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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第18話-1 ルーゼル=ロッヘ(1)

第18話は、登場人物のセリフが多く、描写も多くなってしまったために分割します。第17話に続てではありますが―…。

前回までのあらすじは、ナンゼルらの襲撃者の集団を撃破した瑠璃、李章、礼奈、アンバイドであった。一方で、魔術師ローはクローナと再会し、瑠璃、李章、礼奈に合流するために、リースへと向かうのであった。

 瑠璃、李章、礼奈、アンバイドは、足を止めた。

 そして、山の上から眺望する景色に目を奪われた。

 山を下っていくにつれて、町が見えたのである。目を下から前へと徐々に向けていく、白い建物が連なっており、前を向くころには青が濃い海が見える。

 その景色は、目が奪われるほど、瑠璃、李章、礼奈、アンバイドをきれいなものであった。

 アンバイドは、

 「ここが―…、港町ルーゼル=ロッヘだ。」

と、言う。

 そう、瑠璃、李章、礼奈、アンバイドは、ついにルーゼル=ロッヘ へとたどりつくことができた。


 【第18話 ルーゼル=ロッヘ(1)】


 ルーゼル=ロッヘの町中。

 人々が多く行きかっていた。道も大きなもので、そこら中に商店や家などが連なっていた。

 そんな中にで、瑠璃、李章、礼奈、アンバイドは歩いていた。

 「港町ルーゼル=ロッヘは海上との交易が有名なんだ。港の近くには多くの商店が並んでいる。ここに来た商人が取引をおこなったり、彼らが滞在するため宿泊施設もたくさんある。ここで、リースの情報をある程度仕入れておく必要と思う。瑠璃、李章、礼奈(お前ら)のような子どもが行けない場所も多かったりする。だから、リースの情報収集に関しては俺がやっておく。それと、こういう町は、迂闊に裏地などに入るなよ。治安が悪かったりするからな。あと、団体行動は必ずだ。そうしていれば、この町で安全に過ごすことができる。わかったか。」

と、アンバイドは港町などの大きな所での過ごした方を説明し、自らはリースへの情報を手に入れるために行動することをいう。そのことに、

 「なぜですか、アンバイドさん?」

と、李章が質問する。李章はアンバイドのことについては信頼していない。しかし、異世界での経験は自らより長いことからなぜ大きな町の危険な場所や注意することを言ったのかについて疑問に思った。その理由を聞くことによって、その言葉は信用していいのか判断したかったからだ。

 「そりゃなぁ~、こういう町には人を攫ったり、闇の取引きなどがおこなわれたりするんだよ。それらに巻き込まれたら、いくら命があっても足りやしないし、関わりをもつとものすごくしつこく付きまとわれるからなぁ~。そうすると、町を出たとしても、迂闊に野宿すらできなくなるぞ。」

と、アンバイドは李章の質問に対して理由を答える。そう、危険なものに関わると町を出たとしても必要に追いかけられて安全でいられなくなるということである。

 「……はい。」

と、理解しているのか、わかっているのかとアンバイドに心配させるように李章は言う。

 「あと、李章。お前にとって重要なことを言わせてもらう。」

と、アンバイドが言うと、

 「?」

と、李章は疑問に感じて首をかしげる。

 「李章、お前―……、天成獣の力の宿った自らの武器を使って、なぜ戦わないんだ。」

と、アンバイドは、ナンゼルらの襲撃のときから李章に対して感じていたことを言う。

 その言葉に李章は、「!!」と核心をつかれたがゆえに動揺の表情となる。これは、誰から見ても、そうだと思えるようなものであった。

 「………………。」

と、李章は黙り込むことしかできなかった。アンバイドに反論することさえできない心理状態であった。

 しかし、李章もとにかく何かを言わないといけないと感じ、

 「私は、第一天成獣の武器が刀で、今まではずっと蹴りを中心に闘ってきた。だから、それを変えるべきではないし、変えたら自分ではなくなるから…。」

と、李章は言う。さらに、

 (大切な人を守りためには、武器ではなく、自分の力で…。)

と、心の中で李章は本心に近いものを言う。決して、声に出すことはなかったが―…。

 李章のさっきの言葉を聴いて、冷静に考え、丁寧に言葉を選んでアンバイドは言う。

 「それは、李章―…お前自身の甘えだ。その武器をくれた人間が何を言ったかは知らないが、これからは天成獣の宿った武器を用いて闘わなければ、天成獣の力を十分に発揮することができない。」

と、アンバイドが言う。それを遮るように、

 「私は、天成獣の半分の力でも十分に闘えています。」

と、李章は声を大きくして、無理矢理な強い語調で反論する。それは、瑠璃や礼奈にも聞こえていた。瑠璃も礼奈も今の雰囲気の二人には触れるべきではない。そっと見つめることしかできなかった。

 そんななか、アンバイドは落ち着いてはいるが、声を強く確信めいて、

 「李章―…、よく聴いておけ!! ナンゼルらの(あのような)襲撃者の強さなど、この世界では()()ぐらい分類したほうがいいくらいだ。それに、ナンゼル(あいつ)らの襲撃者より強い実力をもつのは、この世界に多くいる。これは、俺自身も経験しているから確信をもっていえる。李章―…、お前のような戦い方をしていけば、いつか敵を倒すこともできなくなり、むしろ、命を落とすぞ。」

と、アンバイドは李章に対して警告という含意を含めて言う。

 その強く確信めいた言葉は、李章をビビらせる。現実に、李章の心は確実に動揺してしまっており、悔しさに満ち溢れていた。

 「李章―…、お前があの嬢ちゃん達を守りたいと思うなら、天成獣の力の宿った武器を使って戦え。自分自身のプライドを捨てでもなぁ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

と、アンバイドは冷静に言う。この声は、自らの過去と李章の今の現状がすべてではないが、一致する面があるということに対するアンバイドの心配でもあった。また、お節介でもあった。

 李章はただ、顔を下に向け、気を落とすことしかできなかった。


 ルーゼル=ロッヘのとある場所にある居酒屋、もしくはバー。

 この店は、カウンター席とテーブル席で客に接客している。そして、カウンターの奥には大量の棚に酒が多く置いてあった。酒は棚から客に見えるようになっていた。

 この居酒屋の雰囲気は、今は活気とは正反対にあり、喧騒としていた。

 店員も同様であった。マスターはこの場が自身の交渉力をもっても不可能であると察知していた。理由は、この雰囲気を作り出しているとある一人の人物のルーゼル=ロッヘでのこれまでの行動を知っていたからであった。

 「ふん!! 出せよ!!! 俺に金を渡せ!!!!」

と、とある一人の人物は声を荒げながら強迫する。その人物は如何にも悪いことをしますという厳つい顔していた。

 「ひぃ~、それは、それだけはやめてください。お願いですから。そのお金まで取られたら、私の…今月の生活が~…。」

と、脅迫されている男は懇願する。それは縋るような目をしていた。男自身は、一般的な世間では決して真人間としての人生をこれまで歩んできたわけではない。人としては、屑の部類に入れていいだろう。しかし、この男もまた、日々、働きながら生活するための金銭を稼いでいるのは事実である。

 しかし、とある一人の人物、この男の前では、屑に分類されるような男もただ一般的な弱い人に成り下がる。この人物ほどの傲慢で、自己身勝手な行動はルーゼル=ロッヘの()()()()()()、すべての人を畏怖させるのである。

 「てめ~えの生活なんかこの俺に関係あるかあ―――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、とある一人の人物は怒鳴りながら言う。これには、店にいる者の全員が恐怖の中へと突き落とされていった。表情が恐怖の色で示されていること証明した。雰囲気は空気に怯えを与えていた。

 「今すぐ、俺のために金をだせ。それから、こいつ、殺すから死体の処理―…、店の責任者とここでいる奴らでやっておけ。」

と、とある一人の人物はさっきの怒鳴り声を引っ込めて、言う。脅迫されている男の目を舐め腐った気持ちで見ながらであった。そう、とある一人の人物は、自分に逆らう者は何でも脅すことですべて自らにとって都合の良いように言うことを聞かせてきたのである。今度も、同様であった。

 「兄貴、ここでこいつやっても―。」

と、とある一人の人物の部下である若い男が恐る恐る尋ねる。

 「関係ねぁ~。俺に言われたことさえやっていればいいだよ。お前らは―…。」

と、とある一人の人物は自らの部下に対して言い始める。

 とある一人の人物は続けて、

 「それに…、俺様の言われたことをただ実行する、これが俺様とお前たちとの関係だったはざだよなぁ~。忘れたのか?」

と、自らと部下との間の関係についてはっきりと示す。とある一人の人物とその部下の上下関係をはっきりと―…。そして、その関係ととある一人の人物の言うことを聞かなかったとき、実行できなかったときにはどんな目に会うのか理解しているのかという脅しを込めてもいたのである。とある一人の人物は理解している。恐怖こそが人を支配するのにとってとても重要なことであると―。

 「は…はいっ!!! わかりました。」

と、部下が言う。とある一人の人物の部下は、怯えながらも脅迫されている男を殺す準備をする。そうしなければ、自分が殺されるということを理解しているからだ。それに実際に、その現場を見ているのだから―。あの後景を思い出しただけで、体が震えだす。だから、自分が死にたくないために、銃を構える。そして、脅迫されている男に向かって銃を向け、息をすこし大きくして、気持ちを落ち着かせ、銃の引き金を引こうとする。

 一方で、銃を向けられた脅迫されている男は、今日のこの日を呪った。

 (どうして、こんな目に。確かに、私は碌なことをしてはいないが、こんなのはあんまりだ。とある一人の人物(ゼルゲル)にぶつかっただけで―…。頭下げて謝ったのに、ゼルゲルが自身にビールをかけ、衣装のクリーニング代を要求してきやがった。クソッ!! クソッ!!! もし、私に力があればゼルゲル(あんな奴)を二度とこの俺に逆らえように痛みつけてやれたのに…。ゼルゲル(あいつ)の後ろにあの男がいる限り―…。)

と、脅迫されている男は、悔しさととある一人の人物の名であるゼルゲルの後ろにいる人物を思い描き、絶望するしかなかった。そして、銃を向けられたとしても、それを見ることはできなかった。今日死ぬことが自らの運命だということから逃れるために―、脅迫されている男はいままでの人生をループさせていた。何度も―…。

 しかし、脅迫されている男にとってこの不幸は、不幸のままでは終わることはなかった。そう、この男に力はなくとも、希望をあった。救われるということの、希望が―…。

 「あの~、すみませ~ん。」

と、希望が声ととも現れた。


第18話-2 ルーゼル=ロッヘ(1)へと続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していきたいと思います。


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