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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
241/748

第113話-2 予想通りの対戦相手

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』は、第十回戦第五試合に出場するのは、ランシュの近くによるいるヒルバスであった。一方で、瑠璃チーム側は李章であった。

今回で、第113話は完成します。

 「じゃあ、行ってきます。」

と、李章は言うと、すぐに四角いリングへと向かっていくのであった。

 その様子を見ながら、瑠璃チームの何人かが言うのであった。心の中で―…。

 (李章君が第五試合に出場する。相手は、見た感じでは、ナンバー二ということであろう。李章君の実力は、礼奈ちゃんやクローナちゃんよりも強くはない。実力はしっかりとつけてきているのだろうけど、刀の扱い方がまだまだということ。これをしっかりさせないと、生の属性の天成獣の力をしっかりといかすこともできない。高速移動や高速攻撃にも慣れていないだろうし―…。)

と、ギーランは心の中で言う。

 ギーランとしては、李章の実力は全員の中で一番弱いと言っても過言ではない。それでも大きく差があるわけではない。原因としては、李章が天成獣の宿っている武器である刀ではなく、蹴りだけで勝負をしようとしていたからだ。意固地になって―…。そのせいで、実力をつけるのが遅れてしまうほどだった。

 さらに、李章が刀を扱うことに対しての経験が天成獣の宿っている武器を手に入れるまでなく、手に入れてもしばらく使用しなかったのだ。やっと使うようになったのが第八回戦からであり、刀の扱いに関しては修行中としか言いようがない。さらに悪いことに、刀を扱う者がリースの城の中にいなかったのだ。瑠璃のようにセルティーが剣術を知っていたこともあり、教えてもらえたけど、李章は一切教えてもらえないのだ。

 つまり、李章の刀の扱いは、現実世界における剣道のイメージとテレビ見た刀を斬るシーンのイメージをもとに刀の扱いを覚えていっていたのである。本当は、師がいた方が、成長が早いであろうが―…。

 ゆえに、李章とヒルバスが試合することになれば、李章が敗北してしまうのはほぼ必然のことでしかない。

 ギーランは、この第十回戦第五試合で李章が負ける確率はかなり高いと思っていた。

 (李章君。彼は、瑠璃のことが好きそうだし、瑠璃の方も好きそうなのよね~。まあ、二人ともいずれ結ばれるでしょう。それよりも、李章君からは何か嫌な感じがするんだよねぇ~。途轍もなく黒い闇、みたいなものを抱えていて、それをも肯定的に受け入れられていない…、そんな感じが―…。)

と、イルーナは、李章を見ながら、心の中で思うのだった。

 イルーナは、李章がヒルバスとの試合で不利なのはすぐに理解することができた。それよりも、李章から感じられる嫌な感じというものがかなり気になっていた。暗くて、李章本人の闇を感じさせるようなものが―…。

 イルーナとしては、それを気にしても仕方ないということだけは理解している。いずれ、李章本人も向き合わないといけないことがくるのであろうから―…。

 イルーナは、実の娘である瑠璃が好きな人の勝利を祈りながら―…。

 一方で、ローは、

 (やっと理解できたの~う。李章、あやつ―…、水晶を体の中に宿してしまったようじゃの~う。まあ、「人に創られし人」とは異なり、体から引き離すことは可能のようじゃ。だけど、今のままではどうしようもできない。あれに飲み込まれるなよ、李章。瑠璃ではなく、試練は李章となってしまったようじゃ。それでも、儂の代役は変わらない。)

と、心の中で心配するのだった。

 ローが何を言っているのかは、一部はわかるかもしれないが、まだ多くのことはわからないかもしれない。

 今はそれでいい。しだいに知っていくことになるのだから―…。李章は試練を受けてしまったのだから、自分の過去を乗り越えるための―…。


 四角いリング。

 すでに、ヒルバスと李章はその場の中央にいる。

 そう、李章とヒルバスは、双方に対峙しているのだ。

 「今日は、君が対戦相手というわけですか。私たちとは別の世界から来たという三人組の一人ですか。ランシュ様の命で残念ですけど、試合にあなたが殺されることになっています。あまり、子どもを殺したいわけではないのですが―…。」

と、ヒルバスは、観客に聞こえないように、李章にのみ聞こえるように言うのだった。

 ヒルバスとしては、周りの観客はあくまでもルールのことは知っているが、あまりこちらが対戦相手を殺すと宣言するのは、あまり心象が良いものとはならない。それに、後々、ランシュが勝利して、統治するのであれば、リースの住民との間でわずかであるが溝を作ってしまう可能性が存在する。それは統治をするためには良くないことだ。

 さらに、李章に聞こえるようにしたのは、李章の動揺を誘うためでもあった。人は殺される可能性があると判断すると、動揺し、殺されないようにして、普段の動きができなくなる可能性が存在するからだ。冷静さを失わせるのにも効果がある。

 ヒルバスはこの程度のことを李章のように言われる側になったとしても、冷静さを失うことはない。完全ではないであろうが、かなりの確率で抑えて、相手の弱点を探ることをするであろうから―…。

 「そうですか。しかし、名前は知りませんが、あなたに殺される気はありません。私はここで死ぬわけにはいきません。」

と、李章は、目力を強くして、大声ではないし、観客にも聞こえない声で言うのであった。

 李章としても、ヒルバスに自分を殺されるわけにはいかなかった。なぜなら、李章には守らなければならないこと心から決めている人がいるのだから―…。その人の目の前で、無残にも殺されるシーンを見させるわけにはいかないのだ。

 李章は、冷静さとは違う、熱さというものが垣間見えた。

 それを見たヒルバスは、

 (冷静になるどころか、火をつけるようなタイプか。冷静に振る舞ってそうで、熱いタイプの人ですか。さっきの私の言葉は良くありませんでした。まあ、やってしまったものはしょうがない。頑張るとしますか。)

と、心の中でそう思うのだった。

 ヒルバスは、少しだけ後悔した。李章が冷静にならないだけならまだしも、熱くなるのだ。こういうの厄介だとは思わないが、対応としてはあまり良いものとはいえないとは思ったのだ。

 それは、熱くなるタイプは二つのパターンになってしまうからだ。一つは、熱くなってしまって冷静さを失い、攻撃が単調になったり、空回りして、相手の攻撃をうまく対応することができなくなって、相手に倒されるパターン。もう一つは、逆に熱くなっているがために普段以上の実力を発揮して、相手を驚かせ、動揺させてしまい、勝ってしまうというパターン。

 要は、コインの表裏を当てるギャンブルの状態にしてしまったのだ。そう、どっちに転ぶかわからないような―…。

 「両者ともに、試合を開始してもよろしいでしょうか。」

と、観客席の審判のいるところにいるファーランスが四角いリングにいる二人に尋ねるのだった。

 そのファーランスの言葉を聞いた李章とヒルバスは答えるのだった。

 「ええ、大丈夫ですよ。試合を開始しても、李章()には勝てますので―…。」

 「大丈夫です。試合を開始しても構いません。」

と。

 ヒルバス、李章の順番で言われた言葉を聞いたファーランスは、右手を真上に上げる。

 「これより、第十回戦、最終回戦、第五試合―…、開始!!!」

と、開始を宣言すると同時に、上に上げた右手を下に向かって振り下ろすのだった。

 こうして第十回戦、最終回戦、第五試合が開幕するのであった。


 「いかせてもらいます。」

と、ヒルバスが言うと、ヒルバスは李章に向かって移動するのであった。

 それも、高速移動しているのではないかと思わせるほどの速度で―…。

 李章もヒルバスが自身に向かって移動してくるのに気づく。

 「!!!」

 (最初から攻めてきますか!!)

と、李章は、心の中で思いながら、すぐにやるべきを開始する。

 ヒルバスの攻撃をかわすか防御するかということを―…。

 ヒルバスは、李章へと蹴りの攻撃を選択してくるのであった。

 李章もヒルバスへと視線を合わせ、ヒルバスの体のすべての動きを見逃さないようにする。後はその瞬間でヒルバスの動作で何をしようとしているのか理解し、対応することである。

 蹴りでの攻撃と理解した李章は、すぐに、ヒルバスの右の蹴りに対応して、李章も右の蹴りで対処するのであった。

 そして、李章の右足とヒルバスの右足がぶつかる。

 音自体は、そこまで大きなものではなかったが、勢いよく双方の足が衝突したことは、何というか、雰囲気で理解することができてしまうほどだ。

 観客にもそのように感じさせる。

 (……………。)

 (……………。)

と、李章とヒルバスの双方ともに、心の中でさえ、言葉にすることがなかった。

 それほどに、両者とも集中していたということだ。

 だけど、動かないことには、勝利も敗者も出ることはないが、ただの我慢比べとなってしまうであろう。それがこの第十回戦第五試合の目的ではない。

 相手を倒して、自らの勝利、チームとしての一勝をもたらすことが重要なのであるから―…。

 先に動いたのヒルバスの方だった。

 ヒルバスは高速移動に近い速さの動きを相手への移動のためだけに使うことはない。素早い攻撃、相手が対応することができないほど速い次の攻撃をするための準備としても使用する。

 ヒルバスは構える。

 自らのホルスターに入れていた、二丁の拳銃を右手と左手で引き金をひけるようにして―…。

 ヒルバスは、銃口を李章に向ける。二つの銃の両方ともに―…。

 この一連の動作に一秒という時間でもお釣りがくるくらいの時間の消費であった。

 ゆえに、李章がヒルバスの銃が構えられて、李章自身に向けられていることに気づくのに、一秒の時間がかかってしまうことになってしまった。

 これは、ヒルバスに攻撃の隙をつくってしまうことになる。

 (!!! 銃。)

と、李章は心の中で言いながら、避ける準備をするのであった。

 ヒルバスは銃を構えてから、脳で判断することをしていないかと思えるほどの速さで反射するかのように両手に持っている合計二丁の拳銃を発砲するのだった。

 それは、球の形をした白いもので、李章に向かって、風を切るかのように向かってくるのであった。

 李章もそれに気づき、すぐにかわす動作を開始するのであった。

 ヒルバスが発砲した銃の攻撃には、ヒルバスが追跡するような機能を球の形をした白いものに付与していない。ゆえに、李章がかわすことができれば、今回発砲したヒルバスの銃撃は当たらないということになる。

 そして、そのような結果になるのであった。

 そう、李章は見事に、ヒルバスの攻撃をかわすことに成功するのだった。

 球の形をした白いものは、四角いリングを覆っている透明な壁に衝突し、消滅するのであった。

 (私の対戦相手の武器は銃ですか―…。刀と銃では、銃の方が圧倒的に有利です。こちらが近づく前に攻撃をすることができますし、銃から発射された球の速度は、こちらが防御をするのが難しい場合も多く存在します。こうなってきますと、しばらくは蹴りの攻撃で、適宜刀を使っていくしかありません。)

と、李章は、心の中で言うのだった。

 李章としては、銃というものが刀よりも攻撃スピードが速く、刀だと防戦一方になるか、斬ったものが李章に当たってしまうことさえ存在する。こうなってくると、防御するのも難しい。選択肢に入れることすら最悪の場合できなくなってしまう。

 だけども、そのような思考している間に、ヒルバスは次の攻撃の準備を完了してしまうのであった。

 右手と左手にそれぞれ持っている銃を李章の方に向けて構え、硝煙が銃口から出てきており、それが近くに集まって、球状の形になっていく。それも、さっきのように白の色であり、若干、光すら存在するほどに―…。

 そして、その球状の形をしたものは、しだいに大きくなり、ヒルバスの背の高さの半分ぐらいまでの直径になっていった。

 ヒルバスは、放つのであった。光線のようなものになった感じで、李章に向かって―…。

 ヒルバスから見れば、動こうとする李章が動く前に、ヒルバスの今の光線のような攻撃は李章へと到達したかのようになるのであった。

 ヒルバスのように見えた観客は多いであろうし、そのようにしか見えなかったというのが事実であろう。

 そして、煙のようなものが李章のいた場所に形成されるのだった。


 【第113話 Fin】


次回、ヒルバスの攻撃に李章が苦戦する、それでもあいつが―…!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の投稿に関しては、現時点で不明となっています。まだ、次回の投稿分が仕上がっていません。すいません。

次回の投稿分が仕上がり次第、ここの後書き(第113話-2 予想通りの対戦相手の)でのみ、次回の投稿を報告すると思います。

では―…。


2021年10月31日 次回の投稿分が完成しました。次回の投稿は、2021年11月1日頃を予定しています。

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