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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
275/747

第129話-5 ミラング共和国との戦い

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

第5部が昨日、全部を投稿し終えました。2022年2月22日頃、第6部を開始します。

興味のある方は、せひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、リース王国はミラング共和国軍と国境で戦いを始めるのだった。この戦いは、ランシュとヒルバスの存在により、優位に進められるが、中央軍の馬鹿な行動のせいで、決定的な勝利を得ることができずにいた。


 一週間後。

 中央軍は再編成が終わり、ミラング共和国軍へと攻めることになった。

 ミラング共和国軍の方も、この一週間動くことができなかった。

 俺とヒルバスの存在、アンバイドの存在のせいで、迂闊に攻めることができなかったのであろう。

 アンバイドの噂だけで、そのようにさせたのかもしれない、そう思いたいが、それだけではないだろうことはわかる。

 わからなければ、状況を冷静に判断できないとして、騎士として失格になりそうだから―…。

 俺とヒルバスは、左軍と並行して、別行動をしていた。

 俺とヒルバスは、遊撃という役割を担う予定にしている。

 それは、ミラング共和国軍がそろそろ俺とヒルバスの存在に勘づいていてもおかしくはないからだ。

 そうなってくると、俺とヒルバスがいる場所への戦いを避けようとするかもしれないし、俺とヒルバスを足止めしようと行動してくるのは予想できる。

 さらに、並行しての別行動でも足止めをしてくる可能性が存在している以上、俺とヒルバスは並行しながらも警戒を怠ることはできない。

 そして、今回、左軍を守るように戦う必要はないと言われているので、思いっきり攻めてことができるし、決着のためにミラング共和国軍の陣地の弱点を攻めることは可能だ。

 この地域における戦いでは、大将が亡くなったとしても、副官が大将へとすぐに一時的に格上げして対応してくるので、指揮系統全体を混乱させないといけないのだ。

 戦争において、勝利をしなければ、最悪の場合、指揮官とか上位者たちは自分の命を代償に支払うことさえあるのだから―…。

 そんなことにはなりたくはないので、すぐに軍勢を立て直して、少しでも自分たちに優位な方向へともっていきたいのだ。

 それを理解した上で、攻めていくことになる。

 俺とヒルバスならそれも可能であろう。

 油断とか、そんなのは関係なく―…。

 「ミラング共和国軍の中で最強と言えば、グルゼン親方ですが、彼は行方不明ですし―…。」

 「そうだな、そうなると、誰かはわからないが、戦っていけばわかっていくかもしれない。」

 あまりにも適当なことを俺は言ってしまう。

 だけど、そうなのだ。

 ミラング共和国軍の中で指揮官として凄いと思わせる人材は、対外強硬派が握って以降、本当の意味ではいなくなっている。

 なぜなら、対外強硬派が宣伝してくる将校に関する情報は、リース王国でも調べられているが、戦績はあるように見えるが、どうしてもミラング共和国内の噂からそのように見えないのだ。

 俺はある仮説を一つ立てている。

 それは、ミラング共和国軍の内部でも対外強硬派に気に入られた将校の戦績は、別の奴らが挙げたものをその気に入られた将校の戦績に加えられているのではないか。

 そうなれば、宣伝してくるわりに、将校との質が~、とか言うのも納得ができてしまう。

 だけど、しっかりと戦果を挙げてきた可能性も捨てきれないので、仮説にとどめておくことにしている。

 「そうですね、ランシュ君。適当な言葉かもしれませんが、ある意味で今の私たちの持っている情報ではそのような判断しか下せません。」

 ヒルバスは、俺の意見に納得してくれたようだ。

 そして、俺とヒルバスは敵陣へと向かって行くのだった。


 左軍が敵陣に到達する。

 俺とヒルバスは、それが見える場所の中の高い場所にいた。

 そして、俺とヒルバスは辺りを警戒する。

 「いますね。」

 と、ヒルバスが言うと、すぐに高速で移動して、数人を始末するのだった。

 その時間、一分もかかっていないと思う。

 銃撃の音をさせないようにさせながら―…。

 この器用さは、本当に驚いてしまうほどだ。

 そして、ヒルバスは俺のところに戻り、報告するのだった。

 「七人もミラング共和国軍の兵士、裏部隊の人間がいました。シエルマスの―…。本当に油断も隙もあったものではありません。だけど、辺りにはもうシエルマスとミラング共和国軍の偵察部隊はいなくなりました。」

 「そうか、ありがとう。」

 俺よりもヒルバスの方がこういうのは、武器の特性上、向いていたりする。

 俺の場合は、どうしても派手になるし―…、昨日みたいに―…。

 「どういたしまして―…。それにしても左軍はしっかりと指揮がとれていますね。対峙してから、急に動くのではなく、ミラング共和国軍の様子をしっかりと観察していますね。」

 「だな、ミラング共和国軍は、いくつかに軍を割りながらも、その動きに左軍が気づいている以上、迂闊に攻められないのだろう。まあ、ミラング共和国軍は、左軍を囲んで一気にって感じだな。そして、ハミルニアさんは、確実に俺らがいないとして油断して攻めてきたミラング共和国軍を俺らが現れ、蹴散らして動揺している隙にたたこうとしているわけだ。何気にえげつないな、ハミルニアさんは―…。」

 ハミルニアさんから実際に、作戦の内容で詳しいことは聞いていない。

 つまり、俺らなら、ハミルニアさんがやろうとしていることを理解できると判断してのことだろう。

 あの人の性格的に考えて―…。

 「でも、このまま膠着状態で居続けていいのでしょうか?」

 ヒルバスは、疑問に思うが、中央軍の作戦のことを考えれば、妥当であると思っているのだろう。

 ここで一番最悪の結果は、今、左軍と対峙しているミラング共和国軍の一部が、こちら側から中央軍のいる方向へと向かうことだ。

 それが起こる前に、ミラング共和国軍の本陣が潰れて、撤退してくれるとありがたいが―…。

 中央軍なんで、そう上手くいくとは思えないが―…。

 じゃあ、俺らが助けに行けば、とか言う人もいるかもしれないが、助けにいけば、何助けにきたんだ、とか言いかねないし、前の戦いで、指揮官の発言にムカついて人が多くいるのだから―…。

 俺もその一人だが―…。

 「そうなることを願いたいものだ。」

 願いたいと思っている時点で、叶いそうにないから嫌なんだよなぁ~。


 そうこうしていると、二時間ほどの時間が経過した。

 左軍は、ミラング共和国の一軍に囲まれようとしているが、戦いは発生していない。

 こうなってくると、どちらが攻撃を仕掛けるかの睨み合いになり、暴発して戦いが発生しないか不安になる。

 「さすがの練度というか。傭兵も我慢できるのは、ハミルニア指揮官とその部下たちの気遣いのおかげかな。」

 「だな、飴と鞭をしっかりと使い分けているのだろう。本当に敵に回したくないよ、ハミルニアさんは―…。」

 俺らも、ずっと気を張ってばかりはいられないので、ゆっくりと体を休めながらも警戒を怠らないようにする。

 ミラング共和国軍の一軍にも、後ろに積みあがっている偵察部隊とシエルマスの死体のように、こちらを探ってくる奴らに対しても―…。

 「つ~か、俺とヒルバスのことを偵察、いや、始末してしまおうとする奴らが多いことだなぁ~。」

 「そうですね。で、結局、あの世行きになっているのですが―…。ランシュ君と私のところへと派遣したミラング共和国の偵察部隊などが帰ってこない、様子を見てこい、その様子を見に来た人も帰ってこない。ミラング共和国側は、動揺している頃でしょう。上の方が―…。」

 「だな。」

 こうやって話しながらも、左軍とミラング共和国軍の一つ軍団が動くことはなく、睨み合っていた。

 左軍と戦っている軍団も優秀な指揮官がいるのだろう。

 俺とヒルバスの所へ派遣した奴らが帰ってこないので、何かあるのではないかと判断して、警戒しているのだろうか。

 ある意味で、真面な選択だな。

 「で、中央軍は負けると思うか、それとも―…。」

 「私にもわかりません。今回ばかりは、ミラング共和国の本陣の判断によって変わってきますので―…。」

 「そうだな。」

 そして、時間が流れに流れて、夕方になるのだった。

 その間に、俺とヒルバスの所に派遣されたミラング共和国軍の偵察部隊の兵士とシエルマスの死体が増えていくのだった。


 夜の前。

 太陽が沈み、青、橙色、黒が空にある時。

 ミラング共和国軍とリース王国軍の左軍の双方が引き上げるのだった。

 きつい死体処理をして、燃やしただけなのだが―…、火が完全に消えたかを確認して、左軍の方へと戻るのだった。

 「俺、今回の戦争で死体処理の記憶が鮮明に強く残ってしまっているんだが―…。」

 そう、活躍はしているからその記憶も重要な点はあるが、その後に確実と言っていいほど、死体処理のために死体を一か所に集め、火で死体を燃やすという作業を思い出してしまうのだった。

 死体が臭いのは当たり前のことだし、さらに、死んだ人を見るのは何かやるせない気持ちになるし、もしも感受性の強い人なら、その人の背景まで想像で思い浮かべて、悲しくなって、気持ちが塞いでしまうのだろう、と思ってしまう。

 本当に、戦争というのは起きない方が良いものだ。

 しみじみと思ってしまうし、俺は感受性は強い人ではなかったので、作業と認識することができるが、感受性が低くないので、やっぱり辛い気持ちにはなってしまうが―…。

 「まあ、戦争とは私たちから見たら、こんなものかもしれません。昨日までの仲間が今日にはいなくなる。だけど、自分たちではどうすることもできなくて、生き残るために必死に戦うしかありません。自分を無理矢理に納得させて―…。ここでいい思いができるのは、この盤上を見ながら、私たちを駒のように扱う人だけかもしれません。それでも、駒にも感情があるし、盤上を動かす人の中にも本当は皆が生き残って欲しいと思っている人もいるかもしれません。リース王国の中央で権力を握っている奴らは違うと思いますが―…。」

 「ああ、っと、そろそろ左軍に合流できるな。」

 俺とヒルバスは、話しているうちに、左軍に合流するのだった。

 ちなみに、警戒はしっかりとしているからな。

 喋りながらも、な。

 そして、俺らは、昨日いた地点に戻り、夕食をとり、しばらくすると、ハミルニアが俺とヒルバスの所にやってくるのだった。

 「ランシュ君とヒルバス君、今日はどうだった。」

 まあ、まず、自由に行動できるようにしている俺とヒルバスの状況を聞いておく必要があるのだろう。

 「はい、今日は、一緒にランシュ君と行動し、左軍と並行して少し離れた場所で、共に行動しつつ、左軍と対峙したミラング共和国軍の軍団を見渡せる場所にいました。そして、ランシュ君と私をつけてきたミラング共和国軍の兵士とシエルマスの兵士を殺しておきました。」

 と、ヒルバスから報告を聞いたハミルニアはしばらく思案を巡らせた後、言い始めるのだった。

 「……シエルマスやらミラング共和国軍の兵士を殺したのは良いのだが―…。君たち二人の存在がミラング共和国側に知られていて、つけられているのか。でも、君たち二人なら何とかできるだろうが、念には念を入れたかったが―…。仕方ないか。」

 何が仕方ないのかがわからない。

 俺とヒルバスの存在が知られるのは仕方ないことであろうが、つけられていることに何かあるのか?

 「あ~、ちゃんと説明しないといけないね。知られていることは問題ないんだ。だけど、つけられているということは、左軍へと偵察に入っていることになって、動向がミラング共和国側に漏れているということだし、特にランシュ君とヒルバス君がつけられているのは、二人の行動をミラング共和国側に言い当てられる可能性があるということ。そうなってしまうと、事前に相手に対策を打たれてしまい、こっちが不利になってしまうからね。」

 ハミルニアは説明してくれるのだった。

 俺とヒルバスの狙いが読まれかねないということだ。

 現に、俺らの位置に何人もミラング共和国軍の偵察部隊の兵士とシエルマスが来ていた以上、俺とヒルバスの位置は完全に分かっているか、マークできる何かがあるのだろう。

 そうなると、ミラング共和国軍側がどうやって―…。

 考えても分からないものは分からないか。

 だが、シエルマスの中に実力者でもいるのだろう。

 はあ~、マジで早く戦争を終わらせたいし、エルゲルダに復讐を果たしたいわぁ~。

 だけど、焦りは禁物だ。

 戦いで冷静さを失った奴らから負ける。

 相手を知ることをやめた人間から負ける。

 自分の欲望しか考えられなくなった愚か者は負ける。

 ふう~。

 少しだけ冷静になってみる。

 「で、ハミルニアさんは、何か策があるんですか?」

 と、俺は聞いてみる。

 策がなくて、こんなことは言わないだろうなぁ~、と俺は思っていたからだ。

 ヒルバスもそう思っているだろう。

 「じゃあ、話すとしますか。」

 と、ハミルニアは話し始めるのだった。


第129話-6 ミラング共和国軍との戦い に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


長くなってしまっているミラング共和国との戦い。これ一応、瑠璃たちが異世界へ来る四年前の出来事で、こんなに長くなってしまうと、番外編の量があり得ないぐらいの量になってしまいそうです。

ランシュは強くて活躍していますが、中央軍がねぇ~。

うん、そんなことを思いながらも、進めていきます。

では―…。

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