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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
254/747

第122話 複数属性者

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

今日から、第5部を開始します。夜あたりから―…(たぶん、18時30分ぐらいだと思います)。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、第十回戦第六試合、瑠璃とランシュの戦い。ランシュが優位に戦いを進めていく。その中で、ギーランは、ランシュが「複数属性者」という。この意味とは?

 「複数属性者?」

と、ミランは疑問に思う。

 それは、ギーランがさっき、ランシュが複数属性者と言ったことだ。

 ミランには聞いたことのない言葉であった。

 それに近くにいた礼奈も、

 「複数属性者? 何?」

と、同様に疑問に思うのだった。

 瑠璃のことが心配なのは事実であるが、それ以上に、ギーランの言葉から出てきた複数属性者という言葉に対して疑問に思うのだった。

 その複数属性者のことを知れば、瑠璃の助けになるのではないかというできないことを抱きながら―…。

 「ああ、複数属性者とはな―…。」

と、ギーランは話し始めるのだった。

 複数属性者について―…。


 【第122話 複数属性者】


 「いや、多くの天成獣は、一つの属性しか持っていない。大まかな属性をいえば、火、水、地、風、生、鉄、光、闇、時、幻があり、そのうちの一つの属性を扱うことができる。たまに、他の属性を付属させたりする場合もある。例えば、瑠璃の雷や礼奈ちゃんが扱っている氷など―…。そのような雷や氷が属性である認識されるかもしれないこともなくはないが、それでも、水や光の付属であるという面は隠せないし、それを扱える以上は、水や光の属性ということになる。ただし、何事にも例外が存在して、二つ以上の属性を扱うことができる天成獣がいる。その天成獣が宿った武器を扱うことができる者たちのことを複数属性者と言うんだ。彼らは、一つの属性しか扱えない天成獣が宿っている武器を扱っている者たちよりも原則的に言えば、強い。だけど、その分、借りられる力の量は多いが、その分、一つの攻撃で消費するのも多いという面がある。俺もかなり久々に見たような気がする―…。属性の数によっては、瑠璃は対抗不可能に近い。現に、ランシュは、地、火、光は持っていることはわかっている。後、どれだけ持っているかわからない以上―…、上手く探っていくしかない―…。」

と、ギーランは話し終える。

 ギーランの言った複数属性者とは、要は、複数の属性を操れる天成獣の宿っている武器を扱う者たちのことを言う。

 彼らは、一つの属性を操る天成獣の宿っている武器を扱っている者よりも原則的に強いという一面はあるが、だからと言って、一つの属性を操る天成獣の宿っている武器を持っている者が複数の属性を操れる天成獣の宿っている武器を扱う者に勝てないわけではない。

 わずかな状況の変化、選択によって、優位は変わってしまうのだ。

 複数属性者に弱点がないと言えば嘘となり、天成獣から借りることができる力の量の消費は、一つの属性を操る天成獣が宿っている武器を扱っている者よりも一回の消費量が多い。それでも、力の量自体が多いので、そこまでの弱点にはならないが、これを知って、持久戦に持ち込むことが可能であり、持久戦になればなるほど、複数属性者は天成獣の力を借りて攻撃する回数が増えるのだから―…。

 そして、四角いリングで動きが見え始める。


 四角いリング。

 そこは、白い煙のようなもので包まれている。

 ランシュの白い球状による攻撃が瑠璃のいる場所の近く? もしくは瑠璃のいる場所で爆発したと思われる。

 その爆発がおさまって、瑠璃のいると思われる場所の周辺では、白い煙がより濃く立ち込めていた。

 早く白い煙が消えたのは、ランシュ側の方で、ランシュは瑠璃のいる場所と思われる方向に視線を向ける。

 シュウウウウウ。

 その音が今の状況には似合うだろう。

 何かが登場するかもしれないし、瑠璃の状態がどうなっているのかを明らかにしている様子を伝えてくれる。緊張感か? そのような感じだ。

 そして、瑠璃のいる場所と思われるところに、しだいに黒い影のようなものが出現する。

 「!!!」

 ランシュは警戒する。

 瑠璃が生きている可能性が出てきたからだ。

 そうなれば、この時間を使って攻撃の準備をしていてもおかしくはない。

 ランシュならそうするし、瑠璃も油断ならない相手であることは確定しているのだから―…。

 そのようなことである以上、無防備という選択も何も策を弄しないという決断もありえない。そんなことを選ぶのは、愚かな者か、まだ戦いに慣れていない者であることを証明することでしかない。

 その黒い影は、正体を現わす。

 そう、瑠璃は生きていたし、ランシュの攻撃をしのぐことに成功していた。

 グリエルと話し合って、光を用いて防御したのである。

 だけど、ランシュが見える時には、すでにその光は消えており、ランシュがそのことを理解する手掛かりというものを見つけるは不可能に近いというものでしかない。

 それでも、ランシュは、瑠璃が何らかの方法でランシュのさっきの攻撃を防いだということに関しては気づいていることであろう。

 ランシュは、そのように考えるし、不可能に近い、さっきの攻撃を防いだものは何であったことを思考している暇はない。

 ランシュも想定していた。

 瑠璃が攻撃をしてくることを―…。

 その攻撃を発射させるものがすぐそこにあったのだ。

 そう、瑠璃の真上に―…。

 (どうやって防いだのかを考えている暇はないということか。本当に、俺に油断させるということをしてこない。それにしても、防御はしているようだが、それと同時に、攻めの姿勢を貫いてくるのか。自分がどういう状況かをしっかりと理解していることだ。リースの中央で権力を握っている奴らよりもましだな。)

と、ランシュは心の中で瑠璃を今、こう評価する。

 ランシュとしては、本気であるし、次の試合が存在する場合でも、そのことは、次の試合になってから考えればいいと思っている。それに、ここで本気を出さないで、負けてしまうのであれば、意味のないことなのだから―…。

 ランシュは、瑠璃の真上にある電気が溜まっていると思われる玉を見るのであった。

 その玉からは電気が強く、大きく周回するように流れている。その発生する箇所に関しては、ランダムのように感じられる。

 ゆえに、ランシュは、

 (あの玉を俺に向けて放ってくるのか。いや、あの玉から発生する雷で攻撃してくるのか。それでも、俺の覆っているものでダメージはないだろうが―…。ここに関しては、馬鹿なのか、それとも何かをするための作戦なのだろうか。まあ、戦っていく中でわかってくることだ。)

と、続けて心の中で言う。

 一方で、瑠璃は、

 (雷は通用しないし―…、グリエルはしばらく剣は抜くなと言われているし―…。まだ、準備が終わっていないみたい。勝負は、私が剣を抜いた時に決めていく!!)

と、心の中で言う。

 瑠璃にとって、今必要なのは時間であり、白い煙の中でグリエルが念話の中で言っていたことを思い出す。


 ―瑠璃!! あのランシュか何かは知らんが、あいつの天成獣は複数の属性を操ることができる奴だ。そんな奴の相手は、攻めの姿勢を続けながらも、持久戦に変えていかないといけない。相手が持久戦を想定して戦っているのであれば、不利かもしれないが、今日の試合の状況を瑠璃の視線や耳を通して聞いた感じだと、瑠璃が負けても相手はもう一戦しないといけなくなる。だから、瑠璃は、俺が最大限剣に力を込めるだけ込めるから、それまで杖で戦ってくれ。瑠璃、俺らの力の量は、相手よりも上だからなぁ~。任せた―


 グリエルの言っていることは長いものであったが、瑠璃には理解できていた。

 グリエルが力を最大限に発揮させるための準備が完了するまで、杖で戦って、どうにか生き延びること―…。

 そして、ランシュよりも瑠璃の方が天成獣から借りられる力の量が多いということだ。

 これは、グリエルが瑠璃に対して嘘偽りを言いたいのではない。事実を述べているだけに過ぎないのだから―…。

 グリエルの力の量は多いし、瑠璃との戦いでの相性は良い以上、借りられる力の量も多くなるというわけだ。

 それを理解しているので、瑠璃は必死にランシュに向かって、当初からの攻めの姿勢を崩さずに、持久戦へと持ち込むのだった。

 そして、瑠璃は真上にある玉からランシュに向かって雷を放つのだった。

 瑠璃にとっては、単純な攻撃だ。

 ランシュはすぐに、左腕を雷が到達するのに合わせて、振りながら、軌道を逸らすのだった。

 そして、瑠璃の真上にあった玉が放った雷は四角いリングの表面に衝突するのだった。

 「真上にあるものを使って攻撃するのなら―…、俺も見せてやるよ―…。これが本当の攻撃を―…。」

と、ランシュは言う。

 ランシュの気持ちとしては、瑠璃の今の攻撃には失望しか感じなかった。

 それは、瑠璃の攻撃が単純なものであったということだ。

 それでも、瑠璃が何か策を弄しているのではないかという面を完全に取り払うことはできなかったが―…。


 中央の舞台。

 ランシュ率いるチームがいる場所。

 そこでは―…、一人の人物が目を覚まそうとしていた。

 その人物は、視界が黒くなってから、夢というものを見ずに、一瞬にして時間が過ぎ去ったのだ。

 数十分ほどではあるが―…。

 目を開けると同時に、体をその人物は起こす。

 「私は!!!」

と、その人物は言う。

 その人物は思い出したのだ。気絶する前に誰かと戦い、飛ばされてしまったということを―…。

 だから、ある程度の予測を立てることができる。自らが敗北しているということを―…。

 それでも、確実に別の人物から聞くことができなければ、完全に納得することもできないであろう。

 「ヒルバス、目を覚ましたのか。」

と、クローマは、目を覚ましたその人物であるヒルバスに言うのだった。

 クローマとしては、ヒルバスの声が聞こえたので、ヒルバスが目を覚ましたものだと思い、視線を向けるのであった。

 そうすると、ヒルバスが起きていたので、声をかけるのだった。

 「クローマ。私は―…。」

と、ヒルバスはクローマに聞く。

 意味としては、自らの試合、第十回戦第五試合がどうなったのかを―…。

 そのヒルバスの意図を理解することができたのであろう、クローマは答える。

 「ヒルバス、お前は、相手の攻撃で四角いリング(フィールド)の外へと飛ばされて、あの壁に衝突して、気絶、ランシュが助けて、ここに運ばれたというわけだ。そう、ヒルバス、お前は俺と一緒で、今日の試合に負けたということだ。」

と。

 クローマの言葉を聞いたヒルバスは、心を安心させる。

 それでも、悔しいという気持ちは存在した。

 ヒルバスは李章よりも強い。李章がヒルバスに勝ったとしても実力的にそれが変わるということは今の時点ではない。将来においてはわからないが―…。

 「そうか―…、やっぱりか。飛ばされている時にそのような気がしました。」

と、ヒルバス言う。

 口調も、少しずついつも通りになっていくのだった。

 そう、冷静になってきており、思考もそのようになってきているのだ。

 ゆえに、あることをヒルバスは、クローマに向かって言う。

 「ランシュ様は―…、試合の方はどうなっているのですか?」

と。

 そのヒルバスの言葉に、クローマは冷静に言う。

 「今、まさに、その試合をしているところだ。相手は、ランシュに向かって、ゲームに参加することを表明した少女だ。実力に関して言えば、ランシュの方が上なのは間違いないし、それに―…、経験も圧倒的にランシュが上だろう。だけど、それだけでこの試合の勝敗を判断するのは危険すぎる。俺もヒルバスも、自分よりも実力が劣っている相手に実際に負けているのだから―…。あの瑠璃チームとかいうチームがセコイことをしているわけでもないしな。こちらの方が、酷い一面があるからな。あくまでも、相手チームに合意をとってはいるが―…。そうなると、これはもう運という要素以外に何もない。後は、ランシュを信じるしかないだろ。」

と。

 クローマとしても、瑠璃チームがルール破りなことをしているようには見えなかった。

 むしろ、正々堂々と戦っているし、リースの中央で権力を握っているような奴らみたいに、自分だけが安全であるようなことはしていない。そういう面では、瑠璃チームに関しては、恨みというものは一切ないし、人として好感をもつことができるだろう。

 まあ、クローマも、自分を守ることの重要性は大切であることを知っているので、リースの中央で権力を握っている奴らの行動すべてに批判的ではない。

 だが、彼らの行動は、リースのためにはなっていないし、そこで暮らす人々を苦しめているだけであるのは現実なのだから―…。ランシュの方が、よっぽどリースのため、リースに暮らす人々のために行動しているとさえ思えてしまう。

 自分の利益がどのようにして成り立っているのか少しぐらいは理解して欲しいものだ。まあ、リースの中央で権力を握っている奴らに言ったとしても聞いてもらえないのだが―…。

 「そうですか。そうしましょう。」

と、ヒルバスは立ち上がって、四角いリングの方に視線を向け、ランシュと瑠璃の戦いを見守るのであった。


 四角いリング。

 ランシュは、瑠璃の雷の攻撃を防ぐと、一歩歩くように進んで、動きを止めるのだった。

 その様子を見た瑠璃は、ランシュに攻撃を仕掛けようとして、向かって行こうとするが、動けないことに気づく。

 「!!!」

 (何、この威圧は!!!)

と、瑠璃は、表情に出るほどまでに動揺し、心の中でも言いながら、ランシュの方へと視線を向けるのだった。

 そこには―…。

 「出てこい。」

と、ランシュの言っている声が瑠璃に聞こえる。

 ランシュの真上には、ランシュの横幅の二倍ほどの直径を持つ、球状の物体が出現するのだった。

 瑠璃の顔は、絶望の色で染まる。

 だけど、瑠璃に逃げる選択肢も、降伏する選択肢もない。選ぶはずがない。

 瑠璃は―…、ランシュに勝ちたいと強く思っているのだから―…。

 〈準備ができたぞ、瑠璃!!!〉

と、グリエルの念話が聞こえた。

 希望の到来だ。

 その希望と、ランシュの真上にある絶望―…。

 さあ、瑠璃が手にするのは希望か絶望か。未来のある時点での結果が今、始まろうとするのだった。

 「終わりだ。」

と、ランシュの言葉によって、瑠璃に方向に球状の絶望が向かうのだった。

 そして、瑠璃を飲み込むことで始まるのだった。

 瑠璃の生き残るかどうかの分岐点の結末への道が―…。


 【第122話 Fin】


次回、……白い絶望が―…どうにかできるのか!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


今年中に、何とか瑠璃とランシュの試合に決着をつけることができれば―…。今年の目標はリースの章が終わることでしたが、自分の計画通りにいきませんでした。反省します。

次回の投稿分に関しては、ある程度完成しだいこの部分で報告すると思います。

では―…。


2021年12月14日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2021年12月15日頃を予定しています。

パソコンが―…、となりかけましたが、何とか無事にパソコンが復活してくれました。バッテリーのところにあった毛を取り除くと戻ったので、よかったです。

毛って、絶縁体なのだろうか? とふと思ってしまいます。わかりませんが―…。

そんなことを疑問に思ってしまうのでした。

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