第110話-6 風VS鉄
カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。
興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
第四部は、2021年10月19日から投稿を開始します。
アドレスは以下となります。
https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、第十回戦、最終回戦、第四試合、クローナVSメルフェルドはメルフェルドに有利であった。
一方の瑠璃チームがいる側。
瑠璃チームの全員がクローナの試合を見ている。
クローナが勝利することを信じて―…。たとえその可能性が低いものであろうとも―…。
それでも、メルフェルドの武器に宿っている天成獣の属性が鉄である以上、予想以上の不利な戦いであるのは予想される。
(クローナさん…。この戦いはかなり手こずることは確実でしょう。鉄と風では、明らかに風の方が分が悪いのは事実ですから―…。)
と、セルティーは心の中で言う。
セルティーは、メルフェルドの存在というものは知らなったが、それでも服装からリースの騎士であることがわかる。リースの騎士の正装をしているのだから―…。リースの騎士の中でもランシュ側の人間がいたということになる。
セルティーは、リースの騎士について、すべてを完全に把握できていないし、ランシュが騎士にしたのは、誰なのか一切わかっていなかった。
リースの中央で権力を握っている者たちもセルティーのそのような情報を教えていなかった。セルティーが知れば、万が一でも接触を図られる可能性があり、セルティーがリースの中央で権力を握っている者たちの敵側に回ってしまう可能性が存在していた。このようなことは避けないといけない。
セルティーは、世間のことなど何もしらない、リースの城の中にいて、リースの中央で権力を握っている者たちの言葉だけを聞いて、素直にその通りに動く操り人形であり、いざという時のスケープゴートでなくてはならないのだ。
そう、自分たちは安全で、操り人形は何も知らずに、ただ操っている者のために動き、最悪の場合は身代わりになればいい。
まあ、そんなところであろう。
要は、リースの中央で権力を握っている者たちは、ランシュと関係のある騎士との接触と、自分たちとは関係ない人間との接触を避けていたことになる。
セルティーは、クローナがメルフェルドに対して不利であり、敗北する可能性が強いと思わずにはいられない。それでも、クローナの勝利を信じているのであるが―…。
一方で、礼奈は、
(クローナ―…、無理だけはしないで―…。)
と、心の中で強く思う。
礼奈は、クローナがメルフェルドとの戦いで不利であるし、メルフェルドの方がクローナよりも強いので、無理をして、体に障がいを負うほどのダメージを受けて欲しくないと思うのだった。
四角いリングの上。
クローナは、左手に持っている武器での風の攻撃をメルフェルドに向かって放っていた。
メルフェルドは、すぐに対処する準備をする。
剣をクローナの攻撃がギリギリのところ、剣を振ることで、当たるところに来るまで待つのだった。
そして、そう判断したメルフェルドは、剣を横に振り、クローナの風を粉砕するのであった。まるで、そこにある風が消えるかのようにして―…。
(風が打ち消された!!!)
と、クローナは驚くのであった。
中央の舞台。
瑠璃チームがいる側。
この状況は、ある程度予測することは可能であった。ギーランにとっては―…。
(鉄の属性の天成獣の中でも珍しいタイプか。試合直後に見た剣よりも一回り大きくなっている。鉄で覆ったんだ。やっていることの意味は最初、俺にもわからなかったが、相手の攻撃を防ぐためのものだったのか。昔、一回だけしか聞いたことがないから忘れてしまっていた。現時点で、クローナの対戦相手は、かなりの実力者であり、かつ、自らの天成獣の性質をしっかりと理解しているということになる。かなり厄介というか倒すのが難しいを五回繰り返しても足りないぐらいか。)
と、ギーランは、心の中で推察する。
ギーランは、過去に一回で鉄の属性をもつ天成獣が鉄を覆うことで、防御力を上昇させることができ、かつ、弱点である炎や炎プラス水の攻撃を威力でないと意味がないようにすることができることである。
このような相手に実戦で出会ったことは、ギーランとして一度もないので、完全に忘れてしまっており、メルフェルドとクローナの戦いの中で思い出したのだ。
アンバイドやイルーナにおいても、そのような剣を鉄で覆う相手には一度も会ったことがない。それでも、魔術師ローは何度かそのような人物に会っている。むしろ、鉄の物体を自在に操るという人物にも遭遇したことがある。まあ、ローのこのような話を詳しくする必要はないだろう。後においては、どうかはわからないが―…。
四角いリングの上。
クローナは、メルフェルドによって風を消されたことに驚くが、それでも、すぐに思考の状態を元に戻すのだった。
クローナは、すぐに、高速移動で、メルフェルドとの距離を詰めて、左手に持っている武器で再度攻撃する。武器には風が纏われているという状態で―…。
それでも、防がれるのだった。
そう、メルフェルドは、右手を上にあげ、剣を下に垂らすかのようにして、クローナの左手に持っている武器に剣が当たって防げるような位置へと移動させるのだった。
まるで、クローナの左手に持っている武器がここに来るのを事前に予知していたかのように―…。
ドン、という音がなる。
(簡単に防がれるなんて!! メルフェルドが強いのは事実。とにかく、どうする。)
と、クローナは、心の中でメルフェルドの実力を認めながら、考え始める。
クローナとしては、メルフェルドにダメージを与える方法が何であるかをしっかりと把握しておかないといけない。そうしないと第十回戦第四試合に敗北してしまうことは事実のことになってしまうのだから―…。
一方で、メルフェルドは、
(その攻撃は無駄です。クローナさん、あなたの攻撃は何となくどういうものか予測することができました。)
と、心の中で言う。
メルフェルドは、すでに次の攻撃の準備を開始していたのだ。クローナがメルフェルドにダメージをどうやって与えようかしている時に―…。
メルフェルドの武器である剣が歪むように感じる。ブクブクと膨れ上がり一つの気泡のようなものが出来ているのではないかといった方が正しいのかもしれない。
そのブクブクは気泡になることはなかった。まるで剣になるような感じ、いや、何か対象を閉じ込めようとしているのであった。こう、第十回戦第一試合のリークがおこなったように―…。
要は、剣にコーティングした鉄の部分が、クローナを閉じ込めて突いて、倒そうとしているように―…。
クローナも心の中で、メルフェルドにどうやったらダメージを与えることができるのかを考えながらも、何か嫌な予感というものを感じたのだろう。クローナは、視線をきょろきょろ上下左右に動かすのであった。
そして、クローナは、気づくのであった。メルフェルドの武器である剣がブクブクとしているのに―…。
「!!」
と、クローナは驚く。
クローナが驚いている瞬間に、メルフェルドの攻撃が発動するのだった。
「鉄蛇。」
と、メルフェルドが言うと、ブクブクしていた部分が一瞬にして、剣の形になってクローナへと向かって伸びてくる。
それも真っすぐ伸びてくるのではなく、左右からクローナを挟み込むかのように覆ってくるのだ。
そのことに気づいてクローナは、バックジャンプをできるだけ目いっぱいして、メルフェルドの攻撃が当たらないようにするのだった。
それでも、メルフェルドは、このクローナの避け方に気づいたのであろうか、すぐに、コントロールをして、剣の形になって伸びてくるのがクローナの方向に向かってくるのだった。
「白の水晶。」
と、クローナは言う。
そうすると、クローナに向かって剣の形になって伸びてくるものに対して、盾として透明の防御壁が形成される。そう、バリアーである。
キーン。
音がなる。
白の水晶によって展開されたバリアーは、見事にメルフェルドからの攻撃を防ぐのである。
その間に、クローナは、両手にそれぞれ持っている武器に対して、風をさらに纏わせるのだった。威力の強い攻撃を放つために―…。
(!! また、透明な壁みたいなものですか。あそこから前へ進めない。)
と、メルフェルドは、心の中で言う。
メルフェルドは、クローナが白の水晶で展開した透明の壁によって、剣の形をして伸びているものをしっかりと防いでいるのだ。そして、メルフェルドの攻撃で透明の壁を壊すことができていないのだ。
透明の壁に関しては、メルフェルド自身、本当にそれがあるのかはわかっていないが推測して、そのように判断しているのだ。まあ、実際、そのような判断で間違いはないどころか、的確に当てていると言っていい。
クローナは、バックジャンプからの着地に成功し、風を纏わせる準備も完了し、両手にそれぞれ持っている武器から風を中央に集め、竜巻にして、メルフェルドに向かって放つ。
そのクローナの放った風の攻撃の威力は、かなり強いものである。
中央の舞台。
瑠璃チームのいる側。
ミランは、
(なかなかの攻撃。鉄以外の属性の相手ならば、この攻撃を受けてしまえば、ノックアウトも可能なほどかしら。)
と、心の中で言う。
ミランは、クローナの攻撃に対して、それほどの強さを理解することはできたし、他にもギーランやイルーナ、ロー、アンバイドも理解することが可能であった。
それでも、メルフェルドの持っている武器に宿っている天成獣の属性は、鉄なのだ。防御する方法があれば、確実に防がれてしまうのだ。
そのことを瑠璃チーム、ランシュ率いるチームの誰もが理解であることであった。
四角いリングの上。
メルフェルドは、クローナが展開していた透明の壁がなくなり、剣の形をしたものを伸ばそうとする。
だけど、すぐに理解する。
自らの武器である剣のコーティングした部分をいじって作った部分で攻撃を続けたとしても、あのクローナの風の竜巻には勝つことができないと判断するのだった。勘という面でしかないが―…。
それでも、勘に従ったおかげ危機を脱出できることもあったので、その判断に従って、防御することにする。
「鉄壁。」
と、メルフェルドは言うと、伸びたものが、交差し合って伸びるようにして、編み物で縫い合わされるようにして鉄の壁を形成するのであった。
中央の舞台。
ランシュ率いるチームがいる場所。
(メルフェルドは、戦い方のセンスというよりは、地道に日々追及して、鍛錬していくことで実力を発揮させている。まあ、センスがないわけではないが―…。それでも、その追及と鍛錬によるところが大きい。そして、天成獣の宿っている武器での戦い方もそのおかげで、俺とヒルバスよりも理解がある。まあ、まだ、あれは使ってこないだろうが―…。)
と、ランシュは、心の中で言う。
ランシュとしては、メルフェルドは自らの武器に宿っている天成獣の性質、リースの騎士としての剣の扱い方、戦い方を毎日の鍛錬の中で、ただ単に鍛錬するのではなく、理解するように鍛錬し、どういうものかを知ろうとするのであった。ゆえに、経験という知識が優れているのだ。ランシュやヒルバスよりも―…。
ゆえに、ランシュは、メルフェルドがクローナに負ける確率は低いと見るのである。ただし、絶対ということはないということだけは理解しているので、完全とまでにはいかなかった。これは、さらに、クローマ、アガランダの敗北という現実が存在したがゆえに、より強くなっていた。油断が危険であり、確実と決定づけることができないようにさせているのだ。
四角いリングの上。
第十回戦第四試合。
クローナVSメルフェルドの試合は、メルフェルドが鉄壁を展開するのであった。
クローナの横に向けられている竜巻の攻撃は、鉄壁に衝突するのであった。
その威力は、もし生身の人間が受ければ、簡単に大ダメージを負わせられるものであろう。
だけど、この竜巻の攻撃を受けたのは、人ではなく、鉄の壁なのだ。
ゆえに、鉄の壁に当たった竜巻は、鉄の壁に見事に食い止められる結果になる。
そう、鉄壁に一切の傷を負わせることもなく、竜巻の攻撃が止むのであった。
【第110話 Fin】
次回、魔法陣から鉄は落下してくる!!
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。
次回の投稿は、2021年10月20日頃を予定しています。
では―…。