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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
287/747

第129話-17 ミラング共和国との戦い

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国総統エルゲルダが仕掛けたリース王国への戦争は、ランシュがエルゲルダを殺した日に、リース王国の勝利で終わるのだった。そして、ランシュはイルターシャとレラグに自らの目的を話し、部下にするのだった。

今回で、第129話は完成することになります。

 俺は疲れた。

 エルゲルダやシエルマスの戦いよりも―…。

 だって、だって~。

 ハミルニアの愚痴の内容は、中央軍の指揮官の暴走に対するものだったのだ。

 どんだけ、今日の首都攻防でイラつくことがあったのやら―…。

 俺は呪詛を中央軍の指揮官に対して、そいつから見えるはずのないイルターシャが指揮している陣の中で、心の中で言うのだった。

 中央軍の指揮官…、痛い目にあってしまえ!! 俺たちを苦しめた怒りぃ~!!!

 だけど、このような俺の思っていることが中央軍の指揮官に伝わることはないだろう。

 「今日も聞いてくれてありがとう。そして、軍政官もしくは統治方針が確立するまでの間、私たちはラルネに滞在し、ラルネおよびその周辺の治安維持が任務となる。こういう時に、一番兵士の暴走で殺人や強盗、最悪の場合、女性への強姦が起きかねないし、表面になりにくかったりする。だから、ミラング共和国の旧官僚を地方に派遣したいが―…。やっぱり反乱を起こしそうなので難しいし、現地の有力者に任せたいところだったが、中央軍の指揮官のせいで、私たちに仕事を回してきたみたいだ。本当に、アイツ~、いつかぶっ飛ばしてやりたい。本当にごめんな。セルティー王女の護衛に戻るのは、もう少し時間がかかりそうだ。」

 「わかりました。」

 俺が、この命令に反抗することはできない。

 別に、すぐにセルティーの護衛に戻る必要はない。

 確かに、セルティーの護衛に戻れば、それだけレグニエドの暗殺のための絶好の機会は多くなる。

 だけど―…、ベルグの命令を無視してそれを実行するのは、絶対に俺がベルグによって殺されかねない。

 それに、ベルグのことだからしっかりと俺の安全かどうかは別にしても、ベストタイミングぐらいは考えているのだろう。

 ベルグは、俺が出会った中で、危険であるが同時に、逆らってはいけない何かを感じるのだった。

 そうなると、ベルグの許可待ちとなるので、俺はしばらくの間、レグニエドの暗殺は実行できないから、セルティーの護衛だろうとミラング共和国だった領土の見張りだろうと、どっちでも良いのだ。

 ゆえに、ハミルニアの命令にも簡単に従うことができる。

 それに、イルターシャの率いている軍勢もあるので、手分けしていけば、見張ること自体は可能な気がする。

 「じゃあ、頑張って欲しい、ランシュ君。」

と、ハミルニアは言いながら、自分の陣地へと戻っていくのであった。

 疲れたぁ~。


 翌日。

 昨日のうちに、イルターシャやヒルバスにハミルニアの命令を伝えるのだった。

 その結果、手分けして、ミラング共和国内の治安維持にあたるのだった。


 その日から行われた治安維持の任務。

 今、俺は、オットルー領地から別の領地へと向かう途中である。

 疑問に思うことがある。

 なぜか、ミラング共和国だった領土のすべてで、おかしなほどに俺やヒルバス、イルターシャの軍勢が受け入れられ、好待遇ではないが、良い扱いは受けていた。

 どういうわけであろうかは、推測することも難しいほどであった。

 イルターシャさえ、疑問に思うほどだった。

 その理由をオットルー領地の領主に聞くことができた。


 ―それはですねぇ~。リース王国の王女であるリーンウルネ様が領主の多くの者の安堵と、同時に、領民とって良くない統治をおこなっている領主の所は、その親族もしくは領民によって慕われている人に領主を変更させたそうです。それもリーンウルネ様が直に来られて―


 あの女王、とんでもない行動力だな。

 明らかに、最初からどういう事態になるかを推測して、準備をしていたんだ。

 リーンウルネ王妃は―…。

 王妃がリース王国の権力を完全に掌握したら、どんだけリース王国が発展するんだ。

 先見性と同時に、的確に行動し、しっかりとした結果を出す。

 対立すべきではないな。

 ラーンドル一派なんかよりも敵に回ったら、厄介極まりない。

 絶対に、有力な人をすぐに味方に多くすることができる。

 リース王国のラーンドル一派が最も望む王妃の反対側にいる存在でしかない。

 ラーンドル一派にとって、リーンウルネは目の上のたん瘤でしかないが、排除はかなり難しい。人望は絶対にリーンウルネの方が確実にあるからな。

 人としての格が違うのだろう。

 そして、オットルー領地の領主は、一呼吸をして、話を続けてくれた。

 リーンウルネの言葉を正確に―…。

 本当に、その言葉が正確かどうか、俺に判断を下せるわけがないが―…。

 そのリーンウルネ自身の言葉は―…。


 ―お互いに馬鹿が権力を握ると大変なことにしかならぬの~う。それにしても、エルゲルダという馬鹿は、国を乗っ取ってリース王国に復讐でもしようとしたのだろう。だけど、失敗するのは目に見えていた。アンバイドをこちらに雇われた時点での~う。まあ、ローを雇うことができれば、戦局は変わっていたかの~う。愚痴が過ぎた。ここから用件だ。オットルー領地の領主、お主が領主であることと、領地も安堵しよう。そして、しばらくの間、リース王国軍やミラング共和国軍がやってくるだろう。ハミルニアという人物の軍ならば、オットルー領地でおかしなことはしないだろうから、受け入れて欲しい。ミラング共和国は敗北し、共和国内の治安が荒れる可能性が高いからの~う―


 ―まだ、戦争の決着もついていないのにどうして!!! 我々の国が勝つことも!!―


 ―それはありえないじゃろ、さっきも言ったが―…。それに、私の勘はよく当たるので―


 その後、俺たちに、オットルー領地の領主が言ったのは―…。


 ―そう言われると、後は雑談をして、出ていった―


 歩きながらもオットルー領地の領主の言葉と同時に、リーンウルネに関して、頭の中から離れなかった。

 どこまで読んでいるんだ。

 何か能力を持っているのか?

 分からねぇ。


 ―リーンウルネ様は、一体何者なのでしょうか?―


 こっちが思っていることをオットルー領地の領主は言ってくるのだった。


 ―こちらとしても分かりません―


 と、その時は俺は返事をするしかなかった。

 だって、本当にリーンウルネが何者かって言うのは、リース王国の王妃であり、世間一般で知られていることしか知らないのだから―…。

 そう思ってしまい、俺としては、これ以上、この話題が続くことは無理なのではないかと、その時は思ったが―…。


 ―そうですか―


 その後、他愛のない話をした後、任務へと戻ったのだ。

 結局、この旧ミラング共和国の領土における治安維持活動は、ひと月ほどの期間、その任務にあたることになった。


 任務を終え、リース王国へと戻った。

 俺、ヒルバスは騎士団の寮に戻り、メルフェルドたちに内容を報告する。

 俺がエルゲルダを殺したということは伏せて―…。

 その中でもショックだったのは、アウルの死だった。

 「そうですか―…。全員が無事に生き残るなど戦争では不可能に近いです。相手の方も必死なのは事実です。だから―…、それでも、仲間の死は私にとってもショックです。」

 メルフェルドは泣くこともなく、悲痛な気持ちになっていた。

 忘れることもできない感じなんだろう。

 だから、抱え込まないことを祈りたいものだ。

 その後、リース王国側が勝利したミラング共和国との戦争であったので、形の上でも勝利の祝いをやるのだった。


 勝利の祝いは、リース王国騎士団の食堂で簡素におこなわれた。

 皆笑っているように見えるが、アウルの死を知っているために、素直に喜ぶことができない。

 俺としては、そこまでないが、アウルが有望であっただけに、悲しい気持ちは存在した。

 有望でなくても、一生懸命に頑張っている人の死には悲しむことになるだろうが―…。

 フォルクス騎士団長は乾杯の音頭をとる。

 「今回のことで、大事な仲間を失うことになった。だけど、アウルが今の様子を見ていたら、天国に行けず、背後霊となって、俺たちのところに居ついてしまうだろ。だからこそ、勝利に対して、素直に喜ぼうじゃないか。アウルのために―…。乾杯。」

 『乾杯。』

 フォルクス騎士団長の一言で、乾杯するのだった。

 だけど、相変わらずフォルクス騎士団長には向かないなぁ~。この役目―…。

 騎士団にいるメンバーは、フォルクス騎士団長の性格を知っているから大丈夫だけど、フォルクス騎士団長に初めて会った人には、感情の籠っていないと感じて、リース王国騎士団には亀裂があるのではないかと思われることであろう。

 内輪だからこそ、これで許されるのだろう。

 というか、俺は、今は王族の護衛をしている以上、部外者になっているのだが―…。

 長い間、ここには所属しているのだから―…。

 そう、俺もフォルクス騎士団長やニナエルマによって、騎士団内の勝利の祝いに参加するように、と言われてここにいるのだ。

 知らない奴はいないだろうから、気を遣うということは少ないだろう。

 「美味しいわね。ミラング共和国よりも食事の内容が良いわ。パーティーだから、こんなものかもしれないけど―…。味がしっかりしているのは、豪華な食事よりも最高だわ。」

 何でいる。

 そう、イルターシャがこの勝利の祝いに参加しているのだ。

 どうして?

 聞きたいのは俺だと、答える自信なら間違いなくある。

 イルターシャは、ミラング共和国側の軍を率いていたから、元々は敵だったよな。

 俺はなるべく、知り合いでないことを装うことにした。

 関わってしまえば、根掘り葉掘り変なことを聞かれそうになるからだ。

 俺自身の目的を言うことはないだろうが、それでも、いつ、どこで、口を滑らせてしまうかわからないので、口を滑らす機会を減らすことに越したことはない。

 さて、上手い飯でも食いますか。

 アウルの死で、悲しんでなどいられないしな。

 俺の目的は、このミラング共和国から仕掛けてきた戦争で一つ達成できたのだから―…。

 そう、かつてアルデルダ領の領主であり、クルバト町を燃やして、住民を在らぬ疑いで虐殺したミラング共和国総統のエルゲルダに対して、復讐することに成功した。

 そして、俺の復讐対象は、あと一人―…、レグニエド……、お前だ!!!


 【第129話 Fin】


次回、あの事件をランシュの視点で―…!!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していきたいと思います。


何とか、第129話を完成させました。

文量は、1話分の中で最大なのではないかと思うほどです。

今回は少しだけ、わかりずらくなってしまったのが反省点です。

文章の書き方という面で―…。内容はそこまでわかりずらくなってはいないと思っていますが―…。

第130話は、第68話と第69話を含めて書かないといけないので、別の意味で大変になると思いますが、頑張っていきたいと思います。無理はしませんが―…。

次回の投稿に関しては、次回の投稿分が完成次第、この部分で報告すると思います。

では―…。


2022年4月2日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2022年4月3日頃を予定しています。

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