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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
515/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(169)~最終章 滅亡戦争(24)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、エルゲルダがミラング共和国の総統となり、リース王国へと宣戦布告する。一方で、その情報を知ったリース王国では、ラーンドル一派たちによる話し合いがおこなわれ、逆に侵略し返そうということになるのだった。

その情報をリーンウルネは自ら潜入することで仕入れ、ハミルニアとフォルクスを自分の執務室に呼び寄せて、今回の戦争に参加させるのだった。その話し合いで、ランシュとヒルバスの参戦をも促すものであった。

リーンウルネは、一枚の紙をメタグニキアの秘書に渡し、その紙を見たメタグニキアは激怒しながらも、そのメリットのためにヒルバスを今回のミラング共和国とリース王国の戦争に参加させる命令を下すのであった。

その後、ランシュとヒルバスは一時的に騎士団に復帰という形で参戦するのだった。


リース王国は出陣し、ミラング共和国の境までやってきており、作戦会議がおこなわれる。

その作戦の会議の中で、左軍と右軍の大将がそれぞれ決まるのであった。左軍に騎士団が編入されるのだった。

一方で、ミラング共和国軍は、リース王国軍の実力を見るために、軍隊をリース王国と同様に三つに分けるのだった。

最初の戦いは、ランシュとヒルバスの活躍で左軍、右軍はアンバイドの活躍により被害も出ながらも奮闘し、中央軍は散々な目に遭うのだった。

それは、ファルアールトにとってあり得ないことであった。

精神的に摩耗するぐらいに―…。

その一方で、左軍の方では、勝利の宴会が開かれるのだった。

ミラング共和国軍の方でも動きがあるようだ。


次のリース王国の作戦は、とんでもないことが決められ―…。その作戦はミラング共和国本陣に攻めるものであり、ハミルニアはお世辞で言ったことであり、本当に採用されるとは思っていなかった。この作戦だけはやって欲しくないという気持ちで言ったのに、ファルアールトは採用してしまったのだ。残念ながら―…。

それで、左軍の幹部にハミルニアは怒られるのであるが、そのことによって、左軍と右軍は殿のような役目をさせられる可能性が出てくるのであった。


リース王国軍の中央軍によるミラング共和国軍本陣への強襲は、ファルケンシュタイロの肝いりの天成獣部隊の三人の者たちによって、返り討ちにされるのだった。その結果、リース王国軍の中央軍は敗走することになり―…。それをリース王国軍の右軍と左軍が担当することになり、中央軍のトップであるファルアールトに馬鹿にされるが、それを実行するのであった。ファルアールトに対して、頭にきている者が多いのは、当たり前のことであるが―…。


その後の会議では―…、罵詈雑言をファルアールトは言うのだった。

 ミラング共和国軍が撤退してから数時間後。

 ランシュとヒルバスのいる場所。

 すでに、戦いは終わっており、死体処理の作業がおこなわれていた場所であり、空は夕暮れとなっていた。

 「あ~、辛かった。で、中央軍の奴らは、負けたことを悔しみながらも、俺らのいる方向に向かって睨みつけているんだろうな。」

と、ランシュは言う。

 ランシュとしては、今日のリース王国軍の中央軍のトップのあの発言―…。


 ―右軍、左軍ども!!! お前らは、中央軍が逃げ切って、安全な場所に後退するまで、殿としてミラング共和国軍を抑えていろ!!!! じゃあな、アホども!!!!!―


 それを思い出すと、無性に腹が立ってしまうが、それでも、ミラング共和国軍を追い返すことに成功したので、そのことにリース王国軍の中央軍が嫉妬していることに想像すると、気持ちが若干ではあるが清々する。

 というか、あんなのをリース王国軍の総大将にしているラーンドル一派にはかなり問題があることが分かってしまう。

 さっさとどうにかして欲しいものだと、ランシュは、心の奥底で思っていたりする。

 そんななか、一人の人物がランシュとヒルバスのいる場所へと向かって行く。

 そして、その人物は今のランシュの言葉を聞いていた。

 「そうだな。ランシュ君にヒルバス君。」

と、ランシュとヒルバスに話しかけるのだった。

 その正体をランシュとヒルバスはすぐに気づいており、ヒルバスがその正体を言う。

 「ハミルニア指揮官。」

と。

 ヒルバスがハミルニアがいるのを見つける。

 そして、ランシュとヒルバスは自らの属す左軍の総大将に向かって、敬意を示す。

 実際に敬意を示す気はないが、自由に行動したり、ランシュとヒルバスに裁量のある行動をとらせてくれたりするので、敬意を払うことに対して、嫌な気持ちになることはない。

 ハミルニアの方も、二人を自由に動かす方が、左軍の勝利に繋がる可能性が高いということも知っているからこそ、自由にさせていたりする。

 そして、ハミルニアは言い始める。

 「今日もご活躍だったねぇ~、ランシュ君、ヒルバス君。君たちのおかげで、左軍の評価は絶賛うなぎ上りだ。嫉妬も同時にだけど―…。それでも、君たち二人の活躍には感謝するよ。そして、さっきまで中央軍の指揮官とこれからのことで話し合いとなったわけだよ。」

 ハミルニアはさっきまで、リース王国軍の中央軍の本陣で、明日のリース王国軍の行動のための作戦会議に出席していた。

 その席の中で、ハミルニアはファルアールトによって、今回のリース王国軍の中央軍の大敗北に対する責任を押し付けられた。ハミルニアとしては、今日の作戦は相手へのお世辞で言っただけであり、本当に作戦にファルアールトが採用するとは思ってもいなかった。言い方もそのような感じで言ったのに―…。

 なのに、そのことを指摘することもできず、ファルアールトが採用してしまうのだから、呆れるとしか言いようがないし、左軍の中でもお世辞で言うなと、反論されたぐらいだ。

 そして、ファルアールトは、さらに、ハミルニアのことが嫌いになり、ハミルニアを今回のリース王国とミラング共和国との戦争で失脚させようとするし、責任を押し付けようとするし、反論する機会すら与えようとはしなかった。

 これは言葉ではなくて、雰囲気というもので―…。

 そして、ハミルニアは自分の人格を否定するような作戦会議に付き合わされたせいで、機嫌がかなり悪かった。表情に出てしまうぐらいのものであると、相当なものであったことがうかがえる。

 (あ~、これ、相当、嫌な事を言われたんだろうなぁ~。)

と、ランシュが心の中で気づいてしまうぐらいだ。

 ランシュも、ハミルニアの機嫌の悪さに気づいて、今は声を発することができなかった。

 さらに、

 (俺とヒルバスの活躍に恨めしいことは思っていないけど、中央軍の指揮官に対しては、結構思っているんだろうねぇ~。)

と、付け加える。

 ランシュからしてみれば、ハミルニアは、中央軍の指揮官、特にファルアールトに対して、かなり頭がきているのは確かであろう。

 ランシュは言葉を発することをしなかった。

 それでも、何かしら言わないといけないということを察したヒルバスは、

 「どういう内容だったんですか。」

と、尋ねるように言う。

 ヒルバスとしても、ハミルニアの機嫌が悪いのは予想できることである。そして、中央軍の総大将であるファルアールトが機嫌が良い時は、ハミルニア、いや、左軍は崩壊の危機にある状態だと言ってもおかしくない。

 リース王国のためと考えるなら、中央軍の総大将であるファルアールトの不機嫌の方がまだ、事態はそこまで悪化していないと予測することができる。

 だが、自身が不機嫌の時に限って、周囲や全体で良いことが起きることに対して、機嫌よくなれるだろうか。いや、なれるはずがない。

 そして、ヒルバスが尋ねたことに対して、中央軍への不満をぶつけるかのようにして言う。

 一方のヒルバスは、なるべく早めに話が終わることを期待して、聞きたいことを聞くのだった。そっちの方が短い話になると思われるからだ。

 「それがなぁ~。中央軍の指揮官がさ、今度は、左軍と右軍に相手の強い部隊と戦って、俺らが勝利するまで時間を稼げとさ―…。自分の兵が多く減ったからと言って、それはないだろ。それに、俺らの軍に対して、「右軍、左軍ども!!! お前らは、中央軍が逃げ切って、安全な場所に後退するまで、殿としてミラング共和国軍を抑えていろ!!!! じゃあな、アホども!!!!!」とか言ってさぁ~。頭くるわぁ~。誰のせいでこっちは苦労してんだと思ってんだ!! と、言い返してやりたい気分さ。まあ、やんわりと言ったが、あれは完全に反省していないどころか、左軍の活躍した騎士、ランシュ君とヒルバス君のことを相当、根に持っているみたい。その恨みで、危険な事をさせられる。ランシュ君とヒルバス君なら可能であろうが、ここで無理させたくないのに―…。すまないが、次の戦いはかなり無理をすることになるし、裁量も前の戦いと同様に与えるから、味方の犠牲なんて考えずに戦って欲しい。ランシュ君、ヒルバス君のおかげで十分に休めたであろう。今度は、君たち二人の力に私たちの軍勢の力を本当の意味で繋げて、最大限の戦果にしよう。左軍の兵士も雑魚ではないのだから―…。」

と、ハミルニアは言う。

 ちなみに、中央軍に反抗することは避けているので、「やんわりと言った」という面は嘘ということになる。

 嘘が吐きたくて吐いたというよりも、腹に立っていて、いろいろと記憶の中の混乱があるようだ。

 まあ、それでも、言っていることの大半は正しい。

 ゆえに、ヒルバスもランシュもハミルニアの言葉に対して、何か反論することはない。

 ハミルニアの言葉の中からは、次回の戦いにおいても、ランシュとヒルバスには自由に動いてもらおうとしているようだ。そっちの方が全体の戦果が良いのだから、変更する必要はない。

 まあ、一緒についてもらうこともあるが、戦いの場においては確実に自由にさせている。

 そして、ハミルニアは、こういう中央軍の愚痴をランシュとヒルバスに言いながら、ストレスを解消しようとしていることは確かだ。

 ランシュもヒルバスも、そのようなハミルニアの気持ちを察している。

 言葉にはしなくても、分かることはあるのだから―…。

 それでも、完全にハミルニアの気持ちが理解されるわけではない。

 愚痴を言いながらも次の作戦がどういうものかを言えるぐらいなのだから―…。

 ランシュは、ハミルニアが優秀な指揮官であると改めて感じるのだった。

 だけど、ランシュには気になることがあった。

 「また、俺とヒルバスに裁量を与えても大丈夫なのですか?」

と、ハミルニアにランシュは尋ねる。

 (俺とヒルバスに指揮権を与えることは、また、中央軍の指揮官に恨まれることになるし、それを助長することになるのではないか)

と、心の中で思う。

 これは、今回のリース王国とミラング共和国との戦争では、ランシュとヒルバスに自由に行動させてきた。そのことにより多くの戦果をこの戦争に期間に得てきたのは確かだ。

 だからこそ、その戦果によって、リース王国軍の中央軍は左軍とかその総大将であるハミルニアを恨んでいるのだ。

 そうなってくると、ランシュとヒルバスを自由に戦闘させていたら、余計に恨まれるのではないか。そう感じるのは当然のことだし、リース王国軍の側に立って想像すれば、何となく理解できてしまうことだ。

 つまり、ランシュとヒルバスに自由に行動させるべきではないか。とかの意見がリース王国軍の作戦会議の中で、意見されてもおかしくはない、と思い至るのだ。

 ハミルニアはランシュの今の言葉を聞いて、すぐに、こう返事するのだった。

 「大丈夫、どうせ、俺らが勝てば、中央軍の奴らは何にしても恨むものだ。あいつらはそういう思考しかできない。ならば、堂々とやってあげればいい。あんなのは、どうせ俺らがいなければボロクソに負けて、恥しかかかないのだから―…。」

と。

 ハミルニアは、いくらリース王国軍の中央軍に気を遣ったとしても、結局は、戦果を僅かでも挙げれば文句を言われるし、挙げなくても罵詈雑言がくるのだから、勝って恨まれるぐらいがちょうど良いのだという結論に達するのだった。

 言われたくないけど、選択肢がそれしか思いつかないし、現実、そのようなことにしかならないのだ。どうして、四つの選択肢ではなく、二つにしかならないだろうか。誰がそれを狭める要因になっているのか。予想できそうであるが―…。

 その言葉を聞いたランシュは返事をする。

 「ぶっちゃけますね、ハミルニアさん。」

と。

 それを聞いたハミルニアは、

 「ぶっちゃけても問題ないしね。中央軍の指揮官の撤退していくときに、俺らに向けた発言のせいで、左軍の結束力はかえって高まったからね。あいつ、許せねぇ~、で―…。」

と、言う。

 現に、リース王国軍の左軍は、リース王国軍の中央軍に対する印象は最悪だ。

 今日の戦いで、リース王国軍の中央軍の総大将であるファルアールトが「右軍、左軍ども!!! お前らは、中央軍が逃げ切って、安全な場所に後退するまで、殿としてミラング共和国軍を抑えていろ!!!! じゃあな、アホども!!!!!」とか言ってしまったので、そのことが左軍の兵士の間を、電波のごとく広がっていったのだ。

 (うわ~、中央軍の指揮官って、侮辱で、侮辱された方を結束させる才能があるようだ。俺は欲しくないけど―…。)

と、ランシュは心の中で思う。

 ランシュとしては、ファルアールトの侮辱で、味方を恨みで結束させる才能なんて、これっぽちも欲しくない。手にしたとしても、結局、自分が恨まれることを避けることができないのだから―…。

 ランシュがもし自分が指揮官なら、味方から尊敬されるような鼓舞する言葉を言って、信頼を集めたいとするであろうし、ファルアールトのようにはなりたくないとする。ファルアールトは反面教師にしか使えない。残念なことに―…。

 「そうなんですか、確かに共通の敵がいると、味方が纏まりやすいといいますが―…。」

と、ヒルバスが言う。

 (実際には、敵ではなくて、味方なのだが―…。本当に、何なんだろうな、中央軍の指揮官は―…。やっぱり、リース王国の中央で権力を握っている奴らの子飼いだけのことはあるか。もう少し、味方のために言えば言いのに―…。無理か。)

と、ヒルバスの言葉に対して、ランシュはこのように心の中で思う。

 ヒルバスは、これ以上、ハミルニアと話をしたいとは思わないけど、ファルアールトのことを馬鹿にしすぎるとどこで聞かれるのか分からないので、少しだけ、誤魔化すようにしながら、取り繕う感じで言う。

 その後、ヒルバスの発言にランシュは、ファルアールトというリース王国軍の中央軍の指揮官に対して、呆れながらも、良い方向に変化してくれることはなさそうだと、思考して、改めて嘆くのだった。

 どうして人の性格は良い方向に簡単に変化していかないのだろうか?

 そして、ハミルニアは言う。

 「そうだな、俺らは敵ではなく、味方なんだけど―…。そろそろ夕飯の支度もできるだろうから、食べに行こうか~。やっぱり、戦場では部下も指揮官も関係なく、同じ飯を食うのが一番。同じ釜の飯を食う、味方の結束には一番重要なことだ。行こうぜ、ランシュ君にヒルバス君。」

と。

 ハミルニアは、上官も部下も関係なく、同じ食事をすることが大事だと考えている。

 その理由は、味方同士の結束を促すことが第一であるが、それと同時に、自分も部下のように変わらない人間であるし、部下の表情の変化で何か変わったことがないかを知るためのものであるし、ともに戦っていることを証明するためのものだ。

 それに戦場で、自分だけが特別待遇を受けていれば、部下から嫉妬されるかもしれないし、一緒に行動しながら、ともに汗を流すのは、部下との交流も可能となるし、とにかく部下から上官へと状況と場合によって軽口を言えるぐらいにしておく必要がある。

 部隊の状態の把握は、上官の務めであるし、問題があれば、溝ができないうちに解決しておくことが、部隊の結束を崩壊させないためには重要なことだと理解している。

 ゆえに、戦場では一緒の夕食をとるのは、大事なことであるとはっきりと言えるのだし、実践することができる。結局、一人の軍人であることには変わらないのだから―…。

 (メリハリをしっかりさせているので、指揮官に向いているのだなぁ~。)

と、ランシュはこの時思うのだった。

 中央軍の指揮官が駄目な奴であると思うと、同じように―…。

番外編 ミラング共和国滅亡物語(170)~最終章 滅亡戦争(25)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の投稿日は、2023年11月21日頃の予定です。

では―…。

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