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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
250/747

第119話-1 瑠璃VSランシュ

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、第十回戦第六試合で戦う予定となっているランシュと瑠璃が四角いリングの中へと入っていき、対峙するのだった。

第119話は、文章を多く書いてしまいそうなので、分割することにしました。

 観客席の中の審判のいる場所。

 そこでは、このランシュが企画したゲームの審判を務めるファーランスがいた。

 そして、今は、夕方になりかけようとしていた。

 (これで、最後の試合になるかどうかはわかりませんが、最後の試合になって欲しいですね。難しいでしょうが―…。)

と、ファーランスは、心の中で言う。

 ファーランスとしては、瑠璃がランシュに勝つのは不可能だと思っていた。別に、百パーセント、そう思っているわけではないけど、ランシュの方が実力が上なのは、素人でも理解できることだ。

 それに、ランシュの威圧というものが、誰もをランシュに振り向かせ、恐怖を抱かせるのだから―…。

 そして、ファーランスはいつものことをし始めるのだった。

 「両者とも、試合を開始してもよろしいでしょうか。」

と、ファーランスは、瑠璃とランシュに試合を開始してもいいか尋ねる。

 「構わない。」

 「試合を始めてください。」

と、ランシュ、瑠璃の順番で言う。

 ランシュは、威圧を持ち続けながら、簡単に返事をする。

 一方の瑠璃は、緊張もしているが、それでも、ランシュに負けたくないと思いながら、ランシュへと威圧を仕返そうとするが、ランシュには意味がないようだった。

 そういう意味では、ランシュの方が一枚上手だったと言っても過言ではない。

 ファーランスは、瑠璃とランシュの両者から、試合を開始してもいいと返事をもらえたので、次のことへと移行する。

 「これより、第十回戦、最終回戦、第六試合―…、開始!!!」

と、ファーランスは、右手を上に上げ、試合の「開始」というところで、上に上げた右手を下に下ろすのだった。

 こうして、第十回戦第六試合が始まるのであった。

 ランシュが企画したゲームの最後になるかもしれない試合が―…。


 【第119話 瑠璃VSランシュ】


 〈瑠璃、いくそ!!!〉

と、瑠璃の武器に宿っている天成獣であるグリエルが瑠璃に念話する。

 〈うん。〉

と、瑠璃は返事をする。

 そして、自らの武器である仕込み杖を持ち、水晶玉の部分から電気を発生させ、形成し、大きくしていく。

 一方でランシュは、

 (最初から攻撃態勢ということか。まあ、間違ってはいない。だが―…、それだけで俺を倒せるとか思っていないだろうなぁ~。そうはさせない。)

と、心の中で言う。

 瑠璃は、最初から攻撃態勢で挑まないと、ランシュに対して守りながら戦うと、ずっと防御側になってしまい、勝つ可能性を余計に減らしてしまうと感じたからだ。

 攻撃に転じたとしても、ランシュに敗北するというリスクは存在する。それは、ランシュに対して、倒すための決定打を欠いてしまい、対処の方法がなくなった時だ。

 そのような時になってしまえば、負けることが確定的な未来となってしまうのだから―…。

 ランシュは、瑠璃の攻撃態勢に対して、自らの経験や知識から間違っていないと思うことができた。ゆえに、瑠璃が馬鹿ではないということにはすぐに理解することができた。

 それでも、攻撃態勢になったからといって、ランシュを倒すのが可能かと言えば、それは嘘ということにしかならないとランシュは思うのだった。

 それに、ランシュはヒルバスを李章に倒されている以上、最初から手加減するという選択肢は存在しなかった。

 だから、最初から本気モードで攻める。

 ランシュは、セルティーにも見せていない方法をとるのだった。

 ランシュは、土を大量に展開し、それを自身の体に覆うのだった。ランシュの持っている武器は、剣ではなく、首に掲げているペンダントであり、そのペンダントに宿っている天成獣の属性は地()()ある。

 その様子は、リースの競技場で、第十回戦第六試合を見ている者たちに驚きを与えるのだった。


 中央の舞台。

 瑠璃チームのいる側。

 アンバイドは、

 「何なんだ、あいつは―…。ランシュの戦い方はどんな感じなんだ、セルティー王女。」

と、セルティーにランシュの戦い方を聞いてみる。

 アンバイドとしては、土で自らの全身を覆う者を初めて見たのだ。

 地の属性の天成獣が宿っている武器で戦う者は、土で何かの生物や地面を動かすことが主体であり、ランシュのように全身を覆うというのはいないのだから―…。

 実際、そのようにできないわけではない。したとしても、鉄よりも防御力が低く、水の攻撃ではダメになるし、風だと削られる可能性があり、鉄だと破壊され、火だと固められてボロボロにされる可能性もあり、誰もそのようなことのするメリットを感じないのだ。

 だけど、ランシュはそれをしようとしている。一体、どういうことだろうか。

 その疑問を解決できるのは、ほとんどこのリースの競技場にはいないであろう。

 アンバイドでもそうなのだから―…。

 「私からしても、初めてです。ランシュは、土のような羽を形成し、それで戦っているところしか見たことがないのですから―…。」

と、セルティーは、驚きながら言う。

 セルティーは、さらに、心の中でも、

 (手の内を隠していたということですか。)

と、半分、頭に来ながら、そのように思うのだった。

 セルティーは、ランシュがこのように土で全身を覆うことができることを知らないし、今、初めて目の当たりにしているのだから―…。どういったものかを理解できないし、どうなっているのか、セルティーの方が知りたいぐらいだ。

 ランシュは、レグニエドに復讐を果たすため、自らの力を隠していた。知られれば、対策をうたれるから―…。

 そして、実際のレグニエド暗殺後の戦いでは、本気を出さずに簡単に当時のリースの騎士団の実力者を倒しているのだから―…。

 瑠璃に対して、全身で覆っていることからかなり本気であることが想定される。ランシュがそうしているのであって、その時の騎士団の実力者と瑠璃の今の実力がどうかを完全に比較することはできない。

 一方で、ギーランは、

 (どのような変化をするかわからないが、ランシュという人物に実力があるのはわかる。だからこそ、あの土で自らの体の全身を覆っているのは、何かあるのだろう。自らの実力を発揮するための―…。)

と、心の中で思う。

 ギーランとしては、ランシュの実力がこの中で、アンバイド、ロー、イルーナ、ギーランの次くらいに強いということを理解している。

 つまり、実力が折り紙付きであることを理解することができる。だからこそ、わかるのだ。

 ランシュのしていることが決して無駄ということではなく、意味のあることであり、ランシュ自身の力を発揮させるために必要なことである、と―…。

 それでも、ギーランは続けて、心の中で言う。

 (まだ、何かを隠している。)

と。

 そう、ランシュは本気になっているのはわかるが、まだ手札を隠しているの確かである。ランシュの天成獣の属性がギーランは、地であることは理解できるが、それ以上の何かをいや、それすら含む何かをまだ出していないことに―…。

 ゆえに、ギーランは、瑠璃がこの戦いで勝つためには、最大限ランシュの攻撃に対処しつつも、守りに入るようなことをしてはいけないのだ。守りに入ってしまえば、瑠璃が攻撃に転じることはかなり難しくなるし、さらに、ランシュがそのようなことをさせるとは到底思えない。戦闘経験も多いと推測することが簡単にできるあろうから―…。リースの騎士である以上―…。

 イルーナは、

 (瑠璃にとってはかなりヤバい状況になってきている。ランシュとかいう人は、かなり実力があり、かつ、かなり特殊なタイプかもしれない。羽なのに、土で全身を覆う。………あの可能性も存在するのか。)

と、心の中で考える。

 イルーナは、ランシュのある可能性について考えるのだった。羽と言えば、特殊ではあるが、風などの属性ではないかと思ってしまう。羽があれば飛ぶことができるのだから―…。

 だけど、実際のランシュは、羽なのに土で全身を覆っていることから、天成獣の属性は地であるとも考えられる。

 まあ、イルーナも地の属性で、羽を作り出すことのできる人物なのではないかという考えも存在した。

 実際、ランシュがどのような攻撃、もしくは戦略でいくのかによって、わかってくることかもしれない。そう思うしかない。


 四角いリング。

 ランシュは、自らが展開した土を全身に纏い終えるのだった。

 その姿は、まるで、現実世界における日本に昔に存在したとされる忍びのように感じさせるが、それとの違いもあった。

 まず、ランシュの手の方は、土で作られた爪があった。その爪は鋭く、ライオンの爪よりも五倍ほどの長さをしている。

 そして、土で作られた羽があるのだ。飛べるかどうかはわからないが―…。

 (忍び…? でも、色が土色だと何か違うように感じるのかな。)

と、瑠璃は、心の中で思うのだった。

 それでも、瑠璃が警戒を解いて、油断していることはない。そんなことできるわけがない。

 瑠璃もちゃんと気づいている。ランシュが瑠璃よりも実力が断然に上であるということに―…。

 それでも、ランシュの姿が忍者のように見えると思うのは、隠しようのない事実なのだから―…。

 (さあいくか。)

と、ランシュは、心の中で思うと、右手を上に上げ、手のひらの少し上から、球状の形をしたものを発生させる。

 瑠璃の方もすでに雷を発生させており、いつでも攻撃する準備を完了していた。

 だけど、瑠璃はここで驚かずにはいられなかった。

 (火!!)

と。

 そう、ランシュの右手の手のひらの少し上で展開された球状の形をしたものがしだいに、火をおび、燃え始めるのだった。

 その様子に、瑠璃は頭が若干であるが混乱し始めるのだった。

 今まで、天成獣の属性が一つだとわかっている者たちと戦っているのだ。これは例外なのか、どうか判別を下すことはできてないでいた。

 瑠璃が今まで戦ってきたことのない相手なのだから―…。


 中央の舞台。

 瑠璃チームがいる場所。

 ミランも驚いていた。

 (土で覆ったのに、火を展開!!? どういうこと!!! まさか!!!!)

と。

 ミランとしても、今まで天成獣の宿っている武器を扱っている者と戦ってきたが、ランシュのような土だとか火の二つの属性を操る人物とは出会った経験がないのだ。

 ゆえに、ミランは、この状況がどういうことか理解することができなかった。

 それは、このリースの競技場にいる者たちの多くがそうであろう。ただし、リースの競技場にいる者たちの多くの者たちは、二つの属性を操れるのか~、と何となく、結論付けているだろう。自分の中で納得できる説明として―…。

 ミランは、納得させられる説明にはいたっていないのだった。

 礼奈は、

 (地に火、複数属性を扱うことができるの。それとも、天成獣の宿っている武器を二つ扱うことができる人なの?)

と、心の中で思考する。

 礼奈は、瑠璃が不利なのはわかっている。自身も今日の第三試合で不利な戦いをしていたのだから―…。

 それでも、礼奈は勝利をしている以上、瑠璃が勝てないとは思わなかった。思いたくもない。

 相手は、自分たちに対してゲームを仕掛けてきた人物なのだから―…。

 そして、礼奈はランシュが、火を扱っていることに対して、土で全身を覆ったのと同様に驚かずにはいられない。

 だが、何となくであるが、ある程度予測することができた。そう、複数の属性を扱うことができる天成獣の宿っている武器が存在するという可能性もしくは、複数の武器を扱い、そのどれもが天成獣の宿っているものであるかということだ。

 そう考えたとしても大きな意味でのやるべきことに変わりはない。

 そう、瑠璃はランシュに勝利することを果たす必要があるということだ。

 細かい意味でみれば、違ってくる可能性が存在する。

 それは、二つの場合で異なってくるということだ。

 まず、複数の属性を扱うことができる天成獣が宿っている武器の場合は、とにかく自分の弱点であったり、攻撃が難しい属性がないかをチェックしないといけない。そして、その属性がある場合は、戦闘であり、逃げることができるのであれば、逃げ出した方がいい。その方が生き残る確率は高く。どうやっても、勝てる可能性が低くなるのだ。一方で、それがない場合は、相手の戦い方やその癖などを見破って、隙を突いて攻撃するなどの様々な方法が存在する。後は、身も蓋もないことを言えば、実力次第であろうが―…。

 次に、複数の天成獣の宿っている武器たちを扱う場合に関しては、そこまで難しいことはない。武器を離して、一撃の威力を弱らせたりするなどの選択肢も存在する。その他にも実力で倒すこともできるし、武器が複数あるので、集中するべきところを一つの武器にさせて、そのうちにそこで生じた隙を狙って攻撃するなどの方法がある。

 要は、勝つことができる道筋をしっかりと冷静に、はっきりと理解するかということにかかっている。

 そして、再度、四角いリングへと視線を礼奈は、戻していくのであった。


第119話―2 瑠璃VSランシュ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


想定よりも、リースの章が長くなってしまっています。というか、自分でも長くなりすぎています。今年中に終わるのは無理そうです。計画通りにはいかないものです。それでも、頑張って書いていくことにします。

最後に、次回の投稿は、完成しだいこの部分で報告すると思います。

では―…。


2021年12月3日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は2021年12月4日頃を予定しています。

ここで、第119話は完成します。


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