表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
35/745

第24話-1 闇の放射

分割するほどではないと、思っていたのですが、書いていくうちに、当初の予定よりいろいろと追加されていったのか、多くなってしまい、分割することになりました。

前回までは、李章がフードを被った一人の人物の隙をついて背後から攻撃を仕掛けるも、返り討ちにされる。

 噴水広場の周囲にある建物へと飛ばされていく。

 それは、クローナとトリグゲラが戦闘をおこなっているところでも見えた。飛んでいるのが―…。

 それにクローナは見とれてしまう。

 そのために、気づくのが遅れた。トリグゲラがその隙を狙っていたことに―…。

 「!!」

と、クローナは驚くが、それでも対処できないものではなかった。

 ゆえに、クローナはトリグゲラの攻撃を自らの武器で防御体勢をとることで防ぐ。

 金属どうしの衝突する音が、キーンと鳴りながら。

 そして、金属どうしの衝突する音が鳴りやむまでには、クローナとトリグゲラの両者は、お互いに距離をある程度保ったうえで、地面に足をつける。

 (少しも倒せる手応えを感じない。ここまで、俺の力と同等の力のなのか、それとも―…。)

と、トリグゲラは考え始める。迂闊に攻撃することが出来なくなっているように感じた。そう、クローナが油断したとしても、トリグゲラの不意をついた攻撃をすべて受け止めるのである。それと逆に、クローナもトリグゲラの隙をついて攻撃をするが、トリグゲラに対処される。まさに、どうやっても決着がつかないような感じをクローナとトリグゲラは双方に抱いていたのである。

 (水晶を使うにしても、タイミングが―…、それに白の水晶は攻撃向きの水晶の能力じゃないし―…。)

と、クローナもどうにかしようと考える。

 しかし、それを好機と見ているの魔術師ローである。何かを仕掛けるにはそろそろいいタイミングであると考える。そして、ローは、

 (あそこにいるのは―………、アンバイドか……。)

と、アンバイドがこの噴水広場にいることに気づく。そして、

 (李章はあのフードの人物にやられたのかのう~。それとも、アンバイドに―…、いや、闇の攻撃によるものだから、やっぱりフードの人物で間違いないかのう~。)

と、李章がフードを被った一人の人物であると結論付ける。


 李章が衝突した建物には煙のようなものがたっていた。

 そんななかで李章は、

 (うっ!! 私としたことが―…、相手が自らに近づかせないように罠をはっていたなんて―……。)

と、思いながら、気絶していった。煙の中で―、黒が別の黒になっていったのだった。体感時間と現実時間進行と違わせるように―……。


 【第24話 闇の放射】


 二人の少女が足を止める。

 彼女たちは着いたのだ、噴水広場に―…。

 そして、前にはアンバイドがいて、その前に黒いフードを被った一人の人物がいた。

 二人の少女(瑠璃と礼奈)は、噴水広場の状況がどうなっているのか確認する。

 建物のところどころに何かの破片や衝撃を受けたような傷があった。暗いので、大雑把にしかわからず、噴水広場の今自分達がいる場所から奥の状況を見ることはできない。

 アンバイドは瑠璃と礼奈が来たので、

 「あのフードの奴は、俺じゃないと対処はできない。それよりも瑠璃と礼奈(お前ら)は、向こうへ飛ばされた李章がどうなっているのか見にいってくれ。李章はフードの奴に飛ばされた。」

と、言う。

 その言葉は、瑠璃にとって衝撃的なものでしかなかった。李章は武術をやっていて、自分よりも強いと思っていたからだ。その基準は、現実世界では当てはまるが、異世界では天成獣の力を半分も発揮していないのであれば、天成獣の力を完全に発揮している者には勝てない。これが異世界での一つの理である以上、李章がどんな武術に優れていたとしても、敗れるのは当たり前であり、常識であり、確実に訪れる運命でしかなかった。

 「瑠璃!! とにかく私たちは李章君を探さないと…。ここはアンバイドさんに任せて。」

と、礼奈が瑠璃に言う。

 その言葉に、瑠璃は我にかえり、礼奈の言葉に頷く。

 そして、瑠璃と礼奈は、噴水広場のどこかに飛ばされている李章を探すのであった。

 それをさせまいとフードを被った一人の人物が、

 「させるかぁ――――――――――。」

と、叫びながら攻撃しようとする。

 しかし、それはアンバイドによって自ら武器の一つを回転させ、フードを被った一人の人物へと直接攻撃するようにして、そこへ注意を向けさせた。

 そのため、フードを被った一人の人物は、意識をアンバイドの武器の一つに集中させ、その直接攻撃を避ける。後ろへ少し動かすことで、ぎりぎりの距離で―…。

 「!!」

 (アンバイド(あいつ)との戦いは、やっぱり他のことへの意識をすべて捨てないと、簡単にやられてしまう。)

と、フードを被った一人の人物はそう思うのであった。

 一方のアンバイドは、

 (李章…大丈夫だろうか? いや、あれほどの攻撃で、かなり飛ばされたのだから、無事ではないか…。それに、李章のことは瑠璃と礼奈(あの二人)に任せて、俺がやるしかないか。今の瑠璃、李章、礼奈(三人)では勝つことさえ無理だな。)

と、フードを被った一人の人物の今現時点での実力が、瑠璃、李章、礼奈の三人を上回っていることを推測した。それは、的を得ている推測であった。


 一方、ローは微笑む。

 何かをすることに対する準備が完了したからである。

 ローは自らの武器である杖の先端を、コォーンと軽く地面につけた。

 そうすると、ルーゼル=ロッヘの噴水広場全体を囲うように、淡い光がでてきた。

 それには、噴水広場にいたロー以外の全員が自らの行動を停止し、それが何かを考えさせた。

 (何だ!! この光は…。一体誰が?)

と、フードを被った一人の人物は思う。

 (何ですか、これは!! この光をだすのは、今目の前に戦っているクローナ(小娘)ではない…、他に……いや、ロー(あのばあさん)か?)

と、実際に自らの行動を淡い光の正体の推察へと移行させているものが、ローであるとトリグゲラは結論を付ける。

 (この光!! ロー(ババア)か!!! この術式だと…移動系か?)

と、アンバイドは冷静に思う。この淡い光を過去にみたことあるからだ。

 そして、瑠璃と礼奈は、互いに見合うが、淡い光への思考を今は中断して、李章のもとへと走りながら向かって行った。

 ローは、杖の先端を地面につけてから、少しの時間の間、間をとり、

 「空間移動(ワープ)

と、言う。その後、すぐに、淡い光は一瞬に強い光へとなっていき、噴水広場にいたすべての人物を別の場所へと移動させた。李章を含めて―…。

 そして、噴水広場にはこの時、建物や地面、噴水以外、人は誰もいなくなった。


 ここは、ルーゼル=ロッヘの近くにある森の中。

 ルーゼル=ロッヘ へ入る街道より少しばかりはずれた場所。

 その森の中にある広い木のない場所で、いくつかの影がどこからともなく出現する。

 空間移動(ワープ)してきたのだろう。なぜなら、突然現れたからである。

 そして、出現した人々は、魔術師の格好をした老婆以外は、動揺するしかなかった。ここがどこなのかを―。

 「ここは、ルーゼル=ロッヘの近くにある森じゃ。お前さんらが戦えば、ルーゼル=ロッヘの町が壊滅しかねないからのう~。」

と、魔術師である老婆が言う。この魔術師が、空間移動(ワープ)をさせた張本人であるから。つまり、魔術師ローである。

 「チッ!! ロー(ババア)の技か。」

と、アンバイドは舌打ちをしながら言う。それもそのはず、基本的には会いたくない人物が近くにいたからだ。すでに、アンバイドは、フードを被った一人の人物の目の前に出ると決めたときに、ローに気づかれるということは覚悟を決めていたので、それほど嫌な気持ちはなかった。ついでに、イラつきもそこそこではなかった。それでも、やっぱりローの声を聞くとやっぱりイライラするアンバイドであった。

 (あの後ろにいた気配の正体が言っていることが本当であればだが…、まあいい、やることは変わらない。)

と、フードを被った一人の人物は心の中で思った。


 「空間移動したのですか…。こんなことができるなんて…。クローナ(あなた)に聞きたいのですが? ロー(あの老人)は一体何者ですか?」

と、トリグゲラは疑問に思い、ふと、クローナに対して、ローのことについて尋ねてみた。

 「ローさんのことですか。すごい魔術師としか知りませんが。」

と、クローナは一部の事実しか言わなかった。魔術師ローが何者であるかは、ほとんど知らないが、知っていることの少ししか言わないことによって、トリグゲラに必要以上に情報を渡さないようにした。それは、相手が情報を得れば得るほど、自らが不利になるからだ。しかし、何も情報を得られないようにすれば、逆にしつこく聞こうとしてきて、より攻撃を強くされては、相手の弱点を分析する前にクローナの側が倒されてしまう可能性がある。それを防ぐためでもあった。

 このクローナの言葉は、トリグゲラにとって、ある結論へといたるものとなった。

 (魔術師ロー…、聞いたことがある。世界の大きな出来事に何かしら暗躍していると噂されている魔術師。その人物は、水晶を造る能力などのように人ができないようなことができる。本物をここで実際に見るとは―…。見た目はただの老婆でしかないのに―…。なら、空間移動なんてお手のものってわけか。)

と。

 (こうなったら、さっさとあのクローナ(小娘)を倒すしかない。)

と、トリグゲラはクローナを早急に倒そうとし、クローナに向かって移動し、攻撃を仕掛ける。

 (逆に、意味がなかった。相手はすでに本気でこっちを倒そうとしている。こうなると、私も本気にならない。手段は選ぶべきではない。)

と、クローナはトリグゲラが攻撃をすぐに仕掛けてきたので、焦りながらも、今自らがやるべきことを実行に移そうとする。そう、トリグゲラを倒すということを―…。


 瑠璃と礼奈は、森の中に移動したことに―…、戸惑いを感じていた。

 それは、何か、ギーランによって現実世界からこの異世界に送られたときと同じ感覚であった。

 「瑠璃、ここは、森の中だよね。」

と、礼奈が言う。

 「うん。そうみたいかな~。」

と、瑠璃は不安に思いながら、礼奈の言葉に返事をする。

 「お主ら。やっと合流ができたのう~。」

と、声がする。その声に、瑠璃と礼奈は声がしたほうを向くと、そこには魔術師ローが少し離れたところにいた。

 瑠璃と礼奈はローのところへと向かっていった。

 そこに着くと、

 「ローさん。一体どこに行っていたのですか?」

と、瑠璃が尋ねる。

 「ふ~む、それはのう~、お主らの目的のために、協力できる人物の迎えに行ったのじゃ。どうせ、お主らとは、最悪リースで再開する予定であったのじゃが…。ここで再開できるとはのう~。うれしい限りじゃ。」

と、ローは言う。

 その言葉に、礼奈は、それを湖から別れる時に言ってほしかったと、思う。

 その思いをすぐに断ち切った礼奈は、ローに尋ねる。

 「ローさん、協力できる人物は、一体誰ですか?」

と。

 「ふむ、それは―…、あそこで戦っているクローナという女の子だ。」

と、ローは指で指しながら言う。

 瑠璃と礼奈は、トリグゲラと戦っている少女を見る。二人は、思っていた。協力者は、大人の人なのかな、と。しかし、実際には女の子で、瑠璃や礼奈とそれほど年齢が変わらないと感じさせ、同年代であることは見た目から推察できる。

 「まあ~、クローナは世間知らずのところはあるが、お主らのところにいるアンバイドがいれば、大丈夫じゃろう。儂は一足先に、リースへと向かうことにする。儂にもやるべきことが多すぎるのでのう~。」

と、ローは言う。そして、一瞬でローは、瑠璃や礼奈のいる場所から消えていったのである。

 「「??」」

と、ローが消えたのに対して、首を傾げるしかなかった瑠璃と礼奈であった。

 それも、すぐに終わり、今やるべきことを思い出す。

 「李章君を探さないと。」

と、瑠璃が言う。

 「そうね。」

と、礼奈が言った。そして、瑠璃と礼奈は李章を探すのであった。


 アンバイドとフードを被った一人の人物のいる場所。

 そこでは、アンバイドはゆっくりと、どうやってフードを被った一人の人物を倒そうかと考えていた。

 一方で、フードを被った一人の人物は、

 (これで―…、あいつの腹に穴をあけてやる!! あのような俺を舐め切っている奴に)

と、アンバイドの態度が、フードを被った一人の人物にとっては、舐めたように見えたため、馬鹿にされているのだと思った。

 フードを被った一人の人物は、球体を両手で造りだし、両手を前で合わせるようにする。そうすると、接触した二つの球体どうしが混ざり合い、一つの球体となる。

 そして、球体は、フードを被った一人の人物から注がれる力を集め、ある程度のところまでくると、フードを被った一人の人物が、

 「いけ!!」

と、叫ぶ。

 そうすると、球体からアンバイドに向かって一直線に黒色の闇の光線が放射される。

 その闇の放射は、ものすごいスピードでアンバイドを貫こうとして、接近してくる。

 それに気づいたアンバイドは、

 「守れ。」

と、冷静に言って、自らの武器を自身の前に三つ集わせるのであった。

 そして、アンバイドの辺りに大きな衝撃が起こることとなった。


 瑠璃と礼奈は、足を止める。

 そして、目の前にいる人物に気づく。

 それは、フードを被った一人の人物によって飛ばされた李章の姿であった。

 「李章君!!!」

と、瑠璃は悲しみのこもった感情で叫んだ。

 「瑠璃!! たぶん、大丈夫だと思う。私が水晶の力を使って治療するから。」

と、礼奈は言うと、すぐに、李章のところへ行き、青の水晶の力で李章の治療をし始める。


第24話-2 闇の放射へと続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回で、第24話が完成させていきたいと思っています。予定ですが―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ