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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
407/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(61)~第一章 勝利は時として毒となる(11)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、新たな騎士団長はフォルクスに確定するのだった。

 リースへと、リース王国軍が帰還して、一週間が経過する。

 ここは騎士団の本拠地。

 そこには、多くの騎士たちが集められていた。

 彼らは、これから新たな騎士団長に就任した人物の就任の挨拶がおこなわれるのだ。

 騎士団が、今回のリース王国とミラング共和国の戦争の結果、多くの者を亡くすことになったとしても、建て直し、進まないといけない。誰かの死を悲しんでいる暇はない。

 そして、集められた騎士たちの中で、新たに騎士団長に就任する者の挨拶が始まる。

 「新たな騎士団長として就任することになったフォルクスだ。リーウォルゲ団長の後を継ぎ、騎士団を守ろうと思う。どうか、力を貸してください。」

と、フォルクスが言う。

 フォルクスとしては、威厳を出しながら言うし、威厳がないと考える騎士たちはいない。

 そして、今回、騎士団を守ることに何とか成功したが、まだ、騎士団を再建できているわけではない以上、これからというものであることはわかっている。

 その中にいたランシュは、このように思っていた。

 (フォルクス副団長…いや、もう騎士団長がそう就任の挨拶をするのだった。ここまでにかなりの暗闘があったそうだ。リース王国の中央で権力を握っている奴らは、ミドールを推薦していたようだ。ミドールは天成獣の宿っている武器の扱い手であるが、フォルクス騎士団長よりも強いわけでもないし、人望があるわけではない。確か―…、メタグニキアとか言う宰相の推薦で入ったそうだ。俺のような存在を真似て、推薦とか―…。それでも俺は騎士見習いからであったし、ミドールは騎士からであった。なぜ、騎士団の反発―…、いや、あえて、騎士団を分裂させたかったのだろう。どうしようもない奴らだ。それでも、リーンウルネとか言う王妃が反対してくれたおかげで、フォルクス副団長が騎士団長に昇格するという結果になった。だけど、リース王国の中央で権力を握っている奴らは、フォルクス騎士団長の悪い噂を流すのではないかと思えるくらいだ。やりかねない。)

 だけど、ランシュの知っている情報は正確ではない。

 ミドールを推薦した最初の人物は、のちに、メタグニキアであるとラーンドル一派に関する情報に詳しい者が騎士団へと情報を流してことによて性格である。

 そして、ミドールが天成獣の宿っている武器を扱うことができるのは、騎士団の時代から知られており、騎士団から追放された時、その武器を回収する前にどこかへ行ったのかわからなくなったので、回収し損ねたことによって、騎士団の中の重役には知られていた。

 後、騎士団を分裂させたかったのだろうか、というのはランシュ自身の推測でしかないが、それでも、ある意味では当たっているのは確かであろう。両者の思惑の中になかったとしても、ミドールとフォルクスの二派に分かれて騎士団が分裂していた可能性は避けられない。

 そして、リーンウルネは、公式にはミドールの騎士団長就任に対して、反対していたわけではない。だけど、リーンウルネの心のうちはミドールの騎士団長就任に関しては、反対であった以上、ランシュの思っていることは外れではない。

 だけど、フォルクスの悪い噂を流そうとすることはないだろう。そんなことをすれば、リーンウルネおよび騎士団側から反撃されることが理解できるので、ハルギアが死ぬ物狂いで抑えていた。まあ、メタグニキアやブレグリアはやりたいと思っていただろうが―…。

 その後、フォルクスの騎士団長就任の挨拶が一分以内で終わると、騎士たちから拍手が起こるのだった。

 その理由は、フォルクスの話が早く終わったことと同時に、ランシュのようなことを思っていた騎士が多かったからである。

 そのなかで、ラウナウは、

 「あいつが―…、騎士団長かぁ~。まあ、これが妥当としか言えないだろう。騎士団の分裂は最小限に回避できそうだからなぁ~。」

と、堂々と言う。

 そして、同時に安心の表情をラウナウは浮かべる。

 ランシュもそのことに気づき、同時に、不安が完全に消えたとは思えないと、理解するのだった。

 「そうですか、騎士団が分裂するのは俺も好きではないですから―…。だけど―…、今回のアルデルダ領境での出来事は―…、騎士団にとって大きな痛手であったことには変わらないでしょうが―…。」

と、ランシュは言う。

 ランシュは、

 (この痛手はリースの中央で権力を握っている奴らにとっては好都合である。自らの権力をさらに強化することができるまたとないチャンスなのだから―…。だけど、リーンウルネが立ちはだかることができるような状態である以上、上手くいくのは難しいだろう。まだ、姿をほとんど見たことはないが、強い女性という感じのイメージがする。噂では、市中や国中を回っていたりするほどの行動派だ。その人物がしばらくの間、王城にいる以上、なかなかリース王国の中央で権力を握っている奴らは動きにくい。リーンウルネの監視の目があるのだから―…。)

と、心の中で思う。

 ランシュは、今回の交渉の中で、リーンウルネというリース王国の王妃が重要な働きをしたのだろうということを理解できるぐらいには、情報を収集することができる。

 そして、リーンウルネに関する一般的に言われている情報も知っている。

 そのリーンウルネが今、城の中にいる以上、ラーンドル一派も上手く動くことはできないだろう。ラーンドル一派にとってチャンスではあるが―…。

 「まあ、なくなってしまったものはしゃあない。だから、俺らは次を守るために、頑張っていくだけだ。」

と、ラウナウは言う。

 亡くなった人がこの世に復活することは有り得ない。

 この世界において、これが真実かどうかを判別することは難しいことでしかない。だって、実際に、死者が甦ることがなければ、この世に復活できるということも、その逆が成り立たないことの完全な証明はできないのだから―…。

 ラウナウは、死者が甦ることがないという人から常識と思われていることを当たり前だと思い、今の言葉を言い終えると、今日も訓練に向かって行くのであった。

 ランシュもそれについていく。

 ランシュ自身も自らが強くなりたいと思っている。今回のリース王国とミラング共和国の戦争の中で、グルゼンという人物に戦って敗北し、グルゼンよりも越えたいと思い―…。そうしなければ、レグニエドへと復讐を果たすことができないと、理解するのだった。

 そして、ランシュは話しかけられる。

 「ランシュ君、私も強くなりたいので、一緒に頑張りましょ。」

と、ヒルバスが言うと、

 「そうだな。」

と、ランシュは返事をする。

 ヒルバスとランシュは、ラウナウについていき、今日も訓練が始まる。

 騎士団は、今回のリース王国とミラング共和国で大きな犠牲を出した。だからこそ、その犠牲を減らし生き残るために、強くならないといけないことを各自は理解している。

 ゆえに、訓練に身を入れる。

 そして、上役の者たちは、騎士団を再建し、今まで以上の実力にする必要があると感じ、人材を探し始める。リース王国の騎士団に関しては、暫くの間、大きな変化はなく、静かに流れるのだった。人の移動はあるが―…。

 最後にフォルクスは、

 (リーウォルゲ団長。あなたが死んでしまったから、騎士団がラーンドル一派に都合が良くなったとか言わせません。)

と、思いながら、右手を強くに握るのだった。

 強くなろうと思い―…。


 そして、時がさらに一週間が過ぎる。

 場所は、ミラング共和国の首都ラルネ。

 そこには多くの者たちの声援が聞こえる。

 「勝利おめでとう!!!」

 「ミラング共和国よ永遠に!!!」

 「さすが、リース王国の野郎どもをぶっ倒してくれたぁ!!!」

 「うわああああああああああああああああああああああああああ、最高――――――――――――――!!!」

 このような声は、今回のミラング共和国とリース王国との戦争で、ミラング共和国が勝利したからだ。

 まあ、アルデルダ領をミラング共和国が獲得したのだから、当たり前のことだろう。

 そんななか、ある師団の兵士は一部はいなくなっていた。

 列をなしているミラング共和国軍の中頃にいる、今回のミラング共和国軍の総大将であるファルケンシュタイロは―…。

 (グルゼンの野郎は死んだとラウナンが言っていたが本当かぁ~。まあ、今は触らぬ神に祟りなし。ラウナンが言っていることを疑うべきではないな。それに、一部の兵士がいなくなっている以上―…。まあ、グルゼンの第二師団を処分として戦争の最前線に投入すれば良いか。グルゼンに従っていたことを恨むんだな!!)

と、心の中で思う。

 このように、ファルケンシュタイロはグルゼンが本当に死んだのか疑っている。なぜなら、グルゼンが指揮していた第二師団の兵士の一部が今回のミラング共和国とリース王国との戦争で、グルゼンがこの戦争をもってミラング共和国軍を辞めることがわかっていたので、始末しようとして、ラウナンからは始末に成功したと聞いているが、それでも、一部が抜けているところからその可能性は低いのではないかと思ったからだ。

 グルゼンがラウナンによって殺されていた場合、第二師団の多くの者が殺されるか、かなり落ち込んでおり、この世の絶望を感じていてもおかしくない。

 だけど、彼らは絶望していない。

 ゆえに、ラウナンの暗殺が実際に成功したのか疑問に感じるし、ラウナンはそのことに気づいていない。この遠征の帰途の中、ファルケンシュタイロはラウナンにグルゼンのことを話そうとしたが「グルゼン」という単語だけを聞いた時、まるで何かを拒絶するような反応を示した。だからこそ、ラウナンにとって危険だと感じ、理由を聞けず仕舞いとなってしまったのだ。

 そんな凱旋パレードの中、ファルケンシュタイロは勝利した総大将として、人々に手を振り、自らが勝利者であることを示す。パフォーマンスだ。こうやって、ファルケンシュタイロという将軍は、ミラング共和国の軍隊の中のトップであり、ファルケンシュタイロがいる限り、周辺諸国はミラング共和国を攻めればどういう結果になるかを示す。さらに、ミラング共和国の侵略に逆らうなということだ。

 (だが―…、ラルネの陥落はいくら俺の功績になったとしても―…。)

 そう、今回の戦争において総大将として勝者となりはしたが、アルデルダ領の首都ラルネを陥落させたのが、グルゼンなのだ。ファルケンシュタイロの功績と表向きはなっているが―…。

 軍隊の中では、このことに対して箝口令(かんこうれい)を敷いて、外に漏れる可能性を低くしているが、それでも、漏れない情報はこの世のどこにも存在しない。ゆえに、いずれは漏れてしまうだろう。

 そして、ファルケンシュタイロはそのことに関して、悔しい思いしかないし、リース王国を占領して、功績を本当の意味でも稼ぎたかった。それをラウナンによって阻止されたのだから―…。

 ラウナンに対する恨みがないと言えば嘘となるが、ラウナンに逆らって良いという結果にはならないことがわかっている。

 そして、この凱旋パレードは、数時間続くことになり、熱気はしばらくの間、冷めることはなかった。

番外編 ミラング共和国滅亡物語(62)~第一章 勝利は時として毒となる(12)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


では―…。

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