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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
295/747

第130話-8 種は成長し、花として咲く

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、読んで見てください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、ランシュはリースの権力を完全ではないにしろある程度掌握することに成功し、重要な場所の人事を行うのだった。

今回で、第130話が完成します。

 そして、昼食を食堂で素早く済ませる。

 俺としては、王族用の食堂部屋を使用しても良いが、あくまでも俺は王族ではないので、使う気にはなれない。

 昼からは、文官や騎士団に関して、やらなければならないことが多すぎるのだ。

 就任式とか、就任式とか―…。

 俺としては、なるべくそういう面倒くさいのは避けて通れるのなら、通りたいが、それでも、やると決めたことはしっかりとしないといけないことだ。

 無責任なことはなかなかにできないものだ。

 「ランシュ様。私の方がかなり大変な事ぐらいは理解しておいてください。それでも、私はやりたいことをやれているので、疲れを感じることはないのです。それに、約束している以上、最後まで付き合ってもらいます。」

 「わかってる。」

 「昼食後は、先に騎士団の騎士団長に関して、その後に文官の主要な大臣の任命に関して、です。」

 「ふう、嫌味の一つや二つどころではないことが言われそうだな。」

 俺は、これから起こる可能性のあることを思い浮かべると、溜息の一つでも吐きたくなるような気持ちだ。

 溜息は運気を逃しそうなので、吐かないように努めるが―…。

 「そうですね。一つや二つどころか、最初から罵詈雑言の嵐ですよ。だけど、それでも、彼らぐらいならランシュ様で十分に抑えつけることはできます。天成獣の力に差がありすぎるというか、戦い慣れのレベルが違います。それに、騎士団は、ランシュ様の実力を知っていて、恐れている者の方が多いでしょう。」

 ヒルバスは、冷静に言う。

 レグニエド暗殺後に、俺と戦った者は、俺の実力をはっきりと把握しているどころか、体の中に染み込んでいることであろう。

 俺と戦うことは無謀であるということを―…。

 だけど、それを知らない者たちもいる。

 俺と実際に戦っていないもしくは戦闘を見ていない者は、俺の本当の実力を知らないから、俺に対して強気に出てくるのがいてもしょうがない。

 その時は、俺の力で捻じ伏せさせてもらうが―…。

 そして、俺とヒルバスは、王執務室へと戻るのだった。


 戻ってから一時間後。

 騎士団に関することの重要な話し合いがある。

 一方的、と言われれば、それを否定することはできないが―…。

 そして、騎士団に関するものは、俺にとって重要な側近の騎士を決定することも兼ねている。

 天成獣の宿っている武器に選ばれ、かつ、強くなれる者を―…。

 「お連れいたしました。」

 「わかりました。お入りください。」

 そうすると、十人の者たちが王執務室の中に入ってくるのだった。

 俺が知っているのは、フォルクス、メルフェルド、アガランダ、レラグ、イルターシャ、クローマ、ニードぐらいであろう。

 他には知らない奴がおり、実力者なのは何となくだけどわかる。

 こいつらの上に直接的に俺が立つことになる。

 「わざわざ王執務室へお越しいただきありがとうございます。これより、リースにおける私の直属の側近となる騎士に、フォルクス以外を任命しようと思う。これは、リースにおける国内および対外関係の軍事における問題を一人以上の遊軍として解決してもらう役職で、私の直属の命令で動くものとする。そして、私との間に意見を述べることもいつでも受けられるようにする。」

 まあ、俺の側近としての特別待遇みたいなものだ。

 過剰に特別待遇を与えるのは良くないが、差をつけないと―…、まあ、こういうのは好きではないけど、俺は一人しかいない以上、限界というものが存在するのだ。

 それに、体力の限界とかそういうものが―…。

 そして、誰も反発してくること様子はない。

 メルフェルドはイルターシャに倒されていることから、フォルクスは俺に倒されていることから、反抗しても無駄であることを知っているはずだ。

 それでも、気持ちとしては憎いという感情は残っていることであろう。

 仕方のないことである。

 が、俺の予想に反したのは、メルフェルドの方だった。

 「私は、ランシュさんの話を受けようと思っています。私は騎士としてイルターシャさんに敗れている以上、ランシュさん達のことを恨んだとしても、何かが解決されるわけではありません。それに、私はリース王国の騎士の一人である以上、リースを守ることができるのであれば、リースを本当に守る気のある人の下で働きたいです。」

 「そうか、メルフェルドの言葉を受けて、私自身も精進をしないといけないな。メルフェルド、私の話を受けていただき感謝します。他の者たちは、私の話を受けてくれますか。」

 と、俺は、同意を求める。

 そして、俺の部下である面々はすぐに受け入れるが、残り者たちも考えた上で、この話を受けてくれることになった。

 こうして、十の騎士が誕生することになった。

 「話を受けていただきありがとう。フォルクス―…。お前には、今まで通り、リースの騎士団の団長として役目を担ってもらう。私としては、騎士団の存在がリースにとって重要な存在であることが、たとえ、レグニエド王を殺したとしても、変わることはない。さらに、騎士団は、勤務に実直な者も多く、リースの繁栄に多大な貢献をしている。ゆえに、騎士団は、変に体制を変えてしまえば、リースが混乱してしまう。それは、私も望んでいない。だからこそ、フォルクス、お前に騎士団を纏めてもらいたい。私と騎士団の目的は同じなのだから―…。」

 「わかりました―…。」

 これで、一応、騎士団の問題は解決だな。

 そして、フォルクスらが退出していって、大量にある業務をヒルバスとともに片付けるのだった。

 これからも課題が、山積状態か。

 多いなぁ~。


 翌日。

 リースの城の中の廊下。

 今日も、忙しく、仕事がたくさんだ。

 なぜか、歩いているのだが、何人もの人と一緒に引き連れている。

 別に偉ぶりたいわけではない。

 俺の中では、偉ぶりたいと思う時点で、俺は自分を過信しているのではないかと思ってしまったりもする。

 まあ、態度に出してしまえば、そうなのかもしれない。

 なぜ、幾人かを引き連れているのかと言えば、それは仕事の確認をしているだけにすぎない。

 あくまでも、彼らの仕事に対して、進めていた事業の中で、リースの繁栄にとって、必要な事に関しては、そのまま進められるように許可をしたり、必要のない政策はなるべく中止にしていこうとする俺とそれを阻止しようとする者たちとの話し合いをしていた。

 ここで、武力を用いても意味がない。

 大事なのは、論理と同時に、説得力である。言葉による。

 時々、頭にきて、武力をチラつかせたいと感情で思ってもしまうが、それを心の奥にしまって、何とか耐えるのだった。

 トップに立つのは、苦労の連続でしかないし、なぜ、この地位を求めるのか理解に苦しむが、それはこの地位にいるからこその悩みなのだろう。

 本当に、問題が次々へと畳みかけるように、やってくるものだ。

 要は、やるべきことが多すぎる。

 だが、他の者を宰相として昇進させるべきだったかぁ~…。

 今のところ、有用な人材はいないな。

 腐敗がかなり進行していたってところだろ。

 しばらくは人材確保と、自らの軍事力の確立だな。

 十の騎士でも限界は存在する以上、数は集めないとな。

 今の俺の悩みというものは、具体的にはこんなものだろう。

 有用な人材に関しては、俺が知らないところもあるので、探していくしかない。

 軍事力は、ある程度の差までは、個人や技術力などの他の面でカバーすることはできるが、圧倒的となってしまうとかなり不利になってしまう。悲しいことに―…。

 後は、ベルグのやりたいことが実行できるまでに、ベルグのいる場所に気づかれないようにしないとな。

 「ランシュ様。貿易に関することですが―…。」

 そうだな、貿易に関しても大事だ。

 リースという都市が、貿易における重要な場所である以上、そこに関してはしっかりとさせておかないとな。

 万が一不備があれば、揉め事に発展し、リースの信頼を失いかねないのだから―…。

 そして、俺が、貿易に関して、言い始めようとすると―…。

 「ランシュ。」

 一人の女性が俺の目の前に立っていた。

 絶望を抜けきって、いつものトップとしての器だと思わせる眼力と、それを見る者たちにこの人物の強さというものを感じさせる。

 こっちの話が終わらないと、貿易の話なんて始めることすらできない。

 「リーンウルネ様。」

 そう、俺に話かけてきた一人の女性とは、リーンウルネということだ。

 やっぱり、リーンウルネのオーラに呑まれ、つい「様」を付けてしまうのだった。

 そして、俺は続けて言う。

 「どうなされましたか。」

 さあ、何を言いにきた。

 「聞いたぞ。お前の過去を―…。」

 何!!

 嘘を付いているようには感じない。

 それに―…、リーンウルネは嘘を付きにここに来たわけではないだろう。

 俺の過去に関して、信頼できる者から聞いたということなのだろうか。

 やっぱり、このことに関しては、表情を厳しいものにしているかもしれない。

 それでも、冷静に―…、冷静に―…。

 「それをどこで知った。」

 知って欲しくない人物に知られたということだ。

 もう過去のことでしかない。

 達成したのだからなぁ~。

 復讐達成の実感というのはないが、それでもガラリと変わったということを理解しているが―…。

 「いや~、さっき優しい魔術師様が教えてくれての~う。まあ、それで知ったことから推測すると、何も実感を感じていないのだろ、今―…。それはそうだろう。だから、私は決めたよ。しばらくの間、修道院に入って、引退させてもらうよ。政治から―…。これで、ランシュ、お前は思い通りに政治をすることができる。だけど、思い通りになることは百パーセントとしてない。そして、お主がもし復讐に対して贖罪を感じているのであれば、悔いることだ。そして、恨みをかわれたとしても受け止めることだ。私は、今、行く末を見守る者だ。そうでしかない。っと、話を長くしてしまったが、またの。会えることを楽しみしている。」

 そして、リーンウルネは俺のもとから去って行く。

 この女は、俺の過去を知っている。

 俺がクルバト町出身であることを―…。

 それよりも理解できないことがある。

 それを理解しながらも、自ら政治の舞台から退き、修道院に入る、だと―…。

 権力にしがみ付かない。

 一体何を考えているんだ。

 意味不明だ。

 「……。」

 理解不能。

 言葉にすることすらできない。

 だけど、今、リーンウルネの意味不明な行動を考える時間などない。

 俺はしなければならないことが多すぎる。

 「いくぞ。」

 俺はそう言って、王執務室へと向かうのだった。

 いや、今日から名前が変わったんだったな。執務室に―…。


 そして、リーンウルネは、本当にリースの城から、修道院へと本当の意味で向かって行き、そこで生活するようになったのだ。

 セルティーにほとんど何も言わずに―…。

 本当に、何を考えているんだ。

 不気味すぎる。

 ここから、俺の忙しすぎる二年が始まるのだった。

 そして、現在、俺は、ベルグによって、時間稼ぎを命じられた別の世界から来たとされる三人の子どもの足止めをするのだった。

 その作戦は成功しているようなものだが、討伐しようとする目的は失敗に終わるのだった。

 俺が企画したゲームに敗れて―…。


 【第130話 Fin】


次回、ついに達成されると思うたか!!

誤字、脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


第131話からは、三人称の視点で、第十回戦第六試合後の状況についての内容になると思います。

第131話は、2022年5月中旬頃に投稿を開始する予定です。詳しい日にちに関しては、活動報告の方で2022年5月上旬ごろに書いておく予定です。

書き溜めるように努めます。

では―…。


2022年5月12日 2022年5月13日頃から『水晶』の投稿を再開する予定です。7部分ほど書き溜めることに現在、成功しています。連続投稿はできると思います。

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