表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
340/748

第135話-15 あえて乗ってみるのもいいのかもしれない

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んで見てください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、アンバイドがクルバト町へと向かっていくために、リースの城から瑠璃たちには知らせずに去って行き、そうしようとした時に、ギーランに見つかるが、そのまま、出て行くのだった。一方で、クルバト町にはあるものが出現しており、それがランシュとヒルバスに知らされるのだった。二人がその存在について知っていたので、何もしないように命じるのだった。それを、リーンウルネとローに聞かれるのだった。

今回で、第135話が完成します。長かったですが、ここで一区切りとなります。

 「何を、面倒くさそうな表情をしている。」

と、リーンウルネは言う。

 リーンウルネから見ても、ランシュという人間の表情がわかるぐらいに出ていたのだ。

 「それは、ランシュ様もこのような表情になりますよ。」

と、ヒルバスが応答する。

 ヒルバスとしては、連日、公務という名の激務をこなしているランシュがベルグ関連で、あえて放置しておくことが重要だということをリーンウルネとローに聞かれたのだから―…。

 何となくだけど、面倒くさいことになる予感がしない方がおかしいぐらいだ。

 (この二人が、さっきの話を聞いたとなると、俺とベルグが繋がっているということを確実に掴んでくるだろう。だけど、三人組の時間稼ぎをした後、ベルグからの命令はなく、かつ、クルバト町のあれの出現がある以上、実験の終わりが近づいている可能性がある。どうするか?)

と、ランシュは心の中で思考する。

 ランシュとしては、ある程度のベルグが動向がどうなっているのかはわかる。

 だけど、完全ではない。完全に把握することなどできやしない。人の心の中を完全に理解ことができないと同じように―…。

 ゆえに、ある程度ということになる。

 一方で、リーンウルネとローは、ランシュが何かベルグに関する情報をさらに聞ける動機ができたというのは確かであると、認識する。

 ゆえに、この好機を逃す気は、特に、ローには一切ない。まあ、聞けないことを無理矢理に聞く気はない。

 「そうかの~う。それは済まぬが、七つの塔に関してはこちらも情報を共有する必要があるの~う。」

と、リーンウルネは言う。

 リーンウルネとしては、ベルグという人について関心はないが、クルバト町の跡地で七つの塔がどんなものであるのか、それがどのような影響をおぼすのかを把握しておく必要がある。リースにとって脅威なら、対処しないといけない。

 (これは確実に論理的に俺の急所を突いてくるのは確実だろうなぁ~。話すしかないのか。)

と、心の中で自白せざる終えないというのを理解する。

 ゆえに、ランシュは話す。

 「はあ~。ベルグが何をしているのかは言う気はない。だけど、あの七つの塔がベルグのやろうとしていることに関係しているのはわかっている。あの七つの塔が出現したとしても、すぐにどうこうなるかはないことだけは確実だから安心して良い。だけど、ベルグの計画を阻止するなら時間がないことだけは確かだろう。三人組、あの俺を倒した奴らは、ベルグから狙われているのは確かだ。あくまでも時間稼ぎだということだ。で、俺から言えることは以上だが―…。」

 ……………。

 リーンウルネとローは考える。

 ランシュの言葉を聞いて、ベルグの目的というものを―…。

 (時間稼ぎかの~う。儂としては、まあ、今のままで、瑠璃たちがベルグと戦って勝てるという見込みは存在しない。サンバリアへと向かわせる段階で、瑠璃たちが強くなってくれることと、経験を積んでもらうしかないの~う。そうすれば、今の状態よりも、ベルグに勝てる可能性は高まっていくのじゃ。それに賭けるしかないということからは変わらぬの~う。)

と、ローは心の中で考える。

 現に、瑠璃、李章、礼奈の実力では、ベルグを倒すことは不可能ということは確かだし、ベルグの背後にいるあの存在はローと同じ実力であることには間違いないのだから―…。年齢のことを考えるのは失礼に該当することであるが、年を召したローよりも歳とか関係のないあの存在の方が優位なのは間違いない。

 そして、ローは、瑠璃ならば、ベルグとともにあの存在を葬ってくれるのではないかと期待する。希望なのだから―…。だけど、結局は―…。

 これ以上、ローのことに触れても今のところ意味はないのだから―…。あの存在とローの関係はまだ、知る必要性のないことなのだ。知る時、それがこの物語の核心を覗き始めることになるのは確かなことなのだから―…。

 一方で、リーンウルネは、

 (ベルグとやらは、何かをしようとしている。それがリースにとって脅威になるかどうかは分からず仕舞いか。まあ、ローとの関係は今まで通り続けておいた方がよいの~う。それに、ベルグは、過去にリース王国で宰相を務めた人物じゃ。そんな人物は何を目的に、宰相としての職務はかなり良いものであったし、本当に悪いことをなそうという奴はあまりにも普通の人間にしか思えない場合の方が多いからな。)

と、心の中で言う。

 リーンウルネとしては、ベルグの目的が分からない以上、無理矢理こちらが仕掛けていくの危険だということはわかる。というか、ベルグの実力がかなりのものであるということは、ベルグが宰相の時代から話した時に何となく、得体のしれないものであることはわかっていた。危険かどうか、その当時、分からなかったが―…。

 そういう意味で、ベルグというのは今すぐに触れるべき対象のようには思えなかった。

 つまり、ランシュのように、リースの騎士団を動かすのは得策だと思えなかった。状況は変化するので、準備を怠るというわけにはいかなかったので、完全に無視するという選択肢は存在しない。

 「そうか、これ以上は聞けないし、教えないというわけかの~う。まあ、良い。では、の~う。」

と、ローは言うと、リーンウルネとともに部屋を出るのだった。

 その時、ランシュとヒルバスは少しだけ、安心するのだった。

 ベルグの目的を知っていたとしても、ベルグとこれ以上、直接的に関わるということはしないということだ。まあ、状況が変化し、関わる必要がある場合には関わるという覚悟を決めているのであるが―…。

 (…………………。しばらくは、リースの港湾の工事と同時に、貧困層への支援だな。)

と、ランシュは心の中で再度確認するのだった。

 自らが一番にしなければならないことを―…。


 一方、廊下では―…。

 リーンウルネとローが話し合っていた。

 「ベルグは、昔、リース王国で宰相をやっており、クルバト町の虐殺の事件の後、宰相の職を辞職している。まあ、ラーンドル一派によって責任を取らされたのだろう。それに、ベルグの仕事ぶりはしっかりとしており、当時の部下たちからの評価も高い。だけど、感じたのは、ラーンドル一派など簡単に潰せるほどの実力があるのに、なぜラーンドル一派を潰さずに、そこに収まろうとしていたのか。そこが疑問じゃ。」

と、リーンウルネは言う。

 リーンウルネとしては、ベルグという存在はかなり不思議で仕方なかった。

 実力に関しては、強いし、ラーンドル一派なんて簡単に潰して、リース王国の政権を握ることなんて簡単にできたはずだ。なのに、それを一切しなかった。ということは何か別の目的があるのではないか。

 「確かに―…の~う。儂としても、ベルグという人間は国のトップになるということはしておらぬ。例えば、サンバリア付近に現れたという情報もあるのだが、サンバリアを征服しようともしなかった。一人でも十分にそれができるし、支配も可能なぐらいの武力を持ち合わせておる。国の支配者になるのが目的ではないということかの~う。ベルグの後ろにいるあの存在は、過去には帝国のトップ、大国の支配者の裏の存在になっていたのに―…。それとは違う目的を持って行動しているのかの~う? 儂もわかりきっておらぬ。」

と、ローは言う。

 ローが知っていることは、ベルグの後ろにいるある存在は過去において、トップに君臨した人間を裏で操ったりしていたのだ。だけど、だけど―…、今回のベルグにおいてはそうじゃないのだ。

 ローの情報では、ベルグが過去にサンバリアの近くに現れたという情報は確かだし、ベルグがある存在とともにいるのなら、一国を一人で滅ぼすぐらいの実力があるのは、確かであろう。一国を武力や知略で支配したのだから―…。支配者になるのは、決して腕っぷしだけでは不可能だ。そこに、コミュニケーションなどの能力を要することは説明の必要すらない。

 現に、ベルグはトップに君臨しようとしないのだ。ということは、トップに君臨することが目的というわけではない。

 ローとしては、ベルグとある存在の目的が分からない。

 (いや、あの存在が欲しているのは、自らが関わっている人々の願いとそれが自身の好奇心を満たすことでしかない。)

と、ローは心の中で思うが、それをリーンウルネに言う気はない。

 ローとしては、一日でも早く、ある存在に関しては、自らが指定した人物によって、葬り去って欲しい。これ以上、被害が出ないようにするために―…。

 結局、ローはある存在から逃げていることに変わりはないのだが―…。

 「そうかの~う。ということで、儂は、部屋に戻ることにする。明日も公務は多いのじゃからの~う。」

 「わかった。ではの~う。」

 そして、リーンウルネとローがそれぞれの部屋に向かうために、別れるのだった。


 瑠璃たちがリースを去る日。

 リースの港湾。

 船が一艘止まっていた。

 その船は、豪華客船と呼んでもおかしくないものである。

 ここには、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、ミランというこれから旅立つ人がいる。

 さらに、見送りとして、ロー、ギーラン、イルーナに加え、リーンウルネ、セルティー、エリシア、セルティーのお付きメイドのニーグとロメであった。

 「ふむ、サンバリアへと大変な砂漠越えになるが、お主らなら大丈夫じゃ。無理をするなじゃぞ。」

と、ローは言う。

 それに対して、礼奈が、

 「わかりました。無理はしないようにします。」

と、返事する。

 もとより、無理をする気はない。成長のためには、普段の自分よりも少しだけ無理だと思われることをしておく必要があるが、今回の砂漠越えは一つの選択のミスが致命傷になることがあり得るのだ。そうなると、慎重に行動するということが重要になるのは確かだ。

 そして、礼奈は、無理をする気もないので、そのように返事をする。

 「瑠璃、ミラン、またしばらくの間、別れとなるけど、寂しくなったら戻ってきていいからな。砂漠越えのことなんか忘れて―…。」

 「アハハハハハハハハハハ、さすがに―…、それはないと思う。」

 「馬鹿じゃないの!!」

 ギーランの言葉に、瑠璃は誤魔化しながら砂漠越えをすると言い、ミランはありえないという感じで言うのだった。

 ギーランの方も、折角、家族がこのように全員揃うことができたのだから、一緒に、一秒でも長くいたいと思うのだ。長年、再開することすら叶わなかったのだから―…。

 それでも、瑠璃とミランはそのようなギーランの気持ちを知っているのであるが、同時に、瑠璃の方は育ての両親が生きている現実世界は石化しているので、とにかく、それを救うためにはサンバリアに向かって、強くならないといけない。

 まだ、完全にわかっていないわけではないけど、ベルグという人がランシュよりはるかに強いと感じているのだ。ゆえに、強くなって、ベルグに会い、現実世界における石化解除の方法を聞き出すために―…。

 ミランは、呆れる以上の感情はないが、そろそろいい加減にウザったらしく思えるようになったのだ。少しぐらいは一人にしてくれても―…。

 「瑠璃、ミラン。お父さんは二人に会えなくなることを寂しがっているだけだから―…。それに、二人ともちゃんとサンバリアへ行って、生きて帰ってくるものね。」

 「はい。」

 「ええ。」

 「ならよろしい。」

 イルーナは、二人がサンバリアへ向かう中や、サンバリアから帰る時に無事に帰ってきてくれることは、そんな予感がしているので、心配はあったとしても、そこまでという感じではない。

 そして、瑠璃とミランの返事に、頷くのであった。聞きたい答えを聞くことができたのだから―…。

 「瑠璃さん、李章さん、礼奈さん、クローナさん、お世話になりました。私は、あなたがたとともに戦うことができて、人として少しでも成長することができました。ありがとうございます。今度、お困りになることがありましたら、私もリース王族の一人としてこの御恩を返すために協力させてください。」

と、セルティーは言う。

 瑠璃たちには、リースをランシュから乗っ取られることから助けられたのだから、今度は、困った時は、自らが瑠璃たちが困った時には助ける番であり、恩はしっかりと返すのが礼儀だからこそ、今、言葉で示すのだった。

 それは、口先だけのものではなく、本当に実行するつもりであるということを含めて―…。

 「その時は、セルティー王女に助けてもらいます。」

と、瑠璃は言う。

 この時、セルティーの気持ちを無碍にしてはいけないと感じ、自分達がピンチで、セルティーの方が駆けつけられるのならば、助けてもらいたいという気持ちがあったからだ。自分達は、現実世界における石化を解除させるまで自らの生を終えることはできないのだから―…。

 その後、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、ミランは、船に乗り、船は出向していくのであった。

 こうして、瑠璃たちは、リースからサンバリアへと向かって行くのだった。

 瑠璃をリースの城の中で襲おうとした者が属しているされるサンバリアへ―…。

 一つのエピローグは、次のプロローグにすぎない。

 そう、新たな章へのプロローグであり、新たな戦いの渦中へと―…。


 【第135話 Fin】


次回、新章開幕? の前の番外編から―…。

誤字、脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


何とか、リースの章を無理矢理感はありますが、終わらせることができました。ネームとは異なる結末になってしまったが―…。ある点で―…。最終章への伏線になる感じで―…。

リースの章に関しては、長くなるのは想定していましたが、あまりにも中盤から後半にかけて、内容を追加しすぎて、想定よりもかなり遅くなってしまいました。申し訳ございません。当初は、去年ぐらいにリースの章は終わっている予定でした。約束を守れませんでした。すいません。

特に内容の追加が多くなったのは、リースのレグニエド王の暗殺事件、クルバト町の虐殺、ランシュが復讐を成功させていく過程は特に―…。

まだまだ、いろいろと異なってしまった点については述べていきたいですが、投稿時間も近いので、そのことに関しては、第一編終了後に、ボチボチとおまけみたいな感覚で述べていきたいです。一つ言うと、リーンウルネがここまで活躍するとは思ってもいませんでした。というか、登場すらしない予定だったのですが―…。

ということで、お知らせです。

次回の『水晶』の再開に関しては、前にも言ったように、2カ月ほどの投稿をお休みにします。理由は区切りも良いし、少しぐらいまともに休みたいです。『ウィザーズ コンダクター』の投稿があるので、そこまでというわけではないし、新作の方も進めていく予定です。

その間、『水晶』に関しては、おまけ(設定)に関して、投稿することを除いては、今までの話の誤字、脱字の修正、加筆と、番外編および第136話以降のストックを書いていく予定です。

ということで、番外編終了後は、サンバリアへと向かっていく、瑠璃たちの旅過程は、いろんな意味で、『水晶』における謎を少しずつ回収しながらも、伏線を残していくような感じになります。

最後に、次回の『水晶』の投稿は、2022年12月上旬を予定しています。投稿日時が決まり次第、活動報告に書く予定です。

では―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ