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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
307/748

第132話-7 生きるという道に終わりがあるのだとすれば、この世の生を終える時だ。だけど、今ではないはずだ

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿しています。

現在は、第6部の完結にともない、2022年6月下旬まで休んでいます。

その間に、『ウィザーズ コンダクター』の修正および加筆をしています。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、イルターシャとハルギアのリースの港湾労働現場における倉庫の戦いは、圧倒的な実力でイルターシャが勝利し、ハルギアは捕まるのであった。ハルギアを護衛していた傭兵たちに、そして、傭兵たちからリースの騎士団へとハルギアおよびその仲間が引き渡されるのだった。

昨日(2022年5月27日)、今日の投稿が夜になることを後書きで付け足していました。急な知らせで申し訳ございません。これは、作者のミスです。今回の投稿日を決めた当日は、土曜日であることに気づいていませんでした。すいませんでした。曜日に関して、しっかりと把握していくように注意していきます。

再度、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。

 数十分後。

 「アウリアド様、これを―…。」

と、イロールの上官であるアウリアドに向かってくる、一人の騎士が言う。

 その騎士は、まだ、騎士団に入ったばかりの新人であり、将来を嘱望されていたりもする。

 その人物が、上官であるアウリアドへと、向かって、一匹の鳥を鳥籠から出す。

 この一匹の鳥には重要な役目がある。それを今から―…、始まろうとする。

 「うむ。」

と、言ったアウリアドは、一匹の小鳥と言っても過言ではない存在に、簡単に紙に書かれた文字を競技場にいるとされる騎士団長に伝えるために、紙を鳥の右足に結ぶのだった。

 「頼んだぞ。リースの競技場へ―…。」

と、アウリアドが言うと、鳥はリースの競技場に向かって、飛んでいくのだった。

 その鳥は、小鳥に分類してもおかしくない。

 そして、鳥が飛んでいくのを見ながら、アウリアドは無事にリーンウルネのもとに届くことを心の中で祈るのだった。


 リースの競技場。

 その中の貴賓室。

 「どういうことかどうかは、教えてやる気はないが、お主の側近のハルギアが、リースの騎士団…および儂と繋がりのある傭兵たちによって、捕まったようじゃの~う。ハルギアの仲間たちも含めて―…。」

と、リーンウルネは、小鳥の足に結ばれていた紙の内容をアングリアに読み上げて言う。

 別に、言う必要はないが、ハルギアが捕まったということを言うことで、アングリアのリースの実権を再掌握する意欲を削ぐもしくはなくすことを目的としている。そうすれば、余計な犠牲を積み上げる可能性を減らすことができるからだ。

 まあ、そんな犠牲のことなどアングリアが考えているわけがない。アングリアが考えているのは、自分の手に再度、リースの権限を集めて、ランシュから実権を奪うことでしかなく、リースを自らの思う通りに進めようとしていることでしかない。

 リーンウルネもそのことに気づいているが、リースに住んでいる人々の犠牲をなるべく減らし、犠牲がないことを最大の理想としているので、意欲を削ぐという考えは有効な方法だと判断してしまい、実行してしまう。

 まあ、実際に、有効であることに変わりはないが―…。

 さて、アングリアは、これで、リーンウルネの意図通りに、リースの実権を掌握することを諦めるかどうかだ。

 だが―…。

 「ハルギアの野郎は、まあ~、あいつは政治家としての実力はあるのだろうが、軍事に関しては、素人でしかない。俺がリースを掌握した場合に、あいつを宰相にするということはなしにしてやろう。今回の失敗でな!! で、ハルギアが捕まったことで、俺がリースの掌握を諦めるかっての。ラーンドル商会を別の奴にするという意見を出した奴を仕留めれば良いだけのことだ。メルギエンダ、お前に何か良い案はないのか!!」

と。

 要は、アングリアは諦めが悪いのだ。良くない方向で―…。

 アングリアがレグニエド王暗殺事件の後、リースの中で権力をある程度は持っていたとしても、自らの思い通りに完全にできなくなり、前よりも力が落ちたせいで、イライラの募る日々が続いた。

 そのことをアングリアは忘れることがないだろうし、ランシュのせいにして、リースがアングリアにとって都合が良くない状態にされているのを感じて、日々、誰かに八つ当たりするのであった。このことは、ラーンドル商会の会員の中にとっては迷惑なことでしかなく、次第に、アングリアの支持派の中でも彼らの心の奥底ではアングリアがトップなのは嫌だと思う人も出始める結果となっていた。

 ゆえに、ラーンドル一派の裏切り者がリーンウルネと繋がるようになったのだから―…。

 「アングリア様、この場を打開するような案はございません。私の至らぬばかりに―…。申し訳ございません。」

と、メルギエンダは言った後、アングリアに向かって頭を下げるのだった。

 その姿は、優雅さを纏っており、誰もが見とれてもおかしくはないが、アングリアにはそのような感情を抱かないので、誰もがという表現は正しくないのかもしれない。

 その優雅さは、リーンウルネからしても―…、

 (ほお~、ここまで優雅に礼をするとはの~う。強かさもあるから、油断できない人物だと思うし、味方であったらどれだけ頼もしいことであろう。いや、敵であったらどれだけ恐ろしいことの方が表現としては良いのかもしれない。)

と、心の中で思わせるほどだ。

 そして、リーンウルネは、メルギエンダがどんな人物であるかを知っている。知っていなければおかしいと思えるぐらいに―…。

 そして、メルギエンダは頭を上げるのだった。

 (チッ!! ここに来て役に立たないのかよ!!! だけど、だけど、俺が負けを認めるわけにはいかねぇ~。俺は、リースの権力を掌握し、俺様の思い通りに事をなし、さらにラーンドル商会から集まる金はすべて俺様のものであり、会員どもには貸しているだけだ。俺から金を貰っているのなら、俺のために働け!!! だけど、どうする。)

と、アングリアは心の中で舌打ちをしながらも、考えるのだった。

 アングリアにとって、さっきの心の中で言っていることは、当たり前のことでしかない。最後の方は特に―…。

 現実には、ラーンドル商会はアングリアの功績ではなく、商会で働いているアングリア以外の人物たちによる働きによって、多くの売り上げをあげることができているのだ。それに対して支払われる賃金は、アングリアからお金を貸しているというわけではなく、正当な報酬でしかないし、それ以上のことはない。

 それに、実際の働きに貰える賃金は、少な目と言っても過言ではない。ラーンドル商会が他の商会よりも給料が高いのは事実だが、それでも、仕事量に対する報酬は他の商会の同等の仕事量よりも少ないと言ってもいい。そのことに、ラーンドル商会の社員で気づいている者たちは意外にも少ないし、給料を比較するということはほとんどないし、比較したとしても同業他者とそのようなことをすることは少ないので気づく方が難しいというものだ。

 そして、アングリアは、ここで負けを認めることはない。何があろうとも―…。

 (これだけは使いたくはなかったが、仕方ない。)

と、アングリアは心の中で考えると、メルギエンダに命じるのだった。

 「メルギエンダ!! リーンウルネを人質にしろ!!!」

と。

 アングリアにとっては、リーンウルネさえ人質にすることができれば、確実に、自らの思い通りの結果に無理矢理できると思いながら―…。そんな短絡的な発想しかできないほどにアングリアは追い込まれていた。アングリア本人は、気づいていないだろうけど―…。

 「アングリア様。その命令を受けることはできません。それに―…、アングリア様は今日で、ラーンドル商会のトップの職を辞してもらいます。強制的になってしまったのが心残りですが―…。そうしないといけません。そうですよねぇ~、リーンウルネ様。」

と、メルギエンダは言う。

 メルギエンダは、数年ほど前から決めていたのだ。ただ、それを実行するだけにすぎない。

 「そうだの~う。メルギエンダ、今回のアングリアおよびハルギアの計画に対して、()()()知らせてくれて助かった。感謝する。」

と、リーンウルネは、メルギエンダに向かって、返事をするように言い、かつ、感謝するのであった。

 そう、気づいた者たちも多い事であろう。

 だけど、今は、このリーンウルネとメルギエンダの会話を聞いたアングリアの言葉を聞くことにしよう。そう、アングリアは気づいたのだから―…。

 「メルギエンダ、貴様………俺を……………裏切って………いた……………の……………………か。」

 アングリアは驚きのあまり、言葉を上手く発することができなかった。

 アングリアにとって、メルギエンダは自身のために動いてくれて、優秀な最高の部下であることに変わりはない。さっきは役に立たないと思ってしまったが、それでも、メルギエンダ以上に優秀な存在にアングリアは会ったことがない。

 それぐらいに、メルギエンダのことを信用していたのだ。それが事前からリーンウルネと通じていることを知り、今回の計画を阻止するために動いていたことに対して、絶望以外に何ができようか。

 そのメルギエンダへの信頼はほとんど崩れ去ってしまい、怒りの感情がアングリアの中に占めることになった。

 「メルギエンダ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

と、叫び出すのだった。

 もう、アングリアは冷静に行動するのは不可能であり、短絡的になるのは当たり前のことであった。


 中央の舞台の四角いリング。

 この頃―…。

 何人かの者たちが、心の中でこの状況に対して、思うことがあった。

 (お母さま。事前にアングリアの計画を知っていて、それを阻止するために動いていたのですか。私は、ランシュの企画したゲームのことや、ランシュの過去とリースの歴史についてで、頭がいっぱいで、そこまで頭を回すことができませんでした。お母さまはすごいです。)

と、セルティーは心の中で言う。

 セルティーのようにやることがいっぱいある時に、どうしてもどこかで落ち度が生じるのはしょうがないことだ。人はすべてのことを見通したり、考えたりできるような存在ではないし、そうあり得ることは絶対にないのだから―…。

 そうなってくると、優先順位というものがつけざるをえなくなり、その順位も完全な意味での客観性が伴うということはありえないのだから―…。どこかしらに主観的なものが生じることは避けられない。

 今、目の前の課題をこなすことに精一杯であってもしょうがないのだ。今回の場合、特にセルティーは―…。

 それでも、重要なことを見通して、先に動くことができるリーンウルネに対しては、純粋にすごいとセルティーは感じることができる。

 (これで、アングリアを追い詰めることができました。だが―…、油断することはできません。)

と、セルティーは、気を引き締めるのだった。

 (ふむ、これでランシュの治療は終わりじゃの~う。さて、聞いている話じゃと、アングリアは完全に打つ手をなくしてしまい、敗北ということじゃの~う。儂は、疲れておるから、戦力に加算はされないし、その必要もないようじゃ。さて、アングリアという男が降伏することはありうるのだろうか。その逆なら、幾らでもありそうに思えてしまうの~う。潔さも時には大事じゃと気づかされるの~う、今回は―…。)

と、ローは心の中で言う。

 ローは、ランシュを治療しながら、アングリア、セルティー、イルーナ、リーンウルネらの会話を聞いていたが、アングリアがトップを務めるラーンドル一派の野望が完全に潰え、リーンウルネが最後に勝利を手に入れたことを理解するのだった。

 だけど、アングリアに勝利はなくても、自身が敗北している事実を受け入れることができずに暴走し、大きな犠牲を出しにきそうな気配をローは感じていた。今までのアングリアの言動から考えるに、諦めが悪く、自身の思い通りにならないといけないと考えているのはわかる。だからこそ、窮鼠猫を噛むのように、最後の抵抗してきそうな気がする。アングリア以外には考えもつかない―…。

 要は、アングリアの完全な敗北の状態であるが、何が起こるかわからない危険な状態の二つが相並んでいるような感じなのだ。

 ローは、アングリアの方面を注視するのだった。自らが直接に関与することがないと、わかったとしても―…。

 (う~ん、これは、厄介なことになっているというか。最後の抵抗が危険だけど、そこさえ防げれば十分に決定打に出て、アングリアを無効化して、この騒動は終焉に持ち込める。)

と、イルーナは心の中で考えるのだった。

 イルーナは、今の状況を、危険な一面もあるが、それを防ぐことができれば、確実に、自身の側で決定的なことができ、アングリアを完全無効化することは可能だ。そうなれば、今の騒動は完全に終わらせることができる。

 騒動の余波に関しては、完全に抑えることは無理かもしれないが―…。

 そして、イルーナは、ローと一緒で、アングリアの方面を注視するのだった。自らの出る時を窺いながら―…。


第132話-8 生きるという道に終わりがあるのだとすれば、この世の生を終える時だ。だけど、今ではないはずだ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の投稿に関しては、次回の投稿分が完成しだい、この部分で報告すると思います。

では―…。


2022年6月1日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2022年6月2日頃を予定しています。

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