第129話-15 ミラング共和国との戦い
カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。
興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
アドレスは以下となります。
https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
宣伝以上。
前回までの『水晶』は、ミラング共和国総統エルゲルダはランシュによって殺され、ランシュは復讐の一つを達成するのだった。
俺は、イルターシャのいる場所へと戻る。
イルターシャは、積極的に首都ラルネを攻めずに、動かないでいた。
「あら、ランシュさん。抱えている人はどちら様ですか?」
と、イルターシャは、俺が抱えているハウルラのことが気になって、尋ねるのだった。
「ああ、こいつか。エルゲルダの場所へと案内してもらった……名前はハウルラだな。まあ、そのせいで、たぶんだが、兵士からの命が狙われているので、ハウルラの命の安全を保障するために、ここに連れて来た。」
そう、ハウルラは、命が狙われる可能性がかなり高い。
なぜなら、俺をエルゲルダのいる部屋に案内して以後、ハウルラの命の安全を保障するために、土壁で覆い、倒す途中でエルゲルダの女たちが部屋を出ている以上、ハウルラのいる場所に展開した土壁を見ている可能性が高いからだ。
そうなると、どこかで兵士と遭遇していることはほぼ確かだと考えられるので、確実に土壁の情報が伝わっていることになる。
ハウルラを置き去りにして、土壁を解除していくと、ハウルラの約束である命の安全の保障が達成されることができなくなる。ハウルラがその場で兵士に殺されることによって―…。
そう思えば、ハウルラは俺の所にいさせた方が、得であろう。
「そうなんですか、私はイルターシャです。ハウルラさん。」
と、イルターシャは、ハウルラに向かって、雅だと感じさせるぐらいのお辞儀をするのだった。
それを見た、ハウルラは思考を一時的に停止しているのではないかと思われるぐらいに、頬を赤くするのだった。
こういう美人に弱いのか、ハウルラは―…。
「こちらこそ、イルターシャさんのお噂は、城の中でもかなりされるぐらいに有名な人が目の前に―…。でも、イケメンな人なのでは―…。」
あ~、城の中でも周りに自身をイケメンに見せるようにしていたのか。
「イケメンの格好をしていたのは、城の中で不埒な真似をされる方々がいたので、その人たちに目をつけられないためです。」
「あ~、そうなんですか。」
ハウルラが、イルターシャの言葉に納得するのだった。
まあ、エルゲルダの部屋にいた女の数から、かなりの好色であったのがわかる以上、イルターシャ自身の属性である幻を使って、イケメンにしておくのは当然のことか。
ミラング共和国もリース王国と同じくらい駄目だな。
まあ、女性の方に関しては、リース王国の方がそう酷くないか。
でも、クズはいるからなぁ~、ラーンドル一派に―…。
そう思うと、ミラング共和国とリース王国とでは、差がないのか。
そういうことにしておこう。
「で、ランシュさん。あなたは目的を達成できたのですか?」
と、イルターシャが言ってくる。
そう、俺が目的を達成することができたかを―…。
まあ、イルターシャには俺の目的が何かを言っているわけではない。
俺の目的は、クルバト町を燃やして、殺し尽くし、その中で俺の妹と母親を殺した時の主導者であったエルゲルダを殺すことだ。
エルゲルダが直接手を下したとは考えずらいが、奴がクルバト町を燃やすということを選択していなかったのならば、俺の妹と母親は殺されるという事態にはならなかったのだから―…。
「ああ、完全にな。」
そして、ハウルラが青ざめるのだった。
こいつ、俺の目的に気づきやがったな。
だが、命の安全を保障することを約束した以上―…、というか、そろそろ俺の目的のために仲間を増やしておく必要はあるのか。
イルターシャとハウルラはまだ、出会って日が短い以上、完全に信用することはできない以上、俺の本当の目的を言うべきではないな。
だが、エルゲルダの部屋へとハウルラに案内させているから、言わざるをえないのかぁ~。
俺のミスだな。
「そうなのですね。で、ハウルラさん、青ざめている理由は―…。」
「ランシュさんと言いましたか―…。あなたの目的は、ミラング共和国総統エルゲルダの暗殺ですか。リース王国からその命令を受けて―…。」
俺の目的がエルゲルダの復讐、殺害にあるということは当たっているが、別にリース王国に命じられたわけではない。
これは俺の意志でやったことなのだから―…。
いや、このまま、リース王国の命令でやったことにしてしまおうか―…。
ここで嘘をつくことは簡単にできるが、イルターシャはそのようなことに対して、すぐに気づく以上、下手に嘘を付くことはできない。
というか、無理と言った方がいいかもしれない。
「ああ、エルゲルダの暗殺が俺の目的だ。」
これ以上、言葉を付け加えるのは危険であろう。
指摘されれば、答えるだけで十分だろう。
「だけど、ランシュさん―…。もし、ランシュさんがエルゲルダの暗殺の命令を受けているのであれば、私に許可を貰うよりも、それよりも前に、単独で暗殺のために早いうちにラルネの中の入って、エルゲルダの情報を集めて、実行することを考えると、リース王国からの命令ではないですよね。それに、リース王国側の諜報機関で、エルゲルダの暗殺は失敗しています。そう、シエルマスらによって―…。私も知り合いはいませんが、ちゃんと情報は漏れてくるので、わかっています。」
証拠を―…、とか言いたいが、確実にイルターシャなら証拠を持っているだろう。
油断も隙もあったものではない。
「そのことに関しては、周りに聞かれるのはまずいからな。」
「なら、大丈夫ですよ。周囲に情報が漏れないように、ここの言葉を聞こえないように覆えばいいのかしら―…。幻の世界。」
イルターシャの発動させた「幻の世界」によって、俺とハウルラ、イルターシャの三人、いや、ヒルバスが戻ってきて四人が黒に覆われる中へ飲み込まれるのだった。
暗闇の中で俺とかハウルラ、ヒルバスを殺そうとしているのか?
警戒レベルを上げないと―…。
「あ~、安心していいわよ。今回は、あなたがたを殺すために展開したわけではありません。この私の幻の世界の中なら外に、ランシュさんがこれから言うことの情報が聞かれたくない人には聞こえないと思いますよ。」
読まれて、先回りかよ。
ヒルバスの警戒度は、最大限となっているであろうが、イルターシャを処分するという選択肢はないようだ。
イルターシャが攻撃を仕掛けてくるかどうか、分からないということか、判断しかねているのかということになるな。
そして、俺は自分のことを確実に話さないといけないということになるのか―…。
「俺はクルバト町の出身だ。」
「まあ。」
「まさか、あの~、十数年も前に今の総統、殺されていますが―…、に逆らって反乱を起こしたという―…。」
俺の出身地に対して、イルターシャはそこまで驚くというよりも、驚いているように見せるのだった。
あまりにもその驚き方は雅であり、異性を惹きつけるには十分であろうが、俺は何となくイルターシャの情報網からして、驚くことなのかと思ってしまう。
正確な推測は確実につけているはずだ。
イルターシャの反応後に、ハウルラが、クルバト町という俺の言葉を聞いて、過去のあの事件を口にする。
まあ、世間一般ではそのように認知されている。
だって、世間に流す情報を大きな意味で掌握できる者および組織は、ほぼ自らにとって都合の良い情報を流すことができる。謀略に長けることができるというわけだ。
そういう奴の自己都合な情報というものは、そういう奴らにとって都合の悪い情報は流れることはほぼないわけであり、広める情報をどれくらいにできるかという面で自由がある程度聞くわけだ。
ただし、世間に流す情報を完全にコントロールすることなどできはしない。
そして、人はある物事における判断を下す場合、時間の始点と終点という制約のせいで、その時間内に集められる情報を基にするというわけだ。そこに自分が得てきて、思い出せる情報や経験も含まれるというわけだが―…。
簡単に言えば、人は自分の集めた情報とこれまでの経験などの蓄積したものから判断を下していることになる。
要は、そこから得られた情報が、世間に流す情報を大きな意味で掌握できる者および組織のものが中心となってさえいれば、自然とハウルラのような、エルゲルダにとって都合の良い情報を真実だとして受け止めるということだ。
俺は、この目で実際に、クルバト町のあの燃え盛るのを見ているし、そこに関わったベルグによって情報をしっかりと得ている。
ゆえに、世間で知られている情報よりも真実に近いことを言うことができる。
「残念ながら、ハウルラの知っている世間の情報は嘘だ。エルゲルダやリース王国にとって都合の良い情報でしかない。」
「えっ、何を言っているんですか?」
「ハウルラさん、これ、実は事実なのよねぇ~。私も調べたけど、世間で認知されているクルバト町の虐殺の内容は嘘ばっかり~。で、真実を話してくれるのよね、ランシュさん。」
まあ、ハウルラの反応は普通か。
そうだよな。世間で知られている情報が実は、嘘でしたというのを聞けば、驚くし、真実をこれから告げようとしている人を疑いたくなるのも―…。
それよりも、イルターシャはクルバト町の虐殺のこと関しては、真実を知っているのだな。
で、俺からの話を聞き、判断するというわけか。
油断できないな、何回も何十回も思ってしまうだろうが―…。
「ああ、リース王国の元宰相から聞いた話もあり、より正確な情報だと思えるし、そいつとともに、燃え盛るクルバト町の中に実際に俺は入ったこともある。それを織り交ぜて話す。」
ここで俺は一体、言葉を区切ると、沈黙が少しの間訪れることになる。
この沈黙というものをやぶるのも俺だが―…。
ヒルバス、イルターシャ、ハウルラは、大人しく俺の話を聞こうとするのである。
クルバト町の虐殺の真実を知っている者、知っているが確かめようとする者、知らない者がそれぞれの思いを抱きながら―…。
その思いを正確に言い当てることは、俺にはできないし、人にできることなのであろうか~。
それができる人は数が少ないというのが、現実においての真実なのかもしれない。
まあ、確かめる方法がないので、確実に、とは言えないが―…。
「そもそもの発端は、アルデルダ領の財政問題にあった。これは、エルゲルダが自分と自分の取り入る奴らにしか税金を流さず、自らの領を経営し、発展させるためのことに対してほとんど投資をしてこなかったことが原因だ。そのことに気づいているのかどうかはわからないが、財政が悪化し、収入面で生活の良かったクルバト町から今までの税よりもさらに重い税を取ろうとして、当時の町長と対立。そして、町長はエルゲルダに面会して、重税に対する撤回まで言っていなかったが、税金の用途をアルデルダ領の発展のために使って欲しいと言ったんだ。そのためなら、増税をしてもいいと―…。だけど、それはエルゲルダが聞き入れるはずもなく、クルバト町の町長は面会の場を追い出され、帰る途中にエルゲルダの部下に殺された。その殺した犯人が元リース王国の宰相と繋がっていることを知ったが、あくまでも犯人はエルゲルダの部下の状態であり、元宰相の命令ではないと言っていたし、その犯人も認めている。その犯人は、生きているし、俺も会ったことはあるが、あくまでも命令だから殺してはいるが、エルゲルダのことは嫌っていたようだ。それに、その犯人は、元宰相の目的のために必要な研究施設を作るための候補地を探しており、領地有力者に取り入った方が良いということを感じて、エルゲルダの部下になっていたみたいだ。その犯人がエルゲルダに協力することもないし、元宰相のところで護衛をしている。そして、町長の死と同時に、エルゲルダはクルバト町への遠征を実施。この時の理由は、エルゲルダらによって、仕組まれた嘘の理由であり、本当の理由はただただ自分の言うことを聞かないクルバト町に対して、自分の力を見せようとして、そして、領内の他の町にもエルゲルダに逆らうとこうなるという見せしめのために―…。その時に、リース王国のレグニエドに援軍を要請し、元宰相を中心にした軍が派遣されることになった。そして、エルゲルダのアルデルダ領軍とリース王国軍が合流して、クルバト町へ遠征し、町を燃やした。ちょうど俺は、町の外で採取活動をしていて、町が燃えるのを見て、町の近くへと戻るとアルデルダ領の兵とリース王国軍の兵が町を囲いながら、燃えるクルバト町を見ていて、見張ってもいた。俺は物陰に隠れながら見ていると、そこに元宰相が現れ、俺はその元宰相とともにクルバト町の中へと気づかれないように入り、自分の家へと戻ると、そこには―……。」
ここで、俺は思い出してしまう。
あの残酷な光景を―…。
純粋な俺という存在を失った日なのかもしれないということを、今になって気づく。
だけど、後戻りをする気はない。
なぜなら、そうしてしまうと、家族が……いや、生きている俺自身のあの日からここまでの人生が何にも意味がないものとなってしまうことになる。
俺は、周りに悟られないように話を続ける。
「俺の家族が殺されていた。そして、死んでいることを元宰相が教えてくれた。その後は、元宰相とともにクルバト町を脱出し、その後は、元宰相の勧めもあり、素性を隠して、リース王国の騎士団に見習い騎士として入団したわけだ。その後、正規の騎士となり、今は王女の護衛をしている。俺の目的は、ミラング共和国総統エルゲルダ、そして、リース王国国王レグニエドへの復讐だ。」
俺は、自らの目的を言うのであった。
第129話-16 ミラング共和国との戦い に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正したいと思います。
最近は、書くスピードは速くはないのですが、それでも、書ける時はしっかりと書けるので、状態は少しだけ回復しているのではないかと思います。『ウィザーズ コンダクター』でも何とか最後の方が苦しかった第6部を書き終えて(更新はまだですが―…)、少しだけ時間が経過し、精神的にも楽になってきています。あんまり、私自身のマイナスな気持ちを出すのは(というよりも自身の気持ちを出すのは)苦手なのですが、あまりの不調だったので、吐露してしまいました。次回からは気をつけたいです。
『水晶』に関しては、もうそろそろ第129話は完成ということにできそうです。第128話、第129話双方ともに長くなりましたが、重要なところはちゃんと書けたので、良かったです。無理しないというのが精神的な状態で良い執筆できることを発見したような気がします。再発見かどうかはわかりませんが―…。
『水晶』は、かなり長い文章量を誇るかもしれない作品になるので(第1編だけでもそんな感じです)、なるべく辛くなりすぎる時は更新頻度を落としてしまうかもしれませんが、頑張っていきたいと思います。
リースの章を終えれば、新たな大陸へ―…。内容もどこかでかなり重くなると思います―…。残酷なシーンも増えそうですが、なるべく間接的にしながら、書いていこうと思います。
最後に、次回の投稿に関しては、次回の投稿分が完成しだいこの部分で報告すると思います。
では―…。
2022年3月24日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2022年3月25日頃に投稿する予定となります。