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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第19話-2 ルーゼル=ロッヘ(2)

次回で、第19話が終われるといいのですが…。

前回までのあらすじは、ゼルゲルはクローナに倒され、ランシュの部下が瑠璃、李章、礼奈を討伐するためにルーゼル=ロッヘに入ってきていた。

 空を人が飛ばされている。

 人は人たちだ。複数の人である。

 ひゅ~、という音が効果音がもしかしたら、してもおかしくはなかった。

 そして、この人はルーゼル=ロッヘの近郊へと飛ばれているのだ。

 ルーゼル=ロッヘの近郊は、森で覆われている。

 そこへ向かっていくが、それを変更することは複数の人にはできなかった。気絶していたのだから―。

 ゆえに、森の中にある木に複数の人は体から衝突するのである。ドォーンと。

 この音は、ルーゼル=ロッヘの町に大きく響くものであった。


 複数の人たちのぶつかった木は、その衝撃によってなぎ倒されていた。

 そのため、森の中の木は、倒れている木にぶつかってドミノ倒しのように連鎖的に倒れていた。

 辺りには、土煙が舞っていた。

 そして、クローナによって飛ばされたゼルゲルらはほんの数時間気絶の時間を延長することとなった。


 数時間が経過した後、ゼルゲルは起こされる。一緒に飛ばされた自らの部下たちとともに―…。

 「ッ!!」

と、ゼルゲルはハッとする。そして、

 「ここはどこだ。俺は―…。」

と、声を大にしながら言う。それは、今の自分の状況を理解するために―。

 「ゼルゲルさん。俺たちは、クローナ(あの小娘)に飛ばされたんだ。」

と、一緒に飛ばされたゼルゲルの部下の一人が言う。

 「そうかよ。俺様をよくもこんな目に。」

と、声を落ち着かせているのを感じさせるような言い方であったが、すでにゼルゲルは自らの怒りは頂点すらこえていた。

 ゆえに、声を張り上げ、

 「許さん!!!!」

と、ゼルゲルは言う。クローナへ仕返すことを成功させるために、自らの士気を上げるように言葉にした。

 それでも、ゼルゲルは冷静に考え、

 (今のようにやっては、俺がクローナ(あのムカつく小娘)に勝てる見込みはない。……なら、兄者の力を借りるか。)

と、心の中で思案した。ゼルゲルは、クローナに自らが今のように挑んだとしても、勝つことはできない。そういうことは、ゼルゲル自身もすぐに理解できていた。素早く自分自身を気絶させたのだから。

 だから、ゼルゲルは、自身よりも強い兄者という人の力を借りることにしようとした。

 そして、ゼルゲルは立ち上がり、

 「今すぐ、兄者のところへ戻る。」

と、言って、ルーゼル=ロッヘ へと向かって歩きはじめるのであった。それを、部下たちは追っていった。


 ルーゼル=ロッヘのとある建物の中。

 歩く複数の人、ゼルゲルとその部下たちがいた。

 彼らは目指していた。ゼルゲルが言うところの兄者と呼ばれる人物がいると思われる場所へと。

 そして、建物に入ってから二~三分歩いたところの部屋にゼルゲルとその部下たちは辿り着く。

 「兄者!!」

と、ゼルゲルは少し声を大きくして言う。

 「何の用だ。入ってこい。」

と、部屋の中にいる人物はゼルゲルへと声をかける。

 そして、それを聞いたゼルゲルは、ドアを開けて部屋の中へ入る。

 「ゼルゲル。お前、いったいどうしんだ。そのケガは…!!」

と、部屋の中にいる人物は、ゼルゲルの体中の擦り傷や切り傷を見て、驚かずにはいられなかった。ゼルゲルほどの強い人物が、体の至るところにケガをしていたのだ。きっと、ゼルゲルよりも強い相手もしくはそれに匹敵するほどの強者であったことを部屋の中にいた人は容易に理解できた。だから、ビックリしてしまったのだ。

 「兄者―………、今日―…………。」

と、ゼルゲルは今日、いつものように取り立ての催促をしにいって、クローナにやられ、ルーゼル=ロッヘの近郊の森へと飛ばされたことについて兄者といわれる部屋の中にいた人物に話した。

 そして、その最後に、

 「俺様に逆らってきたんだ。クローナ(その小娘)が…。」

と、ゼルゲルは言う。

 そして、兄者と言われる人物は、しばらくの間考え込む。

 (ゼルゲルを倒したのが小娘か。それはまずいな。ただでさえ、ゼルゲルが倒されたとなると、ルーゼル=ロッヘ(この町)の人間が勢いづいて、俺たちに反旗を翻されては困る。)

と、兄者は心の中で呟きながらも、考え、これからどうすべきかの結論を自らの心の中で下そうとした。

 (こうなってくると、そうするしかないか―。)

と、兄者は覚悟を決める。

 そして、ゼルゲルたちに、

 「ゼルゲル!!」

と、兄者は言う。

 その兄者の雰囲気に蹴落とされているようにゼルゲルとその部下は感じた。

 そう、ゼルゲルは

 「はいッ!!!」

と、声を裏返しながら大きな声で言い、心の中で、

 (兄者だけは敵にはまわしたくねぇ~。)

と、思った。

 そして、兄者は、

 「ゼルゲル、お前はもう一度、クローナ(その小娘)にやられた飲食店へと行け。」

と、ゼルゲルに命令する。

 「あ…兄者……。それは、………もし、クローナ(あの小娘)がいたらー、また、俺が……。」

と、ゼルゲルは怯えながら言う。それもそのはず、クローナによってあっさりとゼルゲルとその部下たちは気絶させられたのだから。もし、クローナにやられた飲食店にクローナがいたら、また返り討ちにあってルーゼル=ロッヘの住民を勢いづけさせかねないという懸念がゼルゲルの頭の中を支配していたからだ。

 「ふん、もしその飲食店にクローナ(その小娘)がいたのなら、俺に報告すればいい。そうしたら、俺が何とかしてやる。」

と、兄者は言う。その兄者の言葉によって、不安を拭い去ることができたゼルゲルは安心した。

 「わかったよ。兄者!!!」

と、ゼルゲルは自信を取り戻し、元気な声で兄者に了解という意味での返事をする。

 兄者は、さらにゼルゲルを安心させるために、

 「ゼルゲル、お前を倒したクローナ(その小娘)には、私から痛い目にあわせてやるよ。ゼルゲルの今の状態の百倍にしてなぁ――――――――――――――――――――!!!!!」

と、後半の言葉を兄者は、ゼルゲルのやられた怒りを全面に最大限出すように言う。

 それには、ゼルゲルもその部下たちも完全に怯えきってしまっていた。兄者という人物が、ゼルゲルよりもかなり実力を有しているを証明するかのように―…。

 ゼルゲルは、兄者の言葉による怯えとともに、安心という気持ちも感じていた。

 「兄者」

と、小さい声で言い、兄者という人物が自分の味方でよかったとゼルゲルは思うのであった。

 「そのために、ゼルゲル、お前はその飲食店へ行って、見せしめにその店を丸ごと壊してきてもかまわないし、周りを巻き込んでもいい。」

と、兄者は言う。ゼルゲルは、この言葉で兄者のしようとしていることを完全に理解した。見せしめにゼルゲルがクローナにやられた飲食店を壊してこい、と。そう、ゼルゲルにとって、最も得意な事をしてこい、と。それにゼルゲルは心の中で喜びを感じた。つまり、ゼルゲルは自らのやり方でやってかまわない、と。

 そして、ゼルゲルとその部下たちは、兄者のいる部屋が出ていった。ゼルゲルがクローナに敗れた飲食店へと向かって―…。


 数時間前、フードを被った一人の人物が歩いている。

 情報屋から出て、ほんの数分の時間が経過していた。

 ルーゼル=ロッヘの町の大通りを歩きながら、

 (瑠璃、李章、礼奈(あの三人組)の情報は皆無か。移動しているのなら、明日にでもこの町からいなくなる可能性がある。そうなってしまったら、探し出すのはより難しくなる。ッ!!)

と、心の中で呟きながら考えていた。

 フードを被っている一人の人物は、さっさと瑠璃、李章、礼奈を発見したがっていた。そして、ランシュによって下された命令をはやく達成したかった。それゆえ、少し歩くスピードも速くなり、イライラも少しずつ上昇していた。

 そんななかで、

 「あなたは、リースのランシュの部下ですね。ルーゼル=ロッヘに何か用か?」

と、声がした。それは、フードを被っている一人の人物に向かって言われたものだ。それに気づいたのか、フードを被った一人の人物は、声のしたほうへ向く。

 そうすると、二人の大男と一人の如何にもずる賢そうな男が立っていた。

 「一体、何だ。お前らは。」

と、フードを被った一人の人物がずる賢そうな男に向かって言う。

 「申し遅れました。私たちは、ルーゼル=ロッヘで貸金と私的治安を与っているトリグゲラという者です。」

と、兄者とゼルゲルから呼ばれていたトリグゲラがフードを被った一人の人物に自らの名を名乗った。

 「私は、あなたのボス―…、ランシュ様の邪魔はしませんよ。私は、ランシュ様から何の命を受けてここに来たかということが気になっているだけです。この町を好き勝手に荒らされては困りますからね。」

と、続けてトリグゲラが言う。

 トリグゲラはフードを被った人物がランシュの部下であることを知っていた。それは、ルーゼル=ロッヘがリースという王国の中の一つの町であった。そのため、ルーゼル=ロッヘに王族の護衛として来ることのあるランシュとトリグゲラは面識があった。そのランシュの引き連れていた部下の一人にフードを被った人間がいたことも覚えている。ゆえに、すぐに同じフードを被った人物と同じ背格好と雰囲気ですぐにわかったのだ。

 「そうか。」

と、素っ気なくフードを被った一人の人物が言う。

 「俺は―…」

と、フードを被った一人の人物は、トリグゲラに対して言う。ランシュの命を受けて、瑠璃、李章、礼奈の三人組を討伐するという命と、そのための情報を得るために―。フードを被った一人の人物は、トリグゲラは胡散臭そうな人物に感じてはいたが、それよりもさっさと三人組を討伐することを優先するために、正直に話した。

 「そうですか。すみませんが今、我々の手にはその情報はありません。しかし、私の部下を使わせて探し出すことはできますよ。」

と、トリグゲラは、フードを被った一人の人物の目的を聞いて、それを実現させるための案を言う。

 「そうか。居場所が分かったら、あの泊っている宿へ使者でも送ってくれ。俺はしばらくそこにいる。」

と、フードを被った一人の人物は言った後に、ポッケの中に入れていた紙とペンを取り出し、宿の名前を書いて、大男の一人に手渡す。

 そして、フードを被った一人の人物は歩き去っていった。

 それを、トリグゲラはただ眺めるだけだった。

 フードを被った一人の人物が視界から消えたとき、

 「今すぐ、部下たちに知らせろ。瑠璃、李章、礼奈(三人組)、いや、アンバイドの方を探せ。そして、アンバイドを見つけしだい、尾行しろ。そうすれば瑠璃、李章、礼奈(三人組)の居場所は掴めるはずだ。」

と、トリグゲラは言う。アンバイドという人物のほうが瑠璃、李章、礼奈を探すよりも、はるかに多くの人がその居場所を知っているし、有名であることがそうさせているので、アンバイドを見つけることのほうがよっぽど簡単である。そして、アンバイドを尾行することによって、宿泊拠点を抑えていれば、瑠璃、李章、礼奈は簡単に見つけだすことができるからだ。

 「はっ。」

と、大男の一人が言って、走りだし、自らの拠点を戻っていった。瑠璃、李章、礼奈を探させるための命令を伝言を仲間たちにするために―…。

 トリグゲラも、走りださなかった大男の一人のほうとともに歩きながら拠点へと戻っていった。焦らずじっくりと事を達成するために―…。


 話は、トリグゲラとゼルゲルの会話が終わり、ゼルゲルがクローナによって倒された飲食店へと向かっていたときに戻る。

 トリグゲラは、部屋にある窓に歩いていき、外のルーゼル=ロッヘの景色を眺めていた。

 (ランシュの部下か―…、嫌な予感がするな。)

と、トリグゲラは心の中で呟く。何か、ルーゼル=ロッヘで自らにとって不利なことが起こるのではないかという予感がしてならなかった。


 リースの近郊。ランシュのいる場所。

 (ヒルバスが動いている間は、フードを被った人物(あいつ)の成長のために使いますか~。まあ、フードを被った人物(あいつ)が、瑠璃、李章、礼奈(三人組)の討伐の中で一皮剥けてくれればいい。討伐に失敗してもなぁ~。俺の中の一番の成長株よ。)

と、ランシュは座りながら、フードを被った一人の人物を瑠璃、李章、礼奈の討伐に送ったことの意義を心の中で言うのであった。成長するのを期待しながら―…。


第19話―3 ルーゼル=ロッヘ(2)へと続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


第19話は書くのが大変だぁ~。次回で第19話が終わるといいなぁ~。希望的観測ですが…。

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