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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
381/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(35)~序章 アルデルダ領獲得戦(35)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


『水晶』、今日で、投稿を開始してから3年になります。4年目に突入します。

ということで、PV数とユニークに関して、見ていくことにします。

PV数(2022年2月14日~2023年2月13日)の増加数:22449

(総計(2020年2月14日~2023年2月13日)は38953)


ユニーク(2022年2月13日~2023年2月12日)の増加数:4684

(総計(2020年2月14日~2023年2月12日)は10449)


見た感じ、PV数は2周年の時よりも増えていますが、上がり調子に関しては、弱くなっている感じがします。

逆に、ユニーク数の増加が減少してしまいました。二カ月ほどの休みがあったのが原因でしょう。増加数にあける減少幅も小さいので、気にしてもしょうがないという感じです。

ということで、3年目の結果の報告でした。


前回までの『水晶』のあらすじは、ランシュ、ヒルバス、ニナエルマ、ラウナウは、ミラング共和国軍の騎馬隊に襲われそうになるが、ランシュとヒルバスの二人によって、見事に対処し、撃破することに成功するのだった。

 沈む。

 赤は黒の中に―…。

 夜という黒はまるで、すべてを飲み込むブラックホールのようだ。

 色は黒以外許されることなく―…。

 そして、ランシュは、心の中で―…。

 (そこは、黒一色。黒だというが、そこに沈められているのは、人と馬と植物だ。そこに光が差せば、たちまちに人と馬の姿を現わし、動かないだろう。動くのは流れる、赤―…、そう、血だ。動くのことのできない人と馬は、ランシュとヒルバスの攻撃によって、そのようにさせられたのだ。彼らが自らの意識を持ったうえでこの世界を視界にすることはないだろう。二度とだ。もしも、三人称で書いたなら、このような文章になるだろうと今になって思ってしまう。こんな時に、そんなことを考えている暇なんてなかったのだが―…。あったら、どんだけ油断しているのかと思ってしまうが―…。)

と、思っていたりする。

 この間に、ランシュが油断することもなく、警戒はしっかりとしていた。油断イコール自らの生の終わりへと確実に近づけることになるだけのだから―…。可能性として―…。

 そして、ランシュは、この場を上手く表現できているようであるが、それでも、このようなことを思っている暇などない。今は、戦場であり、戦いがおこなわれているのだから―…。

 そこにあるのは、無数な死体だ。

 それを作ったのは、ヒルバスとランシュであり、先頭を走っていたとされる兵士と馬以外は、すべてランシュであるが―…。

 そして、襲ってきたミラング共和国の兵士は、松明を掲げていたので、ランシュによって斬られたけど、その時に消されることのなかった火が地面に落下して、明かりのような役割を果たしている。それは、木や草などに落ちれば、返って、燃え広がってしまう。

 だから、ランシュは、そのことに気づき、天成獣の宿っている武器から水を発生させて、消化するのだった。

 もし、燃え広がるようなことになってしまえば、ここに、自分達がいるということをミラング共和国に知らせてしまうからだ。そのことにランシュが気づかないはずがない。

 そして、ランシュは、あることを理解しているし、改めて気づく。

 「初めて人を殺すことになるとはなぁ~。感触が残るが、それでも、そうしないと俺らの方が殺されていた。」

 そのランシュの言葉は、少しだけ自らを感傷的にさせていくのだった。ランシュとて、人を殺すことを好む人間ではないし、戦争なんて起きない方が良いに決まっている。

 だけど、ランシュは分かっている。復讐を果たすということは、復讐対象を殺すということを選択肢から外すことはできないのだ。その復讐相手は二人ほどいるが―…。

 「そうですね。まあ、お互いが死ぬ覚悟はできています。なぜなら、ミラング共和国軍の兵士もそれを理解したうえで―…、でも、無理矢理、強制的に戦わされている人もいるとなると、悲しくはなりますが、これは私たちが殺されないようにするためには、仕方のないことです。正当化かする気はありませんが―…。」

と、ランシュの言葉に反応してヒルバスが言う。

 ヒルバスとしては、人を殺すことが良いという思いを抱いているわけではない。そんなことを思えるのは、殺人鬼か、自らの殺人を正解とする行為だと理解する、愚か者でしかない。言葉ではなく、心の中でどう思っているかが重要だ。

 それでも、必要とあれば、ヒルバスとして、騎士である以上、人を殺さないといけないことがあるという認識ではあるが―…。

 そう、戦争における兵士とは、敵という人々を殺すことが目的であり、それをなすことを主体とされる者である。

 敵を殺すことに素直に喜べる人間は、本当の意味で、他者に対して、自らの目的のための道具でしかないと思っているからであろう。それに、自らが戦場にいかないし、自らが死ぬことがないと思っている奴らでしかない。自らは安全でぬくぬくと過ごして、高笑いを繰り返しているだけの哀れな者だ。

 彼らは、決して、社会にも世界にも得を及ぼすどころか、自らを縛り上げる結果しかもたらさない。自らが喜んで生の終わりを実現する未来が待つだけだ。そう、生の終わりだと自覚できずに―…。

 世界は、競争だけでなく、協調も必要とされているのだから―…。

 この世界は、物語のように、戦いに美学など存在しないと言っても良い。あるのは、人間の喜怒哀楽の少なくとも一つが現れるものでしかないのだから―…。

 「ランシュにヒルバス。まあ、これだけの数を倒すとは―…。天成獣の力というのは恐ろしいものだ。」

と、ラウナウは言う。

 ヒルバスとランシュの会話の後半あたりから、ラウナウも二人に合流するのだった。ニナエルマとともに―…。

 「だけど―…、その天成獣の力で救われたのも事実だ。ランシュとヒルバスがいてくれなかったら、俺らは命がなかったのは事実だ。感謝する。」

 ニナエルマは頭を下げるのだった。

 さて、少しだけ、ラウナウとニナエルマの思ったことに対して、見ていく。

 ラウナウは、天成獣の宿っている武器、つまり、天成獣に選ばれることがなかったので、このように天成獣の宿っている武器を扱う者がどういう戦いをするのか、それによる戦果はどのようなものになるのか、判断する機会があまりなかった。

 ゆえに、天成獣の力というものがどれくらいかを完全に判断することができなかった。だからこそ、ランシュの攻撃の威力を見て、かなり驚くと同時に、自分に振りかかることを恐れるのだった。

 ニナエルマもラウナウと同じような感想を持ってもいたが、同時に、ランシュとヒルバスが天成獣の宿っている武器でここまで、圧倒的にミラング共和国軍の兵を殺したのだから、自分達だけでは、このようにいかなかったであろうし、自分達の命もここで終わっていただろうということを理解するのだった。

 相手は馬に乗って攻めてきていた以上、対処はかなり難しいものであることに間違いはない。

 そして、ニナエルマの言葉に、

 (礼儀正しい人だ。)

と、ランシュは、心の中で思うのだった。

 「いえいえ、こちらは迫っている敵に対処しただけですから―…。それにしても、ミラング共和国軍が何でこちらへと―…。」

 ヒルバスは言う。

 ヒルバスとしては、そこまで感謝されることではなく、かつ、ほとんどの功績は、ランシュのものなのだから―…。

 そして、同時に、そのような感謝の時間を聞くほどの時間すらないということを理解していた。

 そう、どうしてミラング共和国軍がリース王国の騎士団を攻めてきたということだ。これが、最重要な問題だ。まさに、理解し、対処しないといけないことなのだから―…。理由を知るのと、知らないとでは、捉え方が異なってくるものだ。

 そして、ニナエルマという人が、賢く、情報を大量に持っていることをヒルバスは知っている。ニナエルマの推測の領域を出ることはないが、より正確に情報を知れるという面では、大事だとヒルバスは判断している。

 ただし、その原因を探ろうとも、ミラング共和国軍のこの場にいる兵士は、ランシュとヒルバスによって、見事に斬られたり、撃たれたりしており、聞き出すことはできない。

 (ランシュ様、少しぐらいは生かしておいてください。)

と、ヒルバスは心の中で思うのだった。

 と、その時―…。

 「まさか…、天成獣を―…。」

と、いう声が聞こえる。

 この声は、ランシュとも、ヒルバスとも、ラウナウとも、ニナエルマとも違う声だった。

 つまり、敵が、ランシュとヒルバスのさっきの戦闘に気づいたのではないか。そのように、思っていたとしても仕方ない。なぜなら、ここは戦場であり、さっき、戦闘がおこなわれたのだから―…。

 ランシュは、すぐに、声のした方に視線を向ける。その時、自らの天成獣の宿っている武器から借りている力の量を解除することはなく―…。それほどに、警戒をしているということだ。対処は可能な状態だ。

 そして、そこには、さっき、ランシュ、ヒルバス、ラウナウ、ニナエルマの方へと向かって来ていた、ミラング共和国の兵士と同じ格好だと思われる一人の兵士がいた。

 その一人の兵士は気づく。

 「!!!」

 そう、ランシュ、ヒルバス、ラウナウ、ニナエルマに気づかれたことだ。

 それは、ミラング共和国の敵国であるリース王国の騎士であることに―…。

 そして、馬に乗っていた味方の兵士がやられたことに気づいており、目の前にいる、四人が危険人物であることを理解する。

 自分、一人ではどうしようもできるはずがない。

 「さて、どうして、攻めてきたのか話してもらおうか。」

と、ランシュは言う。

 ランシュ、ヒルバス、ラウナウ、ニナエルマにとっては、飛んで火にいる夏の虫のごとく、都合が良い存在であった。知りたいのだ。

 (さて、彼は―…、馬に乗っていない以上、そこまで偉い階級の人物ではないが、それでも、ないよりかはまし。)

と、ニナエルマは心の中で思うのだった。

 (………………………………………………………………………こんな奴らに勝てるかよ!!)

と、心の中で思った一人の兵士は、逃げ始めるのだった。

 素早く隠れながら―…。

 それが意味をなすことではない。

 というか、気づかれた時点で、この兵士のこの世界における未来は詰まれたことになる。

 だって、実力差がありすぎる。

 ランシュは、すぐに、その一人の兵士を捕まえ、兵士の首根っこを掴むのだった。

 (こいつからちゃんと聞いておく必要がある。)

と、ランシュは心の中で思いながら―…。


 一方、リース王国の騎士団の本陣では―…。

 リーウォルゲが―…。

 「どうなっている!!!」

と、怒りの感情を露わにしていた。

 そして、報告してきたものは完全にリーウォルゲに対して、怯え切っていた。なぜなら、この報告してきた者は、リース王国の騎士の中で、ミラング共和国第四師団に攻め込んだ騎士の一人であったからだ。

 この人物は、食糧事情が悪化していくなかで、同僚から誘われて、アールトンが仕掛けた罠に嵌り、ミラング共和国の軍に攻めることを王国からの命令だと思った一人なのだ。

 結果として、手痛い敗北を被ることになり、命からがら、リース王国の騎士団の本陣へと戻ってきたのだ。

 そして、リーウォルゲに問い詰められている。まさに、そんな感じだ。

 「え~と、これは王国からの指令でして―…。」

と、申し訳なさそうに言うが、王国の命令であったことは確実だ。

 そう自信を持って言うことができる。生き残っている他の者も同様のことを言うだろう。そう、一人の兵士は思うのだった。思わないわけがない。

 まあ、この一人の兵士を騙すためにおこなっていれば、思っている結末になることはない。

 だけど、そのような者たちはいない。

 だけど、それを命じた者は、リーウォルゲのいる場に現れることはない。

 (王国の指令―…。完全にリース王国の騎士団を潰しにきているというわけか。こんな時に!!! 本当に、自分達の私益のみしか考えられないのか!!! 国も住民もあいつらの私益のための道具だって言うのか!!! ふざけるな!!!)

と、リーウォルゲは心の中で理解し、激昂する。

 ふざけるな!!! そりゃそうだろ。一部の者たちだけのために、多くの人々の利益を損なうことがあっても問題ないと思っているのだ。自分の利益を最大化するのなら―…。

 それがどのような最悪の未来を引き寄せるのか、そのことを理解できないのか、と、リーウォルゲは心の中で纏めそうな感じだ。

 利益を最大化するという行為を完全に否定することはできないが、それでも、そのような行動を自分以外の存在に自らの利益の最大化のための道具にして、貶めて良いということにはならない。というか、そのようなことをすれば、最後は、自らに跳ね返ってくることは確かなことだ。

 だって、人は、自らの利というものを奪われる場合、守ろうとするからだ。全員がそのような行動にならない場合があったとしても、区別という方法で識別をすれば、確実に、利を奪われないように守ろうとするのはいるからだ。

 だって、自分が損することを好き好む者はほとんどいないのだから―…。

 そういう意味で、ラーンドル一派がやろうとしているリース王国の騎士団を自らのための駒にしていくことは、返って、自らの権力と権威の源泉であるリース王国の国力を弱体化させ、周辺諸国との力の差を近づけるか、もしくは、逆転され、最後には、リース王国に恨みがある場合は、リース王国にとって、最悪の敵になり、さらに、国力を低下させるだけだ。

 要は、自分の思い通りにしたために、返って、失敗して、逆の効果になってしまうということだ。

 リーウォルゲは理解している。ラーンドル一派は腐敗しており、自らにとって都合が良い、本来、その職に就けるべきではない人材をその職に就けて、自らの意のままに操った結果、本当の意味で必要なことに気づきもせずに、しなかったがゆえに、返って、最悪の結果になるのを―…。そう、人はすべてを知ることができる万能の存在にはなれないのだから―…。

 さて、話を戻す。

 「で、俺の命令を無視して、王国の命令で、ミラング共和国軍に攻めることとなり、攻めてみたものの、数の多さによって、攻めた騎士は二割ほどが戦死した可能性があると―…。三割になっていないだけましな方だが、このままだと、ミラング共和国軍の方が恨んで、攻めてくるのは確かだ。今すぐ、騎士全員に命じる。防備体制を固め、ミラング共和国軍に備えよ。戻ってきた奴で、動ける者は全員、ミラング共和国軍の進撃に対して、対処してもらう!! 文句はねぇだろ!!!」

と、最後には、リーウォルゲは声を荒げさせ、大きくなる。

 それは覇気と呼んでもおかしくない。誰もがその言うことを聞くべきだと感じさせるぐらいには―…。

 (ふう~、余計なことをしてくれたものだ。リース王国の中央で権力を握っていやがる奴らは―…。今、ミラング共和国軍は、リース王国を恨んでいる。確実にだ―…。だから、彼らの士気は高い。騎士の二割が戦死した以上、こちらは、ミラング共和国軍に対して、数で対抗することはできない。質―…、そう、天成獣の宿っている武器以外にあるわけがない。)

と、リーウォルゲは心の中で思うのだった。

 そう、これは、三十分前のことの話であった。


 今―…。

 リーウォルゲおよび、騎士団の騎士たちは、攻めてきた第四師団相手に、奮戦するのだった。

 すでに、少数ではあるが死者が出ており、討ち漏らしもあり、それが、リース王国の騎士団だけでなく、それ以外のリース王国軍に向かって行く。

 ここで、勝つことが、ミラング共和国軍にとって重要、いや、すでに、ここまででラウナンは停戦する方針に変化しており、それが解決するまで続くことになる。

 だけど、そのようなことは、ここにいる者たちにはわからない。

 わかるはずもない。

 だって―…。

 「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ。」

と、叫びながら、リーウォルゲは、ミラング共和国軍の第四師団に属す兵士を斬っていく。

 (数が多いのはわかっているが、これじゃあ、一割ぐらいの損失がでるぞ!! とにかく、ニナエルマやら伝達が伝わっていれば良いが―…。)

と、リーウォルゲは心の中で思うのだった。

 彼が望むのは、バラバラになっている騎士を、固めることだ。

 そして、最悪の場合は、ランシュに本気になって戦ってもらうことだ。

 ラーンドル一派にバレようがしょうがない。命には代えられない。

 そして、戦いは続く。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(36)~序章 アルデルダ領獲得戦(36)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


3年目の結果報告なのですが、1周年と2周年のを見ないといけなくなったので、3年間の全体の数を記すことにしました。こうすれば、3年目の結果報告のように、計算する時間を短縮することができるのではないかと―…。4年目の時に少しぐらいは楽ができるのではないか、と―…。

さっさと気づけよ、言われるそうですが―…。

2023年の『水晶』はよほどのことがない限り、番外編を仕上げることを目標にしています。難易度でいれば、かなり難しいという感じですが―…。やれるだけ、やってみます。

では―…。

『水晶』4年目もよろしくお願いいたします。読んでくださった方々および評価、ブックマークをしてくれた人たちには感謝しかありません。

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