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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
328/748

第135話-3 あえて乗ってみるのもいいのかもしれない

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、ローが、瑠璃、李章、礼奈、クローナをサンバリアの方へと向かわせようとするのだった。ベルグの策とやらに乗って―…。

 「えっ、ローさん!!」

と、ギーランは驚く。

 ギーランにとっては、驚かないわけにはいかない。

 そのギーランの言葉を聞いたローは、ギーランの驚きを理解し、すぐに言い始めるのだった。

 「ギーラン、別に儂は、正々堂々、ベルグの考えていることに引っかかろうとしているわけではないの~う。ベルグの考えていそうなことは、何かをしようとしていて、それを達成するのに時間がかかるから、そのための時間稼ぎというのが、本音というところであろう。瑠璃、李章、礼奈がベルグの元へと到達するのを怖れているのかの~う。その、しようとしている何かが失敗するということを考えて―…。まあ、それは、実際に、ベルグに聞いてみないとわからないことじゃし、そこに辿り着くのに、強い奴らを倒さないといけなくなることは確実じゃから、今の瑠璃、李章、礼奈、クローナには無理な話じゃろう。」

 ローは、ここから、自らの方針の肝心な理由を言う。

 「じゃから、ベルグの策とやらに乗って、瑠璃、李章、礼奈、クローナをサンバリアの方へと向かわせ、どうせ、その中で敵の方は確実に刺客を送ってくる可能性が高いと思うから、その敵との戦いで、天成獣の宿っている武器の扱った者たち同士の戦いの経験と実力をより身に付けて欲しいの~う。あの四人に足りないのは、経験なのじゃから―…。」

と。

 そう、ローとしては、瑠璃、李章、礼奈、クローナの実力を第十回戦を見ていく中で、ある程度把握することができていた。

 (瑠璃、李章、礼奈、クローナの実力で、ランシュの言っていたベルグの直属の部下を一人を四対一で倒せれば良いぐらいなのかもしれないの~う。アンバイドが何人か倒せるかぐらいなのじゃからの~う。そうなると、四人には経験を積ませないといけないし、サンバリア以後は、あの一族を味方につけて、総力戦でなければ、ベルグとその部下どもに勝利することは不可能な可能性は高いじゃろう。ベルグの後ろにいる()()()()は儂の命を狙ってきているのじゃから―…。瑠璃なら―…、今度こそ―…。)

と、ローは、心の中で考える。

 ローとしては、ベルグの後ろに存在を倒したいという気持ちは長年持ち続けている。なぜ、持っているのかついては、後に知ることができることなので、語る必要もない。だけど、ローという存在が、そのベルグの後ろにいる存在を直接倒すということは望んでいない。だからこそ、瑠璃という存在が、ベルグとともに倒してくれるのではないか、と思えるほどだ。

 結局、ローは倒そうとしているが逃げているに等しいのだ。それ以上でもそれ以下でもない。

 そして、そのためには、瑠璃、李章、礼奈、クローナには、天成獣の宿っている武器での戦いに関しての、実戦という中で経験を積んでいって欲しいのだ。それは、多くの天成獣の宿っている武器を扱う者たちが徐々に、戦いに慣れていくのとは異なり、時間というものが多く存在しない以上、実際に戦って、経験していくしかない。時には生死の駆け引きが発生するぐらいの緊張感のある戦いを―…。

 だが、ローは、瑠璃、李章、礼奈、クローナなら無事にそれを成し遂げることができると信じている。そんな予感がする。女の勘というやつだ。

 そして、ローの言葉を聞いた者たちは、しばらく黙って、それぞれで考え始めるのだった。

 (経験というが―…、確実にかなり困難なことになるに違いないだろう。ローさんのことだし、少しだけ無茶をさせるような予感がする。)

と、ギーランは心の中で思う。

 ギーランとしては、瑠璃、李章、礼奈、クローナだけで、サンバリアの方へと向かわせようとしているのではないかと思っている。ローとしては、経験を積ませたいのなら、ギーランやイルーナのような実力者を連れていくのは考えていないだろう。

 それに、サンバリアへと向かう時、砂漠にはある一族が存在していることを理解している。その存在は、ギーランとしても関わりのある存在であり、イルーナもそのような感じなのだ。まあ、二百年の間で、ある程度、その一族はアウリア大陸中だけでなく、エウユア大陸にも広がっている。ギーランもイルーナもエウユア大陸の出身であるが、先祖はアウリア大陸なのだ。

 ゆえに、その一族の話を昔から聞いているし、それに、ギーランはその一族の人間に会ったことがあるのだから―…。

 その印象としては、掟に厳しいという感じだ。まあ、そのような印象であったとしても、全員が近づきがたい人間というわけではなく、普通に会話をすることはできるし、ローも普通に話していたりする。族長とかと―…。

 まあ、砂漠の中で生きていく以上、協力していくことは絶対的であり、厳しい環境の中では一人の勝手な暴走が集団の崩壊を意味することがあるのだから―…。

 (そして、サンバリアへ真っ直ぐ、砂漠を渡っていくルートであるなら、確実に、あの一族とも接触することは確実。その場合は―…、瑠璃、李章、礼奈、クローナだけでは確実に難しいだろう。四人が砂漠横断の経験があるわけではない。そうなると、私が―…。)

 ギーランは、砂漠横断の危険性を理解している。なぜなら、砂漠を横断している間、水や食料を手に入れるということは難しい、日中の暑さが体を蝕んでいくし、さらに、夜は寒く、凍死に気を付けないといけないのだ。本当に、経験のない者にとっては苛酷な環境でしかなく、そんなことを経験のない人たちだけにさせるのはさすがのギーランも反対だ。

 砂漠越えならギーランも瑠璃と一緒についていくつもりなのだ。

 一方で、イルーナは―…、

 (ローさんのことだから、砂漠越えをさせようなんて考えているんだろうなぁ~。さすが、砂漠越えとかなるといろいろ準備させないといけないことがあると思う。砂漠は熱そうだし―…。日が強いし―…。)

と、心の中で考える。

 イルーナは、砂漠越えという経験がないので、どういうものかはわからない。砂漠に関して、知っている知識は、砂漠は暑いということの知識でしかなく、水がない、とかそんな感じの―…。

 そういう意味では、ギーランの方が経験がある以上、砂漠の怖さというものを本当の意味で理解できていると思う。

 そして、リーンウルネは、あくまでも聞き役に徹するが、ここでどういうルートでサンバリアで行くのかを尋ねる。

 「ローよ、一体、どうやってサンバリアに行くつもりじゃ。リースなら、サンバリアへの直航便がないわけではないが、それだと、経験を積むということはできないと思うのじゃが―…。まさか、砂漠越えとか考えていないわけないよな。」

と。

 リーンウルネとしては、知識ほどでしか知らないが、砂漠越えというものがかなり苛酷であるということを知っている。砂漠には、生物が住んでいないわけではないが、食糧として活用できるかどうかはわからないし、毒を持っている生物がいたりする。知識がなければ、越えることはできない。だからこそ、砂漠越えで経験を積ませるのなら、経験者が必要なのは確実だ。

 砂漠越えよりも別の方法で、経験を積ませた方が瑠璃、李章、礼奈、クローナにとって、プラスなのではないか…と。その他のことが答えであるということを期待しないわけにはいかない。

 「そのまさかじゃの~う。それに、儂に秘策がないわけではない。それに、砂漠が安全かは別だとしても、その可能性をあげることぐらいはできるからの~う。アウリア大陸の大砂漠を越えていく交易ルートは存在しており、そやつらは、キャラバンを組んでおっての~う。そのキャラバンの護衛をしておけば、おのずと、砂漠に生息している生物や、怪物と呼ばれる生物とも出会おう。瑠璃、李章、礼奈、クローナなら確実に倒すことができじゃろうし、実力も、戦闘経験も身に付くというものじゃ。そうすれば、ベルグにも対抗できるぐらいにはなろう。」

と、ローは言う。

 ローとしては、瑠璃、李章、礼奈、クローナによる砂漠越えは必須のことであり、四人だけで砂漠越えをさせるつもりはない。砂漠を乗り越えるためには、商隊の護衛につくことで、商隊の方が砂漠越えの知識を補ってくれるであろうし、瑠璃、李章、礼奈、クローナは天成獣の宿っている武器を扱っており、実力もランシュ率いるチームの者たちを倒しているので、砂漠に生息している生物ぐらいは倒せると踏んでいる。

 それに、ここではローが言わなかったが、砂漠には、その中で移動生活を送っている者たちもおり、そいつらは商隊の護衛もしくはそこを襲っての略奪によって、生業を営んでいたりもする。つまり、奪った物が自分の生活に必要なものではなければ、近くの街や都市で売ったりして、そこで金銭もしくは必要な物を得たりするということだ。

 彼らのこのような行為は、商人たちにとっては許されざる行為でしかないが、一方で、彼ら自身も商人であることに変わりがないので、完全に排除するなんて考えることはできない。

 ただし、都市国家や帝国などのような国家にとっては、邪魔な存在なので、さっさと排除してしまいたいという気持ちでしかないが―…。

 「……あなた。それにリーンウルネ様。これは無理ね。ローさんは確実に、あの四人に砂漠越えさせるという意見も変えないし、私たちが反対しても、砂漠のど真ん中に放置してしまうことだってやるかもしれない―…。」

と、イルーナが言い始める。

 イルーナとしては、砂漠越えを瑠璃たちにさせたいという気持ちはない。だけど、ローという存在の実力がこの異世界において、ナンバーワンかそれに近い実力を有しており、ある存在のみでしか倒すことも、殺すこともできないのだ。この表現は、正確性があると言えば、完全ではないが、何となくそんな感じなのだ。

 ゆえに、ローと勝負しても勝てるはずがないので、こういう場合、最悪の選択にならないように行動しないといけない。賢く生きるためには必要なことであるが、同時に、力を持っている人物がどれだけ恐ろしい存在であるかを認識させられる。だけど、ローに対する、恨みというもののせいで、自らの人生を崩壊させるような選択肢はしないし、ローが決して、完全な悪ではなく、時に、利益をもたらすこともしているのだから、一概、恨むことなどできるわけもない。

 そして、イルーナは提案するのだった。

 「今回の砂漠越えに関しては、アンバイドがついていくことはないと思う。あいつは、ベルグへの復讐しか頭に入っていないし、サンバリアの関係者が瑠璃を襲撃したという話を聞いたとしても、瑠璃たちとともにサンバリアへ向かうということはありえない。だから、私から一人、瑠璃たちと一緒についていく人を推薦しても良い。」

と。

 そう、今回、四人だけで商隊なしでの砂漠越えは不可能だし、仮に、砂漠越えをする商隊の護衛の依頼を受けられない場合は、四人だけとなる可能性は避けられなくなる。

 それに、瑠璃、李章、礼奈、クローナは、せいぜい十代前半の年齢だし、護衛の依頼を受けられるか怪しい。そうなってくると、年上の人物が必要になる。瑠璃、李章、礼奈、クローナがリースに来るまでに、アンバイドが途中から一緒に行動しているので、アンバイドなら砂漠越えの商隊の護衛依頼を受けられると最初、イルーナは考えた。

 しかし、アンバイドと兄妹であり、アンバイドの考えていそうなことをある程度推測することができるので、ベルグの居場所がわかった時点で、瑠璃、李章、礼奈、クローナとともに一緒に行動することが怪しくなる。というか、しない可能性の方が高い。

 アンバイドにとって、ベルグへの復讐はどんなことよりも優先されることであり、大事なパートナーをベルグによって殺されてしまっているのだ。そのことを理解しているイルーナだからこそ、アンバイドの砂漠越えに参加しないだろうということがわかる。

 そうなってくると、誰を選ぶのが最善の選択となるか、ということになる。ここで、イルーナ、ギーラン、ロー、ミランの中から選ぶということになる。

 ここで、イルーナとローが選択肢の中から外されるだろうし、ギーランも同様となる。理由としては、ローは確実に瑠璃、李章、礼奈、クローナとともに行動することはない。その前に、ベルグとの戦いに備えて、何がしかの準備もしくは行動する可能性が高い。そうなると、ギーランはローとともに行動することが予想されるので、イルーナが最適というな感じになる。

 だが、イルーナはここで、ギーランの元を離れる気はない。しばらくの間、というか、ここ数年ほど、ほとんどギーランと一緒にいられることが少なかったので、やっと、一緒にいられるのだから、一秒でも長くいたいので、瑠璃たちとともに砂漠越えをしたいとは思えない。

 だからこそ―…。

 そして、告げられるのだった。瑠璃、李章、礼奈、クローナの砂漠越えに参加する一人の人物を―…。


第135話―4 あえて乗ってみるのもいいのかもしれない に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


新作の方は第1話は何とか昨日中にある程度仕上げて、第2話に入ることができました。第1話をこんなに長くするつもりはなかったのですが、長くなってしまいました。

新作に関しては、2022年11月下旬か12月上旬頃に投稿開始できるように書き溜めていく予定です。プロットの方も第1部を進めていかないと―…。

では―…。

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