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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
439/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(93)~第三章 傲慢も野望が上手くいくことも長くは続かない(1)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ファブラの内戦を軍事的鎮圧に成功したミラング共和国は、ファブラを併合するのだった。

そして、五年半という月日が経過する。

 ファブラ侵攻から五年と半年の時が経過した。

 それまでの間に、ミラング共和国は、周辺諸国の二つを征服した。

 そこを直轄領とした。

 その征服した国に関する情報は、別にここで出す必要はないだろう。

 これ以後、情報として登場することは分からないかもしれないが、その時に、説明を加えれば良い。

 ファブラの侵攻は、ミラング共和国の対外強硬派がどのようにして、侵略しているのかを示す良い具体例となったであろう。残酷さも紹介せざるをえなかった。

 二つの周辺諸国の征服も同様であった。悲しいことに―…。

 『ミラング共和国滅亡物語』の中では、その詳細が詳しく書かれており、その時の登場人物、滅ぼされた国の人々の気持ちが登場するが、ここでは割愛する。

 語っているのは、『ミラング共和国滅亡物語』の内容ではあるが、その作品自身ではないのだから―…。

 さて、グダグダとした感じになってしまったが、話を元に戻す。

 この五年と半年の時の経過により、ミラング共和国の対外面以外での国内体制に関して、相変わらず変更がない。対外強硬派が政治の実権を握っている状態だ。

 そして、シュバリテが総統でトップにおり、クロニードルがファブラの鉱山から得られる利益で豪遊をさらに派手におこなっていたり、ディマンドも商人たちからの政治資金を得て豪遊三昧となっている。

 シュバリテは豪遊というものは政治の仕事以外ではあまりすることはなく、本人自身もそこまで好んでいなかった。ファルケンシュタイロもミラング共和国軍の強化と、グルゼンの部下だった者たちの冷遇を中心でおこなっていた。

 ラウナンは、周辺諸国で謀略をおこないながら、ミラング共和国がその周辺諸国を支配しやすい状況にしていた。

 だけど、ミラング共和国の全盛期も終わりに近づきつつあった。

 これを言えるのは、後の時代で、ミラング共和国が滅んだことを理解しているからだ。

 当時の人々に、そのようなことが理解できる者は少なかったりする。ほんの一握りという感じで―…。

 情報に敏感な者たちの多くも、ミラング共和国が栄え続けることを予想する者たちは多かった。

 では、物語を進めていくことにしようではないか。

 場所は、ミラング共和国の議会堂の中にある対外強硬派が会議に使う部屋。

 そこには、五人の対外強硬派の重役たちがいた。

 「さて、ファブラ、ヒッパーダ、アルセルダを支配することに成功し、我が国は周辺諸国から恐れられるようになるほどの軍事力、いや、国力を手にすることができた。旧ファブラの鉱山から上げられる利益は、我が国の財政を改善し、軍事力の強化および商業の発展、都市の発展のための十分な費用を拠出させてくれた。」

と、シュバリテは言う。

 この五年と半年、ミラング共和国の首都ラルネはあちこちで、都市の再開発がおこなわれており、城壁の拡大も計画されるようになった。それほどに、ミラング共和国の財政が豊かになったということだ。

 その要因に関しては、シュバリテが言っているように、旧ファブラから得られた鉱山採掘によって、諸外国へと輸出した利益が莫大であったからだ。旧ファブラもまた、その利益と周辺諸国同士の牽制によって、他国から支配されることが今までなかったのだ。そういう意味では、ミラング共和国に支配されるということは初めて侵略されるということになる。

 この旧ファブラから得られる利益を使って、都市の再開発に関すること以外に、ミラング共和国軍の強化や、天成獣の宿っている武器の収集がおこなわれた。

 軍事力の強化のほとんどは、天成獣の宿っている武器を扱える者が増加したことによる。ミラング共和国軍だけでなく、シエルマスにしてもそうだ。

 ゆえに、シエルマスは諜報および謀略機関としてもかなりの実力を上昇させていくことになり、成功率も断然高くなっていった。それでも、最近では粗さというものが目立つようになってきている。

 そのことに対して、ラウナンは残念がっているが、成功率が高いので、あんまり反論することはない。成功していることこそが、シエルマスにとって大事なことなのだから―…。

 最後に、ヒッパーダ、アルセルダは、この五年と半年の中で支配した国であり、大国ではなく、小国に分類される。

 その征服成功によって、ミラング共和国の地位というか、権威というのが周辺諸国にもおよぼされるようになり、恐怖される存在になっていた。

 そのことを対外強硬派の誰もが、自信を持って、そのことを誇りに思っているのだ。やっぱり、征服欲というものが満たされているからだろう。自らが優れていること、自分の生まれ育った国が他国よりも優れていることを証明することができて―…。

 それでも、彼らは気づかなければならないことがある。

 それは、今までは小国を滅ぼしたのであり、大国を滅ぼしたわけではない、ということを―…。

 そんななか―…。

 「さて、最近、我が国の商人とラフェラル王国の間で、揉め事が起こっているようだ。我が国の商人は、ラフェラル王国へと輸出する時の関税が高いと訴えたが、ラフェラル王国は王子の一人が強硬に反対しているとかのせいで、関税撤廃ができないとか―…。さらに、こちらが輸出規模を拡大しようとしているのにも、反対しているとか―…。さすがに、我が国の商人たちから不満の声が上がるようになったとか―…。」

と、シュバリテは言う。

 シュバリテとしては、困ったことでしかないが、好機であることも分かっている。

 ラフェラル王国は、リース王国と同じくらいか少し下くらいの大国であり、交易もおこなうが、農業や漁業が中心となっており、自国で賄えるぐらいの鉱山採掘で成り立っている国である。

 勿論、ラフェラル王国の方も貿易をおこなっていくことには賛成しているが、それでも、周辺諸国に足許を見られないようにし、かつ、ラフェラル王国の利益に繋がるようにしないといけない。他国との貿易条項の中には不平等なものが存在する可能性があるからだ。相手国も自らの国の利益を得るためである以上、仕方ないという面もある。

 ゆえに、ラフェラル王国は、慎重に行動しないといけないということを理解している。

 シュバリテの言葉の中に出てきた強硬に反対している王子は―…。

 そして、シュバリテは、そのような王子の存在を許せるはずはなかった。

 ミラング共和国が、ラフェラル王国よりも弱いわけがないという自負を、これまでの小国征服の成功および先のリース王国との戦争での勝利という経験によって、持つことができているのだ。

 「そうだ。あいつらは、俺様の鉱石を一つも輸入してくれないケチな奴らだ。ケチだからこそ、我が国のことを恐れているのだ!!!」

と、クロニードルは言う。

 これは、他の人が聞けば、矛盾している言葉でしかないが、クロニードルの中では矛盾しない、道理の適った言い方なのだ。

 どうしてか? それを説明すると、クロニードルにとって、自らが得た鉱山採掘利権によって採掘された鉱石をクロニードルの言い値で買ってくれる客のことは、大切な商売先であるが、それ以外は、ケチであり、真面ではないし、ミラング共和国の繁栄に恐れをなしているからこそ、買わないで、ミラング共和国を追い詰めているのだという認識だ。

 実際は、ミラング共和国を恐れているのは事実であるが、それは軍事力の拡大とその征服された国が存在していることによる、いつ自分の属している国が征服され、かつ、酷い支配をされるのではないかという気持ちがあるからだ。

 ミラング共和国のこれまでの戦争での行為を見れば、そのように周辺諸国が思うのは当たり前のことであろう。好意的な解釈をする余地がどこに存在するのだろうか?

 まあ、自分が優位な立場であり、そのことによって、自分より弱い者達に対する気持ちを理解できなくなるのは、返って、危険なことでしかない。自分という存在が、一人だけで成り立つことが不可能である以上、他者との他の要素との関係が重要になるからである。

 そのことに、クロニードルは気づくことはないだろう。

 クロニードルにとって重要なことは、何度も言うが、自らの権威とか金とか、そんなものばかりだ。他者は自分を崇めることが理想のあり方だと思っているのだから―…。

 まあ、そんな理想が現実の中で、実現されているかというと、嘘でしかない。

 クロニードルであったとしても、ラウナンという存在の前で対抗できるわけがなく、ラウナンの言うことを聞いたうえで、甘い汁を吸うことしかできないのだから―…。

 「ふう~、我が国の商人どもで気に食わない連中であるが、それでも、我が国の国民である以上、彼らの要求に逆らうなんてラフェラル王国―…、我が国を舐めすぎなのではないか? 一回、きっちりと教え込んでやらないといけないなぁ~。」

と、ディマンドは言う。

 ディマンドは、この五年と半年の間に、見た目的にはかなり老け込んだ。まあ、年齢が増えたというのもあるが、日頃の豪遊のせいか、普段の食事のバランスが悪くなったことと、一つの大きな病気をしてしまったことによる。それでも、この地域で有名な医師を雇い、自分の主治医として、体の面倒を見てもらっている。医師の言うことはあまり聞かないので、雇われた主治医の方は困っているのであるが、そのことにディマンドが気づくことはない。

 そして、ディマンドは、ラフェラル王国がミラング共和国のことを舐めているからこそ、このような態度をとることができるのだと思っている。

 というか、そのように認識していて、妄想の領域を越えない。

 ラフェラル王国としても、自らの国の益になるように、行動しているだけなのに―…。

 ディマンドは、相手の事情を理解することができないほどに、自分勝手であることを、この場で証明しているに過ぎない。

 「なら、一層のこと、ラフェラル王国を征服してしまえば良いのではないか?」

と、ファルケンシュタイロは自信満々に言う。

 ファルケンシュタイロとしても、小国を圧倒的な力で征服できることに対して、少しだけ不満をもっていた。理由は、歯応えがないのだ。

 小国の軍事力では、ミラング共和国軍の多くを動員して、戦うということがないし、天成獣の宿っている武器を扱う者たちを大量に動員する必要がないのだ。

 ゆえに、ミラング共和国軍の最大の力がどこまで通じるのか計ることができないのだ。それが不満となっているのだ。

 それでも、征服である以上、確実に成果を出さないといけないことは分かっている。

 そうである以上、慎重になることも大事だが、小国の支配成功によって、調子に乗ってしまっている。

 それを止めるためには、大きな敗北が時には必要であったりするのだ。

 (………さすがに、ラフェラル王国を支配するのは不味い。領土を割譲させることなら可能性であろうが―…。ここは―…。)

と、シュバリテは心の中で思う。

 シュバリテとしては、ラフェラル王国の行動には不満があるのは事実だ。

 それでも、ラフェラル王国を完全に征服するのは、後のコストを考えたとしても、ミラング共和国でラフェラル王国を支配し続けることはできないと判断することができた。

 大国である以上、ラフェラル王国は、この周辺諸国の中で、それなりに大きな領土を領有しているというわけだ。ラフェラル王国の首都の規模も、ミラング共和国のラルネよりも少しだけ大きかったりする。そうなってくると、ミラング共和国がラフェラル王国を仮に征服に成功したとしても、財政規模の関係上、過剰な出費にならないか心配になってしまう。

 ゆえに、ラフェラル王国の領土の一部割譲という形にした方が、リスクが少ないとシュバリテは判断した。

 だからこそ、ラフェラル王国の完全征服ではなくて、一部の征服に留めるようなことを言おうとした。

 だが―…。

 「良いですねぇ~。ラフェラル王国の完全征服。」

と、ラウナンが発言してしまうのだった。

 ラフェラル王国の完全征服を―…。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(94)~第三章 傲慢も野望が上手くいくことも長くは続かない(2)~

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


お久しぶりです。秋月です。

ということで、第三章開幕しましたぁー。

第二章より長くなりそうな感じです。

結末はある程度、決まっていますが、そこまでの道程がなかなか難しい感じになっています。

第三章は、第二章に比べたら、理不尽度は少ないと思っています。

ここから、ミラング共和国の好き勝手にできなくなっていくと思います。

最終章まで何とか、最低でも今年中に繋げれば―…。

最終章の文章量を考えると、2023年度中に終わる可能性はかなり低いと思っています。

一方で、すでに2023年度の目標を達成している『この異世界に救済を』の方は、のんびりと書いていけるというわけです。

どうして、目標にこんなに差が出てしまったのだろうか?

うん、考えないでいよう。

最後に、『水晶』や『この異世界に救済を』のPV数や、読んでくださる方が増えますように―…。

そして、『水晶』や『この異世界に救済を』を読んでくださった方に対しては、感謝しかありません。ありがとうございます。読んでくださっている皆様のおかげで、書き続けていることができています。

ということで、では―…。


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