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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
256/748

第124話 延びる終わり

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』は、ランシュは鼓動の球という攻撃で、瑠璃をこの球の中に飲み込み、爆発させるのだった。

 爆風は吹き荒れる。

 だけど、それは観客席に届くことはない。

 なぜなら、四角いリングを囲っている透明な壁がしっかりと四角いリングの外に出さないようにしているからだ。

 そのおかげで、ランシュの攻撃の巻き添えになることはなかった。

 ランシュもそのことを知っているからこそ、鼓動の球を使ったのであるから―…。

 ランシュは、リースの中央で権力を握っている者たちとは違い、自分の行動が他者にどのような影響を与えるのか理解できているのだから―…。

 そして、倒すべき、討伐すべき相手にのみこの鼓動の球の爆発を行使するのだ。

 ランシュは、爆発による爆風を受けながらも、無事に立つことができている。

 ちゃんと、自らの技の近くにいても巻き込まれないように、天成獣の力を使って防御しているのだ。

 土で覆われている全体に、薄く覆わせて―…。

 そして、しだいに、爆風は収まり、瑠璃のいると思われる場所には白い煙が吹きあがって、その場所を見えないようにするのだった。


 中央の舞台。

 瑠璃チームのいる側。

 アンバイドは、

 (ランシュの奴!! こんな技まで使えるのかよ。瑠璃には勝って欲しいが―…。もし、負けた場合、確実にランシュの相手は俺になるだろう。あの球体の攻撃に気を付けないとな、最初から本気でいけば、あの球体を出されずに勝利することは可能か。あのような技は喰らいたくないなぁ~。)

と、心の中で言う。

 アンバイドは、瑠璃がランシュの鼓動の球の爆発を凌ぐ可能性はあると思っていた。

 それでも、ランシュが優位な状況には変わらない。

 そうなると、ランシュが瑠璃に勝利した後のことも視野に入れておかないといけない。そのようなことにならないのが一番良いのであるが―…。

 ランシュが瑠璃に勝利後、勝利数が同じになり、もう一戦、第七試合がおこなわれることになる。その頃になると、リースは日が暮れており、夜の中の戦いとなる。もしくは翌日にズレるかもしれないが―…。

 前者のように、夜の中の戦いならば、ランシュも瑠璃との試合でだいぶ天成獣から借りられる力の量が消費しているので、ランシュが大きな攻撃をしてくる可能性は減少し、体力の疲れもあり、焦らずに冷静に対処すれば、確実に勝利することができる。アンバイドなら―…。

 油断したり、本気を出さないということがなければ―…。

 後者のように翌日にズレる場合は、ランシュの体力も天成獣から借りられる力の量も元に戻るので、最初から本気を出して、追い詰めて勝たないといけない。アンバイドにとって、このようなことは、簡単ではないし、自らの隠していた手の内を晒すことになってしまうのだ。

 避けられるのであれば、そのようなことは避けたい。

 ゆえに、瑠璃の勝利を願う。

 そして、その瑠璃の勝利の可能性が低く、ランシュが瑠璃に勝利した場合、夜の中の戦いになる方が高いと思うのだ。興行とかそういう面で―…。

 まあ、翌日にするのも興行面からみれば、変わらないのか。それとも、得なのか。アンバイドにはその面から考える時間など存在はしなかった。

 ランシュが瑠璃に勝利すれば、自分が第七試合に指名される可能性が高いと思っているのだから―…。

 そして、試合に動きがあるようだ。


 【第124話 延びる終わり】


 四角いリングの上。

 瑠璃がいると思われる位置には、白い煙がモクモクと噴き出していた。

 白い煙の外からは、瑠璃がどうなっているのかはわからない。

 (これほどの攻撃を受けたのだ。倒れているどころか、存在自体が塵にもならないぐらいに消えていると考えた方が妥当であろう。だけど、その逆の可能性が存在している。生きているという可能性だ。まだ、白い煙が晴れておらず、どうなったのか実際にこの目で確かめていない、確定的なことはいえない。警戒は解くな。)

と、ランシュは心の中で言う。

 ランシュとしては、瑠璃がさっきの自らの攻撃をまともに喰らっている可能性が高い以上、瑠璃が生き残っているとは思えなかった。

 それでも、何事にも例外というものが存在している以上、警戒するに越したことはない。

 逆に警戒しないで、瑠璃が生き残っていた場合、それ即ち、隙となり、その隙を瑠璃に攻撃されて、ランシュ自身が倒される結末へと導くものとなりかねない。

 ランシュがそのような未来を積極的に、意図的に望むことはない。ここには勝利するために来ているのだから―…。自らのチームの勝利を―…。

 ランシュは見続けるのだった。白い煙のある方向を―…。


 観客席。

 その中の、審判がいる場所。

 (日が暮れてしまいましたか―…。この試合が終わった場合はさすがに―…、試合をし続けるのは困難でしかない。翌日もおこなうことになりそうです―…。はあ~。)

と、ファーランスは、心の中で言いながら、溜息を吐く。

 ランシュが企画したゲームで審判に強制的にランシュに任命されたファーランスは、このゲームの審判で自分が有名になりつつあるのは実感している。

 そうなってくると、ファーランスに審判もしくは実況をして欲しいという依頼がくるようになる。現に、ファーランスにそうして欲しいという依頼がくるようになっていた。

 ファーランスとしても自らの生活の面で、安定的になるかはこれからのファーランスの働き具合と、相手側、ファーランス以外の社会的需要と供給との関係に依存することになるであろうが―…。

 ファーランスはそういう面で、一歩だけ他の者たちよりもリードすることができたのではないだろうか。

 このチャンスというものを利用して、成果をおさめようとしているのだから―…。

 ファーランスは、今日が最後になるかはわからないし、そのことに対して、気分が鬱屈になりそうになるけど、それでも自らの職務を果たそうとするのだ。次の依頼の場所に向かうために、明日までにリースを発たなければならないけれど―…。

 もどかしい気持ちをさせながら、瑠璃とランシュの戦いの動向を注視するのだった。


 四角いリングの上。

 白い煙がシュウウウウウウと音をさせながら、しだいに晴れていこうとする。

 そうなってくると、瑠璃がどうなったのかを嫌でもわかるようになってくることになるだろう。

 (影が見えない。俺の―…!!!)

と、ランシュは、心の中で言いかけながらもすぐにあることに気づくのだ。

 白い煙があり、瑠璃がいると思われる場所に影が発生する。

 その影は次第に色を濃くしていく。

 「!!」

と、ランシュは驚き、防御の態勢をとる。

 その時、白い煙が一瞬にして、なくなってしまう。

 まるで、邪気が聖なる光によって払われるかのように―…。

 それは、瑠璃が生きているのかそうでないのかの結果を一瞬にして示すことになる。

 「剣を抜いたのか。」

と、ランシュは言う。

 その声は、大きいというわけでもなく、さらに、速いわけでもなく、驚きというものと動揺に近いというものを感じたのだ。

 だけど、ランシュは知っている。第七回戦第六試合で瑠璃がレラグと戦っている時に見せているし、それをランシュはまじかで見たのだ。

 そう、瑠璃が仕込み杖から剣を鞘から引き抜いているのを―…。

 瑠璃の武器である仕込み杖に仕込まれている剣は、金属と思われる部分は、光り輝きながら、剣に纏わりついていたのだ。

 「俺の鼓動の球の攻撃を受けても立っていられるとはなぁ~。恐れ入ったぜ。だけど、剣に戦い方を変えたからと言って、俺に勝つのはかなり至難の業だと思われるけどな。」

と、ランシュは言う。

 ランシュの言っていることは、現時点において、事実でしかない。

 ランシュの実力は、瑠璃よりも強く、完全に実力者と言われてもおかしくなく、一国をも滅ぼすことが可能なぐらいなほどだ。大きな攻撃だけではなく、ランシュの戦略や戦い方によっても―…。

 それをしっかりと理解しているからこそ、今の言葉をランシュが言うことができるのだ。瑠璃に対して、警戒し、油断することなく―…。

 〈グリエルありがと。〉

 〈後はお前しだいだ、瑠璃。…ちゃんと勝ってこい。〉

 〈うん。〉

と、瑠璃と瑠璃の持っている武器である仕込み杖に宿っている天成獣グリエルが念話をする。

 グリエルは、瑠璃にしばらくの間、剣で戦わせなかったのは、剣に光を最大限に纏わせることが必要と判断したからであり、そうしなければランシュに勝つなんて不可能と思えたからだ。

 グリエルの判断と、瑠璃がそのグリエルの意見を受け入れたことにより、今の状況があると言っても過言ではない。

 一方で、ランシュは、羽の部分をバタバタさせ始める。

 わずかだが、ランシュが地面から足が浮くのであった。ランシュは実際に、空をその羽で飛ぶことができるが、今回のフィールドから言うと、ランシュは空中戦に持ち込んでも意味がないことを理解している。

 なぜなら、四角いリングを覆うように透明な壁があり、そのような場所で、無駄に空中戦をしても意味はない。空中攻撃も範囲は狭いが、狭いがゆえに、攻撃の威力を強くすることはできたとしても、相手も同様に防御の威力を上昇させることができるために意味がないと考えていた。

 それなら、ランシュの羽のもう一つの機能を使って戦った方が良い。

 ランシュが羽をバタとさせると、瑠璃の目の前から消えるのだった。

 (消えた!! 目の前、いや、真後ろ!!?)

と、瑠璃は心の中で言う。

 瑠璃としては、目で追うのではなく、気配で追おうとした。

 そして、ランシュは、瑠璃の真後ろに姿を現わし、右手で切り裂くように攻撃するのだった。

 ランシュの攻撃のスピードから瑠璃が避けられる可能性はないと思われるが、それでも瑠璃は現時点で、最大の速度で移動することは可能なのだ。

 ゆえに、瑠璃はランシュの攻撃を受けることなく移動することができた。光速移動を―…。

 「!!!」

と、ランシュは驚きながら、動揺するのだった。

 瑠璃がどこへ移動したのか?

 だけど、それを考える時間自体が存在しないものでしかない。

 ランシュに感触があったのだ。攻撃を受けたという―…。

 そう、瑠璃は光速移動した後、ランシュの背後に周り、すぐに仕込み杖の剣の部分を振り、光の攻撃を斬撃として放ったのだ。

 その攻撃は、ランシュが考えているうちに当てることに成功するのだった。

 なぜなら、攻撃自体も光を用いてスピードを速くすることができるのだから―…。

 そして、ランシュは、瑠璃がいると思われる真後ろを向くのだった。

 「なかなかやるなぁ~。俺の土で覆った鎧に傷をつけるのだから―…。」

と、ランシュが言う。

 そう、光の斬撃を受けた部分が、綺麗に傷になっているのだった。

 だけど、ランシュの体の部分に当てることには失敗したのだが―…。

 まあ、瑠璃はランシュを殺すことは望んでいないので、それでもいいぐらいだと思っていることだろう。


 【第124話 Fin】


次回、決着の時は近い、それでも、次回では決着が付―…!!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の投稿に関しては、次回の投稿分が完成した後、この部分で次回の投稿日を報告すると思います。

では―…。


2021年12月24日 次の投稿分ができました。パソコンの調子が悪く、しばらくの間、2021年12月17日から12月22日の間は、一切、制作をすることができませんでした。

今は、回復していて、制作をすることが昨日の2021年12月23日からできるようになって、『ウィザーズ コンダクター』の方は、昨日から制作を開始している状態です。『ウィザーズ コンダクター』の方の投稿も再開することができています。

このしばらく『ウィザーズ コンダクター』が投稿できなかったことに関しては、誠に申し訳ございません。

では、次回の『水晶』の投稿は、2021年12月25日頃を予定しています。少しだけ内容は短くなりましたが、第125話が完成しました。後は、見直す程度になりました。あともう少しで瑠璃とランシュの戦う第十回戦第六試合が終わると思います。

では―…。

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