第110話-5 風VS鉄
カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。
第三部の投稿を終え、第四部は、2021年10月19日から開始の予定です。
興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
アドレスは以下となります。
https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、第十回戦第四試合、クローナVSメルフェルドの戦いが始まるのであった。クローナは、メルフェルドに対して不利とはどういうことなのか?
次回の投稿で、第110話は完成します。
後、小説全体のPVが1万を超えました。一年以上かかってしまいました。文章を書くこと、物語を書くことはかなり難しいと感じています。次は、小説全体のPVが10万を超えるようにしたいです。そこまで、やる気がもつのかは不安ですが―…。
「えっ!!」
と、クローナは驚く。
クローナは、メルフェルドの武器によって、刺されたのだ。
だけど、貫かれる前に白の水晶が勝手に発動し、ほんの数ミリの傷で終わったのだ。
ゆえに、メルフェルドも驚くのであった。
(硬い!! 何、これ?)
と、メルフェルドは心の中で言う。
メルフェルドにとっては、ありえないことが起こっていたのだ。
メルフェルドは、すぐに自らの武器を引き、そうしながら自身も後ろへと下がり、距離を取るのだった。
(人の構造上、硬いものは骨、いや、そんな浅い場所にあるとは思えません。ということは、クローナさんの能力なのですか。クローナさんは能力者ということになります。)
と、心の中でメルフェルドはさらに、続けて言う。
考えるという表現の方が正しいのかもしれない。
実際は、クローナが白の水晶の勝手な発動で、刺される深さを小さくしたというのが正しい。だけど、ローの作った水晶という存在を知っているのは、ローと知り合いで、交流関係がある者や「人に創られし人」の一族ぐらいであろう。
メルフェルドは、その両者をも満たしていないため、ローが作った水晶というものを知らなかった。そう、ローの作った水晶の能力についても―…。
ゆえに、メルフェルドは、自らの経験や知識の中で一番考えられる可能性を頭の中で推理するのだった。そう、クローナが能力者であるという推理を―…。
(能力は、バリアなどの防御系だと考えられます。体を傷つければ自動的に発動してしまうのは、かなり厄介なことです。四角いリングの外へ落とすのが一番の最適な答えです。クローナさんを傷つけてしまうのは申し訳ありませんが、それでも、私はクローナさんの敵チームです。仕方ないことです。)
と、心の中でメルフェルドは言う。
メルフェルドとしては、白の水晶ということには気づくはずもないが、白の水晶の能力をうまく何であるかを理解していることから、洞察力の高さがうかがえる。さらに、すぐに、クローナに対する対策と倒し方を頭の中の浮かび上がらせるのであった。
刺しても、自動的に白の水晶が発動される以上、刺して勝とうと考えるのは意味のないことだ。そうなると、クローナを四角いリングの外へと飛ばした方が最適な作戦ということになるであろう。
そして、作戦が決まると同時に、クローナのようなまだ子どもでしかないと感じさせる存在を四角いリングの外へと飛ばして、頭をぶつけて大怪我を負わせてしまったらどうしようかと思うのだった。クローナとここまで戦っている以上、実力があるのはメルフェルドもわかっている。
なので、覚悟を決めて、クローナを倒すことを選択するのだった。四角いリングの外へ飛ばし、頭をぶつけさせようとも、戦いに参加している以上は覚悟できたことだと理解できているよね、という感じな感情を抱いて―…。それでも、最悪の場合は助けようとは思っているみたいだった、メルフェルドは―…。
そして、覚悟が決まれば、メルフェルドは、クローナとの戦いに憂う要素もなくなり、集中するのであった。
一方で、クローナは、傷を回復させることは体の中に備わっている、人にできるほどの自然回復でしかなかった。
それでも、戦えないというわけではない。クローナの動きが鈍くなるということはない。白の水晶も使ってとなるが、メルフェルドに対抗できないというわけではない。
クローナは、自らの武器である、二つの刀の鉄の部分に横に向かってとってのようなものが付いているので、その部分を握り、トンファーのように構えるのだった。
鉄の刀の部分に風を纏わせるのだった。クローナの武器は、同じ形のが二つであり、両手で持つようなタイプであった。
風を纏うのに大分慣れてきており、さらに、纏わせるのにかかる時間が少なくなっていたのだ。これは、普段からの修行の成果であり、風の纏わせ方をしっかりと効率良くできるようになったからだ。
そして、クローナは、右手に持っている自身の武器を用いて、横に振るのだった。
そう、風の一撃を放つのだった。メルフェルドに向かって―…。
(もう反撃ですか。あれを避けることは簡単ですが、クローナさんの武器に宿っている天成獣の属性が風なので、移動速度が速いかもしれません。ここは、対抗不能ということを示しておく必要があります。)
と、メルフェルドは、心の中で冷静に分析し、対処法を思いつくのだった。
仮にクローナの攻撃をメルフェルドが避けた場合、クローナの持っている武器に宿っている天成獣の属性が風であることは、クローナが自らの武器に風を纏ったことからわかることなので、そこから考えられる可能性を考えるのだった。
そう、風の属性を持つ天成獣は、スピードが速いのだ。光ほどではないが―…。その分、攻撃に関しては、相手を傷つけるということができるので、相手に対して、じわじわとしてダメージを与え、相手を不利にさせることができるし、かつ、一気に飛ばすことで倒すこともできる。
その二つの可能性を考慮し、メルフェルドが今からしなければならないことは、クローナに対して、自分と戦うことの無意味さを教えるということだ。理由は簡単だ。クローナとメルフェルドでは、天成獣の宿っている武器での戦いでは、メルフェルドの方が圧倒的に有利なことに間違いはないのだから―…。
「鉄壁。」
と、メルフェルドは言うと、鉄の壁はメルフェルドの目の前に出現するのだった。
クローナの風の攻撃とメルフェルドの間に展開されるのだった。
「!!」
と、クローナは驚き、自分が不利なのを理解する。
クローナが放った風の攻撃は、メルフェルドが展開した鉄の壁によって、ものの見事に防がれてしまうことになり、かつ、メルフェルドの展開した鉄壁に傷一つも付けることができなかったのである。
(相手の天成獣の属性は鉄…。明らかに不利…。それでもスピードなら私の方が上。)
と、クローナは、心の中で言うのだった。
クローナとしては、自らのスピードを利用して、鉄の防御をさせる前に相手を倒すという算段であったのだ。そうすることで、鉄に対処する前に相手を倒せるし、相手を混乱させることが可能なのだから―…。
そして、メルフェルドが展開した鉄の壁が消失する。
クローナは、メルフェルドのいる方向を見ることができるようになった。そこで驚くのだった。
(剣が、鉄に覆われている。)
と、クローナが心の中で言ってしまうほどであった。
なぜ、そうクローナが思ったのかと言えば、剣は鉄でできている状、剣の鉄の部分を鉄で覆う意味がわからない。
鉄を覆ったところで、メルフェルドの武器が強化されるわけではないだろう、とクローナは思う。
そして、メルフェルドの武器である剣は、一回りだけ大きくなったのだ。決して、大剣と言われるほどの大きさにはならなかった。
メルフェルドは、
(コーティングが完了しました。クローナさんは、私のしていることの意味についてわからないでしょう。鉄に鉄を覆うなんて意味のないことであると、思うでしょう。それでも、私にとっては意味のあることです。)
と、心の中で言う。
メルフェルドは、クローナが驚いているのがわかっている。
なぜかというと、クローナが驚いている表情をしているのが丸わかりで、かつ、そうなるのが当然の反応であることを理解しているからだ。
メルフェルドと対決した相手もそのような表情をするからだ。あくまでも、模擬戦でという意味ではあるが―…。
この鉄を鉄で覆うこと、鉄でコーティングすることには意味のあることだ。メルフェルドにとっては―…。
そして、鉄で覆ったものは、さっきの鉄壁で使った鉄を再利用してであるが―…。
クローナは、すぐに移動を開始する。
それも、メルフェルドには見えないとクローナが思っている速度で―…。
実際、メルフェルドには、クローナの移動が見えているのだから―…。鉄の属性の天成獣が宿っている武器で戦うとしても、スピードが鉄の属性の者が全員落ちるわけではない。
例外というものは存在する。その例外の一人がメルフェルドである。
まあ、風や光の属性よりも速く動けるわけではないが―…。
それでも、どこから来るかという要点を掴んでいれば、簡単に、余裕に対処することもできる。メルフェルドは、リースの騎士の中で、優秀な剣士であり、トップクラスの実力を持ち合わせているのだから―…。クローナの攻撃に対処することは簡単なことでしかない。
クローナは、メルフェルドの目の前に移動し、すぐに、右手に持っている武器で攻撃してくるのだった。その武器には、風が纏われており、触れれば、触れた相手を飛ばすほどの威力のものである。
キーン。
金属同士がぶつかる音がする。
それでも、決して、大きな音にはなっていなかった。
それは、クローナの風が竜巻のように武器に纏わっているので、その音によって、武器が衝突する金属音が小さくなってしまったのだ。
そして、この武器の衝突、クローナの攻撃は、メルフェルドによって、メルフェルドの武器である剣で見事に防がれるのであった。
「………。」
クローナとして、心の中で驚くぐらいのことであった。
まあ、それでも、動揺という段階までにはいくものではなかったが―…。
(風の威力もだいぶあるようです。コーティングしておくことは正しい選択だったようです。今の時点ですけど―…。)
と、メルフェルドは、心の中で言う。
メルフェルドにとっては、このようなクローナの攻撃はある程度予測できることであったので、対処するのは難しくなかった。
それでも、不意を突くという感じの真後ろからの攻撃からではなく、目の前からの攻撃であったのには、予想外と思うのだった。
クローナがなぜ目の前から攻撃をしたのかは、メルフェルドの実力が高いということと、騎士として強いのではないかと直感的に感じたからだ。その直感にいたったのは、修行場の近くで、リースの騎士たちが訓練をしているのを見ていて、強い騎士の動きを見慣れていたからだ。
強い騎士なら、クローナが真後ろへと攻撃を仕掛けてくることは読まれてしまう可能性が存在したことから、反対に目の前からの攻撃を選択したのだ。どっちにしても、失敗していた可能性の方が高いのだが―…。
メルフェルドは、なぜコーティングしていたのかというと、鉄の強度をあげておく必要があったからだ。鉄の属性の中でも一部の天成獣は、鉄を強化することで、相手の攻撃を防ぐ能力を武器に付与できるのだ。ただし、その力も決して、すべてのものにおいて通用するわけではなく、鉄のコーティングされたものよりも強い攻撃、例えば、威力の高い攻撃、属性の弱点を応用した攻撃などを受けてしまえば意味がないものであるが―…。
その弱点をメルフェルドは知っている。そのため、いくらコーティングができるからと言っても、無敵であるとは思っていない。だから、頭や自身の勘を用いて、相手を観察しながら戦うのであった。
一方で、クローナの方は、攻撃で終わらせようとは考えていなかった。
(次の攻撃。)
と、クローナは心の中で言う。
それは、クローナは今の攻撃の時から考えていたのだ。
この右手に持っている武器の攻撃を失敗したら、次の攻撃に移るということを―…。
そして、その次の攻撃を実行する。
クローナは、メルフェルドから距離を取るために、バックジャンプをするのだった。
「!!」
と、メルフェルドは驚くのだった。
クローナの攻撃の意図を一瞬、理解できなかったのである。
でもそれは、一瞬のことであった。そう、理解したのだ。クローナの意図を―…。
(左手に持っている武器での攻撃ですか!!)
と、メルフェルドは、心の中で言う。
そのメルフェルドの思っていることは当たり、クローナは、左手に持ってる武器を横に振って、風の攻撃を一つ放つ。
それは、メルフェルドに向かって行くのだった。
メルフェルドは、クローナの攻撃の意図を理解したがゆえに、対処が可能だった。
「それは私には効きません。」
と、メルフェルドは、自信をもって言う。
メルフェルドに根拠がないわけではない。
中央の舞台。
ランシュが率いるチームのいる場所。
(メルフェルドが、ああいうことを言う時は、確実にそれを対処できるからだ。メルフェルドは騎士としての実力は俺以上だ。騎士としての戦い方は、パワーで押すのではなく、スピードを上手く使っての攻撃と防御にある。天成獣の宿っている武器での戦いで俺やヒルバスより弱いというだけで、騎士本来の実力ならリースで一番だ。)
と、ランシュは心の中で言う。
ランシュは、騎士としてのメルフェルドの実力を知っているからこそ言えることだ。そして、メルフェルドが、クローナの今の攻撃に対処することは確実と言ってもいいほどに―…。
第110話-6 風VS鉄 に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。
第十回戦も長引いているような気がします。
第四試合に突入したので、何とか今年中に区切りのいいところ(リースの章を終わらせるのは、今年中には無理っぽいです)まで進めたいです。予定を遅れすぎてます。勢いって中々続きにくいものだと感じています。
次回の投稿は、2021年10月17日頃を予定しています。
では―…。