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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
253/748

第121話 効かない雷

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』は、第十回戦第六試合、瑠璃とランシュの戦いはランシュが優位に進みながらも、瑠璃も上手くランシュに対抗しているのであった。その中で、瑠璃はランシュに効かなかった雷攻撃をするのだった。効かなかったのは偶然か、何か理由があるのか?

今回は、文章量が短くなっています。前回よりも―…。

 瑠璃の攻撃がランシュに当たる。

 その攻撃は雷だ。

 そのために、ランシュのいる辺りには、煙のようなものが発生していた。

 瑠璃としては、確かめるようなものでしかない。この攻撃は―…。

 (さっきよりも強くした。これで、ダメージを受けてくれると助かるけど―…。前の攻撃で、一切、効いていなかったから、どうか?)

と、瑠璃は、心の中で疑問に思い、不安に感じるのだった。

 瑠璃は、最初の雷の攻撃をランシュに当てることに成功しているが、その時、ランシュには一切攻撃が通じなかったのだ。

 ランシュは土で全身を覆っていることが原因で―…。

 ゆえに、瑠璃は、それが一時的なものかそうではないのかを確かめようとしたのだ。

 本当なら、そういうことはしない方がいいに決まっている。なぜなら、その攻撃が決定的なチャンスという可能性が存在するのだ。

 そうなってしまうと、ただでさえ、ランシュと実力差のある瑠璃が、ランシュに勝つことが難しくなるし、勝率というものを減らすことになる。

 そのような選択肢は避けないといけない。

 でも、してしまったことを人は書き換えられるわけではない。過去に戻ることができず、進み続ける現在という性質の流れに乗るしかない以上―…。

 タン。

 足音と思われるものがなる。

 それは、瑠璃にとっては、望みたくない結果を告げるような宣告だ。

 それでも、瑠璃は動揺する心を、心の中に閉じ込め、表情に出さないようにしないといけない。

 タン、タン。

 煙のような場所から、影が現れ、しだいに、大きく、黒が濃くなり、ランシュが姿を現わすのだった。

 何も攻撃を受けていないと思わせるようにして―…。

 「俺に雷は通じない。」

と、ランシュは言う。

 ランシュの声は、まるで抑揚がなく、感情すらないと周囲が思ってしまうほどだ。

 だけど、この言葉にはランシュの感情が強く存在する。

 その感情は、瑠璃の攻撃がランシュに通用しない。意味のないこと。無駄な抵抗でしかない。諦めろ。

 このような感情が今の中に込められている。強く、強く、強く。

 「!!」

 ゆえに、瑠璃は驚く。

 それでも、瑠璃は無駄な抵抗とも、意味のないことであっても、確定的であるが続けないといけない。

 どこで、剣へと戦いを変え、光での戦闘に移行するのかを―…。

 瑠璃はわかっている。

 これが、ランシュに勝つために必要なことを―…。

 ランシュは、言葉を続ける。

 「次は、俺の番だな。」

 そう、次は、ランシュが攻撃をする番だ、と自らに言い聞かせるように―…。

 周囲に言い聞かせるように―…。

 対戦相手である瑠璃に、恐怖を刻ませるように―…。


 【第121話 効かない雷】


 ランシュは、手を動かす。

 移動するわけでもない。

 瑠璃の方へと向かって、直接攻撃を当てるわけでもない。

 ならば、なぜそのようなことをするのか。

 理由はとても簡単だ。

 手を動かすという動作をくわえることによって、攻撃を放ったのだ。

 そう、生の属性の攻撃を―…。

 (これで攻撃を抑えようとするはずだ。狙いはその後だ。)

と、ランシュは心の中で言う。

 ランシュは、最初に大きな攻撃をしたとしても、瑠璃にそれに対処しようとしてくるはずだ。

 まだ、それをなすことができるとランシュは思っている。

 試合も進んでいって、冷静な判断を瑠璃が下せるのが難しくなるほど焦るようになれば、大きな攻撃でトドメをさすことができる。

 そのために、弱らせておく必要がある。

 ただし、ランシュが瑠璃に勝利した場合、引き分けという状態となり、ランシュはもう一戦しないといけない。この場合は、確実にアンバイドが対戦相手になることはわかりきっている。

 だけど、速く決着をつけようとして焦った結果、瑠璃に負けてしまえば、意味をなくしてしまうのだから―…。

 ゆえに、アンバイドの時の戦いでは、その時に考えた方が、自分の現状もしっかりと理解できているのだから―…。

 アンバイドが滅茶苦茶強いのは事実であり、ランシュよりも強いというのは確実であろう。ただし、ベルグよりは弱い。そこまで差というものはないであろうが―…。

 そして、ランシュの攻撃に対して、瑠璃は、対処に迫られるのである。

 瑠璃は、仕込み杖の水晶玉の部分から雷を二発ほどランシュに向けて放つのだった。

 ランシュの放った生の属性の攻撃と瑠璃の放った二発の雷の攻撃が三秒という時間もかからずに衝突する。

 そして、その衝突した場所では、衝突の音であるドーンという音がした。

 その場所は白く光り、その後に白い煙のようなものができる。

 その煙のようなものも数秒という時間によって、消えてしまうのであるが―…。

 それを中央の舞台にいる双方のチームの起きているメンバー、リースの競技場の観客席にいる者たちが見つめる。

 煙が晴れると、ランシュが右手を上に上げていた。

 その手のひらの上に、球状のものがあり、さっきの火の玉より十倍ほど大きかった。その球状のものは、白く光っていた。

 そう、ランシュは、生の属性の攻撃と瑠璃の雷の攻撃が衝突して、白い煙のようなものが発生する時に、準備を開始していたのだ。瑠璃に気づかれないようにしながら―…。

 そうしなければ、バレてしまえば、簡単に対処されてしまうのだから―…。ランシュにとって当たり前のことでしかなかった。

 (これでも喰らってもらおうか。)

と、ランシュは、心の中で言いながら、瑠璃にいる方向に向かって投げるのだった。

 白い球状のものは、瑠璃へと向かって行く。それも着地する場所が本当に瑠璃のいる場所なのだ。

 「!!!」

と、瑠璃は驚く。

 冷や汗を出しながら―…。

 (あんなのヤバいよ。)

と、心の中で言いながら、次には念話するのだった。

 〈グリエル、あれはかなりヤバい。剣を抜いて防いだほうが―…。〉

 瑠璃にとっては、あの威力の攻撃を剣を抜かずに防ぐ方法はない。

 それがあったとしても、瑠璃はどうやってそれが可能かということには達していない。

 瑠璃が天成獣の宿っている武器を扱うことになってからの日が浅いという面が影響している。センスは礼奈よりあるわけではないし、成長速度はすごいけど―…。

 こういうのは、天成獣との会話から引き出すことも重要であるし、日頃の修行の中で考えたりする中で生み出されていくのものだ。

 ゆえに、瑠璃にその経験が少なく、手札が少ないのだ。

 だけど、それが勝利への影響を与えるのであったら事実であるが、未来に対して確定かといわれると、否といえる。

 だからこそ、瑠璃はランシュに負けるという未来が確実に決まっているわけではない。

 そして、自分でできないのであれば、グリエルに聞くのも生き残るためには必要なことなのだ。

 〈剣を抜くのだけ少しだけ待って欲しい。だが、雷で防げないわけではないし、杖の状態でも守りなら、今の瑠璃であれば、光を使うことができる。〉

と、グリエルは解決策を明示する。

 グリエルも瑠璃が負けて、死んでほしいとは思っていない。

 グリエルは気づいているのだ。

 ランシュが瑠璃に向けてきているのは、殺気であり、それもガチなものであることを―…。

 だからこそ、提示する必要があった。瑠璃が死なないようにするために―…。

 そして、瑠璃は杖の水晶玉の部分から光を展開するのだった。守りのための―…。

 その後、ランシュの投げてきた白い球状のものは、投げられた時から数倍ほど大きくなって、瑠璃を覆うのに落下するのだった。爆発をともないながら―…。


 中央の舞台。

 ランシュの攻撃を受けた様子を見ている。

 それは、瑠璃チームのいる場所にいる人々もそうだった。

 その中でギーランは気づくのだった。もう言ってもいいほどの証拠とともに―…。

 「ランシュは―…、やっぱり、複数属性者。」

と。


 【第121話 Fin】


次回、複数属性者とは!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の投稿に関しては、完成しだい、この部分で報告すると思います。

では―…。


2021年12月11日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2021年12月12日頃を予定しています。

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