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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
243/748

第114話-2 やっと表に出ることができた

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは、以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』は、第十回戦第五試合、李章VSヒルバス、圧倒的に李章不利で試合が進んでいく。どうなる?

今回で、第114話が完成します。

 李章は気づかないうちに左足の曲げる部分を撃たれたのだ。

 足首を曲げる場所とは違う場所を―…。

 これで李章は、動くことすら困難な状態になってしまうのだった。

 (いつの間に!!!)

と、李章は心の中で叫ぶけれども、なってしまったものの結果を変えることは時の属性でなければ無理であろう。

 ゆえに、李章は、この結果を利用するしかヒルバスに勝つ方法は残されていないのだ。

 ()()を目覚めさせれば別だが―…。


 中央の舞台。

 瑠璃チームがいる側。

 (避けられないほどに速いの相手の攻撃速度が!!! それでは、李章君が負けてしまう。いや、李章君は負けないと思う。李章君ならきっとやってくれる!!! 私が信じなきゃ、そう、信じれば救われることだってあるんだから―…。)

と、瑠璃は心の中で李章の勝利を信じる。

 負けると思ってしまえば、本当に負けてしまうことがある。負けると思っても、勝ってしまうことも存在する。

 要は、場合によりけりということであるが、それでも、信じる者は救われるということを信じたいものなのだ。

 瑠璃も李章が勝利する可能性が低いことはわかっている。天成獣の宿っている武器での戦いを何度も見てきたし、強い対戦相手とも戦って、死にかけたこともある以上、相手の実力に関して、かなり直感的にわかってしまうものだ。

 瑠璃はそれをわかっているがために、好きな人の勝利を望む。奇跡と言ってもいいぐらいのことを―…。

 願い届くのかどうかは未来のある地点において、勝敗というかたちで知る。

 一方で、ギーランは、

 「あの対戦相手との戦いでは、考えている暇もないだろう。それにローさんが渡した緑の水晶が反応していないということはどの行動を選択しても、李章が避けられないということか。ダメージも同等ということ。こりゃ~、かなりヤバいな。とにかく李章が生き残ってくれることだけでも祈らないといけない。」

と、言う。

 ギーランとしても、李章がヒルバスに勝利するのであれば、それが一番いいのはもちろんである。だけど、実際の戦局を冷静に考えると、李章は確実に不利であり、圧倒的な差で負けておかしくない状態になっていると言っても過言ではない。

 李章は動くこともままならない状態であろう。

 ヒルバスの武器が銃である以上、高速で移動して、銃撃をかわさないと攻撃をヒルバスに当てることはできないであろうし、かつ、ヒルバスの移動スピードよりも速くないといけない。そうしないとどうしようもできない。

 今の李章は、そのどうしようもできない状況だ。

 「言う通りとしか言いようがない。ヒルバスという奴は、明らかに戦い慣れだけでなく、頭も良い。私のことをすぐにどういう人間か怪しんでいたようだし―…。たぶん、私がローさんとの関係で何か気づいていたような気がする。ヒルバス本人に聞いていないから実際、どうなのかは知らないけど―…。」

と、ミランは言う。

 ミランは、李章が不利であることを認めているし、ヒルバスの実力がランシュに次いで強いということは確実なのであったからだ。李章の実力は、この瑠璃チームの中では一番弱いということから考えると、ほぼ確実に李章が負けるということは既定路線に近いものがあった。

 李章が勝利すれば、今回の第十回戦は第六試合で瑠璃が敗れても、その時点において負けるということはなくなる。今回に限っては、瑠璃は勝利以外の方法で勝つことは難しいのかもしれないと思ってしまうのだ。ランシュがランシュ率いるチームの中で一番強いとなると瑠璃が勝利する確率はかなり低いものとなってしまう。

 まあ、そんなことを考えたとしても、結果は確実にわかるのだから―…。

 その中で、瑠璃は、より不安になっていくのであった。


 四角いリング。

 ヒルバスは、動くことが困難になっている李章に向けて銃を構える。

 右手に持っている銃を―…。

 銃口の近くから円のようなものが発生し、その中で球の形をした白いものが発生する。シュルシュルという音をたてながら―…。

 「さっさと決めさせてもらいます。」

と、ヒルバスが言うと、そこから銃口から、李章に向かって放たれるのであった。

 それは、まるで光線のように―…。

 そのスピードは、二秒前後で李章のいる位置に到達するほどであった。

 一方の李章は、何とか、体を動かし、避けるのだった。

 それでも、攻撃を左腕の一部分に受けてしまう。

 (緑の水晶(すいしょう)で危機を察知しましたが、完全に避けきることはできませんでした。)

と、李章は心の中で言う。

 李章としては、ヒルバスの銃撃で実弾を三つも受けることがなければ、いや、片足に受けることがなければ、十分に避けることは可能であった。

 ゆえに、避けられなかった自分自身に対して、悔しい思いをするのであった。

 自分自身の弱さにも―…。

 李章の動きを見た、ヒルバスは、

 (外してしまいましたか。確実に仕留めたと思ったのに―…。それでも、動くのが精一杯ということに変わりはありません。本当に、子どもを殺すのは好きではありませんが、命令とあっては死んでいただきます。)

と、心の中で言うと、再度、李章に向かって、銃を構えるのだった。

 ヒルバスは、さっさと決着がつくのであれば、そうしたいと思っている。

 それでも、簡単に決着がつかないということもある。人という生き物が一秒先の未来のすべてを知るということによって、運命は決まっているということなど完全にできやしないことから―…。

 再度、銃口付近から、銃口ほどの大きさの輪っかをもつ惑星みたいな形のものを発生させる。

 それはしだいに大きくなるということはなく、それでも力が凝縮されているのがわかる。銃口から煙のようなものが、その輪っかをもつ惑星みたいな形したものに吸収されていく。

 「さあ、李章(きみ)の終わりといこうじゃないか。」

と、ヒルバスが言うと、その輪っかをもつ惑星みたいな形をしたものが、一直線に光線の形になって李章に向かって放たれる。

 この光線は、李章がまともに受けてしまえば、李章の生の終わりは間違いなく訪れてしまうという結果になりかねない。

 そんなことは、李章が心の底から望むということはない。自ら死を望む者は、この世における生というものに絶望しており、希望というものを見出せなくなっているから、そうするのであろう。彼らは頑張っている。人を見下す者たちよりも、悩み、生きることに真剣に向き合っているのだから―…。

 李章もすべてではないがそうであろう。死を望まないという点を除いては―…。

 そう、李章は生きるための希望というものを見出している。瑠璃という希望を―…。

 だから、死ぬわけにはいかない。心の奥底から叫ぶほどに―…。理性だけではない、本能が―…。

 ゆえに、李章に与えられた試練は、表へと現す。

 そう、血という名の望みを純粋に叶えるために―…。李章の本当の望み―…、すべてが過去であり、思い出にするために―…。

 「やっと出られたぜ。ありがとうなぁ~。」

と、李章(?)は言う。

 李章の口調とは違っていた。それはそうだろう。李章であって、李章ではないのだから―…。

 李章のこの人格といっていい存在が過去に家族に対して、おこなったことを考えるならば、危険、以外の何物でもない。李章自身もそう感じている。

 李章の生の終わりへと抵抗するかたわらで、李章の望みが李章という人格を心の奥へと追いやり、そいつを表に出すことを承認する。

 それは、生き残る確率がそいつの方が高いからだ。

 そして、李章(?)は、消えるように移動を開始する。

 李章(?)のいた場所には、すでに李章(?)の姿はなく、そこをヒルバスの今の銃撃による光線がただ通り過ぎていくのだ。真っすぐに―…。

 (避けた!!!)

と、ヒルバスは驚き、心の中で続ける。

 (私は、李章(かれ)の両腕と片足を銃で撃って、動くのが難しいようにしたはずです!! なぜ!!!)

と。

 ヒルバスの心の中で思っていることは、現実において当てはまることであるし、常識的に考えて、妥当なものでしかない。

 だからこそ、疑問であり、動揺してしまうのだ。李章(?)が動けることに―…。

 そのことに関しては、多くの者が同様の立場になった場合、このような結論になってしまうであろう。

 そして、李章(?)が動けるということがなぜかということに―…。

 「俺は、李章―…、表の人格のように柔なことはしない。お前に考えさせる時間も与える気はない。」

と、李章(?)が言うと、ヒルバスは、気づく。

 そう、蹴られていることに―…。

 李章(?)は、高速で移動しながら、ヒルバスが動揺している間に、ヒルバスのもとへと向かいながら、ジャンプし、蹴りの攻撃をしたら確実に当てることがある範囲で、ジャンプして、蹴りの攻撃をするのであった。

 そして、見事に、ヒルバスから見て右横で蹴りを入れるのだった。それも顔の方に―…。

 「グッ!!!」

と、ダメージを受けるも、大したダメージにはなっていなかった。

 それは、ヒルバスは常に、天成獣から借りる力で、全身を覆っていたのだ。そのおかげで、大したダメージになることもなく、軽く弾かれる程度で済んだ。

 ヒルバスはすぐに体勢を立て直し、李章(?)への対処を開始する。

 「次の攻撃も俺からだなぁ~。ハハハハハハハハハハ、愉快、愉快。」

と、李章(?)は言う。

 このリースの競技場にいる誰もが李章という人間に対して、茫然とするのだった。このような性格のあまりにも真逆にも思えるほどの変化に対して―…。

 (一体、どうなっているのですか。ここまで口調が変わるなんて―…。李章(かれ)は二重人格者なのですか…。多重という可能性もある。動きがまるで違う。それでも、ちゃんと対処しないといけません。)

と、ヒルバスは、心の中で考えながらも、より一層、李章に対する警戒を怠らないようにする。

 そうしないと、ヒルバスが簡単にやられてしまうことになるのだから―…。

 李章(?)がなぜ動けているのかという疑問など、考えても今の状況がよくなるわけないと思いながら―…。

 実際、李章(?)は、自らの武器に宿っている天成獣の治癒再生を無理矢理に、大きなものにして、実弾を体の外に出し、体の修復をおこなったのだ。時間にして一瞬に―…。

 ただし、体への負荷も相当なものであるし、天成獣から借りられる力の量の消費も激しいものである。

 それでも、長時間戦うために、自らの力の使い方や、戦い方に関して知っているのだ。

 李章という表の存在ではなく、李章の体の中にあり、李章が吸収してしまったものがこれまでに経験した戦いの経験値が―…。


 中央の舞台。

 瑠璃チームがいる側。

 「ありゃ、何だよ。李章って―…、あんなんだっけ?」

と、ギーランは驚くのだった。

 心の中で言おうとしていたことを、口にしてしまうほどに驚いていた。

 「喋り方も変わってるわ。丁寧な喋り方だったのに―…。李章君って、二重人格者。」

と、イルーナは言う。

 イルーナとしても驚きだろう。李章という人を長い間見てきたわけではないが、見た感じでは、丁寧で良い人という印象を表面的には受ける。心の奥底まではわからないが―…。

 それでも、悪人という感じはしなかった。

 今の李章という人格においても、本来の性格とは異なるが、完全にこちら側からの判断で悪となるようなものではないが、状況によってはそのようになるかもしれないと思わせるほどであった。

 (ローさんは、李章君の何かを知っているのだろうか。)

と、イルーナは心の中で言う。

 こういう場合、ローという人物は何かを知っているのかもしれないとイルーナは思ってしまう。ローが李章の変化に関して、説明をしていないだけでなく、何も話そうとしていない。

 つまり、イルーナの勘でしかないが、ローは李章のあの状態を知っていて、それを私たちに話すべきことではないと思っているのだろう。恨みはしないが、気になってしまうものだ。

 それでも、ローに実際にそれを聞いてみても、何か答えが返ってくることはないだろう。沈黙もしくははぐらかされることであろう。

 イルーナはただ、四角いリングでおこなわれている第十回戦第五試合を見るのであった。


 四角いリング。

 そこでは、再度、李章(?)が攻撃しようとする。

 ヒルバスに向かって、蹴りの攻撃を―…。

 (くる!!!)

と、ヒルバスは心の中で、驚きながら回避しようとする。

 今度は、李章がヒルバスの目の前に見える場所で蹴りの攻撃をしているのだから―…。

 「さあ~、もう一発決めてやるぜぇ~。」

と、李章(?)は、叫ぶかのように言う。

 李章(?)にとって、今の蹴りの攻撃は確実に決まる可能性が高いと思っている。

 だけど―…。

 

      ―()()()()()()()()()()()()()()!()!()!()


と、声が聞こえる。

 この声は、李章(?)にしか聞こえない。

 聞こえるはずがない。李章の体から発せられた言葉ではなく、李章の心の中で発せられた言葉なのであるから―…。

 そうすると、李章の体における蹴りの攻撃での動作が遅くなり、着地すると、ヒルバスからすぐに距離をとる。

 その様子に、攻撃を回避することに成功したヒルバスは、頭の上にはてなマークを浮かべるのであった。

 (何なんですか李章(かれ)は?)

と、心の中でヒルバスは言う。

 この李章の行動には、このリースの競技場にいる誰もが驚かずにはいられなかった。このことを理解できるのは、魔術師ローしかいないのだから―…。

 「やっと表に出てこられたのに―…、クソッ!!! 覚えていろ、李章!!!!!」

と、李章(?)が言うと、李章の心の奥底に沈んでいくのであった。

 次の機会をうかがって―…。

 「お前なんか、絶対に表に二度と出させたりはしません!!!」

と、李章は、決意を込めるように言う。

 そう、李章は、この凶暴性しかない人格を二度と外に出したくないし、危険なことにしかならない。いずれ、この人格は、消滅させないといけないもの。そう心の中で強く思うのだった。


 【第114話 Fin】


次回、刀は出しますよね!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


執筆スピードが落ちていっています。あと、十数話もしくは二十数話ぐらいで、リースの章を終えられるのですが、やる気がなかなかでません。

『ウィザーズ コンダクター』は何とか書けていますが―…。

『水晶』のリースの章の後の話はすでにある程度決まっているのに―…。

頑張ろうと思います。無理しない程度に―…。

次回の投稿に関しては、次回の投稿分が完成しだいに、この部分で報告すると思います。

では―…。


2021年11月9日 次回の投稿分が完成したので、2021年11月10日頃に次回の投稿をする予定です。第115話も分割しそうです。

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