表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
421/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(75)~第二章 ファブラ侵攻(8)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ソフィーアのクーデターは失敗し、ソフィーアとダライゼンはリース王国へ亡命するのだった。その後、ファブラは乱れ、内戦へと突入していくのだった。

 それから半年の時が経過する。

 ファブラ。

 リンファルラードというその国の首都。

 そこでは、すでに、一触即発状態になっていた。

 アウトロー同士が喧嘩するのは日常茶飯事である。

 そう、その結果の原因となっている勢力は、フィンラルラードとウォンラルラードの二つである。

 この二つの勢力の対立のせいで、リンファルラードの住民は困っている。

 「ママ~、お外に出て良い―…。」

 「駄目よ、そんなの!! お外は危ないのよ、今!!!」

 このリンファルラードの一部の家の中にいる子どもは、最近、外に出ることができないことを悲しんでいた。

 子どもでも事情はわかっている。外が物騒なことになっていることを―…。

 それでも、外に出たい。

 今日は、友達と約束しているのだから―…。

 母親の方は、子どもが外に出て、遊びに行くことは困ったことでしかない。外は今、大変危険な状態になっているのだから―…。

 母親は窓から外を眺めると―…。


 「矢を射ろ!!! 放て!!!」

 その指揮官の一人と思われる者の声が聞こえると、矢が放たれる。

 「フィンラルラードがいる別邸へと向かえ―――――――――――――――――!!!」

と、その指揮官の一人は叫ぶ。

 ここまでの流れは、ウォンラルラードが一週間前から別邸を出て、ラマガルドリアが定めた居場所に自らの拠点を移していたのだ。

 そこでは、ラマガルドリアに従っているアウトローたちが多くおり、彼らは、フィンラルラードを討伐しようとクーデターを起こすのだった。ウォンラルラードが抑えることができないどころか、本人もかなりの武力を目にして、意気揚々と賛成したのだ。

 一方で、フィンラルラードはゆっくりと我関せずを貫き、部下であるアーレイに任せっきりにしており、今、自分がどんな状態になっているのかを理解していない。

 一部の軍人によって、包囲されていることを、別邸を―…。

 そんな状態にあっても、フィンラルラード側のアウトローもおり、彼らが今、交戦中であり、そのことをフィンラルラードは知らない。のんびりと自室でゆっくりとしているだけだ。

 そんななか、リンファルラードの市街地戦では、ウォンラルラードが優位に戦いを進めており、フィンラルラードの側は不利な状況となっている。

 今も、その指揮官の一人の命令によって放たれた矢によって、フィンラルラード側のアウトローはかなり倒されていた。さらに、ウォンラルラード側についている軍人たちもいる。

 そう―…。

 「これは、我々の勝利のための戦いのなのだから―…。」

と、その指揮官の一人は言う。

 内戦状態に突入していた。

 「おお―――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

と、戦いに参加している者たちはそのように返事するのだった。

 フィンラルラードのいる屋敷へと―…。


 一方、統領の屋敷では―…。

 フィブルが困惑した状態になっていた。

 「どうなっているんだ、ラルガリオ!!」

と、フィブルは狼狽し、怒りの声をラルガリオに向かって上げる。

 ラルガリオにとっては、この声はウザいと思えるようなものでしかないが、それでも、自らの思い通りになっていることを理解して、ぐっと堪えることができる。

 もう少しで成就するのだから―…。

 「申し訳ございません!!! どうも、アウトローの連中同士の抑えが効かなくなっており、すでに内戦状態になっています。こうなってくると、他国から支援してもらうしか―…。軍人もフィンラルラード様とウォンラルラード様のそれぞれの側に参加している者が多く、どうしようもない状態です!!!」

と、ラルガリオは言う。

 ラルガリオは、フィブルに他国からの支援をするように要請しているのだ。自らの考えを成就させるために―…。

 (今回の争いは、私の差配を使って、上手くラマガルドリアをその部下を使って煽り、ウォンラルラードにクーデターを起こさせる。そうなった後、アーレイの部下の中にいるアウトローを使い、内戦を煽る。後は、勝手に内戦が激化していくだけだ。人という生き物は自らを攻めてくる者を敵と認識して、自らの身を守るために、防戦し、攻めてきた相手を倒そうとするからなぁ~。相手の意図が何であるか、その要因を詳しく調べることなく―…。そのような時間も存在するはずがないからなぁ~。後、勝手に双方が恨み合ってくれる。こんな素晴らしい、事が私にとって都合が良いように運ぶことを今までの経験のなかで知らない。さあ、どんどん争ってくれ。双方ともにな!!!)

と、心の中で思う。

 ニヤけてもおかしくはないだろうが、それでも、状況を理解しており、狡猾であるからこそ、そのようなことはしない。淡々と被害者面することに徹する。

 そして、今回の内戦を仕掛けたフィクサーは、ラルガリオである。

 これは、シエルマスからの指令であり、争い合うことによって疲弊した国が、ミラング共和国に介入して欲しいと要望するのだ。まあ、政権交代という方法も使えなくはないが、今回はクロニードル家がファブラの鉱山利権を欲しているので、そのような選択肢をとることはできない。

 要は、侵略することによる方法がベストなのである。

 ラルガリオはミラング共和国がファブラを支配しようとしていることを知らないし、夢にも思っていないことだろう。ファブラの統領の一族を滅ぼした後は、統領になるのがラルガリオであるということをまだ信じているのである。

 ファブラの統領という地位は、ラルガリオにとって、かなりの魅力を有しているのは事実であろう。

 そんな中、何も知らないフィブルは、今の内戦の状態をどうしようかと必死に考えるのだった。苦労人である以上、その苦労に慣れているが、それでも、苦労ばかりしすぎて、精神的にまいってしまっている。ここ数年そんな感じだ。

 だからこそ、冷静な判断を下すことができなくなってしまっていた。ソフィーアに統領の地位を譲渡しなかったし、ウォンラルラードとフィンラルラードのどちらかを後継者にしようと未だに思っているのだから―…。

 しばらく考えた後―…。

 「仕方ない。周辺諸国から支援をもらうことにしよう。ラルガリオ―…、当てはあるのか?」

と、フィブルはこのような決断を下さす。

 それは、ラルガリオにとっては、望んだ結果である。

 「ええ、勿論です。フィブル様。」

と、ラルガリオは、表情に出さないようにして、このように言う。

 そう、機は熟しつつあるのだから―…。


 一方、三日後、ミラング共和国では―…。

 対外強硬派が使う、会議室では―…。

 対外強硬派の全員が揃っていた。

 「では、今回の議題は、ファブラの統領フィブル=ファブラ=フォンメルラードの要請により、ファブラで起こっている後継者同士による内戦に介入するかどうか…だ。」

と、シュバリテは議題を言う。

 シュバリテは、この情報を貰った時、シエルマスの諜報と謀略に、怖気ついてしまったものだ。

 シエルマスが優秀なのは理解していたが、ラウナンの手腕の良さと頭の良さにこいつだけは敵に回したくないと思ってしまうのだった。

 そして、今回の議題に関しては、内容には時間がかかるだろうが、議題を実行するかどうかすでに決まっている。

 敢えて、意見を聞くということによって、自分達の意思の確認をおこなっておく必要がある。ズレや溝というものが一番怖いのだから―…。

 「そんなものは決まっておるの~う。攻める、それのみだ。」

と、クロニードルが言う。

 「だな、こんなチャンスに介入しない馬鹿はいない。」

と、ディマンドが―…。

 「軍隊はすでに再編済みだ。グルゼンのところに所属していた元兵士どもの良い死に場所になるだろうなぁ~。介入しない選択肢はない。」

と、ファルケンシュタイロが。

 「私は、皆さまの意見に従うだけです。」

と、ラウナンが言う。

 ラウナンとしては、ここで、自らの意見を言う必要など存在しない。ファブラ侵攻は賛成であり、そうでなければ、あのような工作をおこなうはずがない。

 ここで重要になってくることは、会議録に残される可能性のある場であることだ。つまり、賛成を伺わせるような発言をした場合、後々問題になった場合、自らへと避難の矛先を向けられる可能性がある。それに対処するぐらいはいくらでも可能だ。方法が多数存在するのだから―…。

 シュバリテらに脅されて仕方なくとか―…、家族を人質にされたとか―…、など。

 だけど、この場合、どうやったとしてもシエルマスの統領としての力量が強くないということを示してしまうことになる。諜報および謀略機関であるシエルマスの統領である以上、ミラング共和国だけでなく、周辺諸国に対しても恐れられないといけない。そうすることで、シエルマスという組織の力は十分に発揮されるのだから―…。

 ラウナンはそう思っているし、そうでないといけないと考えている。使命感というものの感じで―…。

 ゆえに、言葉を濁すことで、責任を回避するのである。無責任、ここに極まれりである。時には必要なことであろうが―…。

 「そうか、わかった。では、議会で素早く議決して、ファブラ侵攻を開始する。」

と、シュバリテは宣言する。

 この言葉に、全員が頷く。

 いよいよ、待ちに待ったファブラ侵攻が幕を開けるのだから―…。

 その後、対外強硬派における五人の幹部による会議は終わり、ファブラ侵攻への最終準備を始めるのだった。


 三日後。

 ミラング共和国の議会。

 そこでは―…。

 「賛成全員、ということで、ファブラの統領フィブル=ファブラ=フォンメルラードの要請により、ファブラ国内における後継者候補たちによる内戦に介入することを決議する!!」

と、議長が採決を発表する。

 この議長は、賄賂などを好む人物であり、その金を大量に集めて、対外強硬派がピンチになった時は、ミラング共和国から逃亡しようと画策している。要は、自分のところに富が集まることを望んでいる。

 そして、議長は、今回も―…。

 (シュバリテは金払いが良い。シュバリアはあまり金を支払わなかったからなぁ~。クククククククク、私は政治家の名門の生まれで、お前らごときとは血が違うのだ。ピンチになったら逃げる権利があり、表だけではなく、裏においても力があるのだよ。シエルマスの統領だろうと私に従う。これが私の権威であり、権力。総統ごとき存在でも私に賄賂を贈らないといけないのだ。)

 賄賂が好きであり、買収できるので、賄賂が贈られているのだ。シュバリテから―…。

 必要経費だと思えば、シュバリテとて、この議長に賄賂を支払うことぐらい、何とも思わない。今は、勝っているのだから、対外強硬派には資金が集まってくるのだ。勝ち馬に乗る。自らが生き残るために―…。

 人という生き物が、完全にすべての物事を理解することができない存在であり、理解の量を増やし、完璧に近づけることしかできないし、自らという存在を失われる可能性を確実に避けることを好むせいであろう。そう、自らの流れがなくなりようにして、絶えることを恐れるのだから―…。権力者の多くは―…。

 そして、この議長は、賄賂を使い、票を操作はしていないが、対外強硬派の案件に賛成するようにして回ったのだから―…。ちゃんとシュバリテから貰った賄賂を使って―…。

 その後、いくつかの審議されていた議案の採決がおこなわれるのだった。


 その日の午後。

 ミラング共和国軍の本部拠点。

 ラルネの郊外の一等地に広く、敷設されており、軍事訓練から演習のさまざまがおこなうことができ、森もあり、工作のための訓練をおこなうことも可能である。シエルマスも時に使っていたりする。

 この本部拠点には、二万人ほどの軍人がおり、後はミラング共和国の各地にある駐屯地にいたりする。さらに、農民および貧民が軍人として、戦争の時、徴集されたりしている。

 まあ、軍人の職にない者たちは、ミラング共和国軍を補う存在でしかなく、良くて、後方での待機、悪くて囮の役割をさせられるのだ。

 ミラング共和国では、軍は国民の軍隊であり、誰もが平等に国を守るために戦わなければならないと謳っているが、現実は、貧しい者たちや力なき者たちがミラング共和国の権力者の駒として、使い捨てにされているにすぎない。口が悪い者はこのように思っていたりするし、一部では当たっているから完全に反論することはできない。

 それでも、反論するのが愚か者であるが―…。

 まあ、金持ちという生き物は自らの金と同時に人脈を使い、戦争に家族を送ることに反対する者が多かったりする。権力もそうだであろう。決して、全員ではないというのが正しく、そのような選択をする者がいるということだ。

 戦争が悲惨なことを知っているし、自らが愛している近縁者が戦争で亡くなることを恐れる。一方で、戦争によって得られる富だけは獲得したいと願う者もいるのだ。金持ちには―…。そこから得られる富によって、自分の富を倍増させたり、権力を強くしようとする。

 そういう意味では、軍人はまだ、自らの命をかけている分だけ、溜飲が下がるかもしれない。だが、そのように思っているのならば、間違っているの可能性もあり、戦争を望む軍人はいる。軍人は戦争で活躍しなければ、ただ飯ぐらいにしか思われないことだってあるのだから―…。

 軍人の中には、戦争で自らの名誉を指揮官としてだけで発揮し、戦場ではなく、安全な場所で、自分の名誉を手に入れようとする大馬鹿者もいる。まあ、こいつらの化けの皮というものはいつかは剥がれ落ちるしかないだろうが―…。そんなに人生、甘くはない。

 さて、話を戻し、ファルケンシュタイロは本部拠点に戻ってきて、ミラング共和国軍の上級将校を集めていた。

 「今日は集まっていただき感謝する。今日のミラング共和国の議決により、ファブラ国への救援が確定した。予定通りに事を進めてくれ。」

と、ファルケンシュタイロは言う。

 その言葉は、念願適ったファブラ侵攻である。

 ファルケンシュタイロの言葉に逆らう者はいない。

 上の命令は絶対なのだから―…、軍人にとっては―…。

 その後、数日にかけて、ファブラ侵攻のための軍隊の準備を進めるのだった。その準備は、予め計画されていたことなので、準備をする時間はそこまでかからなかった。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(76)~第二章 ファブラ侵攻(9)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


再開しましたぁ~。

『水晶』は番外編を只管進めていくだけです。ファブラ侵攻もここから本番という感じになってきました。

いろんな意味で、悲惨な末路を迎える人が多そうな気がします。

皆様、くれぐれも欲望に関しては、ほどほどにした方が良いということをこの話を書きながら思ってしまいます。

さて、最近の『水晶』の執筆状況は、少しだけ回復したのか、ストックを溜めることができました。まだ、ファブラ侵攻の内容を執筆しているのですが、エピローグみたいなところに到達しています。

第一章と同等ぐらいだと思ったら、長くなりそうです。そこまで文章量に差があるわけではないですが―…。

ということで、熱くなってきた今日この頃ですが、体調には気を付けてください。

試練多い日々が続くので、PV数とか、評価とか、ブックマークが増えることを祈りながら、『水晶』の番外編を完成させるべく、執筆の方を無理しない程度に頑張っていきます。

では―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ