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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
235/748

第110話-4 風VS鉄

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、ログハウスの中における電気・ガス・水道が現実世界に存在することを自白することになった瑠璃、李章、礼奈であった。一方で、クローマは、ヒルバスにアガランダを倒した相手が礼奈であることを知り、驚くのであった。どうやって倒したのかを知るのであった。

 三時間ほどの時間が経過した。

 ファーランスにとっては、とてもではないが長い時間でしかなかった。

 この世界では、本というものは高級品だ。

 貸本屋が定着しているぐらいなのだから―…。

 そもそも紙を大量生産することが一部の地域でしかできないのだから―…。

 公文書であれば、その一部の地域で大量に使われている。再生紙という概念もあって―…。

 そんなことを長く述べたとしたもこの物語では、今のところ意味がないことでしかないということはわかりきっている。

 要は、今のファーランスは、四角いリングの回復を待つ間、手持無沙汰な状態であったのだ。

 そして、四角いリングに関しては、もう少しで完全に修復を終えるぐらいの状態まできていたのだ。

 (あと少しですか―…。長かったですね。)

と、ファーランスは、心の中で言う。

 そうこうしていると、ログハウスから瑠璃チームのメンバーが全員出てきた。そして、四角いリングの方に視線を向ける。四角いリングの修復具合を確かめているのであろう。

 一方で、その中央の舞台の中で四角いリングを挟んでの反対側からは、ランシュ率いるチームのメンバーが姿を現わすのであった。

 こちらも、四角いリングの修復がどれだけ進んだのかを確かめにきたのであろう。

 そして、ローは、ログハウスをまた、別の空間にしまうのであった。

 それから、十分後に四角いリングは完全に回復するのであった。


 十分後。

 観客たちで観客席にいない者たちは、周りから情報を聞いたのか、観客席に戻ってきていたし、やってきていたのだ。

 用事がある者たちは、帰ったかもしれないが―…。

 (完全に回復したようです。これで、第十回戦を再開することができます。)

と、ファーランスは、心の中で言いながら、安心するのだった。

 現在は、ちょうど正午から二時間半程度の時間が経過していた。正確な時刻など、時計を持っている人物でも、完全に把握することはできないであろう。

 それでも、正確性が高いという面では、確実なのであろうが―…。

 ファーランスは、観客席を顔で見回しながら、一つ深呼吸をして緊張感を和らげる。審判としてのモードになっていく。

 「これより、第十回戦、最終回戦を再開したいと思います。第十回戦、最終回戦、第四試合に出場するチームのそれぞれ一人は、四角いリング(フィールド)へと上がってください。」

と、ファーランスは言う。

 ファーランスとしては、スピーディーに第十回戦を進めたかったのだ。今日は、第六試合もあり、第六試合が終わって、勝利数が同じになってしまえば、確実に明日、もしくは延長で夜にも試合することになるかもしれないと思ったからだ。さらに、リースは、まだ治安の方では良い方の部類に入るが、それでも、人の少ない場所を通っていれば、犯罪者や危険人物に遭遇する確率は低いとはいえない。そういう目にあってしまえば、最悪の場合、ファーランス自身の命は最悪、この異世界において存在がなくなってしまうという結果になってしまう。

 ファーランスは、まだまだ生きたいし、夢やら希望というものはなくても、生きて成功させたいと思うぐらいはしているのだ。

 ゆえに、さっさと試合が進んで、決着をつけてくれと思うのだった。


 中央の舞台。

 ランシュ率いるチームがいる場所。

 「さて、俺とヒルバスは、残りの二つの試合となる。ヒルバスが第五試合、俺が第六試合―…。つーことは、お前が第四試合を戦うことになる、メルフェルド。」

と、ランシュは、第十回戦第四試合に出場するメルフェルドに向かって言う。

 ランシュとしては、自身を第六試合としたのは、ただ単にその方が大将っぽいという理由であったからだ。さらに、ヒルバスをその前の第五試合にしたのは、実力が強く、瑠璃チームから出場してくるのが今、出場していない三人の中で、李章が出場してくるのではないかと思ったからだ。理由としては勘でしかないが、李章と対戦する場合は、素早い動きに対応できるのが一番だと考えたからである。

 そうなると、武器の使い方とか戦い方の関係で、ヒルバスの方が優位であると感じたからだ。そして、メルフェルドとクローナの相性は特段に良いというのも理由であった。そう、クローナは確実に不利となってしまうほどに―…。

 ゆえに、少しだけ、瑠璃チームの様子を見るのだった。


 瑠璃チームのいる場所。

 そこでは、話し合いがおこなわれるはずもなく、一人の少女が四角いリングへと向かって行くのであった。

 そう、クローナである。


 ランシュが率いるチームがいる場所。

 クローナが四角いリングへと向かって行くのを確認して、ランシュはメルフェルドに向かって、

 「メルフェルド、お前が第四試合に出場することになった。」

と、告げるように言う。

 「ランシュ様。わかりました。後、再度繰り返さなくても、私にはちゃんと聞こえています。」

と、メルフェルドは言う。

 ランシュは、メルフェルドのさっきの言葉に、テンションを下げるのであった。言葉を返すことができないほどに―…。

 メルフェルドは、中性的な顔をしており、男性としても、女性としても通じるぐらいに性別がわかりにくいほどの顔をしていた。イケメンというわけではないが、背が大きい可愛い人と言ったほうが通じるかもしれない。

 髪を短くしているので、そのせいで男性だと思った人がいてもおかしくないと言うことだけは事実であろう。スポーツ選手のように―…。

 まあ、実の性別では女性であり、実力は、リースの騎士の中で、ランシュやヒルバスの告ぐほどであろう。剣技のみであれば、ランシュをも上回る実力の持ち主だ。パワーというよりもスピードと言ったほうがいい。それでも、李章との天成獣の宿っている武器での戦いになれば、スピードで確実に負けてしまうのだ。それを補うテクニックは持っているけれども―…。

 それに比べて、クローナとの相性は最高であるというのは事実だ。そのことは戦っていく上でわかってくることなので、ここで語る必要などはない。それに―…、メルフェルドは、天成獣が宿っている武器の戦いで、習得が難しいとされる技を習得しているのだから―…。アガランダやクローマ、リークはまだ習得していないが―…。付け加えるのであれば、ヒルバスもランシュもであるが―…。まあ、この技は、実力だけでなく、性質を知るということが重要なのだから―…。

 メルフェルドは、四角いリングへと向かうのであった。

 メルフェルドが、四角いリングを向かうの見ながら、ランシュとヒルバスは、こそこそと会話をするのだった。

 「メルフェルドと天成獣の属性が風の子との対戦は、明らかにメルフェルドが有利ですが、万が一にでも負けるという可能性があるかもしれませんが、そのことはどのように考えているのですか、ランシュ様。」

と、ヒルバスは、ランシュに質問する。

 ヒルバスとしては、メルフェルドがクローナに敗れるということはないと思っていた。ただし、完全に、というわけにはいかない。勝負事である以上、勝利する確率を百パーセントにすることはできないのだから―…。

 「まあ、万が一であるが、ないとは言い切れない。その時は、ヒルバスに勝ってもらうしかないがな。メルフェルドの対戦相手は、リーダーというわけではない。五勝分がつくような勝負ではないからな。後は、神のみぞ知るというところだ。」

と、ランシュは、ヒルバスの質問に返答する。

 そして、ヒルバスとランシュは、四角いリングの方に視線を向けるのであった。


 四角いリングの中。

 そこでは、これからおこなわれる第十回戦第四試合の出場する二人がいた。

 そう、クローナとメルフェルドである。

 両者ともに、相手に向かって対峙する。

 「初めまして。私の名前はチアナ=メルフェルドです。今日は、クローナさん、あなたと対戦することができて光栄です。私は、リースの一介の騎士にすぎませんが、よろしくお願いいたします。」

と、メルフェルドは、クローナに向かって挨拶をするのだった。

 自己紹介を含めて―…。

 メルフェルドは、クローナの名前を知っていたのは、ランシュからの情報とリースの市内にある城に宿泊している人間について知っているからだ。彼女は、護衛などの任務に駆り出されることもある。リースの中でも少ない女性である以上、女性の護衛も多かったりする。

 それでも、珍しいぐらいにセルティーの護衛の任務を担ったことはない。むしろ、戦争にも従軍された経験というものもない。治安維持の方があまりにも多くの数あるのだが―…。理由は、二年前のランシュがリースの中で存在感をだして、権力の一部を握るまで、女性ということで差別されることもあった。ただし、騎士団の上層部は、そこまで差別したいというわけではなく、メルフェルドが女性である以上、男性騎士に襲われないように、警備の方に主要な任務を回していた。さらに、ランシュにおいても、その任務はあるが、戦闘の経験もいくつかこなすようになった。ただし、戦争は一度も経験していないが―…。

 そのせいか、警備や治安に関しては、一流、いや、超一流の腕前になっていた。礼儀や作法に関しては、綺麗なものになっていた。まあ、出身がリースの中でも小さな商売をおこなっていた家の出身であることから、人との接し方というのが理解できていからでもあろう。その家は、謙虚であり、誠実に商売をするので、お客からの信用というものもあった。

 メルフェルドに関しては、一旦、ここまでにして話が進んでいく。

 「こちらこそよろしくお願いします。お姉さんに、私、名前を教えたわけではないので、どこで知ったの?」

と、クローナは、メルフェルドに向かって質問をするのだった。

 「それは、私がリースの城の中でも警護をする関係上、どういう人が泊っているのかを知っておく必要があります。それと、城の中でちょっとではありますが、お見掛けして、私の同僚から教えてもらったことがあるのです。」

と、メルフェルドは言う。

 実際には、メルフェルドの言っていることは事実であり、クローナだけでなく、瑠璃と礼奈に関しては見かけているのだ。名前と顔が一致したのはその時のことであった。

 「そうなんですか。」

と、クローナは言う。

 「そろそろ試合も始めないといけないので、お話は一旦ここまでにしましょう。試合が始まってから、戦いながら、お話をしていきましょうか。」

と、メルフェルドは言う。

 メルフェルドとしては、今日の第十回戦が第六試合まで確実にある可能性が高い以上、審判であるファーランスに迷惑をかけるわけにはいかない。すでに、会話で少しだけ迷惑をかけているのではないかと思ってしまうのであるが―…。


 観客席。

 審判のいる場所。

 ファーランスは、

 (少しだけ会話が長いですが、まあ、いいでしょう。メルフェルド様は、リースの騎士としても有名ですし、さっきの人よりはるかに礼儀正しい方です。)

と、心の中で、メルフェルドをそう評価する。

 メルフェルドは、リースでも有名であり、礼儀正しく、どのような人にも丁寧に接することで有名だ。騎士としての実力もリースで一番とされている。あくまでも、天成獣の宿っている武器での戦いを除くであるが―…。

 そして、ファーランスは、メルフェルドに対して、愛とは違うが、人としての好感度はかなり高くもつことができた。

 「両者ともに、試合を開始してもよろしいでしょうか。」

と、ファーランスは、メルフェルド、クローナの双方に試合を開始してもいいかと尋ねる。

 「試合を開始いたしても構いません、ファーランス様。」

と、メルフェルドが言う。

 一方のクローナは、

 「いいよ。」

と、軽い感じで言うのだった。

 メルフェルド、クローナ、両者ともに試合を開始していいほどに、準備は完了していた。

 そして、その二人の返事を受けたファーランスは、右手を上に上げ、

 「これより、第十回戦、最終回戦、第四試合―…、開始!!!」

と、最後の方で、上げていた右手を振り下ろすのだった。

 こうして、第十回戦第四試合が開幕するのだった。


 試合開始後。

 メルフェルドは、

 (様子見もしたいところですが―…、攻撃される前に決めるのが一番ですね。)

と、心の中で、速攻でクローナを倒すために、クローナが目で追うことができないほどの速度での移動を開始する。

 それを見たクローナは、

 (消えた!!)

と、心の中で言う。

 クローナの中には、動揺というものが存在した。

 その動揺は、メルフェルドにはわかってしまうほどであった。表情に出なくても、何となくその人の様子を見れば推測できたしまうような感じのものを―…。

 「終わり!!」

と、メルフェルドは、クローナに聞こえないように小声で言う。

 メルフェルドとしては、これが決まらないということもあるだろう。それでも、この初撃で実力のない者は、大ダメージを負って、倒れてしまい、メルフェルドの勝利が確定するのだから―…。

 そして、メルフェルドは、自らの武器である剣でクローナの腹部を刺すのだった。

第110話-5 風VS鉄 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


第110話が予想以上に長引いています。第110話-6で完成するとは思いますが―…。バトルに入ったのだから、長くなるとは思えませんが―…。

次回の投稿は、2021年10月14日頃を予定しています。

では―…。

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