドが思う時が来ると、すぐにジャンプするのではなく、アンバイドから見て、右に動く。

 シュッ!!!

 その音をわずかにさせるぐらいにして―…。

 だけど、その音を聞いたとしても反応することがアンバイドを襲おうとしたミラング共和国軍の天成獣部隊にはできない。アンバイドのスピードに反応できないのだ。

 それは、絶望を与えるものだ。希望へ至らない―…。

 「ガァッ!!!」

 叫ぶことができる者がいたとしても、すでに、この者の人生は―…………………………。

 終わりだ。

 (九人を素早く斬ったから、傷が浅い者もいるが、戦闘不能だな。)

と、アンバイドは心の中で思う。

 そう思っている間に、アンバイドを襲おうとした天成獣部隊の九人が全員倒されるのだった。

 そして、その中で半分近くの四人が即死の出血量および切り傷を負い、五人は、このまま出血が続けば死んでもおかしくないような斬りの攻撃を受けるのだった。意識を保つことさえできないぐらいに―…。

 そう、アンバイドは、九人を斬ったのだ。

 一人目は、移動した場所にいたので、さっきの短気の者にしたように縦に真っ二つにそいつの人体が分かれるように斬る。即死だ。

 二人目は、近くにいたのが、三人目の攻撃があったので、それを当たらないようにして、攻撃しないといけないと判断して、横に斬るが、傷は浅めだが、気絶してもおかしくないほどに、深い。

 その二人目にした攻撃の時に、纏めて三人目も斬るのだった。傷は同様であり、結果も同じとなった。

 アンバイドはそこから今度は右横に移動して、四人目を斬る。四人目は、横への斬りであったが、少し後ろだったので、深い傷を負ったとしても、出血からいって、斬られた後、数分ぐらいは生き残ることができるだろう。

 一方で、四人目と同時の攻撃で五人目と六人目も斬っており、四人目よりも深い傷なので、地面に倒れる前に命を落とす結果となった。

 アンバイドは、そこからすぐに、反対側に移動し、前にいた七人目を勢いよく始末する気持ちであり、七人目は即死、後の八人目、九人目は七人目の時よりも少し後ろにいたので、斬られたとしても、気絶するほどの深い傷を負うのだった。

 アンバイドは、すぐに高速で移動した。

 その結果、アンバイドは天成獣部隊の十人を戦闘不能に陥れることに一瞬と思ってもおかしくないぐらいのスピードで達成していまうのだ。

 アンバイドぐらいの実力者になれば、当たり前のことである。

 そして、同時に、アンバイドは叫ぶ。

 「慎重に攻めろ!!!」

と。

 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 リース王国軍の右軍は叫ぶ。

 アンバイドが天成獣の宿っている武器を扱うミラング共和国軍の天成獣部隊をあっさりと倒してくれたのだ。そのことにより、自分達もできるし、アンバイドばかりに任せていられない、という気持ちを持っている者たちは、自分が活躍しないといけない。

 要は、士気が上昇しているのだ。

 この士気により、リース王国軍の右軍はいつもよりも強気でミラング共和国軍と戦うことができた。

 それだけ、アンバイドの実力に触発されたということであろう。

 その後、ミラング共和国軍右軍は、今日の戦いを優位に進めていくのであった。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(175)~最終章 滅亡戦争(30)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


では―…。

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