番外編 ミラング共和国滅亡物語(138)~第三章 傲慢も野望が上手くいくことも長くは続かない(46)~
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):
(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、ラフェラル王国を併合しようとするミラング共和国。ミラング共和国でラフェラル王国で活動している商人達は、ミラング共和国からラフェラル王国に流れる商品の関税の撤廃を要求する。
ラフェラル王国の王族と貴族の多くは、その関税の撤廃に賛成するが、王族の一人であるリーガライドは反対する。そのせいで、冷や飯を食わされるのであった。リーガライドは―…。
リーガライドはそんななか、妹であるフィルスーナとともに傭兵隊「緑色の槍」のトップのアルスラードに会う。かつて、リーガライドは傭兵隊「緑色の槍」に所属したこともある。
その中で、三者の話し合いとなり、フィルスーナによって、クーデターを起こすことが決定されるのだった。計画へと移行する。
そのようなことを起こすことが都合が良いと思っているのは、ミラング共和国と繋がっている貴族達や第一王妃の勢力であった。そんななかで、シエルマスも活動をおこなっており、「緑色の槍」に派遣しているシエルマスのスパイから情報を得るのだったが、フィルスーナやアルスラードに気づかれており、スパイらは粛清されていくのだった。
その後、そのスパイが関係していたラフェラルアート(ラフェラル王国の首都)のスラム街にあるアマティック教の教会で、教会の主要な信者とシエルマスのスパイをすべてフィルスーナとラフェラル王国の裏の者達によって始末されるのだった。そのことにより、情報が遮断されることになる。
ラフェラル王国から情報が届かなくなったことに対して、シエルマスの西方担当首席がラウナンに報告し意見をもらおうとするが、その頃、ラフェラル王国ではリーガライドらのクーデターは成功するのだった。
それはどのような過程であったのだろうか?
ラフェラル王国におけるクーデター発生後、まず、宰相を中心とする貴族政力がフィルスーナとラフェラル王国の裏の者により、気絶された後、拘束される。さらに、ファングラーデはリーガライドによって捕まることになった。
第一王妃であるヒールの方は―…、クーデターを把握し、誰が起こしているのかを妄想という感じで突き止める。失敗した人間を処分しようとするが、その時、フィルスーナが現れ、ヒールが個人で雇っている裏の者で始末しようとするが失敗し、裏の者を失うという結果となった。その時のヒールの悲鳴によって、衛兵が駆けつけて、逃げたフィルスーナが狂気をはらんだ人間であることを言うのであった。
その後、ヒールは自らの執事長を軍部の拠点へと向かわせる。自らの指示をファングラーデ王の指示としてクーデター側を鎮圧するように、という命令を―…。だけど、軍事貴族もすでにクーデター側に捕らわれており、軍部もたたき上げが指揮するような状態となっており、ヒールの執事長は捕まるのであった。
フィルスーナは、再度、ヒールのもとへと向かい、少しの会話の後、ヒールを殺し、ラフェラル王国のクーデターは、リーガライド側が勝利することになるのだった。
その後、リーガライドは、ラフェラル王国の支配をフィルスーナとともにしていくことを宣言するのだった。フィルスーナにとっては、迷惑なことでしかないが―…。
一方、フィッガーバードの方は、ミラング共和国の首都ラルネへはあともう少しの距離まで近づくのであった。
そんななか、シエルマスの本部では、東西南北と国内担当の首席、報告官、統領による会議がおこなわれる。その会議の間に、報告官の見習いからラフェラル王国の第一王子であるフィッガーバードがミラング共和国の首都ラルネにやってくるのだった。ミラング共和国の総統であるシュバリテと会見するために―…。ラウナンにとっては好機だった。
ミラング共和国の首都ラルネに到着したフィッガーバードは、これからミラング共和国総統シュバリテとの会見を楽しみにするのであった。そして、フィッガーバードとシュバリテの会見が開かれ、シュバリテはラフェラル王国でクーデターが起きたことをフィッガーバードに伝えるのだった。この会見は、フィッガーバードの要請を受け入れ、ミラング共和国軍がラフェラル王国に派遣されることが決まるのであった。
その後、フィッガーバードは、アマティック教の教団本部に向かうのだった。そこで、イルカルと面会することになる。その場で、イルカルはフィッガーバードを洗脳するのだった。これがシュバリテの狙いであり、ラウナンにとって都合が良い行動だと認識しての行動であった。だが、シュバリテの方にも何かしらの意図があるようだ。
時間が経過し、ラフェラル王国軍の方はミラング共和国との国境方面に軍を出征させる。
一方、ミラング共和国では、ラフェラル王国への遠征のための式典が開催されるのだった。そこでのシュバリテの言葉は短いものであり、彼はこの遠征に対して、何かしらの思いがある。それはまだ、明かされることはなく、フィッガーバードの話へとプログラムは進んでいくのであった。最後は、ファルケンシュタイロの話となり、その自信満々さと一部の嘘が吐かれるのであった。
そして、少し時間が経ち、ラフェラル王国軍の方も国境に軍を配置するのだった。
その後、リーガライドとフィッガーバードは対面する。戦いは火ぶたをきるのであった。
その中で最初に死者となったのは、フィッガーバードであった。フィッガーバードを護衛していたシエルマスの東方担当首席のフィックバーンは、フィルスーナと対峙することになる。
さて、場所は変わって、リーガライドのいる場所。
ここはすでに、ミラング共和国の領土内であるが、ある部隊と合流することになっていた。
そして―…。
「リーガライド。時間がかかったようだが、フィッガーバード王子に変な絡み方でもされたのか。」
と、アルスラードは言う。
アルスラードは、「緑色の槍」を率いており、アルスラードの後ろにちゃんとついてきていた。
そのような光景を見ても、リーガライドは特に驚くようなこともなく、当たり前がそこにあるかのようにして、平静でいるのだった。
「ああ、そうだな。完全にいかれやがっていたが、戦争開始してしばらくしてから、始末してきた。後は、ミラング共和国軍を撤退させるだけだ。」
と、リーガライドは言う。
リーガライドの言葉を聞いて、アルスラードは若干であるが驚きの表情を見せるが、リーガライドという人間を知っているアルスラードからして、リーガライドがフィッガーバードを本当に始末したのか疑問に感じないわけではないが、それでも、事実の可能性が高いと感じる。
そうである以上、問い詰めることはしない。
「そうか、……だが、ミラング共和国軍はラフェラル王国を支配することに方針を転換してくるのではないのか。」
と、アルスラードは言う。
そう、フィッガーバードを始末したとしても、ミラング共和国はラフェラル王国の領土を狙っている以上、ここから撤退するとは限らない。
というか、ラフェラル王国征服へと公然と示して、戦争を続けようとしてくることであろう。
そうなれば、ラフェラル王国側でも、多くの犠牲者が出ることになることは避けられない。
その覚悟はあるといえばあるが、仕方ないという諦めの気持ちになってしまう。
それでも、ラフェラル王国側の軍人の犠牲者を減らしたいという気持ちが強かったりする。
「そうだ。だからこそ、ミラング共和国軍の心臓部を突いて、機能を失わせる。」
と、リーガライドは宣言するように言う。
声を大きくしているわけではないが、その意志をこの場にいる全員が理解する。
声にはしないが―…。
「では、行こうか。」
と、アルスラードが言うと、リーガライドとアルスラードは、ミラング共和国軍の本陣へと向かうのだった。
一方、フィルスーナのいる場所。
そこでは、フィックバーンとの戦いとなっていた。
(音もなく攻撃をしてくる。だんだんと対処することができるようになった。)
と、フィックバーンは心の中で思うのだった。
フィルスーナは音を立てることもなく、攻撃をフィックバーンへと繰り返していくが、次第に、フィックバーンの方が対応できているのか、上手く回避していく。
その中でフィックバーンの心の中に余裕が出てくる。
その余裕は、フィックバーンにフィルスーナへの攻撃を与える時間もくれるほどだ。
(ならば―…、次で―…。)
と、フィックバーンは心の中で思う。
フィックバーンは、フィルスーナがなぜ音もなく攻撃できるのかという原理を分かっているわけではない。
それでも、フィルスーナの殺気というものを感じることによって、避けることができるようになったのだ。
フィックバーンは、このような殺し合いの中でも成長していっている。
だけど、フィルスーナも相手の状態に気づかないわけではない。
(私が音を消して攻撃をしていることの原因に気づいているわけではない。その理由までは分かっていない感じ―…。天成獣の能力だけの戦い方だけでなく、久々に属性も纏って本気で戦うしかない。)
と、フィルスーナは覚悟を決める。
フィルスーナは、天成獣の属性をそこまで使って戦うことはない。
暗殺とかもあったりして、対象に気づかれずにやることがじゅうようなので、そこまで使う必要がなかったのだ。足の部分に覆うとか、そんな感じぐらいしか―…。
だからこそ、本気で自らの天成獣の属性を使うようにして戦うことにしたのだ。
フィックバーンの実力を理解した上で―…。
「私をここまで本気にさせてくれるのは、かなり久々と言わないといけないなぁ~。」
と、フィックバーンは言う。
フィックバーンは、シエルマスに属し、かつ、東方担当首席という幹部であり、実力はかなりのものだ。
さらに、天成獣の宿っている武器を扱うことができるのだから―…。
ゆえに、フィルスーナを倒すことができるほどの身体能力を持っていると自負することもできる。
フィルスーナの動きを見破ることができているのだから―…。
次の攻撃でそのことが証明されるのだから―…。
フィルスーナの方も気づいていないわけではないからこそ、自らで天成獣の宿っている武器を用いて戦うことにしたのだ。
だから、短剣を鞘に収める。
その行動にフィックバーンは驚きを隠せないでいた。
(何をしている? 短剣を仕舞ってしまえば、素手でしか戦えないではないか。もしかして、素手での戦闘を得意とするのか。)
と、フィックバーンは心の中で思う。
フィックバーンとしては、短剣のまま戦ってくれるのであれば、そのことを願うのみだった。
そっちの方での対策を考えていたのだから―…。
(さて、どうしたものか。)
と、フィックバーンは警戒する。
警戒しない理由がないだろう。
音がなく、攻撃をしてくるのだから―…。
短剣での動きが分かったのに、他の方法となる一か八かの賭けになってしまう。
それでも、何とか対処できるだろうという感じをフィックバーンの側は抱くことができていた。
フィルスーナの方は、一方で、
(………………久々だけど、やっぱり馴染むのよねぇ~。周囲に多くの人がいても、巻き込むことなく扱えるまでにはできたけど―…。一対一だから見えないでもらえれば―…。)
と、心の中で思うのだった。
フィルスーナの天成獣の宿っている武器は、短剣の方ではなく、透明な色をした物である。それはいくつもあり、自身の指に装備することで戦うことができるのだ。
(硬化。)
と、フィルスーナは心の中で唱え、武器を固くさせる。
長さは、そこまで長くはなく、十センチメートル前後の細いいくつかの物であるが、フィルスーナの扱い方次第では、伸縮可能である。
そして、フィルスーナが攻撃する前に、フィックバーンが何かに気づき―…。
(今だ!!!)
と、心の中で思い、槍を構える。
「伸びろ!!!」
と、フィックバーンが叫ぶように言うと、槍がフィルスーナの方へと向かって伸びる。
それに気づいたフィルスーナは何の警戒もなく、少しの間、動くことなく―…。
「伸ばしたり、武器としての用途しか使用できないなら、私の相手でもないわね。」
と、フィルスーナは言う。
フィックバーンが実力のある人間だということは分かっているが、それでも、今のように属性を纏うことなく攻撃してくるのは、天成獣の宿っている武器を使う者の戦い方とは思えない。
良い師に巡り合うことができなかったのか、もしくは、そのような人がいなかったのか。
まあ、フィルスーナには分からないことであるが―…。
実際、フィックバーンは天成獣の宿っている武器を扱うことはできるが、暗殺に不向きだと判断して、属性の能力を使うことは避けた。フィックバーンがそのようなことを思わず、使えるようにしていれば、光の属性の力を手に入れることができていたであろう。
残念ながら、暗殺とか諜報をおこなう関係上、光よりも闇という属性の方が良いし、相手に気づかれる属性である光は良くない。
だからこそ、使うための練習をしても意味がないと判断し、光を扱うための修行をしていないのである。
一方で、フィルスーナの方は、そのような判断を下すことはなかった。
理由は、天成獣の宿っている武器に選ばれた時に、属性のことも自らの天成獣に聞き出し、扱えるようにしたのだから―…。どこでどのように使うのか分からないし、そのような状況になる可能性は十分にあると想定できたからだ。近くに、兄であるリーガライドもいたので、修行する相手に困ることはなかった。
天成獣の宿っている武器を扱えるようになるということは、天成獣の属性を理解し、さらに、天成獣の声が聞こえるようになり、その姿を見て、戦い方を学び、それを扱いこなせるように修行し、自らの経験や知識を組み合わせることに尽きる。
これが基本であり、原則である。
それができないという時点で、天成獣の宿っている武器を扱えても、本当の意味で扱いこなしているとは言えないのだ。
そのことがフィックバーンの不幸なのかもしれない。
だからこそ、フィルスーナはそのようなことができたところを見ていないフィックバーンを見下すように言う。
「何を言っているの…。」
と、フィックバーンが言いかけたところで、
「さようなら。」
と、フィルスーナは言う。
それを言い終える時には、フィックバーンは―…。
物を言うこともできぬほどに細々に切り裂かれ、バラバラにされてしまっていた。
すでに、フィックバーンの命はこの世にはないし、存在も粉だと判断しても、おかしくはないだろう。
そのフィックバーンだったものを見ながら―…。
「天成獣の宿っている武器を扱うとはこういうこと―…。………聞こえないか。」
と、フィルスーナは言う。
フィルスーナの声は、すでに、フィックバーンに聞こえるはずもない。
すでに、状態を見ていただければわかる。
フィルスーナの武器によって、粉々にされてしまった。
そう、フィルスーナの武器はピアノ線のように細い線の糸であり、戦闘時に、硬化させたり、柔化させることで攻撃か回避かの選択をすることができる。
さらに、攻撃時の硬化によって鉄に近いぐらい強度にすることができたりすることもできる。
この細い線は一つではなく、十本あり、天成獣から借りる力を用いて、指先や足先にくっ付けることができ、装備している手足を振るうだけで、攻撃をすることができる。
鉤爪での攻撃を連想してもらうとわかるだろう。切り裂く攻撃である。
そして、フィルスーナがフィックバーンを粉々にするために使った技は、フィルスーナ自身は言葉にしなかったが、その名前は「多線切砕」というものであり、一本でもこの線に触れた者に、何百も切り裂かれたような切り傷を負わせることができる。それを少しだけ威力を強力にするために、線の長さを一メートルにしたのだ。
フィルスーナの武器であるピアノ線のような細い線の糸は、フィルスーナの意思で長さを調節することができる。
だからこそ、フィックバーンに貫通したような切りをすることができて、粉のようにすることができたのだから―…。
攻撃回数は、それぞれ片手で二回だ。
その攻撃で十分に、フィックバーンを粉々に物理的にしてしまったのだから―…。
フィルスーナは見終えると、すぐに周囲を警戒しながら、どこへと向かうかを考えるのだった。
(シエルマスで、この戦争に参加している者を中心として、相手にした方が良いわ。)
と、フィルスーナはそう思っている間に、フィックバーンの近くにいるシエルマスの工作員と思われる者たちを、始末していくのだった。
音もなく―…。
ゆえに、そのような危機に気づくことができた時点で、そのシエルマスの工作員はこの世から命を散らせていくのであった。
そのことにより、シエルマスの介入はかなり程度までできなくなり、ラフェラル王国側を優勢に進めることになった。
それから、少しだけ時が進んでいく。
番外編 ミラング共和国滅亡物語(139)~第三章 傲慢も野望が上手くいくことも長くは続かない(47)~ に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。
あともう少しで、第三章は投稿をし終えると思えます。
というか、50回ぐらい超えましたので―…、第三章は―…。
どんだけ、この番外編は長くなるのか。
それと、読んでくださっている方に感謝しかありません。一応、PV数は6万を超えましたが、まだまだ、目標のPV数にも足りていないという感じです。
滅茶苦茶な数値目標にしたことが原因ですが―…。
ということで、『水晶』をよろしくお願いいたします。
明日(2023年9月16日頃)、『この異世界に救済を』を投稿する予定です。
では―…。