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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
332/748

第135話-7 あえて乗ってみるのもいいのかもしれない

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んで見てください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、リーンウルネによって瑠璃、李章、礼奈、クローナ、ミラン、イルーナ、そしてセルティーに対するリースの案内が始まるのであった。サンバリアに向かう途中にある砂漠越えに必要なものを揃えることも含めて―…。


 リースの街中。

 辺りには、多くの商店がある。

 当たり前のことだ。何を今更と―…。

 その中で説明していくのだった。

 「ここは、リースの中で最も多くの人々で賑わうクローマス街じゃ。ここには、リースの国内外の陸路で運ばれた品物が集まってくるの~う。多くの人々はここで交渉したりして、リースの各地に運ばれていったりもするし、リースの都市内で消費もされているの~う。商品が―…。」

と、リーンウルネは言う。

 クローマス街。

 リースが建てられてから、しばらくして、形成された商売をする人々が商品の売買をおこなう場所して発展することとなり、かつては、リースに集まるすべての商品がここで取引されていたほどだ。リースを象徴するものの一つである。

 リースの人々がここで買い物をすることもあるぐらいに、一般にも開放されていたりする。

 「人が多いんのですが―…。あの~、私だと―…。」

 「人を上手く避けながら進むことも、また、一つ必要なものじゃ。」

と、セルティーとリーンウルネの親子が会話する。

 セルティーは、こういう人混みの場は初めてであり、どうやって移動するのか理解できていないようだ。

 それをリーンウルネが、避けながら進めということを言って、教えているのだ。それを理解して、実行までを完璧にこなすためには、それなりの時間がかかるというものだ。

 運動神経はあるのだろうか、セルティーはちゃんと人混みの中でもぶつかることもなく、進むことができたが上手くできているわけではない。

 一方で、瑠璃の方はなぜか李章に手を繋がれながら、人混みを避けながら進んでいくのであった。瑠璃は心の中で―…、

 (やった――――――――――――――――――――――――――!! 李章君が手を握ってくれた―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!! でも、手汗とかかいていないよね。)

と。

 実際、瑠璃は、李章に手を繋がれることを恥ずかしい表情をしながらも、心の中では嬉しく感じていたし、いつ、心の中が弾けてしまってもおかしくはないほどの興奮に包まれていた。

 そこで、瑠璃は気づいてしまったのだ。

 そう、自らの手が汗をかいているのではないか。それで、李章に不快な思いをさせてしまっているのではないか、と―…。

 好きな人の目の前で、醜態を晒したくないのは、男だろうが女だろうが変わらない。というか、男女ではなく、個々人によって、醜態を晒したくないという気持ちの程度は異なるものだ。醜態を晒すことに関して、度合いの判断は自分と他人で異なっており、全員が完全に同じというわけではないということは確かなことだ。

 そして、瑠璃の嬉しさも人混みのせいで、周りが見えないという状態になることはなく、李章に手を握られながら、避けていくのだった。

 「瑠璃って、ああいうのが好みなのね。」

と、ミランが言う。

 瑠璃の表情を見て、瑠璃が李章が好きな事に気づく。いや、完全に前から瑠璃が李章のことが好きだということに気づいてはいた。気づかない方がおかしいぐらいだ。ミランは、女性であり、そういうことに気づかないほどに勘の鈍い人ではないのだ。

 そして、そういうことに気づいているからこそ、瑠璃と李章以外の二人と親しい人に答えを出してもらうために、ふいに口が出るように―…。

 「ミランさん、瑠璃が李章のことが好きなのは前からみたいです。私が瑠璃と知り合ってからは、もうすでに李章のことが好きになっていたようですし、それに、李章の方も瑠璃のことが好きって言っていたけど、瑠璃に告白することはできていない感じ。」

と、礼奈は言う。

 礼奈としては、さっさと告白しても大丈夫だと思う。好きだから自らが好きになった人にすぐに告白するのは避けておいた方が良いと思う。だけど、双方が好き合っているのは瑠璃と李章以外の者ならば、よほど鈍い人でなければ、わかってしまうものであるし、本人らもいい加減に気づけるほどだろうに―…。

 本当に、近くにいるがために、お互いに誰が好きなのかということがわからないのだろう。いや、わかっていたとしても、思っていたのと違っていたらとか、相手は自分のことが好きではなかったら、などの気持ちがあり、一歩踏み出せない。そんな感じなのだ。

 「はあ~、李章とか真面そうだけど、融通が利かなそうところが弱点かしら―…。まあ、悪い人ではないから、瑠璃にはちょうど良いんじゃない。素直になれない同士で―…。」

と、ミランは、少し羨ましそうに言う。

 ミランは、なぜかしつこく言い寄ってくる馬鹿が一人だけいたなぁ~と思いながら―…。そいつのことを異性として、恋愛感情として見ることはできないし、嫌いだし、近寄って欲しくないと思っている。そういうのに言い寄られているからこそ、少しだけ瑠璃と李章の関係は良いなぁ~と感じることができるのだった。

 「瑠璃と李章の恋愛は、本人たちに任せて、リースの街の方を楽しみましょう。」

 「そうね。」

 クローマス街を堪能していくことになるのだった。


 クローマス街。

 クローナと礼奈は、ある商店を眺めていた。

 そこに、リーンウルネがやってきて―…。

 「ここは、ローブとか、フードの関係のショップじゃ。ここなら、良い商品も安く仕入れられるじゃろう。儂もここの使っているし―…。旅立つの近いとなると、オーダーメイドは難しいじゃろう。既製品の中であうものを選ぶしかないの~う。」

と、リーンウルネは言う。

 今、クローナと礼奈がいる店はフードやロープ、高級品で言えば、ジャンパーなどを扱っていたりする店だ。この店の歴史は、百年ほどであり、老舗と呼ばれてもおかしくないほどの長さであり、評判に関しては、リースの中でもかなり知れ渡っている。リーンウルネが顧客であることが要因のようだ。

 「いらっしゃい。リーンウルネ様は王族の服は着られないのですか?」

と、不細工な格好と世間的に言われてもおかしくない老年の男が三人の元へと向かうのだった。

 「おお、ルドレドアか。相変わらず、商売の方はどうじゃ。」

 「それはそれは―…、ランシュ様の頃から次第に、リースの人々の生活の改善と同時に、交易量の増加にともない、売り上げも上がっとるよ。アウリア大陸での砂漠越えの商人が増えての~う。そこでの取引が盛んになっておる。うちの商店の方が性能が良いようでなぁ~。従業員にも給料を増やせてたり、ボーナスも出せたりできて、今の状況に感謝じゃ、感謝。」

 「そうか、それは良かった。この二人だけでなく、三人ほどがアウリア大陸の砂漠越えをして、サンバリアへと向かう予定じゃから、顔を覆う事ができるほどのものを見繕ってはくれまいかの~う。」

 「それはそれは、承りました。はて―…、三人ほどとは?」

 リーンウルネとルドレドアが会話を進めていく。

 リーンウルネとルドレドアは、リーンウルネが婚姻でリースに来てからの知り合いである。リーンウルネは時々、リースの街中を見回っていたことから、そこで、この店に立ち寄ったことがきっかけで知り合った。普通に会話する仲である。

 そして、ルドレドアは三十数年ほど前に結婚しており、パートナーは綺麗な方であり、今も美しいとされている。綺麗に輝いているのだ、人として―…。

 ルドレドアは、幼い頃から容姿が良くなかったことから、酷いいじめを受けてきたし、職を見つけることも難しかった。だが、このフードを扱う店の先々代の店主に拾われて、働くようになった。客相手に商売をするのは、最初、その見た目から避けられたものだが、たまたまどのようなフードが良いかを客に勧めた時に、その先々代の店主がなかなかに商売上手で、客に合ったものを選んでいたことから、そこから、売り上げが一時的に落ちようとも、ルドレドアに客の相手をさせていったのだ。

 その商品の勧めた方の良さが認められたのが、しだいに、一時的に落ちた売り上げを上回るようになり、店内でルドレドアのことを悪くいっていたこの店の従業員も次第に認めるようになった。人は決して、見た目の良し悪しで、素晴らしい結果を残すとは限らない。ルドレドアはそのような例の代表の一人かもしれない。

 そして、ルドレドアの商品の勧め良さに気づいた一人の女性が告白して、ルドレドアは結婚するのだった。さっきのルドレドアのパートナーのことである。ルドレドアと結婚すると聞いた時、リースの多くの男性がルドレドアに嫉妬し、恨むことさえあったが、実力で認めさせた。別に暴力的なことではなく、商才という名の実力で―…。

 その後、ルドレドアとそのパートナーとの間に、三人子どもに恵まれ、三人ともルドレドアとは違うが、商売に関する仕事をしているし、二人目の子はラーンドル商会で、ニドリアとともに国際交易を担う一人であり、ニドリアの部下でも有力な一人となっている。

 そして、ルドレドアは、クローナと礼奈を見て、後残り三人がいないことに気づく。リーンウルネが砂漠越えをするということは、今のリースの現状から考えるとあり得ないので、三人ということになっている。

 「瑠璃たちは、別のお店でも見ているのかな。」

と、礼奈は言う。

 礼奈としては、それぐらいしか予想することができないのだ。

 そして、クローマス街は人混みの多い場所であり、一回逸れると人混みの中で探さないといけないので、そうなってしまえば、かなりの時間のロスとなり、他の場所を見ていくことはできなくなってしまうのだ。

 リーンウルネにしても、礼奈にしても、困ることでしかない。

 その後、ミランがやってきて、瑠璃と李章が近くにいるのを理解したので、そこに礼奈とミランが向かうことになった。


 「うわ~、綺麗。」

 それは宝石。

 緑色のした光に(かざ)せば、光輝きそうな感じの雰囲気を持たせている。

 「李章君の持っている緑の水晶(すいしょう)と似ている感じだけど―…。水晶ではないのかな。」

 瑠璃はなぜか緑色の宝石のペンダントを掲げながら、一つの商店に李章とともにいるのだった。

 双方ともに心の中では、かなり恥ずかしい気持ちやら、嬉しい気持ちやらで、かなり気分的に高揚している感じだ。

 「そちらの商品は、水晶ではなく、エメラルドです。というか、ここは宝石の余ったクズなどを特別な方法で集めて、合成して、作った宝石なのですよ。卸し元を言うことはできませんが―…。」

と、この宝石細工店の店主は言う。

 この店主は、顔の左半分に赤い(あざ)があり、その痣は数年前にリースとは別の国における火災に巻き込まれたものである。その大火は町中を覆い、逃げていく中で、何者かによって顔を火の中に無理矢理に突っ込まれたが、そこは川の目の前であり、そこに飛び込むことによって何とかしのいだという。

 それから数日いや、長い間、苦痛の日々だった。このような中で、たまたま病室に運ばれるまでに持っていた宝石の輝きに感動するのだった。

 そう、この店主は後に気づくのだが、この宝石自体が店主の能力によって作られたのだということを―…。いや、これは語弊のあることだ。正確に言うのであれば、宝石のクズなどを組み合わせることで、その宝石を合成すること、もしくは、宝石クズをある程度の大きさに成長させると言ったものだ。

 つまり、この店主は、この異世界における稀少な能力者の一人であり、あの火災の中で、その能力を開花させたのか、気づいたのか、ということになるのだ。

 そして、その後は、この能力を使って、宝石の商売をしているのだ。

 「宝石だと値段が高いと思うし、見ていくだけになるかな。」

と、瑠璃が正直に言うと、店主も気持ちとして少しだけ不機嫌になる。

 この店主も商売である以上、宝石を買ってもらえなければ、日々の食事や生活をおこなっていくのは不可能だ。それでも、そのことを口にすることはない。

 なぜなら、口にしてしまえば、そこから派生するかもしれない商売の人脈というものを失ってしまうかもしれないし、それだけでなく、不機嫌な表情をされたや暴言を吐かれた客から店主に関する悪い噂が広がっていって、評判を落とし、売り上げを減らしてしまうことになり、露頭に迷うことさえあるのだ。

 「そうですか。構いませんよ。」

と、店主は、迷惑ではないということを答えるのだった。

 そうこうしている間に―…。

 「瑠璃、李章、ここにいたのね。礼奈とクローナが呼んでいるからローブ屋の方に向かうわよ。」

と、ミランがやってきて、瑠璃と李章を礼奈とクローナ、リーンウルネが待っている店へと連れて行くのであった。

 その時、店主は、

 (……………今日は、客の入りが少ないのかもな。)

と、心の中で思うが、しばらくした後、露店を開いて、最大の売り上げになることを知る由もなかった。


第135話-8 あえて乗ってみるのもいいのかもしれない に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


ストックがなくなりました。なので、次回の投稿は、完成次第、この部分で報告すると思います。

では―…。


2022年9月8日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2022年9月9日頃を予定しています。


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