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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第19話-3 ルーゼル=ロッヘ(2)

やっと、第19話が終わったぁ~。

前回までは、ゼルゲルがクローナによって倒され、トリグゲラはそれに怒りを感じる。一方で、ランシュの部下であるフードを被った一人の人物がルーゼル=ロッヘで瑠璃、李章、礼奈を探すのであった。討伐のために―。

 ここは、瑠璃、李章、礼奈、アンバイドが宿泊する宿である。

 そして、この四人の部屋は、すべて二階にあり、階段を上がってすぐ左側に瑠璃と礼奈、その左隣の李章の部屋がある。アンバイドの部屋は階段を上がってすぐ右側の部屋である。

 瑠璃と礼奈の部屋から二人の会話が聞こえてくる。

 「今回は野宿にならなくてよかったぁ~、瑠璃。」

と、礼奈の声が聞こえる。

 「うん、そうだねぇ~、礼奈。」

と、瑠璃は礼奈の言葉に返事する。

 瑠璃と礼奈は今日が野宿にならなかったことを喜んだ。瑠璃と礼奈にとっての野宿は、襲撃者から襲撃を受けるというデンジャラスなものが実際にあったからだ。それに、瑠璃と礼奈の経験則上―異世界における短い期間での少しの経験則であるが―、宿泊施設での宿泊に襲撃を受けることがなかった。そのために、宿での宿泊は、イコール今晩の安寧な睡眠と夜の安全を意味していた。

 それゆえに、瑠璃と礼奈は心の底から安心しきっており、心の緊張を完全に解いていた。

 そして、瑠璃と礼奈は考える余裕がでてきたのか、これからどうするかの話へとしだいに移っていった。

 「あっ!! どうやって、ベルグという人の手掛かりを探す。アンバイドさんが今、ルーゼル=ロッヘの情報を仕入れに行ったみたいだけど…。」

と、礼奈は言う。

 「今までが、今までだしねぇ~。手掛かりがここまでで、全然見つかっていないし。」

と、瑠璃はがっくりしながら言う。ベルグの手掛かりや自分たちが育った世界の石化を解く方法が一つも手に入っていないことに焦り、絶望に近い気持ちを瑠璃は抱くのであった。

 「どうにしかして、石化を解く方法と、それを行ったベルグという人の手掛かりを見つけないと…。」

と、瑠璃は絶望の中に希望があることを信じながら、言う。

 「うん、そうだよね。でも、手掛かりがこのままだと見つかる可能性は低いと思う。どうしようか~、って考えてもなるようにしかならないから。ここは、一つ恋バナで。」

と、礼奈はベルグの居場所、石化を解く方法を今考えても見つからないことがわかっているので、話題を変えることにした。


 一方、その頃、瑠璃と礼奈が宿泊する部屋のすぐ近くに影一つあり。

 その影の一つは、瑠璃と礼奈の会話が外にまで聞こえたので、気になってその近くに来ていた。

 (石化した人たちを救うために……、俺たちはこの世界へ来ているんだ。強制的なところはあったけど―……。今のところベルグの情報も石化を解く方法も何一つわかっていない。)

と、影が聞こえてきた瑠璃と礼奈の会話に対して、今の自分たちの置かれている状況を確認する。

 そして、影はアンバイドに言われたことを思い出して、

 (さらに、俺は、アンバイドさんに言われたとおり、天成獣の宿った武器を使っては戦っていない。これからも戦うつもりはない。だけど、これから勝てていけるか心配だ。襲撃された時もほとんど役に立ずになっていて、さらに、瑠璃さんや山梨さんに迷惑をかけた。)

と、瑠璃と礼奈の近くの影一つであった李章は思う。自らが異世界に来てから、蹴りの攻撃にこだわっていることを―…。それは、自分が生まれ育った世界で、師匠である祖父から習った武術が蹴りを中心とするものであったから。そして、自分の蹴りは異世界においても通じないはずはないと李章は思っていた。いや、そう思いたかった。

 だから、続けて、

 (しかし、俺は勝たなければならない。この蹴りだけで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。)

と、李章は再度、自らの武器である天成獣の力が宿った刀を使用しないことを決意した。それは、この異世界において自らを不利となさせるものであったも。

 「何やってんだ。李章?」

と、不意に後ろから李章に声をかける人物がいた。

 そして、そのかけられた声に少し驚いた李章は、声のした方向である後ろへと向いた。

 その声は、李章が最近よく聞きなれた声であり、李章に天成獣の力を半分しか発揮していないことと天成獣の宿った武器で戦うことを説いた人物のものであった。

 そう、李章が後ろを向いたとき、声をかけたのはアンバイドだった。

 「そこ、女子二人の部屋だぞ、李章。お前の部屋はその隣の部屋だろ。なぜ……。」

と、アンバイドは李章がどうして瑠璃と礼奈の部屋の近くで立ち止まっているのか疑問に思う。そして、そのことについて考える。なぜなのか、と。

 アンバイドはある結論に至る。その結論のために、アンバイドは李章へと近づいていき、ひそひそ声となって、言った。

 「まさか!!! ……お前………女子の部屋を覗いて……………二人の………あぁ~~憐れもない姿を~……女の子同士の~………絡み……いや、ガールズトークか声からすると…………それを盗み聞きか……ハハ。」

と、李章に耳打ちするように小さな声で言うアンバイドである。

 その言葉に対して李章は、心の中で、

 (…………女子の部屋を覗くために来たわけではありません。)

と、お怒りマークを表情を浮かべながら、思っていた。

 アンバイドは李章への耳打ちのように小さな声を続け、

 「まあ~、それは男として当たり前だけどなぁ~。李章、お前みたいな年になってくると、同年代の女子に興味を持つのはなぁ~。それでいいんだよ、それでいいんだ。真面目そうに見えても、しっかりそういう男の子の部分をもっているので安心したよおじさんは~。…………だけど、覗くのなら、もう少し…肌の露出の多い場所にしたらどうだ。絶対に!! そうだろ。女子の生まれたまま姿を見る浪漫は~。」

と、アンバイドが暴走気味なことを言う。李章たちの世界で覗きを実行すれば、即警察に逮捕されるだろう。そして、覗きは絶対にダメ!!!

 「アンバイドさん…それ、ただの変態です。」

と、李章は冷静にツッコミのようなものをいれる。そして、心の中では

 (アンバイドの言っている覗きの関してはわかりません。覗きはいけないことです。今、俺がそれを疑われる立場に、この状況から見るとありえますが…。)

と、李章は思っていた。

 そして、李章は目の視界をアンバイドの言葉に集中しすぎていて、すっかり目の前に合わせるの忘れていたので、目を前に合わせた。

 そうすると、李章はドアが少し開いていることに気づく。そして、ドアのところから一つの目とあった。

 (……。)

と、心の中でものすごく驚くこととなった。そう、目があってしまったのだ。瑠璃と。

 李章はヤバい予感がした。そして、人の目には見えないものが見えているように感じた。それは、瑠璃の怒りのオーラであった。

 李章は完全に怯え切ってしまっていた。瑠璃の怒りがどんな歴戦の勇者でさえも戦わずして逃げ出してしまうように強く感じさせるオーラだった。簡単に人を倒せるぐらいだと思わせるほどであった。

 一方で、アンバイドは平然な顔をして、知らんぷりをしていた。

 そして、瑠璃は怒りのオーラとともに、プルプルと体を震わせていた。それは、火山が噴火するような感じで。

 「な~に、女の子の会話を盗み聞きしているのかな~、李章君。」

と、瑠璃は冷静な口調ではあったが、表情は怒りの感情をモロに出していた。

 李章は瑠璃の表情によって、怯え、震え、がくがくとなっていた。

 「あの、瑠璃さん。これには深い理由(ワケ)がありまして~……。」

と、李章は言うが、すでにその子山羊が狼によって追い詰められたような感じになっていた。

 (これ、しばらく不味くなるパターンです。)

と、李章はもう回避することのできない確定的未来に震え上がるしかなかった。

 そして、それは訪れた。

 「二人ともさっさと自分の部屋に帰れ!!! 二度と私たちの部屋に近づくんな!!!!」

と、瑠璃は宿の全ての部屋に聞こえそうな大きな声が怒りをぶちまけた。

 瑠璃は怒りをぶちまけると、ガタンと大きな音をたてて自らの部屋の窓を閉めた。

 李章は、「……」と、茫然とすることしかできなかった。

 アンバイドは、おもしろいものが見れた思い、さっさと部屋へと戻っていった。


 怒りをぶちまけて、ドアを大きな音で閉めた瑠璃は、礼奈の方へと向かっていった。

 礼奈は、

 「アハハハハハ」

と、苦笑いを浮かべていた。

 「瑠璃は李章君に恋バナは聞かれたくはないもんね。」

と、瑠璃の李章に対する心情を知っている礼奈としてはそう思って口にするしかなかった。

 瑠璃と礼奈はしばらくの間、話しを続けたという。


 クローナとローが宿泊している宿。

 クローナとローの部屋に、クローナとローはいた。

 「見つからなかったのう~。」

と、ローは言う。

 「う~ん。もうルーゼル=ロッヘを出発していったのかな~。」

と、クローナは、二人が探している瑠璃、李章、礼奈はすでにルーゼル=ロッヘを出ていっているのではないかと思う。

 「そうとも限らんが、明日までに見つからなければ、明後日に、ここを出発してリースに向かうとするかのう~、クローナ。」

と、ローは今後の予定をクローナに提案する。

 「そうですね。それよりも、夕食はどうします。」

と、クローナはローの提案に同意して、今晩の食事をどうしようかとローに尋ねる。

 「こういう町じゃ。外に食べに行くのもいいじゃろう。」

と、ローは外食をクローナに勧める。

 「そうですね。では、今から行きますか。」

と、クローナが賛成して、ローととも外へと食事をしに出掛けた。


 ゼルゲルは、ルーゼル=ロッヘの町を歩く。

 クローナにやられた飲食店へと。怒りを滲ませながら。

 そして、ゼルゲルを怒らせるものは、どんな目にあうのかを見せしめるために―…。

 「兄貴から壊してもいいという命令を受けた。思う存分暴れさせてもらうぜ。」

と、意気揚々にゼルゲルは言った。そして、言葉を言い終える時に、

 「アハハハハハハハハハハハハハハハハハ~~~~~~~~~~~~~~~。」

と、声高らかにゼルゲルは笑い声をあげた。自らのやり方である破壊を駆使していいという許しを得たのだから。

 こうして、ルーゼル=ロッヘはゼルゲル、トリグゲラ、フードを被った一人の人物勢力と瑠璃、李章、礼奈、アンバイド、そしてクローナとの対決がこの夜に繰り広げられるのであった。


 【第19話 Fin】


次回、ゼルゲルの怒りは、破壊とすることへと結びつく。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。

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