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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
486/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(140)~第三章 傲慢も野望が上手くいくことも長くは続かない(48)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ラフェラル王国を併合しようとするミラング共和国。ミラング共和国でラフェラル王国で活動している商人達は、ミラング共和国からラフェラル王国に流れる商品の関税の撤廃を要求する。

ラフェラル王国の王族と貴族の多くは、その関税の撤廃に賛成するが、王族の一人であるリーガライドは反対する。そのせいで、冷や飯を食わされるのであった。リーガライドは―…。

リーガライドはそんななか、妹であるフィルスーナとともに傭兵隊「緑色の槍」のトップのアルスラードに会う。かつて、リーガライドは傭兵隊「緑色の槍」に所属したこともある。

その中で、三者の話し合いとなり、フィルスーナによって、クーデターを起こすことが決定されるのだった。計画へと移行する。

そのようなことを起こすことが都合が良いと思っているのは、ミラング共和国と繋がっている貴族達や第一王妃の勢力であった。そんななかで、シエルマスも活動をおこなっており、「緑色の槍」に派遣しているシエルマスのスパイから情報を得るのだったが、フィルスーナやアルスラードに気づかれており、スパイらは粛清されていくのだった。

その後、そのスパイが関係していたラフェラルアート(ラフェラル王国の首都)のスラム街にあるアマティック教の教会で、教会の主要な信者とシエルマスのスパイをすべてフィルスーナとラフェラル王国の裏の者達によって始末されるのだった。そのことにより、情報が遮断されることになる。

ラフェラル王国から情報が届かなくなったことに対して、シエルマスの西方担当首席がラウナンに報告し意見をもらおうとするが、その頃、ラフェラル王国ではリーガライドらのクーデターは成功するのだった。

それはどのような過程であったのだろうか?


ラフェラル王国におけるクーデター発生後、まず、宰相を中心とする貴族政力がフィルスーナとラフェラル王国の裏の者により、気絶された後、拘束される。さらに、ファングラーデはリーガライドによって捕まることになった。

第一王妃であるヒールの方は―…、クーデターを把握し、誰が起こしているのかを妄想という感じで突き止める。失敗した人間を処分しようとするが、その時、フィルスーナが現れ、ヒールが個人で雇っている裏の者で始末しようとするが失敗し、裏の者を失うという結果となった。その時のヒールの悲鳴によって、衛兵が駆けつけて、逃げたフィルスーナが狂気をはらんだ人間であることを言うのであった。

その後、ヒールは自らの執事長を軍部の拠点へと向かわせる。自らの指示をファングラーデ王の指示としてクーデター側を鎮圧するように、という命令を―…。だけど、軍事貴族もすでにクーデター側に捕らわれており、軍部もたたき上げが指揮するような状態となっており、ヒールの執事長は捕まるのであった。

フィルスーナは、再度、ヒールのもとへと向かい、少しの会話の後、ヒールを殺し、ラフェラル王国のクーデターは、リーガライド側が勝利することになるのだった。

その後、リーガライドは、ラフェラル王国の支配をフィルスーナとともにしていくことを宣言するのだった。フィルスーナにとっては、迷惑なことでしかないが―…。

一方、フィッガーバードの方は、ミラング共和国の首都ラルネへはあともう少しの距離まで近づくのであった。

そんななか、シエルマスの本部では、東西南北と国内担当の首席、報告官、統領による会議がおこなわれる。その会議の間に、報告官の見習いからラフェラル王国の第一王子であるフィッガーバードがミラング共和国の首都ラルネにやってくるのだった。ミラング共和国の総統であるシュバリテと会見するために―…。ラウナンにとっては好機だった。

ミラング共和国の首都ラルネに到着したフィッガーバードは、これからミラング共和国総統シュバリテとの会見を楽しみにするのであった。そして、フィッガーバードとシュバリテの会見が開かれ、シュバリテはラフェラル王国でクーデターが起きたことをフィッガーバードに伝えるのだった。この会見は、フィッガーバードの要請を受け入れ、ミラング共和国軍がラフェラル王国に派遣されることが決まるのであった。

その後、フィッガーバードは、アマティック教の教団本部に向かうのだった。そこで、イルカルと面会することになる。その場で、イルカルはフィッガーバードを洗脳するのだった。これがシュバリテの狙いであり、ラウナンにとって都合が良い行動だと認識しての行動であった。だが、シュバリテの方にも何かしらの意図があるようだ。

時間が経過し、ラフェラル王国軍の方はミラング共和国との国境方面に軍を出征させる。

一方、ミラング共和国では、ラフェラル王国への遠征のための式典が開催されるのだった。そこでのシュバリテの言葉は短いものであり、彼はこの遠征に対して、何かしらの思いがある。それはまだ、明かされることはなく、フィッガーバードの話へとプログラムは進んでいくのであった。最後は、ファルケンシュタイロの話となり、その自信満々さと一部の嘘が吐かれるのであった。

そして、少し時間が経ち、ラフェラル王国軍の方も国境に軍を配置するのだった。

その後、リーガライドとフィッガーバードは対面する。戦いは火ぶたをきるのであった。

その中で最初に死者となったのは、フィッガーバードであった。フィッガーバードを護衛していたシエルマスの東方担当首席のフィックバーンは、フィルスーナと対峙することになる。

一方、リーガライドは「緑色の槍」に合流し、一緒に行動するのだった。ミラング共和国軍にとって最もダメージを与えることができる場所に向かって―…。

ミラング共和国軍とラフェラル王国軍、双方の遊撃を担当する部隊が衝突し、天成獣部隊を有するミラング共和国軍は大損害を受けるのだった。

一方で、ラフェラル王国軍は、ある人物が攻撃を受けてしまい―…。


 一方、戦局もラフェラル王国軍側の有利に傾くのであった。

 そして、ミラング共和国軍の本陣では―…。

 「何だと!!! 遊撃部隊が「緑色の槍」と交戦し、敗北だと!!!」

と、ファルケンシュタイロが声を荒げるのだった。

 ファルケンシュタイロにとっては、あり得ないことであった。

 自らが手塩にかけて育てた部隊が、傭兵隊ごときにやられるなんて―…。

 もう少しで、全滅判断を下すほどの被害だったようだ。

 その天成獣武器部隊の隊長からの話を聞いて、信じることはできなくて、頭を抱え始める。

 (そんな馬鹿な!!!)

と、心の中でさえ、このような感じだ。

 「ええ、「緑色の槍」とは偶然の遭遇だっただけに、ラフェラル王国軍を傷つけることができずに申し訳ございません。ファルケンシュタイロ様の経歴に深い傷を与えてしまうとは―…。私は―…。」

と、天成獣武器部隊の隊長は言う。

 この人物は、ファルケンシュタイロへの忠誠心が強い。

 その訳は簡単だ。

 ミラング共和国軍の中で、軍隊の先輩たちから虐められており、雑用やら当番の代わりをさせられて、理不尽なことしかなかったのだ。トップを恨んでいさえした。

 そんなある日、その虐めていた先輩たちに無理矢理、先輩たちが盗み出した天成獣の宿っている武器の試し切りの材料とさせられたのだ。

 このままでは、先輩たちによって殺されると思ったが、先輩たちが武器を引き抜き、刀によって斬り殺されそうになったが、その時、この人物は選ばれたのだ。先輩が持っている武器に―…。

 だからこそ、先輩の持っていた天成獣の宿っていた武器を奪い、逆に先輩たちを殺したのだ。

 軍隊の中では、仲間殺しはご法度だ。

 そのことを知っているからこそ、このことを隠そうとこの人物は考える。

 だけど、それは無理だった。


 ―何だぁ~。盗まれた武器を探していたら―…、なるほど―…。お前は運が良かったなぁ~。味方殺しは罪だが、天成獣の宿っている武器に選ばれたのだ。殺すには惜しい。ということで、俺の力になれ―


 ファルケンシュタイロらのミラング共和国軍の長と幹部に見つかってしまい、自らの死というものを覚悟したが、ファルケンシュタイロの言葉は予想外のものであった。

 そう、この人物は天成獣の宿っている武器に、天成獣の選ばれたからこそ命を繋ぐことができ、その後、どういう目に遭っていたのかを正直に告白し、ファルケンシュタイロは殺された者たちを軍法違反で処刑処分を下したと公式では発表した。

 その理由は、例え味方殺しはご法度だとしても、天成獣の宿っている武器を扱える存在をこのようなことで殺すのは勿体ないし、戦力を増加させることができるのであれば、これぐらいのことは簡単にもみ消すことなんてできる。

 それほどの権力を持ち、同時に、ミラング共和国軍の中では絶対的な存在なのだ。英雄だからこそ、このことが許されるし、誰も文句があったとしても言うことなどできやしない。

 その後、この人物は、ファルケンシュタイロの直属の部下となり、天成獣の宿っている武器を扱う者たちの部隊を率いる隊長までに出世した。

 実力があったことも事実であるし、同時に、常識的な判断を下すことができた点が評価されてのことである。

 「切腹や自殺なんてさせんぞ。天成獣の宿っている武器を扱う者はかなり希少な存在だ。それを補うのは運と同時に、時間もかかる。だが、オーロルのおかげで三割で抑えられた。後は別の者を軍の中から探すことにしよう。」

と、ファルケンシュタイロは言う。

 最初は強めの言葉で―…。

 天成獣武器部隊の隊長であるオーロルは、ファルケンシュタイロへの忠誠心が強いから、今回のことでかなりの責任を感じているのは事実だ。

 それによって、失態を責任を取って、自刀することも十分にあり得るのだ。オーロルほどに狂信的な忠誠心を抱いている者ならば―…。

 そのように責任を感じて、自らの命を絶って欲しいとは思わない。

 ただ、善意の気持ちではないということは確かだ。

 ファルケンシュタイロにとって、天成獣の宿っている武器を扱うことができる者は貴重であり、どこで現れるか、天成獣に選ばれるのか分からないからだ。

 ゆえに、そのような者を一人でも失うのは駄目なことだ。

 それに、今回の戦争で三割もの天成獣の宿っている武器を扱う者を失ったのだ。

 オーロルのような実力者ならば、尚更だ。

 「はい。」

と、納得できない感じであるが、ファルケンシュタイロの言うことなので聞く。

 オーロルは、さっきのファルケンシュタイロの言葉によって生かされているが、今回の失敗に関しては責任を感じている以上、「はい」という返事だけでなく、言い始めるのだった。

 「だが、何も処分がないのでは、周囲が納得することはないでしょう。私の降格処分は絶対です。」

と、オーロルは言う。

 ファルケンシュタイロの側近は、オーロルの失敗に関して責めてくることはあまりない。なぜなら、オーロルは、天成獣の宿っている武器を扱うことができる選ばれたものであり、彼のような存在はどのようなミスをしても守らなければならないと思っている。

 オーロルを守ることイコール自分達が失敗を犯した時、処分から逃れるための口実に使うことができる。

 軍の腐敗?

 そんなものよりも自分の地位と名誉だ。これが守られなければ、軍の腐敗を阻止しようとすることに関心を抱くなどできやしない。

 そのようなある意味で身勝手な心理によって、オーロルは守られるのだ。

 この世は、身勝手な理由もまた多かったりする。

 それが良き方向になれば良いが、ならないことの方が多いだろう。

 そして、オーロルは、自分が失敗したことに責任を感じているし、周囲の天成獣の宿っている武器を扱うことができない者たちの気持ちもあるだろうし、そこに配慮し、かつ、自らの責任を果たすために、降格処分は必ず必要だ。信賞必罰、これによって軍の秩序は保たれるのだから―…。

 この自身の降格処分がファルケンシュタイロに受け入れられなければ、オーロルはどこかで自らの命を絶つ気持ちでいた。彼にとって、ファルケンシュタイロの信頼を裏切るという行為は許されざることなのだから―…。

 (面倒臭いが、オーロルの言っていることは間違っていない。降格処分を下さなければ、それこそ、部下たちの不満が生まれることになる。今はそのような対応は危険だな。)

と、ファルケンシュタイロは心の中で思う。

 ミラング共和国軍の中には、天成獣の宿っている武器を扱える者と扱えない者がおり、後者が絶対的多数だ。

 そうである以上、ファルケンシュタイロとしても、天成獣の宿っている武器を扱えない者達に対する配慮というものが必要となってくるわけだ。

 ファルケンシュタイロにとっては、面倒くさいことこの上ないが、それでも、配慮しなければ不満を抱かれ、何かしら不満があれば、離反の動きでもされたら、自身の地位も決して、安定せず、危ぶまれてしまうのだ。そのようなことは断固として避けないといけない。

 折角、グルゼンがいなくなったのに、他の優秀な奴が担がれれば危険だ。元グルゼン派の軍人はミラング共和国軍の中で生き残っているのだから―…。

 だからこそ、面倒くさいことでもしないといけないのだ。

 ままならぬものだと思いながら―…。

 「わかった。処分を下すのは、ラルネに帰ってからのことになろう。」

と、ファルケンシュタイロは言う。

 「わかりました。」

と、オーロルは納得した表情で答えるのだった。

 その後、ファルケンシュタイロは兎に角、軍勢を建て直すことに急ぐのだった。遊撃ができない以上―…。


 それから、さらに二時間が経過する。

 ファルケンシュタイロは、ある知らせを聞くのだった。

 「はあ、嘘だろ。」

と、ファルケンシュタイロは驚くが、何となくだけど予想ができた。

 「事実です。我々、シエルマスが嘘を吐く気はありません。ミラング共和国総統フォルマン=シュバリテ様が謀反の疑いがありと判断して、ラウナン様が自ら始末いたしました。これより、新たな総裁として、エルゲルダ様が就任いたすことにしました。ことにつき、ファルケンシュタイロ様は、ラルネの方へと帰還してください。ミラング共和国軍を率いて―…。」

と、シエルマスの者が言う。

 今の報告をなしているのは、シエルマスの諜報員の一人である。

 この言葉に驚かない者はいないだろう。

 だけど、ファルケンシュタイロは、シュバリテの今回の遠征のための式典の時の態度から何となく察することができた。

 明らかに、ラフェラル王国への遠征に同意していないことを―…。それに不満を抱いていることを―…。

 ゆえに、驚きの量はそこまでのほどはなく、結果として、少しだけ驚くで済ますことができた。

 「だが、ラフェラル王国遠征はどうするつもりだ。」

と、ファルケンシュタイロは言う。

 もうすでに宣戦布告をフィッガーバードがいたしてしまった以上、どうしようもできないのだ。ここから撤退するということは、ラフェラル王国側が勝利したことになり、ミラング共和国側は敗北したことになる。

 そのような結果をファルケンシュタイロが許す気はない。

 そのことを見越していたのだろうが、シエルマスの諜報員は言う。

 「そのことに関しては大丈夫だし、ファルケンシュタイロ様はシュバリテ様に騙されたということにしておきます。そのようにシエルマスが工作をしておきますので、ご安心ください。それに、フィッガーバードが死んでしまっている以上、彼にも責任を負ってもらうだけです。死人に口はありませんから―…。」

と、シエルマスの工作員は言う。

 これは、ラウナンからの指令であり、ファルケンシュタイロを納得させるために、この工作員が戦場を観察して、冷静に代理の役割を果たしたまでだ。

 これを聞いて、怒りにも感じる面があるが、ファルケンシュタイロは自らの安全が確保されたことを理解し、ラウナンには逆らえないということがわかっているので―…。

 「わかった。撤退しよう。」

と、ファルケンシュタイロは同意する。

 この後、ミラング共和国軍は撤退していくのだった。

 このことにより、ラフェラル王国軍は何とか勝利を手に入れるのだった。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(141)~第三章 傲慢も野望が上手くいくことも長くは続かない(49)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


眠いです―…。

ということで、では―…。

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