表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
480/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(134)~第三章 傲慢も野望が上手くいくことも長くは続かない(42)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ラフェラル王国を併合しようとするミラング共和国。ミラング共和国でラフェラル王国で活動している商人達は、ミラング共和国からラフェラル王国に流れる商品の関税の撤廃を要求する。

ラフェラル王国の王族と貴族の多くは、その関税の撤廃に賛成するが、王族の一人であるリーガライドは反対する。そのせいで、冷や飯を食わされるのであった。リーガライドは―…。

リーガライドはそんななか、妹であるフィルスーナとともに傭兵隊「緑色の槍」のトップのアルスラードに会う。かつて、リーガライドは傭兵隊「緑色の槍」に所属したこともある。

その中で、三者の話し合いとなり、フィルスーナによって、クーデターを起こすことが決定されるのだった。計画へと移行する。

そのようなことを起こすことが都合が良いと思っているのは、ミラング共和国と繋がっている貴族達や第一王妃の勢力であった。そんななかで、シエルマスも活動をおこなっており、「緑色の槍」に派遣しているシエルマスのスパイから情報を得るのだったが、フィルスーナやアルスラードに気づかれており、スパイらは粛清されていくのだった。

その後、そのスパイが関係していたラフェラルアート(ラフェラル王国の首都)のスラム街にあるアマティック教の教会で、教会の主要な信者とシエルマスのスパイをすべてフィルスーナとラフェラル王国の裏の者達によって始末されるのだった。そのことにより、情報が遮断されることになる。

ラフェラル王国から情報が届かなくなったことに対して、シエルマスの西方担当首席がラウナンに報告し意見をもらおうとするが、その頃、ラフェラル王国ではリーガライドらのクーデターは成功するのだった。

それはどのような過程であったのだろうか?


ラフェラル王国におけるクーデター発生後、まず、宰相を中心とする貴族政力がフィルスーナとラフェラル王国の裏の者により、気絶された後、拘束される。さらに、ファングラーデはリーガライドによって捕まることになった。

第一王妃であるヒールの方は―…、クーデターを把握し、誰が起こしているのかを妄想という感じで突き止める。失敗した人間を処分しようとするが、その時、フィルスーナが現れ、ヒールが個人で雇っている裏の者で始末しようとするが失敗し、裏の者を失うという結果となった。その時のヒールの悲鳴によって、衛兵が駆けつけて、逃げたフィルスーナが狂気をはらんだ人間であることを言うのであった。

その後、ヒールは自らの執事長を軍部の拠点へと向かわせる。自らの指示をファングラーデ王の指示としてクーデター側を鎮圧するように、という命令を―…。だけど、軍事貴族もすでにクーデター側に捕らわれており、軍部もたたき上げが指揮するような状態となっており、ヒールの執事長は捕まるのであった。

フィルスーナは、再度、ヒールのもとへと向かい、少しの会話の後、ヒールを殺し、ラフェラル王国のクーデターは、リーガライド側が勝利することになるのだった。

その後、リーガライドは、ラフェラル王国の支配をフィルスーナとともにしていくことを宣言するのだった。フィルスーナにとっては、迷惑なことでしかないが―…。

一方、フィッガーバードの方は、ミラング共和国の首都ラルネへはあともう少しの距離まで近づくのであった。

そんななか、シエルマスの本部では、東西南北と国内担当の首席、報告官、統領による会議がおこなわれる。その会議の間に、報告官の見習いからラフェラル王国の第一王子であるフィッガーバードがミラング共和国の首都ラルネにやってくるのだった。ミラング共和国の総統であるシュバリテと会見するために―…。ラウナンにとっては好機だった。

ミラング共和国の首都ラルネに到着したフィッガーバードは、これからミラング共和国総統シュバリテとの会見を楽しみにするのであった。そして、フィッガーバードとシュバリテの会見が開かれ、シュバリテはラフェラル王国でクーデターが起きたことをフィッガーバードに伝えるのだった。この会見は、フィッガーバードの要請を受け入れ、ミラング共和国軍がラフェラル王国に派遣されることが決まるのであった。

その後、フィッガーバードは、アマティック教の教団本部に向かうのだった。そこで、イルカルと面会することになる。その場で、イルカルはフィッガーバードを洗脳するのだった。これがシュバリテの狙いであり、ラウナンにとって都合が良い行動だと認識しての行動であった。だが、シュバリテの方にも何かしらの意図があるようだ。

時間が経過し、ラフェラル王国軍の方はミラング共和国との国境方面に軍を出征させる。

一方、ミラング共和国では、ラフェラル王国への遠征のための式典が開催されるのだった。そこでのシュバリテの言葉は短いものであり、彼はこの遠征に対して、何かしらの思いがある。それはまだ、明かされることはなく、フィッガーバードの話へとプログラムは進んでいくのであった。最後は、ファルケンシュタイロの話となり、その自信満々さと一部の嘘が吐かれるのであった。

そして、少し時間が経ち、ラフェラル王国軍の方も国境に軍を配置するのだった。

戦い近づいていく。

 「次に、ミラング共和国軍以外にもシエルマスが含まれています。シエルマスは今回、慎重に偵察をおこなった結果、東方担当首席と思われる人物がおり、統領は参加していないとのことです。ただし、シエルマスなので、もたらされた情報を完全に信じるのはかなり難しいものと思っていてください。」

と、三人目の報告官が言う。

 この人物は、リーガライドの直属の部下であり、裏の部分における幹部の一人である。表立っては報告官という役職であるが―…。

 そして、ラフェラル王国の裏の者がミラング共和国の領土内に派遣され、ミラング共和国軍と同時にシエルマスの動向をみていた。

 派遣された裏の者の全員が生き残って帰ってくることは不可能であろうが、それでも、多くの者が情報をもたらしてくれた。

 そこから得られた情報を簡単に、信頼性のあるものを中心にしてまとめたのだ。

 だけど、シエルマスにとっては、こちらが情報をとっていることなど筒抜けの可能性が高いので、完全に信頼はできないということを付け加えて言う。

 こうすることで、自らの失敗に対する保険をかけることもできるが、同時に、そのような事態になった場合に、動揺する度合いを少しでも和らげようとしているのだ。

 そうすることで、すぐに大勢を立て直せるようにしようとしているのだ。

 そして、この三人目の報告官による報告が終わる。

 さらに、話し合いへと移行していく。

 「今回の三人の報告官の話から考えると、ミラング共和国軍がこちらへと向かっているのは確実でしょう。他国の国境を経由して侵入してくる可能性はないとは指摘できないが、そうなると、他国との争いとなるし、そこで抵抗されでもしたらかなりの兵力を消耗することになるな。ミラング共和国軍の側は―…。そのことを考えると、可能性は低い。そして、一番危険なのは、進軍速度と同時に、天成獣の宿っている武器を扱う者がどこにいるかということになる。ミラング共和国軍とともに進軍しているのは事実だ。そこはさらに探っていかないといけなくなる。他にも意見がある者はいるか。」

と、リーガライドは言う。

 これは可能性である。

 リーガライドの言っていることをミラング共和国側に当て嵌めるのであれば、事実と言えるだろう。

 現在、ミラング共和国軍は、ラフェラル王国軍のいる場所へと向かっており、その中には天成獣の宿っている武器を扱う部隊も同行し、向かっている最中だ。

 彼らが遊撃を担う可能性もあるし、最初の一撃をラフェラル王国軍に食らわせようとしている可能性も存在する。

 結果がどういうことになるかは、未来のある時点において、わかることなので、今、答えを言ったとしても意味のないことである。

 「意見はない。兎に角、ミラング共和国軍がどういう攻撃をしてくるのかを見ないと分からないことがある。相手は、戦争経験のある軍隊だ。俺らが抑えて、遊撃隊でミラング共和国軍を混乱させるしかない。それぐらいしかないだろ。」

と、ビーグラは言う。

 すでに、どういう戦い方をするのかは決まっているので、待つしかない。

 そして、この会議はお開きとなり、それぞれの持ち場に戻るのであった。


 一時間後。

 リーガライドはしばらくの間、思考を続けていた。

 (………こうするしかないか。国を愛することを平然と言う輩がいて、強い国だとか、素晴らしい国だとか、偉大な国だとか―…。ふざけるなよ、大概にしろ!! 国を守るためにどれだけの苦労が必要だと思っているんだ!!! 口で平然と愛国心とか謳っている輩ほど、国に対して何をしてくれたというんだ!!! ………………そういう奴らが我が国に多すぎたし、そういう輩がミラング共和国との間での個人的な利益にしか興味がなく、このような危機に陥らせた!!! ………………怒りを感じるのはここまでだ。さて、どうにもならないことよりも、どうにかしないといけないことだな。)

と、リーガライドは心の中で思う。

 リーガライドは、ラフェラル王国を愛しているがために、口で簡単に国を愛しているとか、他人に国を愛するようにしなさいとか、国のために戦いなさいとか言う輩の無責任の言葉に苛立ちしか感じない。

 彼らのような言葉の軽い者たちを信じるのも愚かなことでしかない。

 彼らの抱いているのは、ラフェラル王国への愛ではなく、自らの個人的な手に入れたい利益を手に入れることにしか興味がなく、そのために他人が犠牲になっても仕方ないと平然としているのだ。自らには罪が一切、ないという感じで―…。

 そのような輩がラフェラル王国の中で幅を利かすようになったことが、今のミラング共和国への戦争の根本的な原因となっているのだと、認識している。

 まあ、自分達がクーデター政権を掌握したことが、原因であることはちゃんと認識しているが、直接の契機というだけで、根本の原因はそれ以外にあると、リーガライドは認識していた。

 その認識は完全に間違いではないが、根本の原因には勿論、リーガライドらが起こしたクーデターもちゃんと含めることができよう。このクーデターがなければ、ミラング共和国がフィッガーバードを利用して攻めてくることはなかったのだから―…。まあ、別の理由で攻めてくる可能性は十分に存在するので、根本の原因の一つであると考えるのが妥当であろう。

 (今回の戦いは、自分の命を賭したとしても勝たないといけない。)

と、リーガライドは心の中で思いながら、行動を開始するのだった。

 

 ラフェラル王国の首都ラフェラルアートにある王宮。

 そこのとある執務室では―…。

 「フィルスーナ様。戻りました。」

と、ナナーアは言う。

 この女性は、フィルスーナ付きの秘書長である。

 彼女は、お花を摘みから戻ってきたのだ。

 そして、彼女は目の前の部屋の状況を見て―…。

 「はあ~。」

と、一つ溜息を吐く。

 その溜息は分かっていたことと、同時に、苛立ちも感じるが、自分のすべきことを理解した上で向かったのだということだ。

 (仕方ない人だ。幼少期からの周囲から奇行と思われる行動力を考えれば、このようなことになるのは当たり前のことね。だから、無事に帰ってきてください。それに―…。)

と、ナナーアは、フィルスーナがさっきまでいたと思われる執務机へ行くと、これからすべき分の仕事を終わらせているのに気づく。

 (本当、仕事がしっかりとできるのだから、もう少し、上手く世を渡ることをして欲しいわ。)

と、心の中で思いながら―…。

 執務室のドアが一つ開いていた。

 そこから外に出たものと思われる。

 ナナーアは、フィルスーナが向かった場所についてすぐに理解した。

 だからこそのさっきの心の中で言葉であろう。

 そして、ナナーアはしばらくの間、ゆっくりと休暇を入れて、休むのだった。


 二日後。

 ミラング共和国とラフェラル王国の国境。

 そこには、ミラング共和国軍とラフェラル王国軍が睨み合っている。

 そのような状態で、いつ戦いが開始されてもおかしくはない。

 その中で、ミラング共和国側の陣内では―…。

 「ファルケンシュタイロ様。さっさと俺らの部隊を使って、ラフェラル王国のアホどもを始末しても良いよなぁ~。早く略奪して、お金を稼がないと―…。別の奴らに奪われてしまうわ~。」

と、一人の人物が近くにいるファルケンシュタイロに向かって言う。

 ファルケンシュタイロは呆れながら、

 「オッド=カット=フィスガー、少し待て。こちらとしても体裁というものを整えるために、フィッガーバードの馬鹿野郎にラフェラル王国に向かって、宣戦布告をさせないといけないんだ。だから、その時まで待て。」

と、言う。

 オッド=カット=フィスガー。ミラング共和国軍の天成獣の宿っている武器を扱う者の部隊におけるナンバーツーであり、隊長からの報告をファルケンシュタイロに伝えることを主に努める者である。

 この人物、性格は好戦的であり、守銭奴であり、他人から物を盗むことを悪だとは思っていない。一切だ。ミラング共和国内で物を盗むと大変なことになるので、窃盗行為はしないようにしている。だけど、戦争という状況になってしまえば、勝っている側は、負けている側の領地での略奪で、罪に問われるということはない。なぜなら、勝者側の罪が裁かれることは一切ないのだから―…。

 そのことを知っているからこそ、フィスガーは、戦争というものを金を稼ぐことができ、盗みが正当化される場だと認識しているのだ。

 その危険性に関しては、ファルケンシュタイロも気づいているからこそ、対外遠征以外ではこの人物を動員することはなかった。こいつの性格を考えれば、自国内の戦争の中で、略奪を働くことが十分に予想することができるからだ。国民の信頼に関しては、そこまで気にしない方であったが、ミラング共和国の英雄と呼ばれるようになって、国民からの信頼というものの快楽がなくなってしまうことを恐れるようになった。そのために、善悪に関して、少しだけ敏感になってしまったのだ。

 今までのファルケンシュタイロでは、あり得なかったことであろう。

 まあ、そのことを詳しく掘り下げても意味のあることではない。

 フィスガーのような者は、元々、ミラング共和国の中で五年と半年前では階級の低い者であり、一兵卒程度のものであり、素行に問題があり、出世などできやしなかったが、偶然、天成獣の宿っている武器の一つを扱うことができたことから、このようにファルケンシュタイロに名前を憶えられるほどになったのだ。

 偶然、というものは恐ろしいものであると認識させられる。

 そして、フィスガーが今すぐにでも、ラフェラル王国軍の方を攻撃しようとしたので、ファルケンシュタイロは止めに入るのだった。

 理由は、ファルケンシュタイロの今、言っている言葉に表されている。

 そう、ラフェラル王国の前王の息子であり、最有力後継者の一人であったラフェ=フィッガーバードにラフェラル王国軍の前で、今のクーデター政権は不法であり、卑怯な手段で握られたものであることを宣言させた上で、宣戦布告させないといけない。

 これは、このような体裁をとることによって、ミラング共和国軍はラフェラル王国の正統な後継者を後ろ盾にして、ラフェラル王国の政権を違法に掌握したクーデター側という外聞をしっかりと立てさせるためだ。このように大義名分を成立させるには、それなりの苦労があるのだ。

 ルールというか、慣習というか、そのようなものだ。

 ファルケンシュタイロとしても、すぐに戦いたいが、この慣習を破ってしまうとろくなことにならないということを理解しているからこそ、面倒くさいがやるしかない。

 「分かっていますよぉ~。本当に、戦争にはルールがあって面倒だなぁ~。ルールなんていらないでしょ。さっさとラフェラル王国を支配し尽くして、奪いつくした方が素晴らしいに決まっているのに―…。」

と、フィスガーは言う。

 このフィスガーが言っていることを忠実に、現実の名のもとに実現されてしまった場合は、弱肉強食の魑魅魍魎とした争いになることを避けることはできないし、人々に不安を与えるだけであろう。

 ルールも正しいことになるとは限らないし、無秩序も良いとは限らない。

 人が生きていく上では、綱渡りの上を上手くバランスをとりながら、進んでいったり、最善のバランスをその都度変えていきながら進むしかないのだ。

 これほど、難しいものはないし、それをしないと次第にルールが現状に合わないようになって、自分達の社会をも大変な目に遭わせてしまうことになりかねない。本当に、生きるとは―…、社会を維持するとは難しいことであり、維持し続けていくには大変な労力と思考と知識、経験を必要とするのだ。本質の理解を人々に共有することを要求するぐらいには―…。

 まあ、この意味を理解することができるのであれば、人生というか、人という生き物の結末に対して、絶望することぐらい一回はあるだろう。同時に、その絶望の近くに、希望が存在するのであるが―…。縋るべき。

 「その前に、フィスガー。お前に伝えて欲しいことがある。そろそろ動くだろうから―…。」

と、ファルケンシュタイロは言う。

 フィスガーは、ファルケンシュタイロの言葉に耳を傾けるのであった。

 そろそろ、ラフェラル王国の防衛戦が始まろうとしていた。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(135)~第三章 傲慢も野望が上手くいくことも長くは続かない(43)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していきたいと思います。


次回の投稿日は、2023年9月12日頃を予定しています。

では―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ