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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
479/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(133)~第三章 傲慢も野望が上手くいくことも長くは続かない(41)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ラフェラル王国を併合しようとするミラング共和国。ミラング共和国でラフェラル王国で活動している商人達は、ミラング共和国からラフェラル王国に流れる商品の関税の撤廃を要求する。

ラフェラル王国の王族と貴族の多くは、その関税の撤廃に賛成するが、王族の一人であるリーガライドは反対する。そのせいで、冷や飯を食わされるのであった。リーガライドは―…。

リーガライドはそんななか、妹であるフィルスーナとともに傭兵隊「緑色の槍」のトップのアルスラードに会う。かつて、リーガライドは傭兵隊「緑色の槍」に所属したこともある。

その中で、三者の話し合いとなり、フィルスーナによって、クーデターを起こすことが決定されるのだった。計画へと移行する。

そのようなことを起こすことが都合が良いと思っているのは、ミラング共和国と繋がっている貴族達や第一王妃の勢力であった。そんななかで、シエルマスも活動をおこなっており、「緑色の槍」に派遣しているシエルマスのスパイから情報を得るのだったが、フィルスーナやアルスラードに気づかれており、スパイらは粛清されていくのだった。

その後、そのスパイが関係していたラフェラルアート(ラフェラル王国の首都)のスラム街にあるアマティック教の教会で、教会の主要な信者とシエルマスのスパイをすべてフィルスーナとラフェラル王国の裏の者達によって始末されるのだった。そのことにより、情報が遮断されることになる。

ラフェラル王国から情報が届かなくなったことに対して、シエルマスの西方担当首席がラウナンに報告し意見をもらおうとするが、その頃、ラフェラル王国ではリーガライドらのクーデターは成功するのだった。

それはどのような過程であったのだろうか?


ラフェラル王国におけるクーデター発生後、まず、宰相を中心とする貴族政力がフィルスーナとラフェラル王国の裏の者により、気絶された後、拘束される。さらに、ファングラーデはリーガライドによって捕まることになった。

第一王妃であるヒールの方は―…、クーデターを把握し、誰が起こしているのかを妄想という感じで突き止める。失敗した人間を処分しようとするが、その時、フィルスーナが現れ、ヒールが個人で雇っている裏の者で始末しようとするが失敗し、裏の者を失うという結果となった。その時のヒールの悲鳴によって、衛兵が駆けつけて、逃げたフィルスーナが狂気をはらんだ人間であることを言うのであった。

その後、ヒールは自らの執事長を軍部の拠点へと向かわせる。自らの指示をファングラーデ王の指示としてクーデター側を鎮圧するように、という命令を―…。だけど、軍事貴族もすでにクーデター側に捕らわれており、軍部もたたき上げが指揮するような状態となっており、ヒールの執事長は捕まるのであった。

フィルスーナは、再度、ヒールのもとへと向かい、少しの会話の後、ヒールを殺し、ラフェラル王国のクーデターは、リーガライド側が勝利することになるのだった。

その後、リーガライドは、ラフェラル王国の支配をフィルスーナとともにしていくことを宣言するのだった。フィルスーナにとっては、迷惑なことでしかないが―…。

一方、フィッガーバードの方は、ミラング共和国の首都ラルネへはあともう少しの距離まで近づくのであった。

そんななか、シエルマスの本部では、東西南北と国内担当の首席、報告官、統領による会議がおこなわれる。その会議の間に、報告官の見習いからラフェラル王国の第一王子であるフィッガーバードがミラング共和国の首都ラルネにやってくるのだった。ミラング共和国の総統であるシュバリテと会見するために―…。ラウナンにとっては好機だった。

ミラング共和国の首都ラルネに到着したフィッガーバードは、これからミラング共和国総統シュバリテとの会見を楽しみにするのであった。そして、フィッガーバードとシュバリテの会見が開かれ、シュバリテはラフェラル王国でクーデターが起きたことをフィッガーバードに伝えるのだった。この会見は、フィッガーバードの要請を受け入れ、ミラング共和国軍がラフェラル王国に派遣されることが決まるのであった。

その後、フィッガーバードは、アマティック教の教団本部に向かうのだった。そこで、イルカルと面会することになる。その場で、イルカルはフィッガーバードを洗脳するのだった。これがシュバリテの狙いであり、ラウナンにとって都合が良い行動だと認識しての行動であった。だが、シュバリテの方にも何かしらの意図があるようだ。

時間が経過し、ラフェラル王国軍の方はミラング共和国との国境方面に軍を出征させる。

一方、ミラング共和国では、ラフェラル王国への遠征のための式典が開催されるのだった。そこでのシュバリテの言葉は短いものであり、彼はこの遠征に対して、何かしらの思いがある。それはまだ、明かされることはなく、フィッガーバードの話へとプログラムは進んでいくのであった。最後は、ファルケンシュタイロの話となり、その自信満々さと一部の嘘が吐かれるのであった。

そして、少し時間が経ち、ラフェラル王国軍は―…。

 一方、ラフェラル王国とミラング共和国の国境。

 そこには、多くのラフェラル王国軍が展開していた。

 中には、暇を持て余している者もいるが、それでも、ミラング共和国軍が攻めてくることが分かっているので、油断している者はいない。

 そして、本陣には、ラフェラル王国軍と同時に総大将となっているリーガライドと副大将となっているミラング共和国軍の元帥に新規に就いたビーグラ、副大将でありかつ参謀の任にあたるアルスラード、それ以外にもミラング共和国軍の新規の中枢職に就任した者たちと、新たに当主となった軍事貴族の有力者がいた。

 リーガライドが総大将なのは、指揮する人間がクーデターで中心を担った人物であり、王族であることが理由だ。

 リーガライドも傭兵隊に所属していた経験があり、軍事経験はしっかりと積んでいる。主に、軍事交渉はリーガライドが担当することになる。

 ビーグラは、リーガライドが傭兵隊に所属していたことは知っているが、どれほどの実力かを怪しんでいる。それでも、クーデターでの行動力の手腕と、フィルスーナが総大将を任せることに反対していなかったことから、大丈夫なのだろうと判断したのだ。

 そして、リーガライドがラフェラル王国への愛が強い人物であることは界隈で知られていることなので、ラフェラル王国にとってマイナスな行動をする可能性は低い。ミスするの可能性がないとは言えないことも考慮に入れている。

 リーガライドの方は、ビーグラという人物が出世するために必要な運と同時に、軍人としての実力と頭脳を持っていることを理解している。だからこそ、副大将としても、元帥としても、部下からの信頼というものを手に入れるのに必要なことは何かということを把握しているからこそ、完全ではないにしても信頼することはできる。

 ビーグラは、今回の防衛戦に関して、避けることができないということが分かっている以上、総大将であるリーガライドを守り切ることと、ミラング共和国軍を撤退させることに全神経を集中させることになるし、部下たちには、祖国防衛のための戦いであることを訴えている。

 現実に、そうであるし、侵略なんてすることは絶対に許されない。

 だって、一歩でも侵略をすれば、ミラング共和国とラフェラル王国の双方で恨み合いに発展し、収集がつかなくなってしまう。それだけは避けないといけない。

 今回は、防衛のみであるということを徹底的に部下達にも意識させ、自分にも問いかける。

 戦争では、その開始に防衛とか言いながら、実際には敵国への侵略であったことなどの例を挙げれば、きりがない。

 人という生き物の欲望に限りというものは存在しない。いや、想像できない欲望は、そもそも抱きようもないことを考えると、欲望の限界というものは存在するのかもしれない。

 ビーグラは、防衛戦と侵略をさせないということに集中して、大きな場面での指揮に集中するのだった。

 そして、遊撃隊としての役割を担うのが、アルスラードである。副大将となっているのは、リーガライドの推挙による。ビーグラも傭兵隊「緑色の槍」のことに関して、十分な情報を持っている。現トップであるアルスラードの実力をも―…。

 今回のミラング共和国軍との防衛戦は、遊撃隊が重要な役割を担うことははっきりとしている。ビーグラはそのように睨んでいる。アルスラードの活躍に嫉妬がないと言えば嘘になるが、アルスラードを排除したところでラフェラル王国が守れるかというと、確実にそれは有り得ないという結論になる。

 ラフェラル王国がミラング共和国軍によって征服されるような事態になれば、ラフェラル王国軍の命だけでなく、ラフェラル王国の住民の一部はミラング共和国軍によって殺されるかもしれないし、国民のすべてが人道にも劣る扱いを受けることは避けられない。そこには、ビーグラの育った村の者たちや、これまでお世話になった人々も含まれる。

 彼らに被害が及ぶことをビーグラは許せないし、そのように導いてしまっては、自分を許すことができないであろう。だからこそ、ビーグラも必死である。

 そして、アルスラードと協力すれば、結果として、ラフェラル王国軍の中で、いろんな人々に出世の門戸が開かれるようになり、優秀な人材が出世することができる。軍事貴族であっても優秀な者を登用すべきであるし、彼らの力を借りることができれば、ラフェラル王国軍を強化することができ、周辺諸国から攻められる可能性を減らすことができる。

 ビーグラは、安全保障ジレンマにならない程度にすることは難しいかもしれないが、陥らないように周辺諸国の情勢を考えながら行動するぐらいはできる。

 軍隊が優れていたとしても、国としての実力が優れているとは限らないし、各産業がしっかりしており、文化や教育などをしっかりと整備し、インフラが整っていることも大事である。そうやって総合的に優れてこそ国は、本当の意味で強くなれるのだ。そのための投資を疎かにして、利権や利益だけに走る者たちは、国にとっては害悪でしかないし、社会にとっても同様に害悪となる。人々によって成り立っているものである以上、人々の幸福を無視することは最悪の結果にしかならないのだから―…。

 話が逸れたので戻すと、アルスラードと協力する方が利益もあるし、ラフェラル王国にとっても得であると感覚的に理解しているのだ。

 そして、軍事貴族の新当主たちもすぐにラフェラル王国の重要な職に就けるわけではないと認識している。ここに来ている者たちは特に―…。

 軍事貴族だとしても、実戦の経験がある者は少なく、訓練は積んでいたとしても、実戦では上手く動けないこともあるし、そこでしか積めない経験もあるのだ。

 それに、軍事貴族の新当主達は、軍人の中で優秀な人々のもとで従軍することによって、彼らから経験を学ぶことができ、生き残ることができれば、将来の出世に繋がる大きな経験となる。実績にもなる。

 そういう実績の欲しさもあったりする。

 そして、最後に、新規に出世した者たちの多くはたたき上げであるが、同時に、軍人として地位にがめつくない者たちによって、構成されている。

 この出世に関しては、リーガライド、フィルスーナ、ビーグラなどの軍人たちの話し合いによって決定された。三者の理由としては、これからミラング共和国軍との防衛戦になる以上、実績も経験もなく、世襲だけその地位になる軍事貴族ばかりをあてたとしても対処することができない。

 自分達がクーデターを成功させることによって、ラフェラル王国の実権を掌握している以上、この防衛戦での勝利がラフェラル王国に住む人々にとってのクーデター政権の信頼に繋がる可能性が高いからだ。

 そのことを理解している以上、失敗することは許されない。

 何としても、ミラング共和国軍を撤退に追い込まないといけない。

 ということで、軍人としての経験がしっかりとしているたたき上げの者たちが中心となった。彼らは軍事貴族の副官として、実質の指揮をした経験を持ち合わせており、さらに、その副官の中でも、馬鹿な軍事貴族に属する貴族たちのことを気に食わない者たちを選んだ。実力が第一であるが―…。

 それは、軍事貴族に媚びを売ることによって出世した者もおり、そいつらは能力がある者であれば何とかできないこともないが、能力が劣っているのであれば、出世させるべきではないし、邪魔にしかならない。そういう輩は左遷させることにした。恨みは買われることになろうが、それでも、今の状況を考えれば悪い選択にはならないだろう。決して、良い選択とも言えないが―…。

 そして、今、彼らは本陣にいながら、会議をしていた。

 「さて、軍の配置とミラング共和国軍の動向はどうなっている。」

と、リーガライドが言葉を発する。

 その言葉を聞いた軍幹部たちは、沈黙を保つながら、報告官の報告を真剣に聞くのだった。

 「報告させていただきます。我が軍は、我が国とミラング共和国の境界の接する部分に配置を完了させました。大きく五軍に分けて配置しており、五軍の司令官は全員たたき上げの中でも優秀な者で構成され、ミラング共和国軍の大軍を抑えることができるようにしております。」

と、一人の報告官が言う。

 この報告官は、軍部の人間であり、叩き上げの中で連絡役を仰せつかった者であり、情報将校として、優秀な存在である。ビーグラも彼には目をかけており、将来は参謀関係のトップも務められるのではないかと考えている。

 そして、この報告官の報告によると、すでに配置についたことを再度、報告するものであり、優秀な五人の指揮官によって、ミラング共和国軍の大軍を侵入させないようにしている。

 五人の司令官もまた、ラフェラル王国を守るために、今の戦いがどれだけ重要なことを理解している。

 さて、次の報告官が言い始める。

 「ハッ、報告させていただきます。ミラング共和国軍は首都ラルネが出発し、ラフェラル王国との国境へと向かっている最中でございます。今回のミラング共和国側の総大将は軍事委員会委員長兼ミラング共和国軍特別元帥兼総帥のヌマディア=ファルケンシュタイロによって、率いられています。ミラング共和国軍の中でもかなり精鋭が揃っており、情報によれば、天成獣の宿っている武器を扱う者たちによる部隊も同行しており、一般兵士で対抗することはほぼ不可能でしょう。その場合は―…。」

と、報告官は言葉を滲ませる。

 天成獣の宿っている武器を扱う者が、どれだけ強い存在であるかを知っている。実際に、戦争の中で戦ったことはないが、それでも、彼らの実力を目の当たりにする機会はあった。

 だからこそ、理解してしまったのだ。天成獣の宿っている武器を扱う者には敵わないと―…。

 ゆえに、対策をうつことすら―…。

 「その部隊に関しては、私の傭兵隊とリーガライド王子で迎え討つことにした方が良い。フィットール=ラグナンウェ報告官、悔しく思う気持ちもわかるが、人にはできることとできないことが人それぞれ違っていて良い。それが個性というものだ。だからこそ、フィットール報道官ができることをやれば良いし、できないことで俺たちにできることがあれば、俺たちに任せれば良い。俺たちにできないで、フィットール報道官にしかできないことがあれば、堂々と頼ることにするよ。」

と、アルスラードは言う。

 アルスラードにもできないことはある。

 それで、相手ができることがあれば、その相手に頼むし、その逆の時は、自分が相手のために行動をしよう。

 そこに利害関係がないかと言えば、嘘になってしまうが、利害関係と言ったとしても、相手を陥れようという気持ちは存在しない。双方にとって、得のある関係であるということだ。

 人という生き物に個性が存在する。

 それ即ち、できないこととできることが存在し、できることで相手のできないことをカバーすれば良いし、その逆であれば、相手に頼れば良い。そうやって、人々は集団として上手くいくことができるのだから―…。一人でも上手くできる人はいるだろうが―…。

 「ありがとうございます。」

と、フィットールは頭を下げるのだった。

 (「緑色の槍」と聞いて、横暴な人がいると思ったら、人当たりの良さそうな人たちだ。)

と、フィットールは心の中で思うのだった。

 傭兵というイメージは、リース王国を中心とする地域であまり良いイメージというものはない。ラフェラル王国においてもそうだ。

 傭兵は、戦争の中で使われたりするが、略奪や強姦などを働いたりするから、人々から嫌われることもあるが、一部の傭兵はそのようなことを禁じたりする。特に、強姦に関しては―…。

 傭兵が略奪する理由は、雇われている国がしっかりと期日までに報酬を支払わなかったりすることが原因であり、そういう国は傭兵はタダ働きしても良いし、その費用をケチりたいが必要であり、かつ、自分の懐が痛まないようにするからだ。そのために、略奪は致し方なしという感じで―…。

 まあ、そのような国は、結局、後々、復興に手間取ることになり、国自体を衰退させていくことになってしまうのであるが―…。まあ、そのようなことを平然とする国に繁栄の未来など約束されることはない。自分の富はどのようにして成されているのか、本当の意味で分かっていないのだから―…。

 話を戻すと、フィットールは報告をし終え、自らの席に着席するのであった。

 次の報告官が報告をおこなう。

番外編 ミラング共和国滅亡物語(134)~第三章 傲慢も野望が上手くいくことも長くは続かない(42)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していきたいと思います。


『この異世界に救済を』の投稿があるので、では―…。


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