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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
306/748

第132話-6 生きるという道に終わりがあるのだとすれば、この世の生を終える時だ。だけど、今ではないはずだ

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿。

現在は、第6部が完結し、それまでの修正および加筆を実施中。再開は、2022年7月下旬頃を予定しています。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下になります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138/accesses


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、リースの港湾労働現場のラーンドル商会が所有する倉庫では、ハルギアがおり、そこにイルターシャが突入し、ハルギアとの戦いとなり、イルターシャが勝利するのであった。

 (動ける。)

と、ここで、傭兵を率いている人物が心の中で言う。

 驚きでしかない。

 さっきまで、ハルギアの暗示で、ハルギアの方へと向かうことができなかったし、ハルギアを倒すこともできなかった。

 ハルギアの護衛は、リーンウルネにより、その使者が来るまでのことであり、それ以後は、ハルギアを捕らえることになっていたのだ。倒すという表現も含めて―…。

 動けるようになって、傭兵たちに命じる。

 「ハルギアを捕らえなさい。」

と。

 すぐに、傭兵たちの何人かは、ハルギアを捕縛するのだった。

 ちゃんと、捕縛用の縄を持ってきており、予備も用意していたので、ミスをしても大丈夫なぐらいだ。

 その予備を用意するということによって発生した気持ちの余裕で、普段通りにハルギアを縛ることができたのだ。

 ハルギアは天成獣の宿っている武器を扱っている以上、この縄から脱出できないということはないが、それでも、天成獣の属性が生ではない以上、力任せにするのはどうしても生よりも天成獣から借りられる力の量を多く消費することになるのだが―…。

 イルターシャとしては、傭兵たちがおこなっていることに意味があるのかないのか、それがハルギアが目を覚ますかどうかにかかっている。

 そして―…。

 「首輪を外しなさい。それが、天成獣の宿っている武器だと思われるから―…。」

と、イルターシャは言う。

 イルターシャとしては、別に、傭兵たちを助ける気はない。だけど、二年もの間、ハルギアの行方を追っていたし、その理由は、ランシュの握っているリースの実権を再度、ラーンドル一派および自身に取り戻すためであり、二つの大きな事件に関わっていながらも、不利となるやすぐに逃げていたのだ。

 つまり、ランシュに対する忠義を示しているからこそできることであるし、ランシュ自体が悪政をおこなう気もなく、ほとんどの面でリース王国の領土に住んでいる人々にとって、必要な政策をおこなっていたのだ。

 ただし、ラーンドル一派が完全に排除されなかったので、すべての面で、ランシュの思い通りにできたわけではない。すべてでランシュの思い通りにならない方が、冷静な判断を下すことができるだろう。

 それでも、ラーンドル一派は自分達のこと以外は、どうでも良いことしか言わないので、ランシュの思い通りにならないということが良い方面へ向かうことはなかった。

 ゆえに、本当の意味で、同じ目標を見ながらも、意見が異なる者同士がより良い方法を探っていくための対立ならしていくべきだし、双方が相手に対して敬意を払うことができるのなら、ランシュの思い通りにならないということも良い面の結果をもたらすことができたのである。

 「はい。」

と、傭兵の一人が返事に応じ、ハルギアの持っている首輪を外すのだった。

 さらに、イルターシャは、

 「その首輪―…、確か、二年前のレグニエド王暗殺事件の時のどさくさの中で紛失されていた天成獣の宿っている武器。事件の後に武器倉庫の中の武器をすべて調べたから、それは事実よ。ちゃんと、文書として保管されているから―…。まさか、ハルギアが盗んでいたとはねぇ~。だから、二年間も上手く逃げ切れたというわけ。だよね、この傭兵の中で偉い人―…、ドロールさん。」

と、近づいていたドロールに言う。

 イルターシャの視線は、ハルギアの方を向いていたのであるが、それでも、ドロールが近づく気配を感じることはできる。指揮官としても、軍人としても、戦っている以上に、イルターシャの過去の経験からの必要性で、ちゃんと、気を張って、周囲の気配を感じることができるようになっている。

 そのため、ドロールの行動を見逃すということはない。

 「……………。」

と、ドロールは沈黙を続けるが、それでも、どこかで話すことをしないといけないと思う。

 (…………………イルターシャ。ランシュ側の人間がハルギアを倒すのに味方した。それは、当たり前のことだが、それでも、私たちの味方ということにならない。なぜ、今、我々を始末するようなことをしない。さらに、ハルギアの武器を教えるのはなぜ。)

と。

 トロールにとっては、イルターシャの行動に不可解な点が存在していたのだ。イルターシャがハルギアを倒すのは、ハルギアがラーンドル一派の存在で、レグニエド王暗殺事件をランシュが起こして以後、ランシュからリースの実権を取り戻すために、リースの周辺にある国にランシュを倒すための要請をハルギアがしていたからだ。それも主体となって―…。

 ゆえに、イルターシャがハルギアを倒すのはわかる。ランシュが掌握しているリースを守るということをなすために―…。余計な戦いをなくすために―…。

 ここまでは、ドロールにとって合点のいくことであるが、ドロールらの傭兵に何も攻撃してこない理由がわからない。

 ドロールらの傭兵隊、競技場にいる傭兵たちがリーンウルネの味方であることがわかっている以上、ランシュと敵対する可能性があり、それを潰しておくことはランシュの利益に繋がるのに、なぜそれをしないのか。疑問に思わない方が不思議だ。

 おまけに、ハルギアの無効化に協力さえしてくれるのだから―…。

 そして、ドロールは、意を決してイルターシャに向かって話し始める。

 「どうして、私たちに協力をしてくれるのですか、イルターシャ。あなたはランシュ側の味方のなのに―…。」

と。

 そのドロールからの言葉に対して、イルターシャは少しだけ間を開けて、返事をする。

 「……フフフフフフフフフ、別にこれは、あなた方のためにやっているわけではございません。ランシュ様にとっても利益になるからですよ。ランシュ様は、瑠璃チームに対して勝利した後、自身が弱っている可能性も想定して、そこを狙う可能性のある方々をピックアップしていたのですよ。その人たちが、ランシュ様の方へと向かって行くことが確定したのなら、潰すということを―…、ね。だから、彼らが何も問題を起こす気がなければ、ただの見張りだけで終わりだったのです。十二…、いや、ミランさんが瑠璃チーム側にいってしまわれたので十一の騎士になり、第十回戦に出場しない十一の騎士は、このようなことをしているわけですよ。私を除いて―…。私は、リーンウルネ様が何かをするのではないかと思い、それを探っていたのです。瑠璃チームの三人がリーンウルネ様のいる修道院に向かわれたので―…。そうすると、面白いことに、リーンウルネ様はラーンドル一派の方々の野望を打ち砕こうとされていることを知りました。なので、利用させてもらいました。さて、ランシュ様にとっては、予想外の展開になってしまいましたが、リーンウルネ様の表情からランシュ様にとって最悪の展開にはなりそうにないですね。私は、外にいる騎士たちに報告してきます。」

と、イルターシャは言いながら、歩きながら、倉庫の外へと向かい、出て行くのだった。

 その様子を見たドロールは、

 (……………ランシュの情報網はどれだけしっかりしている。いや、イルターシャ(あの女)が騎士団における治安の情報の統括や掌握するようになって、リースの治安はよりよくなったと言われる。ランシュという人材にはどうして優秀な者たちが集まるんだ。)

と、心の中で、嫉妬のような感じでも思うのだった。

 ランシュの所に優秀な人材が集まるのは、ひとえにランシュの運もあるが、人をどこに配置すべきかをヒルバスがしっかりと理解しておこなっていたり、ランシュの強さとカリスマ性と言えるかはまだ分からないが、人を惹きつける魅力によってなされていたのだ。

 まだ、ランシュは若い方に分類できるので、成長という面ではかなりものがある。だけど、年齢の上昇と成長が完全に反比例することはない。いつまでも、成長し続ける人はいるし、成長を拒みかつ自らのレベルもしくは他者を自らのレベル以下に下げようとする人もいる。結局は、成長する気があるかどうかだ。自らのままを続けることで安定性を増すことも大事なことであるが―…。

 そんな嫉妬のような感じをドロールが抱いたとしても、傭兵隊に優秀な人材が集まるかどうかは、運と人の縁というものでしかない。どんなにランシュのところに優秀な人材が集まるのかということを説明したとしても―…。

 「ドロールさん、ハルギアの首輪を外しましたし、どうなさいましょうか。」

と、傭兵の一人が言ってくる。

 ドロールの部下である。

 ドロールの部下の一人が、ハルギアを拘束する作業を終え、次にどのような行動を移すべきかをこの倉庫の傭兵の中のトップであるドロールに指示を仰ぐのだった。傭兵と言えど、軍隊である以上、命令は上意下達であることがこういう軍事組織を運営していくためには必要なことであり、それを採用している。 

 要は、ハルギアの処置をどうするのか、ということだ。

 ドロールも少しだけ考え、部下たちに指示を出す。

 「外にいるリースの騎士団の方へと、ハルギアを捕まえたと報告しましょう。後、ハルギアの部下どももな。」

と、ドロールは言い、部下たちはハルギアを何人かで抱え、倉庫の外へ出るのだった。

 そして、ハルギアの部下たちは、ハルギアが倒されるのと同時に、無力化され、言葉を発せないようにしていた。そいつらも含めて、運びだす。


 イルターシャは、倉庫の外に出る。

 外には、リースの騎士団に属す騎士が何十人もいる。

 完全に包囲しているわけではないが、それでも、逃げるのが困難な状態にはできている。

 「イロール、ご無事で―…。ハルギアの方はどうなった。」

と、騎士の一人が尋ねてくる。

 イルターシャは、イロールという架空の人物に成りすましている。理由は、イルターシャであることを周囲に悟られないようにするためであるし、イルターシャ自身、騎士団の中でも上位の役職に位置しており、顔も姿も騎士たちやリースの上役の方に知られてしまっているのだ。

 だから、裏などでの暗躍とは言わないまでも、それなりイルターシャという名前で行動しずらい時には、騎士団にいるけど、存在するはずもない人物の名に変装して行動するのだ。

 それは、ランシュやヒルバスも知っていることであり、リースで暗躍しようとしているラーンドル一派の野望を阻止するための重要があるからこそ、ランシュとヒルバスはイルターシャのそのような行動を黙認しているのである。

 そして、イロールことイルターシャは、答えるのだった。

 「ハルギアの方はすでに捕らえることに成功しました。倉庫の中にいた傭兵は、話した通りに、リーンウルネ様の味方であり、ハルギアを捕らえるために協力していただきました。彼らの処遇は如何ほどにしましょうか?」

 「そうだな。それは、こちらが直接、傭兵たちと話すことにしておく。イロール、頑張ったな。騎士団の方へと戻ってくれ。」

 「わかりました。」

 イルターシャはハルギアを捕まえたことを言った後、協力をしたと言えばしたリーンウルネが雇った傭兵たちの処遇について尋ねるのだった。その答えは、イロールの上官となっている人物が直接、傭兵たちに処遇のことを言うと答え、イロールは返事し、騎士団の方へと戻っていくのであった。

 実際は、この近くで、誰にも気づかれないようにして、倉庫近辺の様子を窺うのであるが―…。

 傭兵たちが外に出てくる。

 それに気づいた騎士団のこの場におけるトップが、直接、傭兵たちの方へと向かって行く。そう、イロールと話していた人物が―…。

 「お前らがイロールの言っていた傭兵たちか。ハルギアを捕まえてくれたこと…、感謝する。ありがとう。」

と、言いながらドロールたちに向かって頭を下げる。

 「あなた方は―…。」

と、ドロールが尋ねる。

 ドロールも分かっている。装備や服装から考えて、リースの騎士団の人間であることを―…。

 そして、

 (イルターシャは、ここまで騎士団を揃えてしまうとは―…。あの女がどれだけリースの騎士団に影響力をもっているのかがわかる。いったい、どうされるおつもりですか、リーンウルネ様は―…。)

と、心の中で、ここまで騎士団がいることに驚きながらも、同時に、冷静さをドロールは失うことはなかった。

 ゆえに、リーンウルネの恐ろしさを理解してしまうのだった。それを生かせるランシュがどれだけ恐ろしいのかを―…。

 「リースの騎士団です。安心してください。私たちとしても、ハルギアは捕まえないといけない人物だと認識しています。これ以上、リースに住んでいる人々の安寧を脅かされないために―…。」

と、イルターシャと話していた人物が言う。

 この人物も、ハルギアを捕まえることに対して、反対するようなこともないし、ハルギアにとって都合の良いことをする気はない。なぜなら、ハルギアがこの二年の間、リースの安寧を脅かしていたのは事実であるし、ラーンドル一派がろくなことをしていないのは、この人物の実家からよく言われていたことだ。

 イロールの上官は、続けて―…、

 「そして、協力をしてくれたお前たちには、リースの方から褒美を渡そうと思う。連絡はどこにすればよい。」

と、言う。

 イロールの上官としても、このドロールがどこの部隊かは予想できるが、傭兵というものは、偽物を名乗る奴らもいるので、ちゃんと確認しておかないといけない。それは、褒美を性格に渡しておく必要があるからだ。そうしないと、間違いがあれば、間違った方からお金を取り戻すのは難しく、間違われた側から請求され、再度払わないといけないので、損しかないのだ。

 「リーンウルネ様に直接話してくれればそれで良い。そうすれば、私たちに伝わるから―…。」

と、ドロールは言うのだった。

 そして、ドロールとイロールの上官がしばらくの間、話すのだった。ハルギアを捕まえた状況とか、世間話とかも含めて―…。


第132話-7 生きるという道に終わりがあるのだとすれば、この世の生を終える時だ。だけど、今ではないはずだ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


そろそろストックがついてしまいそうな感じです。再開するまでに十数話ほど溜めようとしたのですが、それに失敗しましたが、それでも、再開後のゆっくりではありますが、書き進めることができたり、途中で三日ほど休んだので、ここまで何とか多くの量かはわかりませんが、投稿することができました。

『水晶』という話は、プロローグから第一編で一気に340~350年ほどの年月が経って、急に現実世界から物語が始まるので、混乱すると思いますが、元々、『水晶』が第一編が先に構想があり、その後に、なろうに投稿する直前に編ごとの主人公に加えて、物語全体の主人公を加えた感じなので、このような意味不明なところができたのだと思っています。

それでも、『水晶』という作品は、かなり長く、構想したのが十年から二十年ぐらい前のことであり、最初は第一編の主人公がメインの話でした。その後、第二編と第三編の主人公がある程度、どうなるのかということは物語として進めたことはあります。頭の中で―…。第四編以後は、構想としてはあるのですが、完全にどういう結末にするのかあまり決まっていません。そして、『水晶』、第7編があるかもしれないということだけは確定ではないですけど、一応、頭の中にあります。

最後の最終編で、物語全体の主人公の成長した姿を書ければと思っています。

『水晶』というタイトルも元々は少し違っていたのですが―…。それは、第一編終了後に、カクヨムで再度修正および加筆して投稿する時の第一編のタイトルにしようかと今のところは思っています。ここに関しては、予定が変更される場合があるので、確定していることではありませんが―…。

なろうの方の『水晶』は残していると思います。

長々となってしまいました。

最後に、次回の投稿に関しては、2022年5月28日頃を予定しています。『水晶』を少しだけでも先に進めておくというのもあるのですが、2022年5月25日はいつも通りに投稿できないのは確実なので―…。

では―…。


2022年5月27日 2022年5月28日頃の投稿は、いつも通りの朝ではなく、夜を予定しています。朝は投稿できるかわかりませんので―…。

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