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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
336/748

第135話-11 あえて乗ってみるのもいいのかもしれない

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、リーンウルネが瑠璃、李章、礼奈、クローナ、ミラン、イルーナにリースの都市の案内をするのだった。セルティーもリーンウルネによってついてこさせられるのだった。

 リースの港湾。

 港湾関係の労働者が多く働いている場所。

 そこに、リーンウルネは、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、ミラン、セルティー、イルーナを案内する。

 「ここがリース港じゃ。お主らが出発するための船に乗るのはここではなく、向こうにある船乗り場じゃ。ここは、荷物などの貨物、商船が主に停泊しておるのじゃ。港湾労働者も多く、リースの商業における要の一つじゃ。ここを失えば、忽ち、リースは簡単に衰退の道を辿ってしまう。だからこそ、ここは常時、騎士団の騎士や兵士の中でもエリートコースをいく者たちが見張っておるからここが襲われる可能性は低いじゃろう。まあ、そやつらが腐敗してしまったら意味がないがの~う。」

と、リーンウルネは言う。

 この港湾は、リースの心臓部であったとしてもおかしくはない。

 リースの多くの収入源は、領土内の徴税から得られる税もあるが、それに近いぐらいに外国との貿易によって得られる利益に税を課すことで、徴収されている税もまた重要なのだ。

 ゆえに、この港湾を破壊されるということは、リースにとって死活問題であることは間違いない。

 リースを支配しようと考えるのならば、この港湾を潰すということはまず考えない。それに、ラーンドル一派だってそうだったのだから―…。

 港湾を潰すことが考えられるのは、リースの衰退を願い、自らの港湾が交易の中心となることを画策しているような者ぐらいであろう。

 また、港湾で反乱を起こそうにも上手くはいかないだろう。ここはリースの心臓部である以上、騎士団や兵士の中でもエリートが常に何人かで一組のペアを組み、数ペアが見張っているのだから―…。交代制で―…。

 ゆえに、リーンウルネも自信を持つことができる。さらに、アングリアの計画も事前に止めているので、自信というものがさらに上がっていてもおかしくはない。

 それでも、国というか組織というものが腐敗しないことを将来に渡って保障されることはない。むしろ、次第に腐敗していって、新たな勢力に奪われて、代わっていくのがこの世だ。

 なので、リーンウルネも、セルティーに対して、腐敗しないように最大限、注意しないといけないし、リースに住んでいる人々のために、政治をおこなっていかないといけないということを暗に言っているのだ。

 それに、セルティーは、気づかないというわけではないが、完全にリーンウルネの言っている意味を理解しているかと言えば、そうではない。何となく理解したという表現が正しいであろう。

 だからこそ―…。

 「そうならないようにします。」

と、曖昧な感じを抱かせる言い方となる。

 そのセルティーの言葉を聞いたリーンウルネは、

 (まあ、まだ、完全には儂の言っていることを理解しているわけではないの~う。何となくか―…。しょうがないことだ。相手の言っていることの真意を完全に理解するには、早いこともあれば、遅いこともある。今は、待つことが大事なことじゃの~う。)

と、心の中で言う。

 相手の言っていることを完全な意味で、理解することはできない。そういう意味では、リーンウルネの言っていることは間違いということになる。だけど、この完全というものがわずかな不純物という名の理解できない領域を含んだ上でなら、リーンウルネの言っていることは正しいということになる。

 どんな物質であっても、その物質一つのみでは成り立つことはない。要は純度百パーセントには本当の意味ではできないのだ。

 それは、相手を理解するという面でも成り立ちうることだ。相手の歩んできた人生を完全に自分は共有することはできないし、生まれた時間も、生きる人生の期間も、両親なども違いを挙げればきりがない。そう、違いが存在するのに完全に相手のことが理解できることなどあり得ないのだ。

 だからこそ、その完全にならない上でも、完全に近づこうとするのだ。我々はこの世界で生き残り、自らの子孫を残そうとするものは―…。それだけにとどまらないかもしれないが―…。

 ゆえに、今度は、より完全な理解に近づけるために、リーンウルネは、セルティーの理解できる機会を待つのだった。それはあるかもしれないし、ないのかもしれない。未来というものを完全にわかるということができない存在なのだから―…。人間は―…。

 そして、港湾で荷運びや港湾の改良工事をしている場へと向かっていく。


 数分後。

 港湾の改良工事がおこなわれている場所。

 「ここはガタがきているから、こうやって修理をしておるようじゃの~う。書類などでも良く見るからの~う。順調のようじゃな。」

と、リーンウルネは言う。

 順調で何よりである。

 それでも、港湾の改良工事をおこなって労働者は、過去に争議を起こしたことがある。

 その原因は、ラーンドル一派の政治家らが、港湾の改良工事のための費用をネコババして、自分達のところに港湾の改良工事の費用の半分ほどを横流しして、労働者に給料を支払わなかったそうだ。

 本当に、リーンウルネにとっては呆れるを通り越して、馬鹿としか言いようがない。

 リースというのは、海外との交易によって成り立っているのだから、港の整備やそのことに関連することに対して横領などのような行為は、返って、自分達の利益である交易にマイナスに働き、最悪の結果になることは確かだ。

 港湾の整備費用における人件費をケチれば、港湾で働いている労働者の不満を高めることになり、その噂が広がって、港湾での改良工事などに従事してくれる人々が減るかもしれない。そのことによって、整備不良がでれば、事故が起こる可能性を増大させることになるし、完璧と言ってもいいかもしれないぐらいに整備を期待することができなくなる。

 さらに、整備のための資材が足りなくなっても、買うことが―…、いや、その場合は、予算超過でさらに、費用を請求するのだろう。そうすることで、横領している奴のもとへ、もっとお金を入れようとするのだろう。そういう知恵は回るのに、短期的な視野ではなく、長期的な自分にとっても相手にとっても利益になることを考えられないのだろうか。

 そんなことを彼らに指摘したとしても、理解はできないだろう。自分が他者よりも優越することにしか意義を見出していないのだから―…。より多くの富を自分に、とか思いながら―…。

 その富に溺れ、溺死することを夢にも思わず―…。

 「順調じゃろう。金払いの悪いケチ野郎どもはいなくなったんだからなぁ~。ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。」

と、声がする。

 その声を聞いた時、礼奈はもう二度と会いたくない人物を思い出すのだった。

 礼奈にとっては、最終回戦でその人物に勝利することはできたが、目の前で大声を出し、鼓膜を破壊されるのではないかと思わせるぐらいの威力に、恐怖を感じた人物だ。

 「アガランダ、大声はほどほどにするのじゃの~う。というか、お主は港湾工事に今日も従事しておるのかの~う。騎士としての仕事は―…。まあ、見張りにはなるからいいかの~う。」

と、リーンウルネは言う。

 そう、さっきの声は、ランシュの率いるチームのメンバーの一人であった騎士のアガランダだ。彼は、力仕事などをこなすのが上手であり、第十回戦では礼奈と戦っており、その実力はかなりのものである。

 大声のせいで、人に迷惑をかけているのは困ったものであるが、地の属性の天成獣に選ばれているので、こういう土木に関しては、得意分野であったりする。

 なので、ランシュの方は、騎士としての仕事を減らしつつアガランダには好き勝手にやらせている。というか、その方がリースにとって都合が良いので―…。

 それに、さっきリーンウルネが言ったように、アガランダがいることで、リースの港湾に何かあった時に、すぐに対応することができ、かつ、港湾労働者の護衛というか用心棒という感じにもできるからだ。

 「ランシュ様もまた、職務に就いてできるのだから良かった。というか、アングリアの馬鹿野郎は最悪の結末になったな。それに、リーンウルネ様ならアングリアのラーンドル商会のような馬鹿な真似はせんだろう。で、俺らを使って、ラーンドル一派を一掃しようとしたのは少し気に食わないがな!! まあ、良い。で、今日、ここに来た理由は!!」

と、アガランダは言う。

 アガランダは、リーンウルネに対して、ラーンドル商会の奴ら、アングリア体制時代のように港湾労働者の給料をケチったりすることはないだろうな~、ということをリーンウルネの口から確認をする意図もあるし、同時に、圧をかけていたのだ。

 つまり、リーンウルネが港湾労働者の給料をケチったり、横流しすれば、俺らは反抗するからな、という意味だ。

 そのことに関して、リーンウルネはアガランダが言おうとしていることをすぐに理解できるのだった。答えは決まっている。

 そして、アガランダは、ランシュが率いるチームと瑠璃チームの試合を利用して、それを好機と感じたラーンドル一派の計画を潰したのは、少しだけ利用されたという感があり、気に食わないが、それでも、結局、港湾労働者たちにとっての労働環境と給料の面では改善される可能性が高いということもあるので、気に食わないことを水に流すことにした。

 リーンウルネという王族がリースの城の外に良く出ていることを知っているし、それを知らないのはリースに住み始めたばかりか、リースに初めて来た者でしかなく、アガランダもリースに住んで長いので、そのことは知っている。

 だからこそ、リーンウルネは何か用件がある場合に、こういう場所に訪れるということは何となくわかっている。問題の方が多いので、そちらの方に行くことが多かったりする。まあ、それ以外の時も実際にはあったりはするのだが―…。

 今回は、ちゃんと用があるからリースの港湾に来ているのだ。

 「理由は、セルティーや客人にリースという都市を見せておるのじゃ。そのために、港湾に寄ったまでじゃ。」

と、リーンウルネは言う。

 リーンウルネの言っていることは事実だし、リースの心臓部ともいえる港湾を案内しないのは意味のないことだ。

 「そうか、ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。存分に見ていくが良い!! 俺は整備工事を進めていくとするか!!」

と、アガランダはそう言いながら、工事の方に戻るのだった。

 今まで、ただ聞いているだけだった瑠璃たちは、アガランダの五月蠅さにほんの数秒であるが、思考が停止しかけるのだった。

 それでも、アガランダの言葉と同時に、これからさらに、案内されるのではないかということを理解するのだった。

 たった一人―…、

 「行った!! どこかに行った!! 行ったみたいね。」

と、礼奈は必死に確認する。

 礼奈にとって、アガランダは生理的にも受け入れられないほどになっていた。恐怖の対象だ。一秒でも長くいたいとは思わないし、二度と会いたくはない。さっさと姿が見えなくなって欲しい。

 「礼奈―…。」

と、瑠璃が呆れるのだった。

 瑠璃としては、大声を叫ぶ迷惑なところもあるけど、悪い人ではないと感じていた。なぜ、礼奈が恐れるのか、嫌がるのか、わからなかった。

 そして、アガランダが離れていくのを確認して、礼奈は落ち着くのだった。

 ミランは、

 (あんな五月蠅いのを相手にしていたら―…、というか勝利しているのに、勝利した相手に恐怖するなんて―…。)

と、心の中で、礼奈のことを呆れると同時に、不思議に思うのだった。

 まあ、これ以上、考えても意味はないので、リーンウルネの案内で港湾をいろいろと見て行くのであった。

 

 ランシュが執務している部屋。

 そこには、魔術師ローとギーランがいた。

 「何の用ですか? 今、仕事が忙しいのですが―…。」

と、ランシュは、用件を早く終わらせて欲しいと思うのだった。

 ランシュにとっては、仕事の量もあるので、さっさと片付けておきたいので、後に残しておいて、良かったことなんてないのだから―…。

 そういう経験則がある以上、苛立ちというものは感じていた。

 「済まぬの~う。大事な知らせというか―…。アンバイドの奴は、今日、城を出て行って、たぶんじゃが、クルバト町の方へと向かうと思われる。ベルグへと復讐しにの~う。」

と、ローは言う。

 アンバイドからリースの城を出て行くということは聞いているが、ベルグの元へ向かうとはアンバイドから聞いていない。

 だけど、そのような予想は簡単につく。

 アンバイドの目的は知っている。ベルグへの復讐だ。

 かつて、アンバイドと結婚した女性がベルグによって殺されたのだ。どういう理由で殺されたのかは―…。理由があまりにも世間的には理不尽に感じられるし、今は別に出す必要はないだろう。

 それがわかっている以上、このように言えるのだ。アンバイドの行動を―…。

 「そうか―…。前にも言ったが、ベルグの直属の重臣たちは俺と同等かそれ以上の可能性が高い。舐めてかかるととんでもないことになる。行ってしまえば意味がないか。用件はわかったから、仕事の方へと取りかかりたい。」

と、ランシュは言う。

 ランシュとしては、アンバイドがリースの城から出ていくことがわかった。これらの情報を伝令に任せてしまうということと、同時に、ローとギーランの相手をしているほどの余裕がそもそもない。セルティーの分とリーンウルネの分の業務も片付けないといけないのだから―…。

 そのことはローもギーランも理解しているから―…。

 「では、失礼するかの~う。」

と、ローが言うと、ギーランとローは部屋から退出するのである。

 その後、ランシュとヒルバスは伝令を呼び、アンバイドがリースの城を出て行ったから、アンバイドの分の食事は用意しなくても良く、手が空いている者にアンバイドが宿泊した部屋の清掃をおこなってもらうことを言うのだった。


第135話-12 あえて乗ってみるのもいいのかもしれない に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


何か、台風が強すぎるんですが―…。……まだ、通過していないけど―…。ネットとかで見た感じだと―…。台風には気を付けてください。

さて、『水晶』の方は、もうそろそろで第135話は完成できそうな気がします。2022年9月の終わりまでには完成させたいと思います。何とか頑張れば―…。

そして、番外編は、2022年12月頃に開始して、次の章にいけたらと思っています。

最後に、次回の投稿日は、次回の投稿分が完成次第、この部分で報告すると思います。

では―…。


2022年9月18日 なぜか次回の投稿する第135話-11の投稿日時を書くのを忘れていたようです。原因は、前回の分に追加して書いたのを、更新していなかったのが原因だと思います。対策としては、しっかり確認することです。ちゃんと書かれているのか表示されているのかを確認することです。

誠に申し訳ございませんでした。以後、気をつけていきたいと思います。


2022年9月20回 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2022年9月21日頃を予定しています。

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