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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
509/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(163)~最終章 滅亡戦争(18)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、エルゲルダがミラング共和国の総統となり、リース王国へと宣戦布告する。一方で、その情報を知ったリース王国では、ラーンドル一派たちによる話し合いがおこなわれ、逆に侵略し返そうということになるのだった。

その情報をリーンウルネは自ら潜入することで仕入れ、ハミルニアとフォルクスを自分の執務室に呼び寄せて、今回の戦争に参加させるのだった。その話し合いで、ランシュとヒルバスの参戦をも促すものであった。

リーンウルネは、一枚の紙をメタグニキアの秘書に渡し、その紙を見たメタグニキアは激怒しながらも、そのメリットのためにヒルバスを今回のミラング共和国とリース王国の戦争に参加させる命令を下すのであった。

その後、ランシュとヒルバスは一時的に騎士団に復帰という形で参戦するのだった。


リース王国は出陣し、ミラング共和国の境までやってきており、作戦会議がおこなわれる。

その作戦の会議の中で、左軍と右軍の大将がそれぞれ決まるのであった。左軍に騎士団が編入されるのだった。

一方で、ミラング共和国軍は、リース王国軍の実力を見るために、軍隊をリース王国と同様に三つに分けるのだった。

最初の戦いは、ランシュとヒルバスの活躍で左軍、右軍はアンバイドの活躍により被害も出ながらも奮闘し、中央軍は散々な目に遭うのだった。

それは、ファルアールトにとってあり得ないことであった。

精神的に摩耗するぐらいに―…。

その一方で、左軍の方では、勝利の宴会が開かれるのだった。

ミラング共和国軍の方でも動きがあるようだ。


次のリース王国の作戦は、とんでもないことが決められ―…。その作戦はミラング共和国には勿論―…。

 ランシュとヒルバスは二人になる。

 周囲に人物がいないわけではないが、そこそこに距離が離れている。

 ハミルニアが去った後、二人はハミルニアのことで話し合うのだった。

 「ハミルニア指揮官は、かなり気を遣えるし、人遣いは荒いところもあるけど、指揮官としては優秀な方で、性格も気さくなのでやりやすいです。私としては―…。」

と、ハミルニアを褒める。

 ヒルバスとしては、人遣いが荒いという面があり、少しだけ部下たちを無理させてしまうのだ。

 まあ、それでも、部下たちをブラックの状態という過酷なものにすることは避けるようにしているし、ちゃんと休ませたりはする。

 その面では、部下思いの面がないわけではなかった。

 それに指揮官としては、優秀だと思えるのだった。

 指揮官としての戦闘経験はないに等しいが、頭が良く、性格も気さくであり、かつ、部下からも文句を言われることもあるが、決して、力で封じたりすような人物ではなく、その意見を受け入れながらも、自分の意見を持ち、かつ、それを組み合わせるのだ。

 そして、部下がどういう能力をもっており、どう活用すれば良いのかを心得ている。

 ゆえに、指揮官として有能なのは間違いない。

 一方で、ランシュは、

 「そうだな。ハミルニアさんが総大将だったら、あのようなミラング共和国軍と同じような軍の分割しての攻めをおこなわなかったし、ここの森を利用しながら、相手を混乱させた後に、総攻撃を仕掛けてくるだろう。相手に冷静に判断させる時間を与えずに―…。」

と、ハミルニアが考えそうなことを言う。

 ハミルニアであれば、ミラング共和国軍が強い兵力を持っていることが分かっているから、軍を変に分割しても、情報は筒抜けだろうし、ならば、森を利用しない手はないし、あっちは大軍で来ている以上、夜の闇で奇襲を何度も何度も仕掛けて、精神的に混乱させて、疲弊させた後に、控えている軍隊を利用して、総攻撃を仕掛けてくる作戦を採るだろう。

 決して、相手を有利な状態にしないようにしながら―…。

 ゆえに、ランシュもハミルニアを敵に回したくないと思うし、それと同時に、味方であれば、どれだけ心強いかと思ってしまうのだ。

 そして、二人は長く話したのか―…。

 「さて、私たちも持ち場へと向かいましょうか、ランシュ君。」

 「そうだな。」

と、言った後、二人は持ち場へと向かうのだった。

 その後、左軍は進軍して、ランシュとヒルバスは中央軍の後ろから少し離れた場所に待機することになった。


 ランシュとヒルバスがハミルニアに会っていた頃。

 リース王国の中央軍では―…。

 「さあ、行くぞ!!! 昨日はハミルニアが援護しなかったせいで、負けただけだ!!! ミラング共和国の不意打ちを食らっただけだ!!! 今度は、こちら側が仕返しする番だ!!!」

と、叫ぶようにファルアールトが言う。

 その声とともに、中央軍の兵士たちは、

 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

と、叫ぶのだった。

 だけど、士気があるかと言われれば、ないと言えない。

 昨日のミラング共和国軍の奇襲攻撃によって、ミラング共和国軍への復讐心に燃える者たちであれば、士気は上昇しているだろうし、ミラング共和国軍の本陣に攻めて、戦功を稼ごうとしている者も同様であろう。

 だが、その奇襲攻撃に恐怖を抱いた者達にとっては、士気を上げることはできずに、ただただ、行動がおっかなびっくりになっており、とても戦力になるとは思えない。

 そして、それに上官たちが気づくことができず、昨日の負けを引きずってしまっているのだ。

 最悪なことでしかない。

 どんな時であったとしても、自分達の現状の理解と同時に、どうしてこのようになっているのかを正確に理解し、経験と知識から今までの解答か、新たな要素を加える必要があるのかをしっかりと考えないといけない。

 一方的な狭い視野になってしまえば、返って、自らを危険な目に遭わせる可能性を上昇させるだけだ。

 そして、そのことに気づかずに、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと向かうのだった。

 その情報はすでにシエルマスに漏れていることとも知らずに―…。


 ミラング共和国側。

 その本陣。

 「ラウナン、本当に本陣の守りを固めて良いのか。昨日は、リース王国の本陣の三割の兵を討ち取ったのだろ。ならば、攻めれば良いではないか。」

と、エルゲルダは言う。

 エルゲルダは、リース王国の左軍に敗れたことが報告されていないので、詳細は分かっておらず、リース王国の中央軍に大打撃を与えたことをラウナンから聞いている。

 エルゲルダの会話相手は、イルカルとラウナンと、自分が囲っているイルカルの女性たち以外にはほとんどいない。

 そして、エルゲルダの聞こえる声は、イルカルとラウナンの意図が混じった、二人にとって好都合なものでしかない。

 それに、エルゲルダは下々の者の話を聞くこともないだろう。

 自分の利益を最大限にしてくれる言葉や行動に身分の上下も親しさも存在しない。

 そして、それを判断することは人には本当の意味ではできない。

 なぜなら、人は一番自分にとって合理的であると判断する基準を持っていないし、時間という制約を受けていて、かつ、思考するのに時間を消費するからだ。

 そのことを理解していれば、人の第三者からあり得ない行動をとるのも、起こりうることなのだ。

 エルゲルダの言葉に対して、ラウナンは、

 「エルゲルダ様。確かに、我々はリース王国軍に大打撃を与えました。だが、その結果によって調子に乗るのは決して良いものではありません。なぜなら、追い詰められた鼠は何をしだすか分かりません。だからこそ、慎重に、慎重を期すのです。」

と、言う。

 ラウナンは、本当、ここへとリース王国軍の中央軍が攻撃してくる情報を自分の部下から得ているのだ。

 だからこそ、エルゲルダには嘘を吐いたとしても、自分の行動を正当化させる必要がある。

 そして、エルゲルダは馬鹿である以上、指揮なんて執らせてしまえば、ろくなことにはならない。それに、ファルケンシュタイロがいるのだから、彼に任せるのが妥当だ。

 馬鹿で、自分の成果ばかりを気にし、かつ、自分自身の行動でそれを功績を挙げようとして積極的に動く奴は、大抵、その動きで失敗するのだ。餅は餅屋だし、軍事に関しては軍事の人間に細かいことを任せるのが一番だ。

 だけど、エルゲルダはそこまで積極的に動くわけではないので、そういう意味では楽だったりする。

 だが、今回のように、自らが動こうとすることもあるので、そこには注意していかないといけない。

 ゆえに、ラウナンは、エルゲルダから離れることができなくなっているのだ。

 自由に動くことができずに―…。

 さて、話を戻し、ラウナンは自分の部下から得た情報を知っているから、追撃ではなく、守りを固めるのだ。

 すでに、ミラング共和国軍の全員にリース王国の中央軍が攻めてくる情報を伝えているのだ。

 そして、守りを固める作戦は、ファルケンシュタイロによるものだ。

 ファルケンシュタイロは、守りを固くすることによって、リース王国の中央軍に攻撃をさせることを諦めさせるのと同時に、中央軍が攻めてきた時に負けないようにするために、返り討ちにすることを容易にしようとしているのだ。

 ファルケンシュタイロは、軍事と関係があると自身が思っていることに関して、しっかりと学ぶことができるし、しっかりと覚えることができる。

 だからこそ、こういう場面では強い一手を打つことができるのであろう。

 (まあ、情報を知っていて、相手の思惑通りに動いて、相手の隙を狙うのも良いが、ここはエルゲルダに我々の実力があるということを感じさせないといけない。こういう馬鹿は、現実に起こって初めて知ることができるのだから―…。まあ、精々、私の掌の上で踊っているだけで良い。)

と、ラウナンは心の中で思う。

 ラウナンとしては、守りを固めたことに対して、かなりの評価をしている。

 なぜなら、ここにいるエルゲルダにミラング共和国軍の実力を知らしめることができるのだ。

 エルゲルダという馬鹿および愚かな存在に対しては、経験を教えるのではなくて、実際に経験してもらう方が分かってもらえるのだ。

 そうすることで、今回のミラング共和国とリース王国の戦争における指揮権は、ラウナンやファルケンシュタイロに任せる方が得策だということを理解させないといけない。

 そして、ラウナンはエルゲルダが自身の掌の上で踊る人物でしかなく、かつ、操り人形であることを望む。それが正しいあり方なのだから―…。

 「そうなのか。」

と、エルゲルダは納得しかなかった。

 たとえ、自身がミラング共和国のトップの地位である総統になったとしても、ラウナンに逆らうことはできない。

 ラウナンに逆らえば、どうなるのか本能的に理解してしまうのだ。

 それは、自らの命のこの世界での終わりであることを―…。

 だからこそ、ラウナンの言葉を理解していないにしても、分かったように振舞うしかない。

 それが、自身が生き残るために必要なことなのだから―…。


 リース王国軍の中央軍。

 彼らは、ミラング共和国軍の本陣の近くにいた。

 そして、ミラング共和国軍と対峙するのであった。

 すぐに、リース王国軍の中央軍の先頭にいる指揮官の一人が―…。

 「攻めよ!!!」

 何も考えることなく命令を下す。

 それと同時に―…。

 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

 と、声をあげながら、リース王国軍の中央軍が攻める。

 騎馬兵は馬をかっ飛ばして―…。

 歩兵は全速力の走りで―…。

 その勢いに対して、ミラング共和国軍は―…。

 「さて、よろしくお願いいたします。」

と、先頭にいる指揮官が言う。

 その言葉とともに、三人の人物がミラング共和国軍の前に出る。

 「ほお~、餌がここまでやってくるとはなぁ~。」

 「ファルケンシュタイロ様への手土産にはちょうど良い。」

 「やってしまおう。」

 最初の言葉は、オッド=カット=フィスガー。

 フィスガーが見ている視点では、金になる者達がフィスガーに収入を渡すためにやってきたとしか思えないのだ。

 そして、フィスガーは好戦的であり、略奪好きだからである。

 味方にはできないが、敵ならしても怒られるどころか、褒められる。

 だからこそ、やっと楽しめるので、ワクワクして仕方ない。

 次の言葉は、オーロル。

 彼は、前回のラフェラル王国との戦争後、天成獣部隊のナンバースリーに降格した。

 そして、最後の言葉は、天成獣部隊のナンバーフォーであるディグロのものである。

 要は、リース王国軍の中央軍が、ミラング共和国軍の本陣を攻めてくるということを予測し、予め、味方の死者を減らすのと同時に、リース王国側に絶望を与えるために、先陣をきるのだ。

 そのことをリース王国側は知らない。

 この情報は漏れないようにしていたのだから―…。

 「三人が前に出てきたが気にするな!!! 突き進め―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

と、先頭の騎馬兵の指揮官が叫ぶように言う。

 士気は最高潮にある。

 だが、進めば―…。

 「呆れるな。実力も分からないとは―…。」

が、オーロルは言う。

 オーロルは、鞘から刀を抜き、構える。

 そして―…。

 横に一振りする。

 スン!!!

 (何をしているの……。)

と、リース王国軍の中央軍の先頭にいる者が心の中で言いかけている途中に―…。

 「真っ二つ。」

と、フィスガーが言う。

 そう、今、リース王国軍の中央軍の先頭にいる騎馬兵が真っ二つに、および、馬は首から上を真っ二つに斬られてしまうのだった。

 その周囲に槍兵の槍も真っ二つになるのだった。

 オーロルの一振りによって、斬撃が放たれたのだ。

 その斬撃はかなりの距離まで飛んでいったのである。

 それに接したものは、そこから上下が分離されるようにして―…。

 リース王国軍の中央軍に恐怖を抱かせるには十分のものであった。

 そう、リース王国軍の中央軍がすぐに撤退するという状態にもっていくには―…。

番外編 ミラング共和国滅亡物語(164)~最終章 滅亡戦争(19)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の投稿日は、2023年11月7日頃を予定しています。

では―…。

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