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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
266/748

第128話-7 復讐のための準備

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、騎士団の試験に合格し、騎士見習いから騎士にランシュはなるのだった。

 リース王国の騎士団に入団して三年になる時―…。

 俺、ヒルバス、メルフェルドは、あることに挑戦することになった。

 「騎士試しの日だな。」

 「はい、ランシュ君、メルフェルドさんもいよいよ、天成獣の宿っている武器が扱えるのかという運試しをするのですね。」

 「ヒルバス、お前もだろ。」

 俺とヒルバスは、会場へと向かいながら、話し合うのだった。

 この一年ほどで、メルフェルドも加わるようになった。俺の復讐のことではないが―…。

 メルフェルドは、俺たちの中でも剣技や騎士としての実力は一番と言ってもよく、一年間の試合の七割ぐらいは負けた記憶しかない。

 そう、メルフェルドは、リース王国の騎士団の中でもエース的存在として知られている。

 だけど、女性であるためか、なかなか外に出してもらえなかったようだ。

 俺とヒルバスにとっては、メルフェルドなら俺たち以上にリースの治安や防衛に貢献してくれると思う。

 指揮官としての考え方も、しっかりしていて、リース王国の要になると思う。

 教養もあり、要人の警護もできる。

 俺も、メルフェルドから教えてもらったりして、一人でするよりも効率よく、勉学が身についていると実感することができた。

 あと、ヒルバスの俺たちの休日の図書館での勉強に付き合うようになった。

 ヒルバスは、頭が良いのか、器用にこなして、結構博識になっていた。

 元々、商家の養子になっていて、ちゃんと教育を受けてきたんだ。当たり前か。

 「そうでした。全員、天成獣の宿っている武器に選ばれるといいですね。」

 「そうだな。」

 「そうですね。」

 そして、俺、ヒルバス、メルフェルドは、会場に到着するのだった。


 その場所は、王城の中にある武器倉庫だった。

 その中でも厳重に保管されている一室と言った方がいい。

 その部屋では、すべての武器が箱の中に入っており、陳列台に綺麗に並べられている。

 それだけで、天成獣の宿っている武器がどれだけ貴重な、大事なものかが理解できる。

 一人で、軍隊を相手にすることも可能だとされるだけある。

 そして、この一室には、武器が数えることができないほどある。

 まあ、やろうと思えば、できなくはないが―…。

 そして、この部屋に入る時には、一室の近くにいた先輩と武器倉庫の管理人と一緒に入った。

 まあ、勝手に武器を盗まれるわけにはいかないし、扱われるわけにもいかない。

 「ここにある、天成獣の宿っている武器は全部で五十です。さらに騎士団および王族、家臣の中で天成獣の宿っている武器を扱うことができ、所持している人数は十人です。騎士ではリーウォルゲ団長、ウォルクス副団長という騎士の中でも上層の七人、宰相メタグニキア様の護衛が二人、王族ではリーンウルネ様だけです。ラウナウさんも何回かやったのですが、見つからずということです。」

 武器倉庫の管理人の人が言う。

 名前はアナウーランという。

 見た目は、善人のような感じで人が良さそうで、好々爺(こうこうや)になりそう。

 背は高くもなく、低くもなく、俺より少しだけ背が低いといった感じだ。

 「俺のことはどうでもいいんだよ。」

 と、先輩は大声で言いながら、アナウーランさんにバシバシと背中を叩くのであった。

 アナウーランが咳き込んでしまっている。

 先輩―…、手加減しようよ~。

 と、俺は呆れるのだった。

 「ラウナウさん、そういうのは止めてくださいと何回言っているのですか。この人は人の話を聞いているのですか。ゴホン。」

 と、アナウーランさんは一回咳き込むようなことを再度して、咽喉の調子を整え、話を再開する。

 「そして、ここに保管されている天成獣の宿っている武器は、リース王国の騎士団およびリース王国の役職から外れる時、所有者が死亡した時は、リース王国へと返還することになります。ただし、リース王国の騎士団およびリース王国の役職に就任するまでに所有していた武器に関しては、リース王国の騎士団およびリース王国の役職を離れたとしても、返還する必要はありません。このような例外に属するのは、王族のリーンウルネ様のみですね。そして、数年前までの元宰相のベルグ様もそうでした。ベルグ様はもうリース王国からはいなくなられましたが―…。」

 ベルグは天成獣の宿っている武器を最初から持っていたということになるのか。

 リース王国に来る前から―…。

 そして、俺の復讐にとって予想外なのは、王族の一人が天成獣の宿っている武器の所有者か。

 リーンウルネは警戒だな。

 「そして、天成獣の宿っている武器は、持ち主となる者に対して、感覚的にわかるように知らせるそうです。何と言えばいいのでしょうか―…、その武器を気に入るという感じで―…。」

 何とも、曖昧な表現だな。

 「私も天成獣の宿っている武器を扱えるわけではないので、他のそういう人から聞いた感じで、詳しくはわかりません。」

 申し訳なさそうに武器倉庫の管理人であるアナウーランが言う。

 「ガハハハハハハハハハハ、俺も分からんから気にするな!!」

 先輩、今は大人しくしてください。

 「え~と、つまり、倉庫の中を歩いていきながら、気に入った武器があったら触ってみてください。箱を開ける時は私に必ず言ってきてください。わかりましたか。」

 「「「はい。」」」

 と、俺、ヒルバス、メルフェルドはアナウーランの言葉に返事するのだった。

 そして、天成獣の武器の宿っている武器の入っている一室をくまなく歩くのだった。


 三人で一室を歩く。

 箱を見ながら―…。

 なかなか、気に入る感じなものがない。

 そう俺とヒルバスが思っている間に―…。

 「私、これがいいですね。管理人さん、この箱を開けてください。」

 メルフェルドは、気に入った箱を見つけたようだ。

 メルフェルド…早いなぁ~。

 「ランシュさんとヒルバスさんは、まだ見つかっていませんか。何というか、私だよ、私を使って~、とか、お前を気に入ったとか、そんな感じを知らせてくれるような感じです。言葉ではなく、雰囲気で、です。」

 よく分からないなぁ~。

 「そうですか、わかりました。」

 わからないよ。

 「とにかく、俺たちもメルフェルドに負けるわけにはいかないので、探すとするか。」

 「いえ、この場合は、メルフェルドさんの武器がどんなものであるかを見るべきか、と。」

 俺は、メルフェルドが今、持っている箱の中にある武器が何であるかはあまり興味がない。

 というか、後で、わかることだから、そこまで気にしていないと言った方がいいかもしれない。

 だけど、ヒルバスの方は、物凄く気になっているようだ。

 ここは、ヒルバスに合わせるとするか。

 「わかった、ヒルバス。」

 「そうですか。」

 そして、アナウーランがメルフェルドの所へ来るのを少しばかり待つ。

 数秒で、ここにアナウーランが駆けてくると、すぐにメルフェルドの持っている箱を自らが持っている鍵で開けるのだった。

 ガチャ。

 そして、箱を開くと、そこには、一つの剣が入っていた。

 剣の金属の部分が小さく、突くことを主体とした剣であった。

 レイピアに近いと言った方がいいかな。

 ただし、剣の金属以外の鞘とか横に置かれているから―…、というか鞘の中に収めておけよ。

 「これが私の武器―…。天成獣の宿っている武器―…。」

 メルフェルドは、自分の天成獣の宿っている武器を見つけることができて、表情を綻ばせるのだった。

 よっぽどの喜びようだ。

 丁寧な言葉も抜けてしまうほどに―…。

 「ほ~う。これは中々に強い武器であります。騎士としての武器である剣であり、騎士としての修行がそのまま生かされるという形になると思います。おめでとうございます。」

 と、アナウーランが言うのだった。

 天成獣の宿っている武器を手にするだけでも凄いのに、騎士というイメージのものを―…。

 騎士になるために生まれたかのような存在だな、メルフェルドは―…。

 そして、メルフェルドは、自らの武器となった天成獣の宿っている武器を鞘に収めるのだった。

 それを、腰のベルトの剣をかけることができる場所に、さっき手にした天成獣の宿っている武器をかけるのだった。

 「ガハハハハハハハハハハハハハハハハハ。一番手はメルフェルドか。一番の後輩が天成獣の宿っている武器に選ばれるとは―…。俺もすぐに追い抜かれてしまいそうだ。」

 先輩、すでに、天成獣の宿っている武器関係なく、追い抜かれそうになっていますよ。

 メルフェルドのこの一年での騎士としての成長は、凄まじすぎて、他の騎士からも化け物扱いに近いほどだった。

 「私などまだまだです。ラウナウ先輩。私はまだまだ修行が必要ですし、王国を守るためには強くならないといけません。」

 メルフェルドは謙遜するのだった。

 メルフェルドは謙虚すぎるんだよなぁ~。

 「その謙遜ぶりは良いが、もうちょっと自信をもって欲しいものだ。俺のように、な。ガハハハハハハハハハハハハハハ。」

 と、また、先輩は大声で笑いだすのだった。


 それから、俺とヒルバスは一室の箱を眺める。

 箱を眺めることを再開してから五分後、今度はヒルバスの方が見つけたようだ。

 「すいませ~ん、管理人さん。この箱を開けてもらえないでしょうか。」

 「わかりました。」

 と、ヒルバスが箱を開けて欲しいと言ったので、管理人であるアナウーランが駆けつけて、ランシュの持っている箱を開けるのだった。

 「これですか―…、私の武器は―…。」

 そう、ヒルバスの持っている箱からは、何か二つの武器があるのだった。

 「これは―…、何ですか?」

 と、ヒルバスも知らなかったようだ。

 アナウーランがヒルバスの持っている箱の中に入っている武器を見て、説明を始める。

 「これは、二丁拳銃ですな。この武器はメルフェルド様が選ばれた剣よりもさらに珍しく、このリース王国でも一つしかなく、世界でも希少ではないかと思われます。噂では、別の大陸で使っている人がいるかいないかということぐらいです。」

 アナウーランの説明で、珍しい武器であり、どう使うのかは疑問だが―…。

 「扱い方はわからないのですが―…。」

 と、アナウーランが言いかけると、ランシュが―…。

 「大丈夫ですよ。この武器の使い方は、この武器に宿っている天成獣が教えてくれています。扱い方さえわかれば、何とかなります。」

 そうなのか。

 ヒルバスは器用だから、二丁拳銃とかいう物もしっかりと扱いこなすことができるだろう。

 「ヒルバスさん、おめでとうございます。」

 「ありがとうございます。メルフェルドさん。」

 こうして、今日、二人の天成獣の宿っている武器を扱える者が増えたのだろう。三人になればいいのか。

 そして、最後に残った俺は、一室の中の宝箱を見始めることを再開するのだった。


 う~ん、見つからないなぁ~。

 と、思いながらも、箱を真剣に見ることをやめない。

 どれもピン、とこない。

 だけど、一番奥に丁重に保存されている武器が、二つある。

 その武器というよりも、ブレスレットと言った方がいいだろう。

 それを見た時―…、俺は―…。

 !!!

 これだ、という感じになった。

 〈お前は、俺の宿っている武器を所有するのに相応しい。憎しみのオーラか。それもまた一興というものだ。俺の名はトビマル。よろしくな。〉

 なんだ、さっきの声は―…。

 「ランシュ君、どうしたのですか?」

 ヒルバスが声をかけてくるが、この時の俺は、そのようなことさえ気づかないほどだった。

 そう、俺の憎しみを言い当てたのだろう。

 そして、これが―…、俺の扱うべき天成獣の宿っている武器なのか?

 「どうかされましたか。それは―…、あんまりお薦めはできません。」

 アナウーランが俺のところへと向かってきて、言うのだった。

 「それは―…。」

 「この武器は、リース王国建国者が使ったとされる武器であり、強大な力のために、扱える者は今までおらず、選ばれていないのに触れた者は最悪の場合―…、命を落としたとさえ、いわれています。むしろ、もう一方の大剣の方を握ってみた方がいいと思います。その武器は―…。」

 その後のアナウーランの言葉は、俺には聞こえなかった。

 俺はこのブレスレット型の武器に目を完全に奪われていた。

 だからこそ、俺はこれしか選択できなかったし、選択のしようがなかった。

 「これで―…。鍵を開けて欲しい。」

 そういうと、アナウーランは―…。

 「いいんですね。わかりました。」

 丁重に保存されている透明な箱を開けてもらうのだった。

 そして、その中にあるブレスレットを握る。

 倒れることもなく、俺はブレスレットをかけるのだった。

 「……やっぱりだ。俺の天成獣の宿っている武器はこれだ。」

 俺はしっくりきた。

 この武器こそが、自分の扱うべき武器である、と―…。

 「建国者ラーガル大王以外に選ばれる者がいるなんて―…。これは上に報告すべきか。いや、上はこのことをまだ知りません。上の人間は、一切、リース王国の歴史を知っている者は本当の意味で、いないというか、聞いてすらいないでしょう。いくら教えても理解してくれませんでしたし、歪曲して、捻じ曲げることを厭わないのですから―…。ラーガル大王の敗北した戦いさえ、なかったことにするぐらいですから―…。」

 アナウーランが何かぶつぶつと言い始める。

 この武器がリース王国の建国者が使っていたのはわかるが、あくまでも、武器であり、実力は扱う者の力量によるのだが―…。

 「ガハハハハハハハハハハハハハ。騎士団の方には正確な報告をするが、団長はたぶん、上には適当に誤魔化すと思うぜ。リース王国の中央で権力を握っている奴らが知れば、変な事に利用されるか、ランシュ自身が命を狙われかねないのだから―…。それにブレスレットである以上、隠すこともできるからな。折角、騎士で、天成獣の宿っている武器が扱えるのだ。これほど、リース王国の戦力になる者もいない。アナウーランもわかるよな。」

 先輩が珍しく真面なことを言う。

 結構、真面なことを言っているか。

 「わかっています。私としても―…、戦力を失うことが王国の損失になるということぐらいは理解できています。」

 アナウーランも先輩の言葉に納得するのだった。

 先輩が言う前に、考えていたし、納得するのも理解できる。

 このブレスレットの力は、なるべく使わないように今のところはしたいし、バレない程度にしておかないとな。

 こうして、俺、ヒルバス、メルフェルドは天成獣の宿っている武器に選ばれるのだった。


第128話-8 復讐のための準備 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正すると思います。


あ~、今回のランシュ視点の過去で、前(第69話のある文章)の設定と矛盾が発生してしまいました。今日、修正はしました。本当に、私自身がその設定をうっかりと忘れていたことが原因です。

ヒルバスがランシュに協力する場面の描写ですね。当初のものよりも、ランシュ視点の方が話として、何かよくなりそうなので、そっちの方に設定を変更しました。

誠に申し訳ございませんでした。

反省します。

次回の投稿は、完成しだい、この部分で報告すると思います。

では―…。


2022年1月23日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2022年1月24日頃になる予定です。

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