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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第1話-3 石化

第1話をなんとか終えることができました。

 ギーランは走り続けた。

 現実世界(この世界)において、まだ石化していない人がいるのかと考えながら―…。

 途中にいた、黒い生物みたいなものを剣で切り倒しながら―…。


 「チッ」


と、歯ぎしりをたてながら―…。


 「いちいち、同じ顔ばかりが現れやがって!!」


と、ギーランはイライラマックスのような状態だった。

 それもそのはずだ。

 黒い生物みたいなものは同じ顔、同じ色をしていて、そこそこ走れば、簡単に出会ってしまうぐらいだ。

 その黒い生物みたいなものは、つまり、切って切っても同じのが現れてくるということだ。

 ギーランは、思ったであろう。

 もう何度黒い生物みたいなもの(この生物)を切ったことか、と。

 だが、いっこうに黒い生物みたいなものが減っているとは感じられなかった。たとえ、ギーランのような戦いに対してそれなりの力や経験をもっているものでも、現実世界は天成獣の力(属性の力)を使ったとして、建物に被害でないとは限らない。

 むしろ、高確率でそれは起こる。今、天成獣の力を使用していないとしても、現実世界(この世界)への物的被害がでている。自分自身がおこなったのも含め―…。

 だから、現実世界(この世界)の住民の多くが気のせいぐらいの物的被害にとどめておかなければならない。


 (現実世界(この世界)が俺らの住む世界について、多く者に気づかれないように―…。そうしないと、現実世界が()()()()()()()()()()()()()()()()())


と、ギーランはそう思うが、すでに現実世界(この世界)で生まれた()()の人物がすでに巻き込まれていることは確かなことでしかない。

 「儂」と「私」の戦いに―…。

 ギーランはさらに、


 (あの三人には申し訳ないことをしたな。だが、一人、俺と同じ水晶を体に持っているのがいるとは。現実世界(この世界)にもいるのか。いや、それよりも今は―…)


と、ギーランは足を止め、目の前にいる黒い生物みたいものを二体見た。


 「ッ!!!」


と、顔をしかめながら―…。

 ギーランは、どうするかを考える。

 決断を下すために―…。


 「あ~。本当に損な役回りをしてしまったな~。おい。そこにいる石化生物!! テメーらはもう現実世界(この世界)からもう二度と出させない」


と、ギーランはその言葉を発しながら、決断を下した。

 この決断は、元々ギーランが黒い生物みたいなものを回収することができず、失敗したときに用意した魔術師ローの策であった。



 ◆◆◆



 現状は、完全にギーランの失敗であった。前日、ギーランは黒い生物みたいなものを源である黒い石みたいなものを回収した。だが、それは伸びた。果てしないほど伸びた。

 一回、ギーランは自らが生まれ育った世界に帰ったとき、ローによって指摘された。


 「それはもうただの石だ」


 「ッ!!! なんだと!!!」


と、ギーランは驚くしかなかった。

 完全に黒い石みたいなものはローの言われたとおりに網の中に入れたはずだった。


 「これは、儂のミスじゃ。儂がもっと強力に封印を施しておれば―…」


と、ローは悔しい表情をした。

 そして、


 「あやつめ~」


 と、歯ぎしりをたてながら―…。


 「こうなったら、最悪の事態を考えねばならないだろう。この黒き生物が、現実世界(この世界)にもし何かをしたなら、そして、現実世界(この世界)に被害がでるというのなら、ギーラン、お主に頼みたい。それは―…」


と、ローは告げた。

 最悪の事態の策をギーランに―…。



 ◆◆◆



 (ここは、俺の時間を止めることで、現実世界(この世界)の時間を止める。黒い生物みたいなもの(お前ら)ともどもな)


と、ギーランは覚悟し、ローが策とともにギーランに渡した一つの黒い玉を左手でとり、左手を上にあげ、言葉を放つ。


 「現われ、時を止めよ」


 そして、現実世界(せかい)の時間は止まった。

 黒い生物みたいなものも、ギーランの時間(とき)さえも停止した。

 ギーランは自らの時間停止していくなかで、思う。ギーラン自身の娘の一人が12年ほど前、生まれてからほどなくして行方不明になったことを―…。

 これは、ギーランやローらによって半年前にその首謀者を倒すことができた。しかし、娘は行方不明のまま見つからなかった。いや、探しようもなかった。首謀者はギーランの娘をどうしたのかは、彼に聞き出していた。でも、その結果絶望するしかなかった、ギーラン自身―…。

 その絶望は、ギーランの生まれた世界にはすでにギーランの娘はいなかったということだ。そうなると、ギーランではどうしようもできなかった。だけど、ローがギーランの生まれた世界の中にいる可能性があり、首謀者の方が嘘を付いた可能性もあることを言って、ギーランはそっちの確実にありそう希望に縋るのだった。

 つまり、ギーランに二人の娘がおり、長女は悲しむ母をみて自らの寂しい思いと自らの妹への恨みを、次女は生まれてすぐ行方不明となった。

 ギーランは、思う。

 もし、という希望を抱きながら―…、


 (もし、次女(かのじょ)が行方不明なっていなければ、今頃は彼女たちにように成長していたのかもしれない。それに、水晶を持っている子が実は私の娘であったならば―…)


と。

 現実世界は時間を停止し、ここでの物語はしばらく進むことはなく、話は異世界へとしばらくの間、移っていく。



 ◆◆◆



 異世界のある場所。

 この黒い石みたいなもの、あるいは黒い石みたいなものを現実世界に送った男はただ、椅子に座っていた。男は自らの右足を左足の上にのせていた。

 そして、男は知っていた。

 黒い生物みたいなものが現実世界で今どうなっているのか。男は石に自らの意思を伝えることと、命令を下す能力を付与していた。

 だから、可能だったのだ。黒い石みたいなものから黒い生物みたいなものをすべて出すことも。そして、その能力を黒い生物みたいなものに石から付け加えることもできた。

 男は、少し離れた場所に、男を見ている二人の人物に語りかける。


 「誰かが時を止めたみたいだ。どう思うかい。ランシュ、フェーナ」


と。

 ランシュと呼ばれる青年、だぶん20代前半ぐらいにみえる男は、


 「フン!! たいしたことじゃない。時を止めることなどベルグの計画の邪魔にもならん」


と、ベルグ、この黒い石みたいなものを現実世界へ送った男に対して、時間を止めることなど取るに足りないという思いで言った。

 ベルグはさらに付け加え、


 「ただし、現実世界(この世界)から僕たちの世界へと渡った人物がいるみたいだ。それも三人。渡らせたのは、あのローの近くにいる男だ」


と、ランシュとフェーナは驚き、「あの男が」と警戒した表情になる。


 「そうなると厄介だ。ギーラン(あいつ)はどうなった、ベルグ」


と、ランシュが尋ねると、ベルグは、


 「ギーラン(かれ)は自らを使って時間を止めたようだ。三人を僕たちの世界へと渡らせた後にね」


と、心の底では楽しそうな表情を少し顔にひょっこと出して言った。

 そう、どうなるか心から楽しみにしていた。

 ギーランというに近くにいるローという人物に―…。


 「なら、我々の世界へ渡った三人を追うべきではないか。もし、その三人がローに会ったとなると―…」


 「そうね。ローに会ったら、ローは必ずその三人を使って私たちの居場所を探らせるわ。ランシュの言う通り三人を追う方が得策ね。たとえ、三人だったとしてもローに会えば、私たちの計画を阻止するための策とともに私たちのところにやってきそうだわ」


と、ランシュの言葉を理解したのか、フェーナがベルグに対して三人を追うように進言する。


 「ふん! そうはさせないさ。たった()()では僕たちに勝つのは不可能さ」


と、ベルグは自信を最大限に滲ませながら―…。

 そう、ベルグは、自身の経験に基づいて、自らの計画は阻止されることはほとんどないということがないと考えていたからだ。

 だから、三人を追うための考えをすぐに言った。


 「ランシュ」


と、ベルグが言うと、「ハッ」とランシュが気を引き締めてベルグの言葉を聴く。


 「君には、ギーラン(あの男)によって僕たちの世界に渡った三人を追ってもらう。そのためにこれをあげるよ」


と、ベルグは手から黒い石みたいなものを現実世界におくったものと同じものをだす。

 そして、ランシュに手渡す。

 ベルグは言う。


 「その石にむかって念じてごらん。そうすれば、映像になってわかるから―…。後でちゃんと見てちょうだいね」


 「ハッ」


と言い、ランシュはベルグに尋ねた。


 「三人を追うのは俺が倒されるまでは一任されるということか? そうじゃなかったらどんな条件があるんだ」


と。

 ベルグは、


 「それは―…、君に任せることにするよ。最低限、時間稼ぎさえできればいいとするよ」


と、答えた。

 ランシュは、


 「時間稼ぎだけじゃねーんだろ。三人を殺しても構わんということだろ」


と、言うと、ベルグはただうなずいた。

 自らの首を縦に振って、ランシュの言葉を肯定するように―…。

 一方、フェーナはこのランシュとベルグのやり取りを(暇ねぇ~)、という思いで見ていた。


 「そうか、それなら安心してやってこれる。俺の自由になぁ~」


と、ランシュは言って、ここから出ていった。

 これからの任務のために―…。



 ◆◆◆



 ランシュが出ていった後、フェーナとベルグは二人の会話がおこなわれていた。

 

 「ランシュ(かれ)に一任したけど大丈夫なの? 自由にさせたら何をするか?」


と、フェーナは疑問を口にする。


 「大丈夫だ。むしろそっちのほうが時間稼ぎとして成り立ちそうだし」


と、ベルグはさらに、


 「僕はね、満たしたいんだよ。僕の好奇心を。そして、今回の実験に成功すれば、僕はなるよ。創造主に。そして、君たちの願望をすべて叶えるんだよ。ランシュ君は望みを叶えたけど、生き返るのなら、それを望むかもしれない」


と、自らの好奇心という欲望を、そして、それが誰もが満たされる世界を―…。

 そう、絶対に叶うことのない矛盾した願望を自らに、そして、無意識に抱いて―…。



 ◆◆◆



 とある場所。

 ギーランが生まれ育った世界。

 ベルグたちがいる世界。

 魔法陣のようなものが出現する。

 それは、瑠璃、李章、礼奈を異世界(この世界)へと送るという目的ためだけのものであった。そして、役目を果たした魔法陣みたいなものは徐々に消えていった。

 瑠璃、李章、礼奈は見上げる。

 そこは、一面木々で覆われており、目の前には大きな湖があった。

 この湖は、誰もが美しいと言うような、奥に見える緑とした山と森の景色と相まって、誰もの心をこの湖、森、山の一体となった風景に見とれさせ、言葉を失い、時間を忘れさせる。

 そう、三人も一時的であったにせよ、そうなったのだ。

 ふと、気づく。


 「ここは……どこ?」


と、瑠璃はふと、自分がどこに飛ばされたのかを考え始める。

 また、ここがどこなのかについても考える。

 李章にしても、瑠璃と同じように考える。顔を真剣で、切迫したような表情を表にして―…。

 礼奈も、この場所がどこなのかについて、何か情報がないかについて考え、あたりを見回した。頭を横にキョロキョロさせながら―…。


 「初めましてかの~う」


と、年を召されたような一人の女性の声が聞こえる。

 瑠璃、李章、礼奈の後ろから―…。

 だから、三人は振り返る。

 そこには一人の年を召された女性がいた。彼女は、顔にはシワがあるが、あまり表情は怖く近寄りがたいものではなく、瞳の中には優しさを思わせる意思を感じた。彼女は黒いマントを羽織っており、杖を片手でつきながら、瑠璃、李章、礼奈の前へと歩いて来ていた。

 女性は、現実世界ではアニメ、漫画、ゲーム、童話にでも登場してきそうな魔女の姿を思わせた。


 「お主らか、ギーランによって、異世界(この世界)へ来たのは―…。儂の名は魔術師ローじゃ」


と、ローは自らの名を瑠璃、李章、礼奈に対して名乗った。

 瑠璃たちは思い出す。黒い生物みたいなものから逃げているときに助けてくれていた人物の言葉を、



 ―それに、俺の生まれた世界へ送った後、お前たちのもとへ魔術師ローが現れる。そいつから、いろいろ聞くといい。あのばーさんなら知っているだろう。このすべての出来事がどうして起こったのか―



と、思い出した。

 そして、瑠璃が尋ねる。


 「あなたなら、人が石化した原因を知っているのですか」


 「知っているとは語弊がある。儂は石化のすべてを知っているわけではない。だが、それを行った可能性のある奴を知っている。そいつの名は―…、ベルグという。そいつに聞き出すしかないだろう。石化を解く方法を―…」


と、瑠璃に対する質問に対して、ローは落ち着いた声で答える。

 決して現実世界から来た三人に対して、嘘と偽りを自分が知っている範囲でないということを考えながら―…。

 続けてローは、


 「だが、今のお主たちではベルグのところへ行ったとしても、何もできやしない。(この)世界での戦い方も、(この)世界についても何も知らないじゃろう。だから、教えなければならない―」


と、言いかけたところで一つの風が瑠璃、李章、礼奈に目掛けて放たれた。

 それに気づいたローは、展開した。水晶を―…。



 ◆◆◆



 数秒後。

 水晶から展開したバリアによって、風の攻撃を防ぎ、風は止む。

 ローは辺りを見回し、瑠璃、李章、礼奈もローを真似るように辺りを見回す。

 そして、風を放った人物を見つけ、その人物も、自らの存在に気づいたことを理解する。

 瑠璃、李章、礼奈に目掛けて風を放った人物は言う。


 「お前たちみたいだな~。ランシュ様が仰っていた三人組は―…」


と。

 そして、瑠璃、李章、礼奈にその人物は狙いを定める。


 【第1話 Fin】




 

次回、ランシュが放った刺客の実力は―。

誤字・脱字があれば、気づく範囲で修正していきたいと思います。


2022年10月8日 以下を修正および加筆。

①「切って切っても同じのが現れるぐらいだ」を「切って切っても同じのが現れてくるということだ」に修正。

②「巻き込まれることになるだろう」を「すでに巻き込まれていることは確かなことでしかない」に修正。

③「俺と同じ水晶を体にもっているのがいるとは」を「俺と同じ水晶を体に持っているのがいるとは」に修正。

④「ギーランは足をとめ」を「ギーランは足を止め」に修正。

⑤「ギーランやローらによって12年前にその首謀者を倒すことができた」を「ギーランやローらによって半年前にその首謀者を倒すことができた」に修正。後の話で、ローとギーランは、ギーランの娘を連れ去った組織に襲撃をかけて倒すのが半年前となっており、それを採用。完全なミスです。すみません。

⑥「その絶望は彼をより自らの家族を遠ざけるようにした。娘の少し年上の実の姉が寂しい思いをするほどには」を「その絶望は、ギーランの生まれた世界にはすでにギーランの娘はいなかったということだ。そうなると、ギーランではどうしようもできなかった。だけど、ローがギーランの生まれた世界の中にいる可能性があり、首謀者の方が嘘を付いた可能性もあることを言って、ギーランはそっちの確実にありそう希望に縋るのだった」に修正および加筆。いろいろ前の分に矛盾が発生してしまいました。後の話で、ギーランの娘が行方不明になって以後、ギーランがなかなか家に帰らなかったためです。

⑦「あるいは黒い石みたいなものを現実世界におくった男はただ」を「あるいは黒い石みたいなものを現実世界に送った男はただ」に修正。

⑧「時間を止めることなど取るに足りないという思いでいった」を「時間を止めることなど取るに足りないという思いで言った」に修正。

⑨「どうなるか心か楽しみにしていた」を「どうなるか心から楽しみにしていた」に修正。

⑩「我々の世界へ渡した三人を追うべきではないか」を「我々の世界へ渡った三人を追うべきではないか」に修正。

⑪「ランシュの言う通り三人を追うほうが得策ね」を「ランシュの言う通り三人を追う方が得策ね」に修正。

⑫「これを持ってていってくれ」を「これをあげるよ」に修正。

⑬「そして、君たちの願望をすべて叶えるんだよ」の後に「ランシュ君は望みを叶えたけど、生き返るのなら、それを望むかもしれない」を加筆。

⑭「瑠璃、李章、礼奈に目掛けて風を放った人物は言う」の前に

「数秒後。

 水晶から展開したバリアによって、風の攻撃を防ぎ、風は止む。

 ローは辺りを見回し、瑠璃、李章、礼奈もローを真似るように辺りを見回す。

 そして、風を放った人物を見つけ、その人物も、自らの存在に気づいたことを理解する。」を加筆。

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