表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
514/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(168)~最終章 滅亡戦争(23)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、エルゲルダがミラング共和国の総統となり、リース王国へと宣戦布告する。一方で、その情報を知ったリース王国では、ラーンドル一派たちによる話し合いがおこなわれ、逆に侵略し返そうということになるのだった。

その情報をリーンウルネは自ら潜入することで仕入れ、ハミルニアとフォルクスを自分の執務室に呼び寄せて、今回の戦争に参加させるのだった。その話し合いで、ランシュとヒルバスの参戦をも促すものであった。

リーンウルネは、一枚の紙をメタグニキアの秘書に渡し、その紙を見たメタグニキアは激怒しながらも、そのメリットのためにヒルバスを今回のミラング共和国とリース王国の戦争に参加させる命令を下すのであった。

その後、ランシュとヒルバスは一時的に騎士団に復帰という形で参戦するのだった。


リース王国は出陣し、ミラング共和国の境までやってきており、作戦会議がおこなわれる。

その作戦の会議の中で、左軍と右軍の大将がそれぞれ決まるのであった。左軍に騎士団が編入されるのだった。

一方で、ミラング共和国軍は、リース王国軍の実力を見るために、軍隊をリース王国と同様に三つに分けるのだった。

最初の戦いは、ランシュとヒルバスの活躍で左軍、右軍はアンバイドの活躍により被害も出ながらも奮闘し、中央軍は散々な目に遭うのだった。

それは、ファルアールトにとってあり得ないことであった。

精神的に摩耗するぐらいに―…。

その一方で、左軍の方では、勝利の宴会が開かれるのだった。

ミラング共和国軍の方でも動きがあるようだ。


次のリース王国の作戦は、とんでもないことが決められ―…。その作戦はミラング共和国本陣に攻めるものであり、ハミルニアはお世辞で言ったことであり、本当に採用されるとは思っていなかった。この作戦だけはやって欲しくないという気持ちで言ったのに、ファルアールトは採用してしまったのだ。残念ながら―…。

それで、左軍の幹部にハミルニアは怒られるのであるが、そのことによって、左軍と右軍は殿のような役目をさせられる可能性が出てくるのであった。


リース王国軍の中央軍によるミラング共和国軍本陣への強襲は、ファルケンシュタイロの肝いりの天成獣部隊の三人の者たちによって、返り討ちにされるのだった。その結果、リース王国軍の中央軍は敗走することになり―…。それをリース王国軍の右軍と左軍が担当することになり、中央軍のトップであるファルアールトに馬鹿にされるが、それを実行するのであった。ファルアールトに対して、頭にきている者が多いのは、当たり前のことであるが―…。


その後の会議では―…。

 ミラング共和国軍側。

 その本陣では―…。

 「うむ。良くやったな。ファルケンシュタイロが育てた部隊だけのことはある。」

と、エルゲルダが言う。

 エルゲルダは、決して、完全に気分が良いわけではないが、それでも、本陣の攻撃をしのぐことができ、かつ、リース王国軍の中央軍の一割を三人だけ葬り去ることができたのだ。

 喜ばない理由がない。

 だからこそ、エルゲルダはこのような言葉を言いながら、今、この場にいる三人の天成獣の宿っている武器を扱う部隊の今日の戦闘に参加した三人を呼んで、褒め称えているのだ。

 「いえ、私も鼻が高いですが、むしろ、彼らがそれだけの実力を身に付けるために、日々、鍛錬を怠っていないこと、それが今日の成果に結びついたことを誇らしく思います。彼らには、この戦場の中で、今日のような活躍を期待したい。」

と、ファルケンシュタイロは代表して言う。

 もし、変な言葉を言って、ラウナンを怒らせるようなことがないようにする必要がある。

 エルゲルダを怒らせたとしても、エルゲルダ個人としてはすぐに何とかすることができるであろう。

 その後ろにラウナンがついているというのが、厄介であるし、エルゲルダを怒らせると危険だということを告げるのだ。

 ファルケンシュタイロは、当たり障りのない言葉を言いながらも、牽制をしっかりとしている。

 ファルケンシュタイロからしても、ラウナンに逆らうようなことはしない。

 ラウナンの実力はしっかりと知っている。

 ラウナンに勝てる者は、ミラング共和国の中で、誰もいないということだ。

 「そうだなぁ~。私はリース王国の奴らに私を見捨て罪を償わせないといけない。それは、彼らの命によって償われないといけないのだ。ファルケンシュタイロは、私が出会った武人の中で一番の素晴らしさだ。そして、天成獣部隊は、こんな優秀な戦果を挙げるのだから、リース王国軍の輩など、一撃で吹き飛ばしてくれよう。後は―…。」

と、エルゲルダは言う。

 だが、この後に、「シエルマスの活躍次第だ」という言葉を言おうとしたが、ラウナンを怒らせる可能性があると分かったので、エルゲルダは口にしなかった。

 ラウナンは、ミラング共和国の謀略および諜報機関組織であるシエルマスのトップの統領であるのだから、シエルマスのことを侮辱する可能性がある言葉は、ラウナンを馬鹿にすることになり、自身の命が大変なことになるかもしれない。そのようなことをエルゲルダは望まない。

 ラウナンもそのことに気づいているが、今は、敢えて聞かなかったことにする。

 ラウナンにとって、エルゲルダも所詮、都合の良い道具でしかないことは確かなのだから―…。

 エルゲルダは、ラウナンが聞いていない感じであったので、何とか誤魔化すことができたと思うのであった。十分、ラウナンはそのことを知っているのであるが―…。

 「ええ、そのようになることは難しいかもしれませんが、最善を尽くして、リース王国軍を打倒し、リース王国を征服いたしましょう。」

と、ファルケンシュタイロは言う。

 ファルケンシュタイロは、責任を取りたくないからこのように言っている一面もあるが、調子に乗って良いことがあるとは思えないので、敢えて、確実にできるということは言わなかった。

 未来を完全に理解して、運命にしている人間は誰もいないのだから―…。いるはずもない。

 ファルケンシュタイロは、そのことを理解しているわけではないが、確実に成功できるかを判断できる状況ではないので、このような言葉しか言えなかったというのもある。

 それでも、リース王国軍を倒して、リース王国を征服する気持ちはある。

 それを宣言したに過ぎない。

 「そうか、そうか。その言葉が聞けるとは―…。あのリース王国の中央で権力を握っている奴らは、自らのためなら、邪魔な奴は排除する。それもえげつないやり方でなぁ~。リース王国を征服して、そいつらによって、駄目になってしまったリース王国民にはちゃんと教えないといけない。道理ってやつを―…。」

と、エルゲルダは言う。

 そこには、リース王国の中央で政治などの実権を握っているラーンドル一派への恨みがある。

 その恨みは、エルゲルダが先のミラング共和国とリース王国との戦争によって、自分を潰すのに利用されたことによって、開花し、そして、年月とともに育ってきたものである。

 ここまで恨めるのであれば、もう少し別の面でも使えよと思う者がいるかもしれないが、人は自らの経験や出来事、知識などによって得られた情報によってしか、判断を下すことができないことが多い。創造的な判断は意外にも難しいものでしかない。そのことに気づかない者は多かったりする。

 エルゲルダは、リース王国のラーンドル一派への恨みを増幅させながらも、何かしら、自分の能力を高めていたわけではない。いや、女性との火遊びの能力に関しても―……、いや、ないな。

 自分の征服欲を満たすだけのことであろう。

 これ以上、エルゲルダのミラング共和国のアマティック教本部の中での生活を述べる必要はないだろう。不快極まりないという気持ちを抱くことができれば、それが真面な感覚であることは事実だ。

 そして、エルゲルダは、ファルケンシュタイロの言葉を聞いて、リース王国をミラング共和国軍によって征服できる確信を抱くのであった。

 (………………ふう~。リース王国軍は明日にでも崩壊するかもしれません。後は、イマニガが上手くやってくれることですねぇ~。それに、我が軍に大損害を与えている二人の人間は確実に始末しておかないとねぇ~。リース王国軍の―…。)

と、ラウナンは心の中で思う。

 ラウナンは、すでに、ミラング共和国軍の兵士を多く殺していると思われるアンバイド以外のリース王国の兵の存在がいることを理解している。

 生き残った者が証言している二人のリース王国の騎士の格好をした者がいるということだ。

 一人は見たこともない武器を構え、もう一人は、空を飛ぶことができる者だと。

 その二人が今日の戦いの中でも、リース王国軍の中央軍が敗退して逃げていく中でおこなわれた追撃部隊を返り討ちにしたのだから―…。

 そんな情報はしっかりと入ってくるし、アンバイドの方はファルケンシュタイロに任せることにした。

 アンバイドは、かなりの実力者であり、伝説の傭兵として噂高い。

 無駄にアンバイドに構っている暇はない。

 ならば、ファルケンシュタイロに任せて、リース王国軍の左軍の強敵の方に集中した方が良い。

 排除できる可能性のある危険から確実に排除していく。

 これが定石だ。

 ラウナンはそのことを理解しながら、ランシュとヒルバスの方に集中するのだった。彼らを含めた左軍の方に―…。

 「さて、どうするか、だ。」

と、エルゲルダは言う。

 エルゲルダに作戦を考える能力はない。

 そんなことはエルゲルダ自身も分かっているからこそ、他人に、軍事の専門家に作戦を考えさせる。それを自身の成果とするがために―…。

 つまり、意見を聞こうとしているのだ。

 その言葉を聞いたラウナンは、

 (さて、どうするか、ですか。ファルケンシュタイロに任せるのが妥当な判断でしょうが、そろそろ相手の実力も把握できたと思いますから、ここで仕掛けるのが妥当なのかもしれません。が―…。)

と、心の中で思っていると、シエルマスの一人が姿を現すのだった。

 その様子に、ミラング共和国軍の兵士は、驚きながら、恐怖しながら見るのであった。

 「ラウナン様、報告です。こちらにおられる軍人の方にも話してもよろしいでしょうか。リース王国軍の今後の作戦に関することです。」

と、シエルマスの一人は言う。

 ミラング共和国軍の軍人に知られるとまずい可能性もあるので、敢えて、シエルマスのトップであるラウナンに尋ねるのであった。

 それを尋ねていることを聞いたラウナンは、

 「ええ、構いません。」

と、返事をする。

 ラウナンにとって、今後のリース王国軍の作戦をシエルマスだけで共有する必要はない。軍人と共有することの方が、良い作戦が浮かぶ可能性はあるだろうし、軍人が勝利できるようにすることは大切なことであるのだから―…。

 「分かりました。今後、中央軍の編成終了後、リース王国軍は中央軍がミラング共和国軍を攻める予定となっています。それと同時に、リース王国軍の左軍と右軍がミラング共和国軍の強い軍団の足止めをするということになっています。さっき、リース王国軍の本陣で会議を開き、リース王国軍の総大将ファルアールト=フォンマエルが自ら作戦を発していました。」

と、内容を言う。

 この人物は、さっきのリース王国軍の全体会議を裏で覗き見ていたのだ。

 シエルマスだからこそ、この地域において最強と言われる謀略および傍聴組織なので、このようなことはお手のものだ。

 そして、気づかれずにやることも―…。

 その結果、リース王国軍の今後、次の作戦は、完全にミラング共和国側に漏れてしまっており、ミラング共和国には対策を立てる時間が十数時間ほど与えられることになったのだ。

 勿論、リース王国軍は一切、そのことに気づいていないが―…。

 だからこそ、今の状況を冷静に見ると、ミラング共和国軍にとって優位であることに、第三者から見ても間違いなく、そのように判断するであろう。不安定要素はしっかりとあるが―…。

 「そうか、報告ご苦労。」

と、ラウナンは言う。

 そのラウナンの言葉を聞いた、今の報告したシエルマスの一人は、

 「ハッ!!!」

と、どこかへと消えるのであった。

 その消える姿から、ミラング共和国軍の軍人はシエルマスに対する恐怖を確認するのだった。

 シエルマスには逆らってはいけないと―…。

 ラウナンは聞いた後、考えるのだった。

 (こちらから向かうことなく、あちらから仕掛けてくるとは―…。それもまた、中央軍が攻めてくるとは―…。リース王国軍の総大将ファルアールト=フォンマエルは、愚将と言ったとしてもおかしくはないな。なぜ、我々に有利な状況を作ってくれるのだろうか。まあ、リース王国軍側の作戦もあると考えるかもしれないが、そのことに関しては細心の注意を払えば良い。後は、ファルケンシュタイロが何とかしてくれるだろう。)

と。

 ラウナンは、ファルアールトが考えるリース王国軍の作戦はあまりにもアホすぎるのだ。

 今日、リース王国軍の中央軍は敗北して、逃げ出したのに、再度、同じことを繰り返すなんて―…。馬鹿の極まりである。

 そういうことから、ラウナンの心の中で、ミラング共和国軍が勝つ可能性が高くなったことを理解する。

 だけど、それがリース王国軍側のミラング共和国軍を油断させるための作戦の可能性は十分に考えられる。

 あまりにもアホすぎる行動は、返って、何かしらの罠があるか警戒するには十分だし、そのことを考慮した上で行動しないといけないのだ。慎重になるってものだ。

 そうなってくると、油断ではないが、軍人であるファルケンシュタイロに任せることで、次のリース王国との戦いは勝利する可能性が高いと判断したのだ。

 そして、ラウナンは左軍の方に警戒を向けるのだった。

 その後、ミラング共和国軍の会議は解散となり、数時間後にまた開かれるのであった。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(169)~最終章 滅亡戦争(24)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


では―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ