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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
257/748

第125話 複数属性攻撃

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、第十回戦第六試合、瑠璃VSランシュの戦い。瑠璃がついに自らの武器である仕込み杖から剣を引き抜き、攻撃を開始し、ランシュの土で覆われた鎧に傷をつけるのだった。

本当に、しばらく投稿ができずに申し訳ございませんでした。本当なら、第125話も12月中旬ぐらいに仕上がっていたのですが―…。今年の最後の最後で―…。

何とか、瑠璃VSランシュの試合を今年中に終わらせるように頑張っていきます。何とかなるのかな?

 【第125話 複数属性攻撃】


 瑠璃は喜ぶ。

 ランシュの土で覆われた鎧に傷をつけたのだから―…。

 雷では、一切傷つけることができなかったことがあったせいで、余計に喜ぶのだ。

 あくまでも、心の中で―…、であるが―…。

 (傷をつけるとは―…。だけど、こんなものは修復させることができるのだよ。)

と、ランシュは、心の中で思いながら、自らの天成獣から借りた力で傷の方を回復させるのだった。

 ランシュは、瑠璃の攻撃に対して、驚くし、動揺もあるが、冷静に対処できないほどの精神状態になることはなかった。

 それでも、ランシュは、そろそろ決着を付けないと不味いことに気づいていた。

 ランシュが自らの武器に宿っている天成獣から借りられる力の量が、少なくなってきたのだ。

 ランシュが瑠璃に勝利して、次の試合に参加することになってしまうのであれば、その時は何とか天成獣の力を使わずに戦えば良い。

 そうなってくると、速攻で決着をつけるか、粘って、天成獣の力を借りられる力の量を回復させていかないといけない。

 ゆえに、ここで、ランシュはある決断を下す。

 (俺のすべての力を使って倒す!!!)

と、ランシュは、心の中で言う。

 この決断は、ランシュとしては下さざるをえないものだ。

 瑠璃が天成獣から借りられる力の量が明らかに多すぎるのだ。その想定を若干であるがランシュは間違っていたし、瑠璃が予想以上に対抗するからであろう。

 ランシュとしては、さっきの鼓動の球で瑠璃を倒す予定だったのだから―…。

 一方で、瑠璃も、余裕があるわけではなかった。

 (鼓動の球(あの攻撃)を防ぐのに、光をある程度使ってしまったし、この一撃が私のできる精一杯、この次の攻撃が私としての今日の最後の一撃になる。)

と、瑠璃は、心の中で覚悟を決める。

 瑠璃も同様であり、いくら天成獣から借りられる力の量が多いからと言っても、限度というものが存在している以上、いつか尽きることもある。

 ゆえに、ランシュと瑠璃、双方ともに、次の攻撃が最後になる。


 中央の舞台。

 瑠璃チームのいる場所。

 アンバイドは、

 (そろそろだろうな。双方ともに最後の力を出し尽くすということか。俺の勘は間違っていなかったようだな。まあ、瑠璃がランシュに勝利しているわけではないから、まだ勘が当たっているということは言えないだろうが―…。それにしても、ランシュの実力は想定以上だ。どんな修羅場を潜れば、あのように強くなるのだ。あの若さで―…。)

と、心の中で思うのだった。

 アンバイドとしては、ランシュと瑠璃の双方がもう限界に近いということを見破っていた。

 これは、アンバイドがいろいろと戦ってきた経験から判断することができる。熟練かどうかは別だとしても、数自体が多かったのは事実であることを示す。

 それゆえに、瑠璃とランシュの両者の次の攻撃が最後の一撃となるし、双方ともに、次の攻撃で決着を付けようとするのだ。

 同時に、アンバイドは、ランシュをそこまで追い詰めることができた瑠璃に対して、鼻が高くなるのである。誰かに自慢したいほどに―…。

 瑠璃の成長が驚異的であることは、瑠璃たちと出会って、短い期間だけど旅をしていた以上、さらに、リースでのランシュが企画したゲームに参加し、瑠璃たちの修行に付き合っている以上、理解できていた。できない方がおかしいぐらいだ。

 アンバイドは、そのことを言葉にすることは今も、これからはわからないが、ない可能性の方が高いであろう。

 そして、この場では、誰もが瑠璃の実力をはっきりと理解してしまったのだから―…。

 一方で、ギーランは、

 (………そろそろ決着の時―…、次の攻撃で決まるのは確実―…。瑠璃に勝利を―…。)

と、心の中で必死に祈るのであった。

 ギーランとしては、最後は祈ることしかできない。

 神を信じていなくても、祈ることはできるというものだ。心配している対象がいるのだから―…。

 願い、生きて欲しいという気持ちがあるからだ。

 ギーランのように瑠璃に勝利して欲しいと願っているのは、礼奈、李章、クローナであった。

 イルーナの方は、

 (最後の攻撃となるでしょう。双方ともに―…。瑠璃、さすが私の娘。天成獣の宿っている武器の扱いは、この世界に来て、一年も半年も経っていないのに―…、ここまで扱うことができるようになって、実力者と互角に戦えるなんて―…。なら、少しぐらい欲を張ってもいい。瑠璃にはそれで(ばち)が当たるようなことはないのだから―…。)

と、心の中で堂々としているのだった。

 見た目の態度でもそうである。

 不安という要素がないというわけではないが、それよりも、瑠璃の天成獣の宿っている武器を扱っての戦い方の成長の速さに歓心しながらも、状況が状況だけに瑠璃には勝利して欲しいと思っている。ランシュに対して―…。

 だからこそ、少しぐらい欲張ったとしてもいいじゃないか。

 勝たなきゃ、瑠璃の人生がそこで終わってしまう可能性が存在するのだから―…。

 イルーナは、四角いリングの方を見るのだった。


 四角いリング。

 瑠璃とランシュが戦っている。

 その中で、両者動くことはできなかった。

 最後の一撃だからこそ、ここぞって時に決めたいという気持ちがはたらいているようだ。

 (いくら、このような膠着状態を続けたとしても意味はない。どちらかが最初に動かないと決着がつくことはない。ならば、瑠璃(対戦相手)の方の攻撃を凌駕すればいいだけのことだ。)

と、ランシュは、心の中で言いながら、自らの腹積もりを決める。

 だからこそ、ランシュは、最大の攻撃へと移るのだった。

 ランシュは、後ろについている羽を広げる。

 バサッ!!

 と、音をさせながら―…。

 それは、ランシュにとって最後の攻撃をおこなうための開始の合図となる。

 羽が光りはじめる。

 (今の俺の中で使える最大の攻撃はこれだ。複数属性を扱える天成獣の宿っている武器を操っているからこそ使える―…。一つしか属性を持たない者たちには到底できるはずのないこの技で―…。火、地、生、光、風の五つの属性を羽に纏わせる。)

と、ランシュは、心の中で言う。

 ランシュが扱うことができる属性は、五つ以上であり、鉄も可能である。

 その中で、ランシュは火、地、生、光、風を組み合わせたランシュ自身ができる最大の攻撃を放とうとする。

 この第十回戦第六試合における最後で、最大の攻撃なのだから―…。

 後は、瑠璃に勝利した後に、次の日に再度、試合になってくれることを祈るのみだ。まあ、そうならなくなったとしても、その時はその時の戦いをするだけだとランシュは思っている。

 ゆえに、後悔のないように攻撃の準備をする。

 一方で、瑠璃の方も最大の攻撃の準備をするのだった。

 瑠璃にとって、使える技かどうかも分からない、ぶっつけ本番を―…。


 少しだけ過去に戻る。

 それは、第九回戦終了後から数日がたち、明後日が第十回戦がおこなわれる日となる日。

 場所は、リースの城の中の中庭で、訓練ができる場所。

 ここは瑠璃たちの修行場でもある。現在においては―…。

 「瑠璃、どういう攻撃ができるんだ?」

と、ギーランは、瑠璃に向かって言ってくる。

 これは、瑠璃の実力をそれなりに杖での攻撃を把握しているが、それ以外にも攻撃方法があるのならば、聞いておきたい。再度、同じこととも言うが―…。

 「前に言った時以外に、存在しないよ。ただ―…、まだ、これは全然使えていないけど―…、李章君が使っていた斬撃のようなものを使いたいなぁ~と、思ってるよ。私の武器、仕込み杖で剣が中にあって、この杖の持ち手の部分から引き抜いて、前に出していた水晶の部分を後ろにすることで、剣先を相手に向けることができる。」

と、瑠璃は説明するように言う。

 説明でしかないが―…。

 瑠璃の武器は、杖で攻撃する時は、水晶玉の部分が相手の側になることが多いが、剣を抜いた時は、水晶玉の部分の方が後ろになり、剣先の方が相手の方を向く。

 そして、戦い方も剣撃が主流となり、水晶玉の部分は、光を蓄え、それを剣先に供給するという役割を担う。

 その一撃は、水晶玉の部分よりも強くなる。なぜなら、水晶玉は元々、剣先への攻撃用の光を送ることが主目的であり、自身から攻撃を放つのはあくまでも副次的なものに過ぎないのだから―…。

 そのために、水晶玉の部分から放たれる一撃というものは、弱くなってしまうものだ。まだ、天成獣の宿っている武器で、この瑠璃の持っている武器を扱うことができない者に対して、攻撃の威力を間違えない上ではとても役に立つし、コントロールを徐々に身に付けていく面では重要な役割を果たす。

 ゆえに、瑠璃は本当の意味で、第七回戦第六試合のレラグ戦の途中まで、本当の実力を十分に発揮されることはなかったと言っていい。

 瑠璃は、剣を抜くことによって、ようやく本当の意味で本気の戦いになるのだから―…。剣を抜くのにも条件とはいえなくても、完全に扱いこなしているとは言えない。扱うということは可能であるが―…。

 「なら、光の移動以外にも斬撃を少しだけ見てみよう。」

と、ギーランが言う。

 瑠璃は、光の移動と同時に、斬撃についても少しだけ修行するのだった。


 時は戻る。

 リースの競技場。

 四角いリングの上。

 (修行の時はできなかったけど―…、一か八か、これに賭ける!!!)

と、瑠璃は、心の中で言いながら、攻撃の準備をするのだった。

 ランシュの方は、羽の方の光がしだいに、右腕の方へと向かっていく。

 それは、羽がランシュのこれからの最大の攻撃の一撃を最大効率で素早く力を蓄えたり、最高の状態にできる役割を果たしているのだ。

 もうそろそろで、ランシュにとっての最大の攻撃を放つことができる。

 今のランシュに、瑠璃の実力がどうのとか、こうのとか、という考えなど存在しない。

 ただ、この今出すことができる最大の攻撃を放って、瑠璃を倒すことしか頭にない。

 これ以上、他の要素を考えたところで、意味があるのだろうか? いや、ない。

 (出来上がったようだな。)

と、ランシュは、心の中で言う。

 そして、ランシュは、光っている右手を瑠璃に向かって、横に振るのだった。

 「いけ―――――――――、五属振撃!!!」

と、ランシュは叫ぶ。

 叫ぶ言葉の長さ自体は短いものであった。

 それでも、ランシュの意思と意志は、このリースの競技場にいる者たちにはしっかりと理解できるものであろう。

 目の前の敵を倒す、もしくは殺すということが―…。

 ランシュの放たれた「五属振撃」は、瑠璃へと向かって、まっすぐに向かってくるのだった。白以外の色を失い、光りながら―…。

 一方で、瑠璃も攻撃の準備を完了させていた。

 瑠璃も剣を横に振るのだった。そこから斬撃を発生させ、ランシュへと向かわせるように―…。

 「光剣 光雷(こうらい)斬撃!!」

と、瑠璃は言って―…。

 「光剣 光雷斬撃」は、瑠璃の武器である仕込み杖の剣の部分に光と雷を纏ったものであり、それを斬撃と組み合わせて放つのだ。

 その威力に関しても、今、瑠璃ができる最大の威力にして―…。

 こうなれば、どうなるかわかるだろう。

 ランシュの「五属振撃」と瑠璃の「光剣 光雷斬撃」は、衝突する結果となり、現実、そのようになった。

 二つが衝突した場所は、大規模な爆発と言ってもいい現象が起こることになるが―…。


 【第125話 Fin】


次回、どっちに!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


今年は年末まで頑張っていくと思います。去年の今頃は、来年の1月中旬に投稿を再開すると言っていると思いますが、パソコンの調子のせいで、それができなくなりました。年末進行ということになってしまいました。予想外です。

2022年は、1月1日、2日、3日は小説の制作をせずに、4日から再開していると思います。投稿は2022年1月、いつ始められるかは進行しだいということになりそうです。かつ、投稿再開日に連続投稿はできないと思います。そのことだけは早めに言っておきます。

次回の投稿に関しては、完成しだい、この部分で報告すると思います。第126話は予想ですが、かなり短くなるのではないかと思います。実際に、書き終えてみないとわかりませんが―…。

では―…。


2021年12月28日 次回の投稿分が完成しました。第126話、短くなると思いましたが、書き終えるといつも通りの長さになってしまいました。自分のミスです。申し訳ございません。次回の投稿日は、2021年12月30日頃を予定しております。


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