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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
350/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(4)~序章 アルデルダ領獲得戦(4)~

『水晶』以外にも、以下の作品を投稿中。


『ウィザーズ コンダクター』(カクヨムのみ):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138

『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。

『この異世界に救済を』は、2022年12月17日に第13話を投稿しました。


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、エルゲルダの政策によって、隣国のミラング共和国では、困った事態になるのだった。

 ミラング共和国。

 その中の首都ラルネ。

 ラルネは、大きな城塞都市であり、その中央には政務をおこなうための城があった。

 その城の中の議事堂の隣にある大臣たちが会議をする場所。

 そこには、幾人もの人々がいた。

 皆、男性であり、女性が公務に就くことは避けられていた。

 それでも、軍人や給仕という分野では、女性がいるのであり、給仕の男女比は圧倒的に女性の方が大きかった。

 それは、ミラング共和国に男尊女卑の考え方が根付いているからだ。

 そのようにしたのは、ミラング共和国が二百二十年前、一時的に衰退していくなかで、より厳格な体制を構築するという中で、当時の支配者であった男が、当時最高の英知と称されていた女を貶めるがために、男尊女卑にしていくようにしたのだ。その女は結局、ミラング共和国から追放されることになり、アウリア大陸へと逃れ、そこで、たまたまある一族の女性の医者に会うことにより、賢人として称される功績を遺すことになるが―…。

 その後、ミラング共和国は、衰退から免れることに成功した。その当時の支配者の男も女に劣ってはいたが、それでも、能力がなかったわけではないし、頭もキレる方だった。女の方がそれよりも上であったから、劣っていることを自覚してしまったに過ぎない。

 そして、会議室にいる誰もがある議題を話し合うのだった。

 「リース王国のアルデルダ領での税の増加と新設か。そのせいで、税が高くなって、こちらへと向かう塩の値段が上昇していることだな。というか、リース王国側に抗議しないといけないな。我々の国がリース王国より軍事力では下であることは確実だ。だけど、外交交渉で―…。」

と、ミラング共和国のトップが言う。

 そのトップの名は―…。

 「だけど、外交交渉じゃ、向こうに何を要求されるか。フォウエン=シュバリア総統。ここは別のルートを―…。」

 そう、ミラング共和国の今の総統は、フォウエン=シュバリアという者がその職にある。

 シュバリアは穏健派であり、ミラング共和国における総統の中ではかなり真面な方である。性格としてではあるが―…。彼は、数世代前の総統の時に外交関係をおこなっていた者の孫であり、均衡外交を中心として、リース王国や周辺国の力関係を考慮しながら、ミラング共和国の利益になる可能性のある政策をおこなうことを主目的としている。

 彼は、軍部における女性の登用の可能性を開き、特に、師団クラスに十年後を目途に登用しようと考えていた。他の師団長と劣らない実力もしくはそれより倍の実力がある女性を就任させて、ミラング共和国の軍事力の強化と同時に、優秀な女性がミラング共和国の中央に進出して、ミラング共和国の将来の繁栄を築こうとしているのだ。リース王国に肩を並べ、追い越せるぐらいには―…。

 その彼が将来、国の中枢に来る可能性がある頭の良さと相手の動きを察せるイルターシャを軍団の中に入れ、入れる前に天成獣の宿っている武器を持たせて、将来の師団および政権中枢の候補に養成しようとしているのだ。

 だけど、ミラング共和国は男尊女卑の考えがあり、女性を蔑視することが公で認められている以上、どうしても軍団の中に入れると、酷い目に合わされる可能性があることはわかりきっているので、イルターシャが扱うことができる天成獣の宿っている武器の属性がかなり、酷い目からイルターシャを守ってくれるのに役立つと判断して、このような登用を将来に向けて、実行している。

 まあ、今のところは蛇足でしかないが、それでも、触れておくことで、ミラング共和国の男尊女卑がどのくらいのレベルかを理解していただけるだろう。

 家庭の中では、男尊女卑の考えは浸透しているかもしれないが、女性が完全に不利ではなく、食料や財産を管理することが多いため、完全に男が優位になることができず、この二つの管理を武器に女性はしっかりと自らの地位というものを確立できている。私的な面では―…。

 公的な面は、一切、さっきの説明のままであり、ミラング共和国における将来の発展の可能性に関して、男だけのままで政治をすべて決めていてはないとシュバリアは考えていた。

 それは、自らの娘が政治に関して、優秀だと思えるほどの判断力を有しているが、女性というだけで政治に進出ができず、最後には暗殺されてしまったのである。対外強硬派の中心的存在が、裏の人間を使って―…。

 シュバリアは、このことを知った時、その対外強硬派を潰そうとしたが、結局、彼らは裏を牛耳っていたために、失敗するのであった。そんななか、その娘が偶然知り合った孤児で聡明だと言われる少女がイルターシャと言ったわけだ。

 さて、ここまでにして、物語を進めていくことにしよう。

 「別ルートを使ったとしても、リース王国より強い国というものは存在しない。そうなってしまうと、リース王国の圧力で―…、潰されてしまう。」

と、さっさ言った外務大臣のフォンル=フェバリアの言っていたことを、否定するシュバリア。

 フォンル=フェバリアは、中流階級の出身であり、外交畑を歩んだ後、議会に進出した外交の専門家である。まだ、多国間の外交をどうおこなうかということに関しては、経験が浅いがそれでも、将来は老成し、優秀な外交政策を実施できるとシュバリアが太鼓判を押すほどの期待性をもっている。

 「…………リース王国に抗議して、外交交渉で何とかしていくしかない。このような状態では、対外強硬派の奴らにとって優位なことになる。あいつらが政権を握ってしまえば、ミラング共和国はこの国が破滅するまで続く可能性のある戦争状態に巻き込まれてしまう。そんなことになってしまえば、勝っているうちは良いが、負けが込み始めると、国民の不満が高まってしまう。それに、戦争を自分達の国民を動員しておこなえば、ミラング共和国の産業を担っている人たちが戦場に駆り出されて、産業に従事する人々が少なくなり、生産が滞り、国民の生活が立ち行かなくなる。対外強硬派が女性に産業の担い手にしていくとはとても考えられないし。それに―…、奴らほど、女性の社会進出に反対なのもいないのだからの~う。昔から女性は家庭で、とか言っておるが、そんなものはある特定の人物が自らの都合の良さのためだけに作ったものに過ぎない。儂はこう思うておる。人は完璧ではないからこそ、完璧になることへ近づけるのじゃと―…。だから、儂は、ミラング共和国の将来の発展のために、国民の幸福ために行動するのじゃ。」

と、シュバリアは言う。

 シュバリアという人間性は、ミラング共和国の中ではかなり真面なものであるが、時にその考えがかなり自らにとって危険な状況にさせていくこともある。物事が起こる要因は、自らとそれ以外の行動と、考えなどの要素が複雑に絡まり合い、起こり、進んでいくものである以上、自らの望んだ結果になるとは限らない。

 そのことを理解して欲しいし、彼の理想は誰も嫌わないものであろう。

 だけど、時を間違えてはいけないし、現実を見ないといけない。現実を見ない理想は、空想と変わらない。結果が自らの望まない方向へと進んで行くという結末を与えるのである。

 まあ、相手側の要因もあるので、そのことには注意しないといけないが―…。

 そして―…。

 「シュバリア総統の意見しかないのか―…、結局、我々は―…。」

と、残念そうな表情で、まだ若い公共政策大臣アウテンド=オッバーンは言う。

 その言葉を最後に、会議は終わるのだった。


 一方、議事堂の別の一室。

 ここは、対外強硬派の根城とも言われる場所。

 そこには―…。

 「ふむ、穏健派の馬鹿どもはリース王国に交渉する気のようだ。」

 「そうだ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、我々を見下すことしかできない、異教的な考えの持ち主どもだ。」

 「我々は、選ばれた民であり、ミラング共和国の未来を発展させるために生きているのだ。」

 「邪魔者のように扱われるのは心外だ。」

 「穏健派に鉄槌を!!」

 対外強硬派の五大トップがいる。

 最初に言葉を発した者から順に紹介していこう。

 一人目は、対外強硬派のナンバーツー、ファウンダ=クロニードル。彼は、政治家一族の出であり、一族の中で後を継ぐ者は政治家にならないということはなかった。クロニードルもそうだ。すでに、七十を超える爺さんであり、言葉はハキハキとしていて、歳を取っている感じもせず、見た目は五十代ぐらいで、髪も黒いままだ。だけど、それ以外は欠点しかない。暴言、浅慮、教養のなさ、例を挙げればきりがない。要は馬鹿と言っても良い。

 さらに、自尊心が高すぎるというものがあるので、返って、自らの能力のなさ、欠点に気づいたとしても、それを無視して、自らの権威と権力の確立への余念がなく、執着している。

 そして、周りから国民への印象として、クロニードル節という感じで、親しまれようとしているが、一部のものはこの人物が政治をしては駄目だということを理解しているが、政治家一家の出であるため、裏との繋がりを使って、自分に文句を言う者を黙らせてきた。クロニードルにとって、参考になる反論さえも封じて―…。

 二人目は、笑い声を上げたのがナンバースリー、ディマンド=ファウンデーションである。彼もまたクロニードルと同じ政治家の一族の出であるが、彼は先代の次男であり、長男の方は、穏健派の方に属し、後継者と目されている。長男は、バランス感覚があり、かつ、ミラング共和国現総統のシュバリアに憧れている。次男は幼い頃から長男と比較されたことから、その劣っていることを周囲から指摘されまくり、プライドをかなり傷つけられ、自信の持てない日々を送っていた。

 だけど、対外強硬派のナンバーワンに見いだされて以後は、すっかり自信を取り戻し、出来の良い長男への対抗心をむき出しに、いつかは自らの家を乗っ取ろうとしているぐらいだ。今の見た目はすでに頭頂部が剥げており、側頭部に髪があり、耳が尖ったように見えることから、この異世界の神話に伝わっているモンスターであるインプを見えることから、政敵からインプと呼ばれていたりする。体系はがっしりとしていて、体力はかなりあったりする。

 性格は、野心的であることに間違いはなく、秘書に対して、思い通りにならないと暴力を振るったりする。だから、逃げていく秘書が多かったりする。そのため、ミラング共和国で嫌われている宗教組織から当てられる秘書に依存しており、その宗教組織はファウンデーションが出世してくれれば、宗教勧誘もしやすくなり、いずれは―…。要は、飾りでしかないのだ。この人物は―…。

 三人目は、ナンバーワン、対外強硬派のトップ、フォルマン=シュバリテである。シュバリテは、シュバリアのライバルであり、シュバリアと同年代の人物である。シュバリアはいつも学校での成績および、政治能力でシュバリテよりも上の評価を得ている。そのことに、シュバリテは嫉妬しているのだ。シュバリテは、シュバリアよりも劣っている部分はなく、自分が一番優れているのだと―…。

 シュバリアより目立ちたいがために、過激な政策を謳うようになり、カリスマ性というか、人を惹きつける能力があったのだろうか、周囲には、何かの問題を抱えた者たちが集まってくるようになった。それでも、シュバリアよりもシュバリテは人を惹きつけるという面でも劣っているのだが―…。

 そして、彼はいつの頃から自らが選ばれた人間ではないかと思うようになり、自分は「ミラング共和国のために、導いているのだ」という勝手な妄想を現実のように抱くのだった。ゆえに、真面な人間からはかなり警戒されている。

 そんな彼は、シュバリアに劣ったとしても実力はあるのだから、真面な人間の多くを黙らせることは簡単なことである。

 四人目は、対外強硬派のナンバーフォー、ヌマディア=ファルケンシュタイロである。この人物は元軍人であり、軍の中では常に戦争を望むような人間である。鍛えており、軍事にとって直接的に必要な戦う技術、戦術に関しては優れていると言ってもよいが、同期グルゼンと比べて、戦闘力、人を見る力において劣っているのは確かだ。さらに、勉強している者を「野蛮で、偉くなった気でいる奴」と見下している。ゆえに、勉強せず、自らの肉体を鍛えること、人を出し抜くことしか考えていない。

 そして、彼は、グルゼンよりも数多くの軍人を味方にすることができている。なぜなら、兵士の教育の大半の人数をファルケンシュタイロが請け負っており、そこで、ファルケンシュタイロへの服従を植え付けているのだ。このような人物は穏健派から嫌われており、政治家にしたくないとして、穏健派が妨害活動をしているが、それでも、次に紹介する人物によって、妨害が意味をなさないようになっている。

 その前に、ファルケンシュタイロの見た目は、筋肉ムキムキであるが、陰鬱そうな感じをさせ、顎と口に髭をたくわえているのが特徴だ。体はそれなり大きい。年齢は四十代であるが、普通の人間より強そうに見える。

 五人目は、対外強硬派ではないが、それでも、彼らに味方しており、穏健派のような生ぬるい政策を毛嫌いしているミラング共和国特殊諜報及び謀略部隊シエルマスの統領ラウナン=アルディエーレである。彼は穏健派のような他国と強調する政策を嫌っていた。

 シエルマスという存在は、他国に謀略をしかけて、自国の都合の良いように動かすことが使命なのであるから、他国を裏から支配したりするようなことをしたいというわけである。それに、何度もそのチャンスを与えたのに、穏健派は一切、シエルマスの言う事を聞かず、他国との協調に動くのだ。そういうことに嫌気が差し、シエルマスの統領であるアルディエーレはこのように対外強硬派の側についているのだ。こいつらの方がコントロールしやすいし、他国を乗っ取れるだろうと思い。

 ちなみに、ラウナン=アルディエーレは、すでに、天成獣の宿っている武器を自らで扱っていたりする。

 そして、五人の議題も穏健派と同様であった。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(5)~序章 アルデルダ領獲得戦(5)~

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


ついに、ミラング共和国の対外強硬派の主要メンバーが登場しましたね。特に、シエルマスの統領はかなり注目しておく必要がある人物だと思っています。

そして、グルゼンも序章のどこかでかなり重要な役割として、登場します。

ちなみに、すでに、ランシュの過去編の時を見ていただいた方はわかっていると思いますが、アンバイドの登場もあり得ます。そこまで、現在執筆は進んでいませんが―…。

ランシュとグルゼンの対決にも言っていない。

長くなりすぎているとしか自分自身でも言えません。


さて、話を変えて、『水晶』のネームに関しては、第272話を今書いているのですが、まさに、最終章の盛り上がり始めているなと思えるシーンです。これ以上はネタバレになっちゃうので言いませんが、第一編も長くなりそうな予感がします―…。

『ウィザーズ コンダクター』のように、早い展開はできそうにないです。それでも、書いている時は楽しかったりします。ああしよう、こうしようと思い浮かんで、取り入れているので―…。

さて、一日、二日ほど、執筆を休んだので、気力が回復したのか―…、今日はほとんど進められませんでしたが、夜は別の作品の見直しをしていって、この部分を投稿後は、『この異世界に救済を』の第14話の執筆を進めていく予定です。


さてさて、長くなってしまいましたが、たぶん、明日も投稿する予定です。『水晶』は―…。

では―…。

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