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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第26話-1 反射鏡

今回も、分割します。理由は、予定していなかったランシュとヒルバスが登場したためです。

前回まで、竜が出現した。それに対して、アンバイドは、「反射鏡」を展開しようとしていたのであった。

 竜の目の前に、何かが展開されていた。

 それは、何なのか竜にはわからない。

 ただ、言えるのは、アンバイドが何かをしようとしていることぐらいである。

 アンバイドを直接攻撃しようとして、再度を口を開き、球体状のものを形成する。そして、それを徐々に時間をかけて大きくしていた。

 (やっぱり、直接を俺を狙ってくるか。まあ、挑発したのは俺だし、そうはなるか…。しかし、次の闇の竜(お前)の攻撃が決着の時だ。)

と、アンバイドは確信しながら言う。


 アンバイドの真上で展開されようとしているものを、瑠璃、李章、礼奈、クローナは眺めていた。

 すでに、クローナから話しかけられていた話しは終わっていた。

 (クローナさんが、ローさんの言っていた協力者…。これから、クローナさんとともにリースへと向かうのか? 大丈夫かなぁ~…。私とそんなに歳は変わらないのに~…。って、それよりも、あの(ドラゴン)を何とかしないと…。それに…、アンバイドさんが狙われているし…。真上には何かできようとしているし…。)

と、瑠璃が心の中で言う。どのようにして、対処していいか瑠璃、李章、礼奈もわかっていなかった。ただし、迂闊に動けば、状態が悪化するのだけは何となくわかっていた。特に、李章は、自分たちが動くことが危険であるのを、水晶の能力を使ってわかっていた。

 クローナは、

 (動くべきではない…。そうね、闇の(この)竜の強さは、異常ってほどの近い。まとも相手をすればろくなことにならない。)

と、心の中で呟く。


 そして、時間は経過し、竜の口の球状のものの十分な大きさとなっていた。

 アンバイドのほうも、展開した武器が完全な形で現れた。

 「反射鏡」

と、アンバイドは言う。

 そして、闇の竜と同じ大きさの空中に浮かぶ鏡が出現する。

 この鏡は、円状のもので、上には、円からはみ出るように、龍のような紋様が描かれており、龍の文様は、上の部分で、龍の顔から首のあたりまでのみが描いてあったのみである。

 「闇の竜(お前)は、ここで俺の()()()によって倒される。」

と、アンバイドは確信めいたことを言った。

 その言葉に闇の竜は、舐めている態度を感じ、アンバイドの言葉に乗って、反射鏡に向かって、球状のものを放った。


 【第26話 反射鏡】


 リース近郊。

 ある建物、館の中にランシュがいた。

 ランシュは連絡を受ける。

 「例の準備ができました。」

と、ランシュの腹心であるヒルバスがランシュに連絡する。

 「そうか…、よくやってくれた、ヒルバス。」

と、ランシュはベルグから受けた命令である瑠璃、李章、礼奈の三人組を追う(ベルグ自身は時間稼ぎができればそれでいい)のため、いや、討伐のための準備を整えてくれたことに感謝した。

 「なら、()()()を渡さないといけないなぁ~。」

と、ランシュは言った。

 そして、ランシュは、ベルグからもらっていた物の一つを起動させる。それは、フードを被った一人の人物につけられていた映像を送るものがある位置へと―…。


 ルーゼル=ロッヘの町中。

 多くの人々は見ていた。

 「なんだ…、あれは……。鏡?」

と、誰かが言う。そう、ルーゼル=ロッヘからでも見えていたのだ。アンバイドが展開した反射鏡の姿が―…。

 「大きな鏡が浮いてる~。」

と、ルーゼル=ロッヘに住む小さな子どもが言う。その子どもは、ちょうど6歳になり、男の子であった。そして、指を指しながら、自らの母親に対して、すごいものを僕は発見したんだ的な大喜びを言葉の中にあらわしていた。

 「鏡が浮くわけがありません。何を馬鹿なことを言っているの? はやく寝なさい。」

と、子どもの母親は、自分の息子があまりにも現実にはありえないことを言っているので、

 (どうせ、ルーゼル=ロッヘ(この町)の建物を見て、鏡とでも勘違いしたのでしょう。)

と、思い、息子のいる窓の方へと向かっていった。

 「本当に、ホントだって!!」

と、子どもは大きな声で言う。それは、自分が本当に鏡が浮いているのを見ているのに、自分の母親が自分のことを嘘つき呼ばわりするので、自分のことを信じてよという意味が強く込めていたのである。

 子どもの母親が自らの子どものいる窓に着くと、

 「…………。」

と、言葉にできなかった。そう、目の前で鏡が本当に浮いていたのだ。

 「僕の言った通りでしょ。」

と、子どもは言う。それも、本当だったんだよ、これから僕を嘘つき呼ばわりしないでほしいなあ~、という気持ちを含めてである。

 「ええ、そうね…、ナグナの言う通りだったわ。」

と、鏡の存在に唖然としながらナグナの母親は、答える。

 この日、ルーゼル=ロッヘでは、大きな竜とそれを浮く鏡に目を奪われる人々は数多くいた。


 アンバイドとフードを被った一人の人物がいる。

 そこは、ルーゼル=ロッヘの近郊にある森林が開けている場所。

 闇の竜は、反射鏡に向けて黒い球状のものを放った。それは、夜の色に重なって、実際に放たれたのがわかるものではなかった。そう、アンバイドとしても放たれたのかを判断するのは難しいものであった。

 しかし、放ったということを少しの時間が経てばわかるものであった。そう、闇の竜が球状のものを放つときに、自らの顔を上から下へと動かしたからだ。

 闇の竜が放った球状ものは、アンバイドの展開した反射鏡へと向かっていった。

 そして、ほんの数秒で球状のものは、反射鏡のある場所へ接近した。

 そうして、球状のものは、反射鏡の鏡のようなものを割ることはできなかった。

 その状況を、瑠璃、李章、礼奈、クローナはただただ見つめていた。

 これが、アンバイドという人物の実力なのか、ということを―。

 ここで捕捉するが、反射鏡は、アンバイドの本当の実力の一部分でしかない。アンバイドは、本当の意味で自らの持っている武器全てを使って戦ってなどはいない。これまで、瑠璃、李章、礼奈が見たアンバイドという人物の戦い方は、強いと思えるが、自分たちよりも経験以外の面ではそんなに差はないと思っていた。本当にアンバイドが本気ですべての武器を用いての戦闘となったならば、間違いなく、今現時点での瑠璃、李章、礼奈、クローナはほんの数秒で戦闘不能になっていたであろう。それほどに、アンバイドは天成獣での戦い方、経験すべてにおいて、瑠璃、李章、礼奈、クローナを圧倒的に上回っているのだ。対抗できるのは、()()()()()()()()()などのほんの一部の人物しかいない。もちろん、ここに、闇の竜や、フードを被った一人の人物は、アンバイドに対抗できる人物に該当しない。


 反射鏡は、球状のようなものの攻撃に接する。

 球状ものは、反射鏡を砕こうとするが、それはできなかった。

 むしろ、反射鏡は、闇の竜から放たれた球状のものを鏡の中へ吸収していった。

 そう、鏡の中に世界があるのではないかと思わせるように入っていった。

 そして、球状のものは、鏡の中へと消えていった。


 アンバイドは、反射鏡が闇の竜の放った球状ものを鏡の中へ入っていくのを眺めていた。

 そして、球状のものが完全に鏡の中に入っていったのを確認した。

 次にどうするのかがわかりきっているアンバイドは、

 「反射せよ(はねかえせ)

と、言う。

 そうすると、反射鏡の鏡の中から放たれる。そう、黒い球状のものが持っていた攻撃のエネルギー全てを、反射鏡のカウンター攻撃に―…。それは、闇の竜に向かって―…。

 闇の竜は、自らに反射鏡の攻撃が向かっていたのはわかっていた。

 わかっていたのだ。()()()()()()()()―…。

 ゆえに、反射鏡の放たれた攻撃に気づいたとき、闇の竜は、反撃するための時間は存在していなかった。すでに、反射鏡の攻撃の先端は、闇の竜のほんの1メートルもないところまで来ていたのだ。

 そして、1秒も時間が経過しない時間が経ち、闇の竜は反射鏡の攻撃に飲み込まれた。

 その中で、闇の竜自らの姿が跡形もなく、なくなっていった。


 そして、数十秒が経過したのち、反射鏡によって放たれたカウンター攻撃も止んだ。

 上空にあるのは、結局、フードを被った一人の人物が展開した闇の竜でなく、アンバイドが展開した反射鏡であった。

 その結果は、当然のものであった。そう、アンバイドがフードを被った一人の人物に完全に勝利したのである。

 (召喚獣つきは―…、厄介だ。でかいモンスターはでるし、一撃の攻撃は強いし…。まあ、勝ったらことだからこれで良しとするか。それに、フードを被った人物(あいつ)には、聞かないといけないことがあるし。)

と、アンバイドは、フードを被った一人の人物との戦いが厄介なものであったと思った。そして、フードを被った一人の人物から聞きたいことがあり、歩き出す。

 (あの黒いフード、俺が今日行った、ルーゼル=ロッヘの情報屋にいた奴だな。)

と、アンバイドは、フードを被った一人の人物が今日、情報屋にいた人物であることを思い出す。

 (このフードの中の顔を拝見させてもらおう。もし、ベルグの関係者ならば、聞けるかもしれない…。奴の居場所を―…。)

と、アンバイドはフードを被った一人の人物からベルグの居場所を聞こうとしていた。そう、己の目的のために―…。あくまでも、ベルグとの関係があることを確かめてではあるが―…、アンバイドは思っていた。

 それを、眺めるのは、瑠璃、李章、礼奈、クローナであった。

 アンバイドは、少しずつフードを被った一人の人物へと近づいていく。

 しかし、アンバイドがフードを被った一人の人物に到着することはなかった。

 ボン、という音がなる。

 「「「「「!!」」」」」

と、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、アンバイドはその音に驚き、辺りに対して緊張感を高めた。

 そして、フードを被った一人の人物の近くで、黒い渦のようなものが出現していた。その出現から人が最大で3人くらいがやっと通れるほどの大きさと幅があるのを形成していった。それも数秒で―…。

 アンバイドはその黒い渦を警戒して、少し距離をとる。

 (なんだ…。黒い(あの)渦―…。)

と、アンバイドは心の中で呟く。

 一人だけ気づく。その渦の中にある、とてつもない実力の持ち主が二人いることを―…。

 「全員、近づかないでください!!! あの中にいるのは、さっきのドラゴンとは格が違います!!!! たぶん、アンバイドさんでしか倒せません!!!!!」

と、李章が言う。緑の水晶が告げたのだ。自らに迫っている危機を―…。戦ってはならない相手である、と。戦わなければ確実に、ここにいる、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、アンバイドの命が助かるということを―…。

 それがわかっている李章は、

 「戦闘にならなければ、今のところは助かります。」

と、瑠璃、礼奈、クローナに聞こえるぐらいの声で言う。

 そして、瑠璃、礼奈、クローナは、頷き、今いる位置から動くことはしなかった。


 黒い渦は、ただそこに存在していた。

 そして、人の足が出現する。

 それは、人の足だけというのではなく、人の手…、最後にその人としての体すべてである。

 つまり、黒い渦から一人の人物が現れたのである。

 一人の人物は、ヒルバスであった。

 (さて、どこだ。あいつは―…。)

と、辺りを見回して探す。フードを被った一人の人物を―…。

 (そこか。)

と、フードを被った一人の人物を発見する。

 その状況を、瑠璃、李章、礼奈、クローナは、ただ見ることしかできなかった。それは、ヒルバスが自ら四人が束になって攻撃したとしても、敵う相手ではないからだと、わかったからだ。そう、格が違いすぎるのだ…。

 一方で、アンバイドは、

 (あいつ―…、俺が本気を出せば、倒せるが―…、闇の竜(あれ)との戦いの後ではかなりきついしなぁ~。)

と、思う。ゆえに、アンバイドはヒルバスとの戦闘を避けようとした。できる限りではあるが―…。

 ヒルバスは、フードを被った一人の人物へと近づき、フードを被った一人の人物のフードの一部を掴むと、黒い渦の中に放り込んだのである。

 「ヨッ、と。」

と、言いながら。

 フードを被った一人の人物は、黒い渦の中へと飲み込まれていった。そこで、

 「()って!! ヒルバス、何投げ込んでやがるんだよ―。俺への当てつけか。」

と、黒い渦の中から一人の人物の声がした。

 「いえ、ランシュ様。気絶した方を素早く回収するには、渦の中に投げ込むのが一番なんで―…。それに、カッコつけて登場したとしても、英雄や勇者の扱いなどはなく、ただの悪役にしかなりませんので…。むしろ、カッコ悪い悪役の方が相手にとっても良い印象を与えるのではないかという部下の、上司のことを考えた演出です、非常に忖度した。」

と、ヒルバスは言う。そのときの声には、感情をまったく感じさせるものではなかった。

 「そんな気遣いはいらねぇ~。ッたく~、カッコつけても意味ねぇ~か。」

と、ランシュは少し機嫌悪そうに言い、黒い渦の中から現れるのである。

 ランシュは、辺りを見回した。そして、瑠璃、李章、礼奈、クローナのいる方向を向く。

 「君たちの方としては、はじめましてか。俺の名はランシュ。」

と、ランシュは自らの名を名乗るのであった。


第26話-2 反射鏡に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


ルーゼル=ロッヘがあともうちょっとで終わります。そして、長いリースの章に入っていきます。

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