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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
291/747

第130話-4 種は成長し、花として咲く

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、読んでみてください。

最近、不調を脱したような気がします。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、レグニエド王が暗殺された二年前の事件―…、ランシュは復讐の目的を果たす。

 セルティーの叫びが連鎖になる。

 そのせいで、周りから悲しみの声が溢れる。

 いや、動揺している声なのだろう。

 まあ、俺は、お前ら使節の人間を殺すことが目的ではないし、そんなことをして、良い事などないではないか。

 各国の使節が俺の考えを理解できなくても問題はないし、言っていないのだから―…。

 「ああ、その生き残りだ。家族を失ったな―…。」

 この時、俺は冷静に言えることができたのだ。

 なぜ、そうなのかはわからないが、心の中の感情は燃え上がるものがあった。

 言葉と感情が逆になっている……、そんな感じだ。

 「き…貴様…。」

 ずっと、長剣を刺したままにできないしな。

 「さようなら。」

 俺は、そう言うと、レグニエドに刺している長剣を引き抜く。

 引き抜く頃から、王族護衛の騎士と騎士団から派遣されている騎士たちが、俺の方へと向かってくるのだった。

 まあ、リース王国の現国王を殺したのだからなぁ~。

 主君が殺されて、何もしない家臣が存在するわけがない。

 「ランシュ(あいつ)は、天成獣の宿っている武器に選ばれている。気をつけろ!!」

 リース王国の騎士団ならその情報を知っていてもおかしくないというか、知らなかったら、どんだけ情報伝達能力に問題があるのだよ、と思うぐらいだ。

 ニナエルマという人物もいるのだし、そのようなことにはならないのはわかりきっている。

 だけどなぁ~。

 「遅いんだよ。」

 長剣という制限付きで戦ってもいいが、リース王国の騎士を殺すことが主目的ではない以上、必要以上に犠牲を増やすのは良くない。

 それに―…、リース王国の騎士でも、天成獣の宿っている武器を持っている人物の方が原則として強い。

 グルゼン親方なんかの例外はほとんどいない。

 生の属性を使って、一発ずつ素早く体術で仕留める。

 これに限るな。

 俺は、リース王国の騎士たちを気絶させていき、同時に、レグニエドの様子を見る。

 レグニエドは倒れていっているようだ。

 そして、治療は不可能だろう。

 「………」

 辺りを俺は見回す。

 これは、レグニエドの様子もであるが、同時に、騎士たちがどれだけ気絶せずに残っているのか、さらに、潜んでいるリース王国の裏の部隊に対する牽制でもある。

 とにかく、数が多い以上、油断はどこからでも生じやすいのだから―…。

 そして、俺は叫ぶ。

 「復讐対象は、死んだ。後は、お前ら、リースの王族、来賓に問おう。俺は、別に他領や他国への征服には消極的であり、このような誕生日会のようなものはいらない。それに、リース王国には、しばらくの間、王位をおかない。そして、他領と他国は、リース王国に攻め込みさえしなければ、俺から直接、お前らの領土に対して攻め込みもしないし、滅ぼしもしない。領土の保障をしよう。しかし、一度でもリース王国に攻め込めば、お前らの領土は二度と安全であることも、その領土があることをないと思え。」

 これは、他国や領主たちの領土をリース王国は攻めないということを宣言するものだ。

 こういうのは、文書にするだけでなく、多くの要人が集まっている場所で宣言することで、リース王国側にとっても、侵略を実行できないようにするためでもあった。

 さらに、レグニエドの後に王位を置かないというのは、理由として、ベルグの計画への配慮であった。

 そして、叫びながらも、俺は要人たちの様子を見る。

 睨みをきかせる。

 まあ、俺の言葉で侮って、リース王国を攻めてくれば、俺と部下の力で確実に、お前らの領土を征服することは意図も簡単なことなのだから―…。

 アンバイドのような強い、いや、この地域で伝説級かもしれないのを雇えば、話は別になるが―…。

 彼らを雇うほどのお金はあるのだろうか?

 雇ったがために、財政難になって、領土を駄目にしたら意味がないのだから―…。

 おっと、忘れるところだった。

 「後、これは忘れてはいけないことだったな。交易に関しては、今まで通りの慣習を適用する。」

 大事、リース王国は、その首都がこの地域における貿易の中心地なのであるから、貿易に関しては、ちゃんと今まで通りにしておかないと―…。

 貿易は、リース王国にとって大事な財源であり、かつ、発展させることによって、王国が栄えるのだから―…。

 さて、粗方のリース王国の騎士は倒したことだろう。

 だけど、リース王国の騎士団の最強の人物とは、まだ戦っていないな。

 「フォルクス!!!」

 メタグニキアが叫ぶ。

 フォルクスがすぐに謁見の間の、王のもとへと伸びるカーペットの上に出現する。

 「ランシュ(あいつ)が、王を暗殺した犯人だ。今すぐ、ランシュ(あいつ)を殺せ!!!!」

 メタグニキアが命令する。

 まあ、戦闘経験がないメタグニキアは、このように、リース王国の騎士団の中で強い奴に頼るしか、現状はないのだから仕方ないな。

 それにしても、気づかれないものだな。

 メタグニキアの命が、俺の手によって握られていることに―…。

 ああ~、命じているよ、ヒルバスに―…。

 それよりも、今は、フォルクスの方に視線を向けないとな。

 「ランシュ!!! なぜ、お前はレグニエド王を殺した!!!! 理由を話せ!!!!!」

 フォルクスが俺を威圧するように言ってくる。

 まあ、王を殺すという罪を犯したのだ、怒りを見せることは当たり前のことだ。職務上―…。

 そして、俺は王を殺した理由を話したとしても、死罪を免れることなどあり得はしないのだから―…。

 まだ、気絶していないのがいるということは、一対多数で、俺が不利なことには変わりはないか。

 本気を出していない状態だと―…。

 それに、この中にいる俺の味方は、一人ではないのだしなぁ~。

 「理由ですか。今のところは言うわけにはいきませんか。まあ、あそこで俺に刺されたレグニエドには教えたがな―…。まあ、お前たちが知ることではないだろう。お前たちは、俺の下で働くことになるのだからなぁ~、これから―…。」

 そう、俺がリース王国を掌握すれば、リース王国の騎士団は、俺の下で働くことになるし、俺の復讐の理由など知る必要もない。

 恨まれても構わない。

 世間の常識と認識されているのと違うことを言って、受け入れられる可能性など、世間の世論形成という面を握っている者以外は、自らの方に向かわせるのはなかなかに可能性の低いことでしかないのだから―…。

 「ふん、話さないのか。これ以上、ランシュ、お前の好き勝手にさせることはできない。リース王国のために―…、死んでもらう。」

 まあ、そういうことになるな。

 フォルクスは、リース王国の騎士団の団長として、正しい判断をしている。

 「ランシュを囲え!!!!」

 ふーん、囲ってくるのか。

 まあ、最強の騎士が知っている俺の情報は、天成獣の力を使うということと、実力は騎士団長より弱いということだ。

 だけど、それは―…。

 本当に俺の実力を言っているのかな?

 まあ、嘘だけどな。

 俺は、自らの天成獣の関係上、本当の実力を隠さないといけなかった。

 それを知らないフォルクスは、俺に敗北する。

 さて、こうなってくると、少しだけでも本気を見せないとな。

 「さて、この数だ。少しだけ本気でいかせてもらう。」

 うわ~、何、調子こいたことを言っているんだ、とか思っているのだろう。

 まあ、その油断こそが命取りとなるのだがな。

 「長剣(けん)は邪魔だな。」

 俺は、自らが長年使っている長剣を床に突き刺すのだった。

 まあ、俺の天成獣の宿っている武器は、長剣だと思っている騎士たちが多いだろうし、そのように思わせている。

 ラーンドル一派に、どういう天成獣に選ばれたのかが、バレないようにしないといけないのだから―…。

 そうなると、騎士たちの多くは、俺の行動の意味を理解できないだろう。

 だって、自らの武器を使わないなんて、馬鹿なことでしかないし、舐め腐っているとでも思っているのだろう。

 実際は、逆だ。

 丁重に扱っているのだよ、リース王国の騎士団を!!!

 さて、俺の天成獣のトビマルは、複数属性を持つ天成獣であり、本当の武器はブレスレットだ。

 まずは、羽を生やし、右腕を土で覆うか。

 そのようにすると、騎士たちは驚きの表情をするのだった。

 「さあ、始めるか。耐えてくれよ。これからのリースに必要な、騎士たち。」

 俺は超高速で移動を開始し、一気に攻撃するのだった。

 もちろん、騎士たちが死なないように配慮しながら―…。

 そして、俺は謁見間の入り口方面にいる騎士の方へと向かい、そこで一端動きを停止するのだった。

 「考える暇はない。」

 そう、考える暇なんて与える気はない。

 もう、攻撃は終わっているのだからなぁ~。

 そして、衝撃波が発生し、騎士たちをぶっ飛ばし、謁見の間の扉から騎士の多くが外に出されるのだった。

 まあ、このような光景を見れば恐怖しか感じないか。

 まともなことだけど、な。

 さ~て、ここからどうするか。

 っということは、決まっているか。

 実力は示すことができたが―…。

 それでも、謁見の間の入り口の扉の方にいて、一人だけ吹き飛ばされることのなかった奴がいる。

 フォルクス騎士団団長。

 手こずる可能性のある相手―…。

 本気を出していない時、いや、力を抑えないといけない時には一度も勝てなかった。

 だけど、今なら、手加減しても十分に勝つことはできる。

 団長は、生かしておいて損はない。

 敵対しようとも一人ではどうすることもできはしない。むしろ、友好関係にあったほうがいい。

 対外関係においては、彼らの力が役に立つのは事実だからな。

 「ランシュ、騎士を攻撃したな。ということは、敵として粛清されても仕方がないということだ。なら、いかせてもらう。」

 フォルクスが俺を敵として、攻撃を仕掛けると言う。

 というか、すでに攻撃へ移行しており、自らの長剣で俺の方へと向かってくる。

 まあ、フォルクスに対抗することは簡単にできる。

 今の俺は、少しだけ本気を出しているのだから―…。

 そして、俺は右手で、フォルクスの剣による振り下ろし攻撃を防御する。

 衝撃音がなる。

 「何!!」

 驚くよなぁ~。

 そのことは簡単予測することができる。

 「斬れると思ったか。フォルクス騎士団団長。」

 俺は、フォルクスを挑発する。

 俺は、フォルクスに見せていない方法で、戦っており、本来の俺としての戦い方だ。

 ラーンドル一派は、これで、俺の天成獣に関して理解したのかな。

 いや、できていないかもしれないな。

 それにフォルクスは、長剣の扱いに長けすぎて、天成獣の宿っている武器を用いて戦うということは―…、していないんだよな。

 弱点を見抜く才能だけが一流であったとしても、それを突くことができなければ、意味をなさない。

 自分の才能を生かしたければ、自らに本当の意味で必要なことは確実に身に付けないといけない。

 たとえ、自らの信念を曲げることになったとしても―…。

 「ランシュ、お前はあの時、本気をだしていなかったのか。」

 お~、悔しそうにしているなぁ~。

 まあ、こっちは、本気を隠していた以上、申し訳ない気持ちがないわけではないが、それでも、俺の目的を達成するためには、必要なことである以上、後悔などないがな。

 それに、これは、決闘ではない。

 クーデターという名の血を流すこともありえる戦いなのだ。

 卑怯と言われても、それが何か、というものだ。

 勝たなければ、自分の目的すら果たせないし、自らの手で生き残るということを獲得できないのだから―…。

 「そうですね。フォルクス騎士団団長。あなたは強い。だけど―…、今のは完全な本気ではなく、少しだけ本気ってところですよ。」

 さらに、挑発…っと。

 フォルクスが冷静さを失ってくれればいい。

 弱点を突くことが上手い以上、俺の弱点を知っている可能性も高いし、それを知られたからとしても、倒すことは可能だが、何が起こるか分からない以上、俺の手の内を積極的に晒す必要はない。必要以上に―…、な。

 「なら、私を見くびらないことだな。私は、リース王国で一番強い騎士だ。お前のような王殺しに負けるわけにはいかない!!」

 フォルクスが言い終えると、俺へと向かってくる。

 俺を殺すべき対象とでも認定した―…、というか、レグニエドを殺した時点で、その対象でしかないか。

 そして、俺の弱点を突こうとしているのか。

 見破るのが早い。

 「やっぱり俺の弱点に気づきましたか。やっぱり、フォルクス騎士団団長だ。俺も予想できていたよ。保険すら意味がなかったよ。だけど―…。」

 最初から考えられることだ。

 そうであるなら、対処法も想定できるというわけだ。

 「!!!」

 一瞬フォルクスは驚いた表情をする。

 長剣での攻撃!!! 右腕で対応すればいい。

 俺は、フォルクスの長剣による攻撃は前と同じ、だけど、この攻撃はブラフ。

 俺だって、剣術をただ勉強していただけじゃない。

 いろんなことを学んで、考えて、俺の体に染み込ませてきたんだよ。

 俺は、右腕でフォルクスの長剣による攻撃を防ぐ。

 相変わらず「キーン」という音がなるなぁ~。

 そして、フォルクスが目の前から消えるのだった。

 だけど、目で追えないわけではない。

 俺はすぐに、フォルクスを視線で追い、屈んでいるのが見えた。

 つまり、長剣で俺の腹部を裂くという攻撃だということを理解する。

 やっぱり、少し本気というのでは駄目だな。

 俺は、素早く高速移動ではないかと思える速さで、後ろへと―…、いや、それよりも、腹部を土で覆っても防げるな。

 そして、俺は腹部を土色で覆うのだった。

 それを全身に覆うにして―…。

 再度、キーンという五月蠅い衝撃音がなる。

 「………。」

 フォルクスは驚きのあまり、言葉を詰まらせる。

 これは、今の攻撃で、俺の腹部が斬られているというイメージがあり、それが失敗して、動揺しているというわけか。

 まあ、そうなるわな。

 さっきの攻撃で、俺を殺すことができるのがフォルクスの勝利のイメージだったのだから―…。

 「やっぱり、フォルクス騎士団団長だ。俺も本気になるべきだな。ちょっとの時間だけどね。」

 「ランシュ…か。」

 フォルクスは、動揺し、顔がほとんど動かなくなっているというよりか、ピクピクし始めている。

 震えもあるなぁ~。

 恐怖を感じているのだろう。

 それでも、冷静にはなるのか。

 さすがは、リース王国の騎士団団長になるだけのことはあるか。

 さて、そろそろ決着といこうか。

 「ダメか。」

 それは超高速で移動し、フォルクスを俺の右手で殴って謁見の間の外へとぶっ飛ばすのだった。

 これには、謁見の間にいる者たちも驚き隠せるということはない。

 わかっていることだけど―…。


第130話-5 種は成長し、花として咲く に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


もうそろそろしたら、ランシュ視点の過去編が仕上がるのではないかと思います。

そうすれば、『水晶』の第十回戦の決着後の内容になっていくと思います。当初のネームよりもかなり内容が追加されており、第131話、第132話は文量が多くなってしまうのではないかと思っています。実際に、書いてみないとわかりませんが―…。

最近、不調を完全かどうかはわかりませんが、脱しているような感じがします。『ウィザーズ コンダクター』の第7部の執筆の途中で悩んだりもしましたが、何か必死に向かい合うと設定が回収できたなぁ~、と自分なりに感じることがあった以後は、何となく、スピードはそこまで変わらないのですが、詰まってもそこまで苦になるということが辛いことが減じたような気がします。

少しは成長したのかな、と思っています。

日頃から読んでくれている人のおかげかもしれません。

『水晶』、『ウィザーズ コンダクター』を読んでいただきありがとうございます。

最後に、次回の投稿については、次回の投稿分が完成しだい、この部分で報告すると思います。

では―…。


2022年4月13日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2022年4月14日頃を予定しています。


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