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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
372/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(26)~序章 アルデルダ領獲得戦(26)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿中。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、リース王国軍の本陣にて、騎士団の騎士団長のリーウォルゲにアールトンは自らの騎士団を弱体化させる作戦をおこなうのだった。それは、騎士団への食糧配給が減少することであった。それとともに―…。


2023年1月27日追加

数日前にユニーク(人)が1万人を超えていました。そのことを書こうとして、何度も何度も忘れていました。申し訳ございません。

ということで、『水晶』をいつも読んでいただきありがとうございます。ユニークが1万を超えたのも、読んでくださり、評価してくださったり、ブックマークしていただいた皆様のおかげです。

これからも、『水晶』のことをよろしくお願いいたします。

 一方で、ミラング共和国軍は―…。

 「二日ほど、時間を消費してしまったが、これから、アルデルダ領のリース王国側の領境へと向かう。」

と、ファルケンシュタイロは言う。

 そして、ファルケンシュタイロは、ここで、二日という日数を消費したことを悔いている。

 だけど、このことは重要な時間であった。

 エルゲルダの館の中には、貴重な情報と、アルデルダ領に関する行政文書が大量にあったのだ。

 その行政文書が何を書いたものであるかを区別して、収奪し、かつ、それをミラング共和国軍の軍政官の一団に渡し、そして、休息を取る必要があったのだ。

 進軍ばかりでは、兵の体力が消耗するのは当たり前のことだし、一回、休憩を入れることによって、リース王国軍と衝突した時に、体力を残したまま戦うことができるのだから―…。

 今回、ミラング共和国の対外強硬派は、確実に勝利しないといけないのだから―…。

 そのことをファルケンシュタイロは、いやというほどわかっている。軍事的勝利こそが、ミラング共和国での強さである、と―…。勝手な妄想を抱きながら―…。

 そして、休憩も終われば、次は、リース王国の軍隊との衝突だけだ。そこで、勝利を手にすることができれば―…。

 ここにいる者たちも、休憩を終え、冷静になり、よりはっきりとした目的を理解する。いや、理解しているのだ。

 そう、自分達の生活を苦しめるリース王国を苦しめてやるのだ。

 ゆえに、

 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

と、拳を目一杯突き上げ、叫ぶのだ。

 自らの意志を示すために―…。

 共有された意志ほど恐ろしいものはない。

 リース王国は、ミラング共和国の軍隊を、人々を、怒らせてしまったのだ。エルゲルダの馬鹿な政策にラーンドル一派が賛成したせいで―…。

 そして、ミグリアドからリース王国の別の領に繋がる、いや、リース王国軍がいる場所へと、ファルケンシュタイロが率いる軍は向かっていくのであった。


 リース王国軍の拠点。

 その中の騎士団がいる場所。

 ランシュのリース王国とその周辺地域で信仰されている宗教に関する考察から一週間ほどの時が経過した。

 そして、ここには二人の騎士がいた。

 その騎士たちは、昼という時間において、休憩をもらっているが、陣地ではなく、少し離れた場所を歩いていた。

 「本当に、鱈腹(たらふく)に食えるんだろうなぁ~。」

 「そこは保証するぜ。軍の食糧を運ぶ兵団が、盗賊に襲われたようだけど、その一部、リーウォルゲ団長が食糧を横取りして、自分の気に入った騎士に対して、買収のために不平等にしてるんだって―…。」

 「いや、団長がそんなこと―…。」

 「だけど、それを聞いた人がいてなぁ~。」

 「マジか。」

 今、誘われて食糧のある場所に向かっている一人の騎士は、誘っている騎士の言っていることに不審に感じるが、それでも、ここ最近、食糧事情が悪化しているのは確かだ。

 リース王国軍の食糧を運ぶ兵団が、道中で盗賊に襲われたため、しばらくの間、多くの食糧を運ぶのに護衛が必要となり、届けられる日数を減らすとのことだ。

 そのせいで、リース王国軍の食糧事情は悪化していた。

 いや、そこまで悪化しておらず、騎士団の方に一方的に悪化させていた。

 これは、アールトンによる策であり、リース王国の騎士団でラーンドル一派に忠誠を誓うのことのない、リーウォルゲらの勢力をこのミラング共和国との戦争で排除し、ラーンドル一派の息のかかった騎士を騎士団長にして、ラーンドル一派にとって都合が良い騎士団に変えようとしているのだ。

 こういう時でも、自らの利益を考えているのが、アールトンという人間であり、狡猾である。

 そして、食糧事情の悪化を利用して―…。

 「ほら、ついたぞ。」

 「ああ。いっぱい、騎士がいる。」

 「そうだろ。皆、腹が減っては戦はできない。それに、ミラング共和国に勝つための方法を特別に優れた策士が教えてくれるそうだ。」

 「………………そうか。」

 (それよりも、鱈腹食べないと、腹が減って、目の前にあんなに食糧があると―…。)

 誘われた方は、目の前にたくさんの騎士団のメンバーがいることと、同時に、たくさんの食糧があり、食欲も優ったのか、真面に思考することができなくなっていた。

 この場にいる者たち、全員―…、後に後悔することになるのだ。

 だけど、彼らを完全に責めることはできない。

 なぜなら、彼らはすでに人間の大事な欲求の一つである食欲という面を突かれてしまったのであるから―…。冷静さなど発揮できようか。

 欲求が満たされてこそ、冷静になることができる、いや、高次の欲求を考えることができるのだから―…。

 そして、この誘われた人物もまた、食欲に負け、買収されるのだった。


 一方で、ランシュのいる場所。

 (やっぱり暇としか言いようがないし、食事自体も楽しむことができないほど悲惨な状態になっていた。なぜか、リース王国の騎士団への食糧を担っているラーンドル一派の商人が、盗賊に襲われたそうだ。本当かどうか疑わしい。そのせいで、俺たちの食糧事情は日に日に悪くなる一方だった。リーウォルゲ騎士団長はお気の毒としか言いようがない。だけど、最近、一部の騎士がなぜか、食事の時間に持ち場を離れるようになっていた。どういうことだ?)

と、心の中で思うのだった。

 暇であるがゆえであろう。

 現に、リース王国の騎士団の食糧事情は悪化していた。

 そして、最近、なぜか一部の騎士が、食事の時間になると、持ち場を離れるのであった。そのことに対して、ランシュは、疑問に思うし、かつ、ラウナウ、ニナエルマも同様に思っているのであった。

 そこに、ニナエルマが戻ってくるのだった。

 「かなりこちらがヤバくなっています。」

と、ニナエルマが言う。

 ニナエルマとしては、騎士の一部が昼食の時間になると、持ち場を離れてどこに行っているのかを偵察してきたのだ。

 それぐらいに、騎士の行動として疑問を感じられるものであったし、さらに、食糧を運ぶ兵団が盗賊に襲われたということも怪しかったのだ。

 そして、ここにはランシュ、ラウナウ、ヒルバスがいる。見張り場所は変わっていない。

 ランシュは、ニナエルマの言葉に対して、

 (どういうこと?)

と、疑問に思うのだった。

 ランシュとしても、この変な出来事に対して、疑問に思わないわけがないし、さらに、関わるべきではないと判断していた。美味しい話には裏がある。そのように感じて―…。

 まあ、それでも、この食糧事情の悪化の中、どこまで、理性というものを保つことができるのかに関して、ランシュは不安に思うことはあった。理性を保たせていたのは、何といっても、レグニエドやエルゲルダに対する復讐という目的であった。この強い気持ちは、ランシュを上手く、ここまで支えていると思ってしまう。精神力というものを強くさせている。

 まあ、精神力がすべてではないが―…。

 ニナエルマが戻って来たことに、さっきのニナエルマの言葉で気づいたラウナウは、ニナエルマの言葉に対して、聞き返すのだった。

 「どういうことだ、ニナエルマ。」

 すぐに、ニナエルマは言い始める。

 「ラウナウ。ラーンドル一派の商人がリース王国の騎士団の騎士の数人を買収しています。それも、食糧を渡すかわりに、リース王国の騎士団の団長をリース王国の中央で権力を握っている奴らの子弟にしようとしています。」

 「何だと!!!」

 ニナエルマの言葉に対して、ラウナウは動揺する。

 (何て馬鹿なことを―…。)

 ふざけるんじゃない。そのような気持ちがラウナウの中で強い気持ちとして占めるのだった。

 ラウナウとしては、今がどういう状況であるかを理解している。アルデルダ領を攻められており、そこを支配し終えれば、ミラング共和国軍は確実に騎士団やリース王国の兵がいるこの場所へと攻めてくるのは確実だ。

 ミラング共和国は、リース王国のことを恨んでいるのだから―…。エルゲルダがおこなった政策で苦しい思いをすることになった。それがどれほど、ミラング共和国に住んでいる者たちにとって、忸怩たる思いをさせたのか。

 そう思えば、ここが戦場になる可能性は簡単に理解できることだろう。そんな時に、一致団結することなく、自らの私益のために、内側で争ってしまえば、確実に、ミラング共和国軍に隙を与え、リース王国側の損害を高めてしまうことになる。人を大切しない者は、自らにとって本当に必要な恩恵をほぼリスクなる得ることはできない。

 そして、ラウナウはさらに、ニナエルマの言葉を聞く。

 「ああ、推測ではなく、買収された一人の騎士がそいつらと話していた内容だ。騎士団のトップをあんな奴らにしてしまったら、リース王国の防衛に大問題が生じてしまうし、騎士団内が分裂して、最悪の場合は、他国に侵略されてしまう。何を考えていやがる、リース王国の中央で権力を握っている奴らは―…。」

 そう、ラウナウには理解できないことであり、動揺の程度がかなり高くなってしまい、ランシュにも気づかれるぐらいに動揺していた。

 そして、ランシュにとっても、ニナエルマの言っていることは理解できるし、心の中では、

 (ニナエルマの言うことを聞く限り、騎士団にとって良いことではないのは確かだ。騎士団というのは、派閥抗争とかもあるかもしれないが、だけど、リース王国の防衛に関して、協力しなければならない時にはしっかりと協力できるだけの信頼がないといけない。たとえ、対立したとしても、対立側の意見を理解したうえで、対立側にも敬意を払うようなことを―…。だけど、リース王国の中央で権力を握っているクソどもは、対立側に対して、徹底的に潰し、自分の考えイコール正しくて、普遍的であるという馬鹿な思い込みのせいで、自らの間違いを修正を正してくれるような意見を言う善人を潰すに何も抵抗感がないのだ。そのような人々を潰したがために国が崩壊したと書かれた物語の話のように、リース王国もその騎士団も倒されるもしくは破滅する時まで暴走し、それはリース王国に住む人々にとっての悲惨な不幸にしかならない。よくもこんなことを考えるものだ。自らの安寧のためか?)

と、言いながら、騎士団を分裂させようとしている奴らに対して、怒りの感情を見せるのだった。

 ランシュとて、勉強もしているが、それでも、物語の類を読んでいないわけではない。勉強というものは長時間することは難しく、どこかでちょこちょこ休憩を挟む必要があり、その暇な時間にヒルバスとかメルフェルドらと会話をしたり、小説を読んだりしているのだ。

 その小説の作品の中の一つに、自分の私欲のみを優先し、そのためなら、他者を蹴落とすことも厭わない人物が最後、自らのおこないのせいで、国をも滅ぼしていくというものがあった。何となく、今のリース王国を現わしているので、少しだけ読んでみたのだ。

 まあ、小説である以上、事実を基にしているものもあるだろうが、それでも空想の部分というものは存在する。人の気持ちを完全に人が理解できない以上、どこかしらに補うという形で入ってしまうのだから―…。

 そして、その小説をランシュは思い出していたのだ。そこから考えると根拠のないことなのでしかないが、ランシュは、リース王国の中央を握っているラーンドル一派が望んでいるのが、自らの安寧のためなのではないかと疑問に思いながらも、可能性で判断することできるだろうと感じるのだった。

 (………………………リース王国の中央で権力を握っている奴らも頭を使う人がいるのかもしれません。)

と、ヒルバスは心の中で思うのだった。

 今回の騎士団の騎士の買収の理由を聞いて―…。

 ヒルバスとしては、リース王国のラーンドル一派の中に頭が使える人間がいることに気づくのだった。この戦いの場なら、ラーンドル一派に反抗する者たちに不利な戦場を宛がい、ミラング共和国軍の側で処分してもらった方が良い。自分達が手を汚さずに、目的を達成できるというわけだ。

 そのようなことに対して、怒りを感じることはないが、それでも、対象にされている以上、最大限に自らの力で抗えるだけ、抗う予定である。

 ラウナウは言う。

 「あいつらのやることは簡単だ。自分たちの権力を永遠不変にすることしか頭がない。不変的なものなど存在しないのに、な。馬鹿には、求めても手に入れてはいけないものがあることを知らないようだ。」

と。

 ラウナウとしては、ラーンドル一派の目的が自らの権力が永遠にリース王国の中に残ることを望んでいる。だけど、そんなことはいつの、どの時代においても、誰も達成することができなかったことであり、時代が変わるということを無視しているものでしかないと感じられなかった。

 ランシュは、

 (先輩が何か、難しいことを言っているようだ。まあ、不変的なものは存在しないわけではないが、それを探し、見つける方が難しいだろうし、人が不変的と言っているものはどこかで変化するもの。)

と、心の中で思うのだった。

 ラウナウが、難しい哲学的なことを言うことは有り得ないというイメージを持っている。ガハハハハハハ、とか、馬鹿そうな感じの方が合っていると思っているぐらいだ。

 まあ、普段からの抱かせるイメージがそんなものを連想させるのであったから、余計に難しいことを言うのには驚くしかなかった。

 「そうだな。こうなってくると、騎士団内から暴走する奴らが出てくる。そいつらに警戒して欲しい。騎士団すら敵であるかもしれないというふうに、な。」

 ニナエルマは警告する。

 そして、ラウナウ、ランシュ、ヒルバスもニナエルマの言葉に頷くのだった。ニナエルマの言っていることを理解することができるし、自分達はミラング共和国軍だけでなく、リース王国すらも信用ままならないということを―…。騎士団ですら―…。

 ゆえに、ランシュは、心の中で、

 (なぜに、侵入がある時に、敵ではなく、味方側であるはず人々を敵視しないといけないのか。もう少し、場の状況というものを考えて欲しい。)

と、思ってしまうのだった。

 リース王国とミラング共和国との戦争なのに―…。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(27)~序章 アルデルダ領獲得戦(27)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


急なんですが、2023年1月29日分を投稿した後、2023年2月6日まで投稿をお休みします。文章を書く気力は普通にあるのですが、投稿する気力というものが減じています。なぜか、良くはわかりませんが、その気力を回復するために少し『水晶』の投稿をお休みします。

誠に申し訳ございません。

一方で、『ウィザーズ コンダクター』および『この異世界に救済を』に関しては、いつも通りの投稿なので、お休みすることはありませんので、大丈夫です。

『ウィザーズ コンダクター』は一分単位で投稿予約ができるので、夜の間に投稿日時を予約しています。『この異世界に救済を』は、だいたい週一なので、頑張れます。


なぜ、『水晶』なのか、私自身も疑問に感じています。


投稿を休んでいる間、執筆の方は、しっかりとおこなっていると思いますので、ストックがたまるだけだと思っています。


投稿再開後は、ミラング共和国軍とリース王国軍の戦いへと本格的に入っていくと思います。あの決戦の段階までは、今の執筆状況では進んでいません。序章がかなり長くなっております。予想はしていましたが、ここまで長くなるとは―…。

2023年1月29日までは毎日投稿はしますので―…。

では―…。

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