第128話-2 復讐のための準備
カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。
興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
アドレスは以下となります。
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宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、ランシュはリース王国の騎士団の騎士見習いとなるのだった。
「何を勝手なことをしているのですか!!!」
俺は、五月蠅い小物のような奴の怒声を聞かされる。
嫌だなぁ~。
何か、こいつ嫌い。
「メタグニキア君、そんな怒らない。俺としては、ランシュ君はリース王国に貢献してくれると思ったからここに連れてきたのだよ。」
そんな言葉で、理解できるような奴じゃ―…。
「素性は!!!」
「孤児だね。クルバト町近くの森で彷徨っている時に出会った。だけど、彼はクルバト町のことを知らないようだね~、そうだね、ランシュ君。」
そこで俺に振るわけな。
「はい。」
迷わず答える。
そのようにした方がいいのではないかと思ったからだ。
迷えば、疑われると感じて―…。
「フン、まあ、いいですよ。ベルグ様はいつも変なことをされますが、リースに貢献しているのは事実ですから―…。」
と、メタグニキア…言いずらいなぁ~、が悔しそうな表情をしながら言う。
その表情を見た俺は、ああ~、こいつ嫌いな理由分かったわ。
自分が一番で、他の人たちのことはどうだっていいと思っているんだ。
そう、思ったからこそ、嫌いに思ったんだ。
「メタグニキア君も認めてくれたことだし、ランシュ君はリース王国の騎士団の見習いとして、晴れて入団だ。良かったね、ランシュ君。」
「はい。」
こうして、俺はリース王国の騎士団に入団することになった。
見習いとしての形であるが、それでも構わない。
実績イコール信頼を築けるのだから―…。
それから、部屋を案内される。
そこは、リース王国の騎士団の宿舎であり、一人一部屋という感じになっていた。
リース王国の権力者の息子たちの関係で、相部屋というものは存在していなかった。
騎士がどういうものかはわからないが、共に行動する以上、仲間を知るために相部屋になると思っていた。
まあ、少しだけ、期待外れな面もあるが、俺にとっては都合が良い。
一人ならば、いろいろすることもできるし、隠すのだって可能だ。
俺も一人部屋を与えられ、隣には、俺と同じで正規の騎士団の試験に合格した奴がいるという。
そいつは、俺よりも強いのは事実であろうが、俺はまずそいつの実力を越えないといけない。
どれくらい時間がかかるかはわからないし、互いに成長していく以上、追いつけないかもしれない。
それでも、やるしかないということになる。
そして、俺は一人部屋の中へ入ると、そこまで広くはないし、ベッドと机が一つあるだけしかない。机に引き出しがあるので、隠すことはないだろう。
「ランシュ君、わからないことがあったら、私たちに言ってくれると準備することができるから―…、遠慮せずにね。」
「はい。」
まあ、今のところはないだろう。
ベルグがいくつか服など、生活に必要な物を俺のために買ってきてくれていた。
―ランシュ君。これ、君が当面の生活に必要なものだと思う。それと、俺は宰相の仕事を辞任することになって、リース王国には、表立っては二度と戻ってくることはないから―
―そうかよ。でも、表立ってとは?―
―君とは秘密裡に連絡をするよ。リース王国に内緒でね―…。それに、君はここで騎士として力をつけることができ、信頼を勝ち取れば、君の復讐もしっかりと果たせるよ。だけどね、俺がいいというまでは、絶対にレグニエドに復讐しないこと―…。俺も君の復讐に協力するのは規定事項だし、そうしやすいようにするための準備にかなり時間がかかるから―…。リース王国の中央で権力を握っているあの国際商業の中の一派は、簡単に、倒すことはできないんだよ。力も強いし、リースの人々を多く雇っていて、その人たちのことも考えるとね―…。わかった―
―わからねぇ~。だけど、ベルグの言っていることには従う。ベルグが強いのはあの時にわかっているから―
―ならよろしい―
その後、ベルグは本当にリース王国から姿を消した。
宰相という職を辞してしまったそうだ。
ベルグの後には、俺が嫌いと言っていたメタグニキアが、宰相になった。
俺の事を疎ましそうに見るが、俺に手を出すことはできないようだ。
俺もベルグに言われているので、今は、大人しくリース王国の信頼を獲得することにしよう。
ベルグは俺よりもはるかに強いし、勝手なことをすれば、何をしてくるのかわからない。
だけど、俺の復讐へと協力してくれるのは確かであろう。
俺は静かにこれからの生活について、少しだけ考えようとした時―…。
トントン。
誰だよ。
「は~い。」
俺はドアの方へと向かい、ドアを開ける。
そこには、俺と背が変わらないほどの一人の少年がいた。
何と言うか、爽やかな感じがして、絶対に良いところ育ちなんだろうなぁ~、と思ってしまう。
「君がランシュ君かなぁ~。私は、ヒルバスと言います。ベルグ様の推薦なので、さぞや強いのでしょうか?」
何を言っているんだ?
「いや、ベルグの推薦だとしても、俺は騎士として剣すら握ったことはない。だけど、俺にはやらないといけないことがある。ヒルバスとか言ったか。お前と関わっている時間はない。」
そう、俺は一早く強くならないといけない。
越えなければならない相手と仲良く、いや、喧嘩のように会話しているわけにはいかない。
お互いのことは、戦いながら知っていけばいい。その方が―…。
「そうですか。私としては、あなたはとても面白い存在だと思うんですが―…。まあ、私とランシュ君は良く試合することになると思いますので、その時に戦いながら、聞ければ―…、と。」
ヒルバスは、その後、俺との話を終え、自分の部屋へと戻っていくのだった。
ふう~、何なんだあいつは―…、よくわからん。
そして、俺は、夕食時間を過ごし、もちろん、目の前にはヒルバスがおり、ニコニコしていて気持ち悪かった。まあ、気にしないことにしよう。
共同浴場なるものがあり、そこで、風呂に入り、部屋に戻って、しっかりと寝るのだった。
この日の夢は、嫌な夢だった。
そのせいか、何回か目が覚めてしまうのだった。
翌日。
朝起きた後、食事を食堂でとり、昨日支給されたリース王国騎士団の制服に着替える。
ぶかぶかだ。
しょうがない。
それよりも、今日から訓練が始まるということか。
俺の復讐の第一歩が―…。
そして、俺は、自分の部屋から出て、寮の外を出て、訓練場へと向かうのだった。
その時―…。
「ランシュ君。今日が楽しみだね。私もリース王国の騎士として初めての日―…、緊張します。」
ヒルバスが話しかけてくる。
相手にしないで無視をしようと考える。
だけど、しつこそうな感じで話しかけてくる。
「聞いていますか。騎士としてやっていく以上、コミュニケーションは重要な能力ですよ。コミュニケーション能力がないと、騎士として出世されないし、騎士団の上の人から信用されませんよぉ~。」
………………。
「すまない、人と会話することに慣れていなくて、これからは仲良く話そうではないか。」
出世と信頼は重要だな。
信頼を得るのは、俺の復讐を果たすために重要なことだ。
ならば、話そうではないか。
「ランシュ君って―…、現金な人ですね―…。」
ヒルバスは、俺の態度のあまりにもの変化に、若干引いていたが、そんなことはわかっていたとしても、気にしないことにする。
俺は目的のために動いている、それ以上でもそれ以下でもない。
「で、リース王国の騎士団がどういうものかわからないから、説明して欲しい。」
俺は、さっそく、ヒルバスにリース王国の騎士団について聞くのだった。
「ランシュ君、知らないの。良く入れたねぇ~。ベルグ様の推薦をどうやって得たの?」
まあ、そうなるな。
「たまたま、ベルグに出会った。そして、話したら、俺が孤児だということで、リース王国の騎士団の騎士見習いとして入れられた。それに、俺にはやらなければならないことがあるし、そのために力は必要だし、この騎士団に文句も不満もない。」
一部、復讐の事に関しては、伏せておいたが―…。
ヒルバスは話すことのできる相手だが、一生かもしれないが、俺は復讐の事をベルグの関係者以外には言わないようにすると思う。
なぜなら、話して、リース王国内に漏れれば、俺はレグニエドへの復讐を果たせなくなるからだ。逆に、殺されるかもしれない。
それだけは避けないといけない。
「ふ~ん。」
「って、興味ないなら聞くなよ!!」
何なんだ、この態度は!!!
頭くるなぁ~。
「興味がなかったわけではありません。それよりも、リース王国の騎士団の説明ですね。リース王国の騎士団は、この地域で大きな国であるリース王国は対外的にも交易は活発ですが、周辺諸国には敵が多いですね。最近は、あんまり征服戦争はしないのですが―…。その周辺諸国からリース王国を守るために、騎士団が一つ創設されています。その騎士団は、一般の兵士とは異なり、成績や実績の良いもの、実力のある者は、リース王国の王族の護衛に出世することもありますし、一般から徴集した兵士を指揮することもあります。まあ、言ってしまえば、リース王国の軍隊のエリート部隊と言っても過言ではありません。遠征のほとんど騎士で十分な場合もありますし―…。騎士は正式には、騎士試験に合格するか、要人の推薦がないとなれません。ランシュ君は、ベルグ様ということなので、要人の推薦です。簡単に言うとこれぐらいでしょうか。」
なるほど、リース王国のエリート部隊ということになるのか。
俺にとっては都合が良い。
だって、王族の護衛につくこともあり得るのだから―…。
ベルグ―…、お前に感謝するぜ。
「そうなんだ。面白い。俺は王族の護衛になるために頑張るか。」
「おっ、ランシュ君、リース王国の騎士団を知らなかったのに、聞いた途端、王族の護衛になりたいなんて―…。君は玉の輿狙いなのですか?」
ヒルバスが俺に聞いてくる。
「玉の輿? 何だそれは?」
どういう意味だ…?
「えっ、ランシュ君は王族の女性との結婚を狙っているのですか?」
なぜ、俺が王族の女性と結婚しないといけない。
どうして?
レグニエドと血が繋がっているかもしれない奴らと―…。嫌だね。
でも、今、そこでそのようなことは言えないのも事実だ。
だから―…。
「王族の女性との結婚はどうでもいい。俺は、出世して、自分という存在を世に知らしめるんだ。リース王国の騎士にランシュありって―…。」
まあ、このように、馬鹿なことを言っていれば、俺のことを探ろうとはしないと思う。
うん、完璧。
結婚なんて、どうでもいいし、それに―…、俺にとって復讐が一番なんだ。
「そこまで、はっきりと言うことができますか―…。大物になりそう。」
大物か―…、想像してしまうとなってみたいと思ってしまうが、復讐が一番だから、それには興味ない。
そして、俺はヒルバスとともに集合場所に向かうのだった。
俺とヒルバスは、紹介されるのだった。
その紹介をおこなうのは、騎士団団長であった。
「皆に紹介しよう。正式の騎士として騎士団に入団することになったヒルバス=アーレントだ。そして―…。」
騎士団長が言葉を少しだけ止める。
その時の表情は、俺に対して嫌な感情を向けるようだった。
つまり、俺はこの騎士団に迎えられていないんだ。お邪魔ってこと―…。
まあ、それでいいし。実力主義だと思えば、俺のようにベルグに推薦されて入団するのは、彼らの今までの積み上げてきたものを馬鹿にしているものだもんな。
俺も騎士団長の立場であったなら、そう思うだろうし―…。
すぐに結果はでない。
それでも、必ずやってやる。
「騎士見習いとして、宰相を辞任されたベルグ様の推薦で入団することになったランシュだ。皆、二人を鍛えて一人前の騎士にして欲しい。」
そこには、喝采と言っていいほどの拍手がなされるのだった。
だけど、俺はここで居場所などあるのかと思ってしまう。
それでも構わない。俺もこの騎士団を利用するのだから、どっちもどっちだ。
拍手が鳴りやむと、騎士団団長は言い始める。
「ヒルバスとランシュの教育係を―…。」
と、騎士団団長は言いながら、ある体の大きな人物を指さす。
「ラウナウ、お前に任せる。」
「はい、わかりました、団長。」
と、ラウナウとかいう騎士は答えるのだった。
何か、熱そうだなぁ~。
周囲の気温をあげているのではないか。
周りの騎士なんか、少しだけ、ラウナウのことを避けてないか。
正直、俺は不安になってきた。
大丈夫か、俺は―…。
こうして、リース王国の騎士団見習いとしての生活が始まるのであった。
第128話-3 復讐のための準備 に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正すると思います。
次回の投稿に関しては、完成しだい、この部分で報告すると思います。
さらに、今回は、ほとんど見直せていませんでした。第128話-3を書いていて、今日、投稿するのを忘れかけるところでした。すいません。
では―…。
2022年1月13日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2022年1月14日を予定しています。