第130話-3 種は成長し、花として咲く
すいません。投稿する日が土曜日の場合は、いつも午前9時20分前後に投稿しているのですが、完全に当日になって、忘れていました。
再度、申し訳ございません。
以後、なるべくミスを減らすためには、どの曜日も同じ時間するのが良いですが、それでも、リースの章の終わりも近いので、変更はしない予定です(リースの章が終わるまでは―…)。
リースの章の終了後、投稿時間に関しては、改めて見直していきたいと思います。
再々度になりますが、投稿時間が遅れて申し訳ございません。
前回までの『水晶』のあらすじは、ベルグがランシュに対して、レグニエドへの復讐を開始してもいいと許可するのだった。そして、あの事件をランシュの視点で―…。
翌日。
俺は、今日もセルティーの護衛をしている。
護衛騎士である以上、仕事をしているし、それを真面目にこなすのは当たり前のことだ。
そして、セルティーが昼食の時間の時の護衛をする必要が今日はなく、食堂の方にいた。
交代で食事をとる必要があるため、護衛同士で時間を分けて、食事することになっており、ちょうどセルティーの昼食の時間の時に、俺も昼食の時間の休憩をとることになっているというわけだ。
食堂に、レラグがやってくるのだった。
「ランシュさん。仕事の方はどうですか?」
これは、普通に王族護衛の仕事のことでもあり、レグニエドの暗殺に関する準備のことでもある。
こういう場での話は、周囲の人によって聞かれている可能性が高い。
なので、俺としては、なるべく周囲からはわからないような言葉で、レラグに伝えないといけない。
「俺の方は、仕事は順調であるし、ようやく仕事にもやる気がでるようになったな。そして、明日は大事な仕事が控えている。上司からやっても良いという許可も得た。レラグならわかるよな。協力頼むよ。」
この意味は以下のようになる。
普通に仕事である王族護衛の方は順調にこなしているが、明日には重大な仕事になりそうだ。
ベルグからレグニエドに対して、復讐しても良いという許可を得ることができたからな。
レラグなら、この俺の言っている言葉の意味も理解できるよな、協力しろ。
というような感じになる。
「わかりました。他の人にも伝えておきますよ。」
そして、レラグは、ヒルバスとイルターシャに、俺の言っていることを伝えるようだ。
二人、いや、レラグを含めて三人は、俺の復讐を遂げるために、自らの役職の中で上手くやってくれることであろう。
能力が高いしな。
あ~、それに、この二年の間に、クローマーとニードが加わっている以上、何とかなるだろう。
ああ見えて、ニードは頭は良いみたいだし―…。
「そうか、頼む。」
そして、それからは、レラグと世間話しをしながら、昼食を過ごし、すぐにセルティーの自室へと戻るのであった。
王族護衛の仕事の休憩は、決して長いものではないのだから―…、筆頭ということになると―…。
さて、本番は明日だ。
準備に抜かりはない。
常に、イベント事においては、レグニエドに対する復讐をどうやってなすか計画している。
ベルグの許可があれば、すぐにでも実行できるように―…。
明日でようやく俺の復讐は終わるんだ。
そう思うと、少しだけ、気分が楽になった。
レグニエドの誕生日会の当日。
リースの城の中。
セルティーの自室。
そこでは、俺とニーグ、ロメ、セルティーがいる。
「部屋に行ったのですが、お母様がいませんでした。」
セルティーが、少しだけ心配そうになりながら言う。
ああ~、毎年のあれかぁ~。
「たぶん、あの日でしょうから、城にはしばらくいないかもしれませんね。」
ロメも知っているようだ、あの事を―…。
知らないのは、セルティーということなのだろう。
ロメが知っているということは、ニーグも知っている可能性が高いということになる。
「?????」
セルティーがハテナマークを浮かべる。
まあ、自分が知らずに、他人が知っていて、それがどういうことなのか理解できないと浮かべるよな。
そして、不満そうな表情にもなりそうなものだ。
「あの日とは?」
セルティーが疑問をぶつける。
まあ、当然のことだな。
「残念ながら、そのことに関しては、セルティー様には話すことができません。リーンウルネ様より堅く口を閉ざすように命じられています。」
俺は言う。
言わないといけないのだ。
リーンウルネが命じたから話せないのではない。
リーンウルネがレグニエドの誕生日会が開かれる日に、リースの市場に行って、頭を下げて続けているということだ。
このことをリーンウルネがセルティーに言うことに躊躇いはない。
なぜなら、自分の恥ずべきところもあるし、それは、リース王国に暮らす人々に申し訳ないことをしている勢力であるラーンドル一派を抑えることも、倒すこともできていないことに対する申し訳なさをもあっておこなうことであり、それをセルティーに対して隠す必要はないのである。
リース王国の現状を知るという面で重要なことである以上―…。
一方、このようにリーンウルネの行動をセルティーに教えるな、と言ったのは、リース王国の宰相メタグニキアである。
理由までは、メタグニキア自身が言っていないので、推測ということになってしまう。
そう、思考していると、セルティーが、俺に聞いてくるのである。
「なぜ、お母様は教えてくれないのですか?」
「わかりません。」
そうとしか、答えることができない。
推測を言うのであれば、メタグニキアは、セルティーにリース王国の本当の意味での現状を知って欲しくない。
知ってしまえば、ラーンドル一派に反抗することはわかっており、そんなことをされたら、セルティーを葬り去って、新たな後継者を推戴しないといけない。
レグニエドには、子どもがセルティー以外にいないということになると、リース王国の王家の血筋の中で、ラーンドル一派に従ってもらえる馬鹿で、愚か者を探さないといけない。
そこで、リーンウルネが妨害してくるだろうし、さらに、セルティーの命を守るため、セルティーとリーンウルネがずっと一緒に行動をとることになってしまう。
リーンウルネの持っている武器の天成獣の能力というものがかなり特殊な部類であり、セルティーとリーンウルネが一緒に行動する場合、確実に、セルティーを最悪の場合に、殺せなくなることは必至だ。
それらのことを避けたいために、メタグニキアは、情報を教えないということだし、俺らに命令を出しているのだろう。
まあ、推測でしかないし、本人の口から聞いていないし、周囲に発していない以上、答えというものにはならない。
俺にとっては、レグニエドの復讐を果たすために、メタグニキアの命令に今のところ反す気もない。
セルティーよりも、レグニエドへの復讐の方が圧倒的に上回っているのだから―…。
「そう。」
セルティーは、悲しそうに言うのだった。
俺は、セルティーとは別れ、今度は王族護衛の俺の部屋へと向かうのだった。
部屋に入ると、そこには、五人の俺の部下がいた。
「済まない。少しだけ遅れてしまった。だが、作戦に支障はないはずだ。やることは決まっている。俺がレグニエドを殺す。ヒルバスはいつも通りにメタグニキアのところで護衛をしておいて欲しい。」
「わかりました。」
ヒルバスは了解したようだ。
「イルターシャは、謁見の間とその近くにいる騎士の足止めをお願いしたい。特に、暗殺後というか、リース王国の権力を掌握後の方が重要になってくるから、力の温存はしておいて欲しい。」
「わかったわ。」
イルターシャもすぐに、返事をしてくれたようだ。
「レラグは、リース王国掌握後における各国の使節への個別の対応をお願いしたい。レラグの部下を使ってもいいから―…。」
「畏まりました。ランシュ様―…。」
レラグは了解する。
「クローマーとニードは、兵士の方の掌握を頼む。武力を用いていいが、なるべく死者を出さないように―…。」
「かなり難しいことを言ってくるじゃないか。本当に人使いが荒いぜ。だが、わかった。」
「任せておけ。」
俺の指示に対して、クローマー、ニードの順に理解してくれるのだった。
「任せた。」
俺が言い、こうして、レグニエドへの復讐と、リース王国の掌握が始まるのだった。
そして、レグニエドの誕生日会の会場へとゆっくりと向かうのだった。
姿を騎士の服に変えて―…。
王族護衛のではなく、リース王国の騎士団の服を着て―…。
ちなみに、王族護衛であるが、騎士団には席が残っている。
なぜなら、戦闘時に動員される可能性があるからだ。
特に、天成獣の宿っている武器を扱うことができる以上―…。
そして、会場から声が聞こえてくる。
「え~~、これより、リース王であらせられますレグニエド様の誕生日会を開催させていただきたいと思っております。今日、司会を務めさせていただきますは、副宰相筆頭であります私、ハルギアです。今日は遠路はるばるレグニエド様のお誕生した日を祝うために来てくださってありがとうございます。では、定刻になりましたので、これより、レグニエド様の誕生日会を開催させていただきます。」
副宰相のハルギアが今回の司会か。
まあ、各国の重役が来る以上、そうなるわな。
それに、謁見の間の音は、外に聞こえるようになっており、王の威厳を公式に示す場となっており、あえて、音が外に聞こえるようにしている。
秘密事を謁見の前でする場合、声を大きくするということは、ほぼないようにしているのだから―…。感情が激しくならない限りありえないことだ。
「では、最初に、レグニエド様より、今日の誕生日会に対する挨拶があります。」
そろそろ、会場の中へと入ることにするか。
「今日は、世の誕生日会に来てくださってありがとう。こんなに多くの者が来られたことに、世は大いに満足であり、世のように幸福な者などこの世とて、どこを探したとしてもいないのではないかと思っておる。そして、その世の満足は、皆の幸せに繋がっていくことを祈っておる。これは―…。」
アホなことを言っていやがる。
感情を表情に出すわけにはいかない。
今は耐えろ、俺!!
俺は、なるべく音を立てないようにしながら、各国の使節のところから行こうとも考えたが、正面から殴り込むとするか。
「緊急の重大用件が入った。レグニエド王でないと決められないことです。ここは直接、私の口から伝えた方が良いものか、と―…。」
「わかった。」
近くにいたイルターシャが、グッと親指を立てるのだった。
ありがとう、な。
ここでは、言葉を発してイルターシャに言うことができないが、感謝はちゃんとしている。
そう、イルターシャの武器に宿っている天成獣の属性である幻によって、俺の言っていることを事実だと受け止めるようになっている。
俺は、謁見の間の扉を開け、中に入るのだった。
まあ、堂々と入ってくれば、部屋の中にいる者たちは、そのような表情をして、何かあるのではないかと思って、ざわざわするの当たり前のことか。
堂々入って、コソコソするのは良くない。
ならば、ただ堂々と歩きながら復讐対象の元に向かえば良い。
「一体、何用だ。要件を言え!!」
お~、威圧してくるなぁ~。
だけどな、お前程度の文官が本当の意味で、戦争の死線を潜ってきた人間に威圧が通じると思うなよ。
お前ぐらいの存在は、上の人間に媚びることでしか出世できない癖に―…。
というか、お前らは、戦争になったとしても死ぬことがないから、平然と自らの国に住んでいる人々を死に追いやることが言えるんだよなぁ~。
そのような判断も簡単にできてしまう。
俺は、目の前に出て、自らの命を投げ打って戦うよ。
トップに立てばなぁ~。
考えすぎで、油断していると思われかねない。
そのせいで、攻撃されるかもしれないという危険を伴ってしまった。
まあ、実際は、警戒を怠っていないが―…。
さて、副宰相に逆に威圧をかけてやりたいが、目的の方が大事だからな。
なので、周囲の方に威圧をかけてもらうがな―…。
レグニエドへと続く階段の手前で止まり、俺は言う。
「ええ、レグニエド王に大事な、大事な要件があります。」
動揺でもしてろ。
「何じゃ―…、ランシュ、今は儂の誕生日会だ。要件は、本当はこういう会の時間の時は、近くにいる宰相メタグニキアに従者を使ってから、その度合いを判断し―…ッ!!!」
誰が、お前の話を最後まで言わせる必要がある。
すでに、俺は天成獣の宿っている武器を所持し、かつ、その力をすでに使えるようにしているんだよ。
俺は、長剣を構え、レグニエドの心臓部を刺す。
この俺の動きに、近くにいる王族護衛の騎士が、ついてこれるわけがない。
俺の本当の力を知らないし、俺自身が教えていないのだからなぁ~。
そして、俺はレグニエドの左耳近くで、レグニエドに聞こえるように言う。
「クルバト町。」
この言葉を言うと、すぐにレグニエドから顔を離し、レグニエドの表情を見ると、顔面蒼白していた。
やっと、理解したということか、俺の正体を―…。
「まさか、ランシュは、その生き残りか!!!」
レグニエドは、消え入りそうな声で言う。
そして―…。
「お父様…………。」
セルティーの方も動揺し、言葉を失ってしまったようだ。
会話できるかどうかもわからないな。
仕方ないことだ。
「お父様――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。」
セルティーが叫ぶ。
その叫び声は、謁見の間にレグニエドが殺されたという現実を知らしめる象徴となったと言っても過言ではない。
俺は、こうして復讐を達成した。
第130話-4 種は成長し、花として咲く に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。
次回の投稿分に関しては、次回の投稿分が完成しだい、この部分で報告すると思います。
2022年4月11日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2022年4月12日頃を予定しています。
遅れることがないように気をつけたいです。