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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
233/747

第110話-2 風VS鉄

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは以下になります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、中央の舞台にログハウスが展開されるのだった。

 クローナは、目を輝かせる。

 (何ですか。ここは―…。私が見たこともないお家。)

と、心の中で言う。

 それは、子ども初めて見たものに対して、好奇心を抱くものと同じ感じだ。

 実際、クローナは、ログハウスというものを見るのは、初めてであるし、中に入るのもそう。

 ゆえに、どんなものがあるのか気になってしまうのだろう。積極的に見回っていくのであった。

 ミランは、実家に近い感じがしたのか、懐かしさを感じるのだった。それでも、実家にはないようなものがあるので、その違いに気になってしまうのだった。

 イルーナは、

 「これ、家と同じログハウス?」

と、ギーランに尋ねるのだった。

 あくまでも、夫婦の会話をしているという風に、いや、本当に夫婦の会話をしているという意味で―…。普段から夫婦でのコミュニケーションをとることもあるが、こういうところでも会話というのも重要ではないかとイルーナは思っていたのだ。

 ギーランとしても、こういうイルーナとの会話は楽しみである。

 こういう意味で、ギーランとイルーナの夫妻は、末永く夫婦生活が続きそうなのだなと感じさせる。まあ、人生なんて、一寸先がどうなるかはわからない。未来はすべてが見えるか見えないかというわけではないのだから―…。

 「そう、ローさんが昔に依頼して、作ってもらった家だそうだ。俺たちが見たことがない技術もたくさんあるみたいだ。水や光るもの…電気とか言ったか、それを出すことができる水晶を機械に入れているみたいなんだ。俺には詳しいことはわからないが、すごく便利だ。だけど、ローさんがこのログハウスにいないとこの水晶というものが能力を発動できないようにしてあるんだ。だから、俺らだけで使おうとしても何もできないというわけだ。」

と、ギーランは説明する。

 このログハウスに関しては、ローが説明した方が詳しく、しっかりとした内容を聞くことができるだろう。このログハウスの仕組みについては、ローが一番知っているのだから―…。

 ギーランもローから説明を受けたことがあるが、それを説明することができないのだ。原子やら分子、光が発生させる理由などギーランの経験上では理解できないのだ。たぶん、この異世界においても、理解できるのは、一部の人間でしかない。現実世界のような教育内容を受けていれば、少しは理解できるし、何が疑問であるか、ってことを理解することができるには思うことも可能であろうが―…。

 まあ、教育内容というものは、現実世界における国々、その国々の中においても違いというのは存在するのだから―…。

 「よくわからないけど、便利だということはわかった。」

と、イルーナは、便利ということと、ローがこのログハウスにいないと使えないということを無理矢理に納得させるのだった。

 「すまんな、俺ももっと勉強しておかないといけないのかぁ~。」

と、ギーランは、自らの勉強不足を嘆くのであった。

 それでも、ギーランが今いる地域においては、ギーランぐらいのこのログハウスに関する説明になるのは仕方ないことだ。

 たとえ、ギーランがローの言っているこのログハウスに関する説明を理解することができたとしても、イルーナの方がかえって理解することができなかった可能性も存在する。この地域の教育水準自体は、比較対象を現実世界の先進国と言われる国々とすれば、低いということもできる。だからといって、教育という内容のすべてを項目ごとに細分化して、それぞれと比較した場合、すべてにおいて低いとはいえないし、優れている面もまた存在するであろう。この比較自体について詳しく述べたとしても、今は意味がない。

 話を戻す。

 セルティーは、このローが展開したログハウスを見た感想は、綺麗で、王城では見たことがないようなものがたくさんあるという好奇心であった。ゆえに、あちこち見て回っていたのだ。その好奇心を満たすために―…。

 アンバイドも中に入ってきており、眺めると、驚くことしかできなかった。

 (こんなもんを展開できるのかよ。やっぱり異常すぎるぜ。魔術師ロー。たぶん、この世において、最強と言われても不思議ではない。あの存在とともに―…。いや、あの存在も―…。)

と、心の中で言うのだった。

 アンバイドは、ローという人物の恐ろしさ、それと同時に、どんな能力者でもすることができないことをやっていることに対して、異常性というものを感じてしまう。実際、すべての能力者ができないとは限らないけど、その能力が特殊すぎるのだ。現実世界における漫画やラノベなどでよく出てくるチート、まさにそんな感じなのだ。ローの能力とは―…。

 アンバイドは、そのような思考をし続けても意味がない。答えなど知ったところで意味もないし、興味もない。なので、ローに関することではなく、別のことを考えることにした。

 ローは、

 「このログハウスは、このリースの地域にはない、いや、サンバリアにもないどこかの大陸にある技術を用いて造られた家じゃ。まあ、これを見て、どう使うのかわかるのは、サンバリアのある大陸では、二百年ほど前にやってきた奴らぐらいだろう。子孫はそのことを教えてもらっていないからの~う。知る必要もないし、この大陸にはない技術じゃからの~う。」

と、自慢するかのように説明するのだった。

 ローの言っていることは事実で、サンバリアのある大陸でも技術としては、普及していないものがある。なのに、二百年前に渡ってきた者たちが詳しいのか、それはいずれわかることなので、ここで説明したとしても意味のないことだ。

 ローは、このように自分の優位さを自慢していたのだ。まあ、実際は、ローがこのログハウスを作ったわけではない。資源などの一部はローの持参のものが用いられたであろうが、多くの建設の部分に関しては、大工によってなされている。技術力の高いものによって―…。

 まあ、その大工とやらは、もちろん別の大陸なのであるが―…。

 「蛇口―…、水がちゃんと出てきてる。異世界に来て初めて見た。」

と、礼奈が蛇口に近づき、本当に水が流れるのか確かめるのだった。

 礼奈としては、現実世界における家の中の基本構造と似ており、蛇口、冷蔵庫、ガスコンロが使えるかチェックしていたのだ。

 李章の方は、冷蔵庫の中身を確認して、

 「ないですね。」

と、冷蔵庫の中に何もないと確認すると、閉めるのであった。

 「ガスコンロもつくし、お風呂場もあるみたいだし―…。」

と、瑠璃が言う。

 瑠璃としては、久々に現実世界における自分たちの生活に近い家を見ることができ、少しだけ燥いでしまうのだった。

 その様子は、異世界で生まれ、育った人物たちにとっては、意味不明な行動でしかなかった。そう、何でこの人たちはこれを普通に扱い、チェックしているのか。特に、ローは、どういうものかを理解しているのはなぜかと思うぐらいに―…。

 そして、瑠璃、李章、礼奈は、現実世界の自分たちの家のことを思い出して、少しだけ燥いでしまったために、余計なことをしてしまったことに気づく。

 そして、三人で、話し合いとなるのであった。ヒソヒソ、と。

 「(この)世界では、電気、水道、ガスもないとずっと思っていたから、それがあるのだと思って―…。」

と、礼奈が言う。

 「はい、このログハウスさえあれば、どこでも生活可能なのではないと思えるほどです。自分たちのいた世界と変わらないほどにです。」

と、李章は言う。

 李章としては、このログハウスがあることで、自分たちのこれからの旅に役に立つのではないかと思うのだった。ローから借りることができないのであろうか―…、と考え始めるのであった。

 「でも、今は、この向けられている視線に対して、どうやって説明をするのかだよ。正直に言うか、誤魔化すか。」

と、瑠璃は、今、どのような状況を冷静に言う。

 本当は、この場面は、瑠璃の言っていることは礼奈の役割みたいなものであるが、さっきのアガランダの試合で礼奈が想定としていた以外のことが起きて、いつも状態にほとんど戻ることができないでいたのだ。冷静さはあるにはあったが、試合後すぐにではなく、試合後の少し時間の経過とともに、徐々に冷静さが低下しっていったのであろう。それでも、それも回復する方へと向かいつつあった。たぶんだが、時間もしばらく経過すれば、元に戻ることにはなろうが―…。

 それでも、今の状態は、冷静が極端に低下しているに近い状況だから、まともな判断というのは、難しくないわけではないだろうが、それでも困難と言ってもいい。

 「誤魔化したいという気持ちはあります。それでも、たぶん誤魔化すことはできません。正直に言った方が良いと思います。」

と、李章は、正直言うことを勧めるのであった。

 李章としては、嘘を付くことに抵抗感ないと言えば嘘ということになるが、それでも、必要以上に自分たちが暮らしている現実世界における技術、もしくは情報を教えるのはかえって、この異世界において危険なのではないか。そう、その技術のせいで、異世界が混乱するような事態になってしまうのは良くない。

 しかし、冷蔵庫、蛇口を扱えている時点で、瑠璃、李章、礼奈以外の人たちに怪しまれているのは確実だ。誤魔化すことはできる。それでも、そこにしこりや溝などを残してしまえば、この後、現実世界における石化を解決の時に、協力が必要になる時がある。その時に、協力を得られなくなる可能性があるかもしれない。そうなってしまうといけない。誤魔化すよりも、正直に話した良いのではないかと思ったのだ。

 「うん、そうなるよね。」

と、瑠璃が言う。

 瑠璃としても、李章の言っていることを理解することはできる。正直に言っていいのかという悩みを持ちながら―…。それでも、これ以上誤魔化したとして、意味があるのかというと、怪しいし、意味のないことだと思ってしまう。そうなってしまうと、正直を話した方がいいのではないかと思うのだった。

 そして、瑠璃はこの時、李章と近くいるので、ドギマギしたという。好きな人が近くにいて、会話をしているのだから―…。それも素直に―…。

 「……………。うん。」

と、礼奈は言うのだった。

 ここで、少しだけ冷静さを回復することに成功していた。ゆえに、その力を少しだけ振り絞って、冷静に判断するのだった。その結果は、李章の意見に賛成だったのだ。

 そして、李章たちは、自分たちが生まれ、育った世界について、必要なことを話すのだった。ただし、瑠璃に関しては、現実世界生まれではないが―…。

 「実は、これに似たようなものが私たちのいた世界にあるのです。ただし、どういう仕組みに関しては、違う可能性も存在します。使用用途はわかっています。蛇口で水、冷蔵庫は食料を保存するために、ガスコンロは、鍋を上にのせて鍋の中に入っている料理を加熱するための道具であることを知っています。」

と、李章は、最後の方は、おかしいと思わせる丁寧語で話すのであった。

 李章としても、緊張感というものはあったが、何とか言えたことに対して、ホッとしている。

 李章の説明を聞いたローは、

 「ほ~う、よく知っているの~う。まあ、実際は、水晶を使って、そのようなことができるようにしているというじゃがの~う。儂がこのログハウスにいないとできない。お主たちのいた世界ではどうやってなしていたかはわからないが―…。なら、水道とか電気とかガスという概念はあるのか?」

と、感心しながらも、いくつか聞き返すのであった。

 「水道、電気、ガスはありますね。インフラとか言われているし―…。」

と、今度は瑠璃が答えるのだった。

 「なるほどの~う。リース近辺よりも発達していて、あの大陸のあの場所よりは数百年も遅れていることになるのかぁ~。」

と、ローは、小声で言うのだった。

 最初の方は、誰もに対して、言っていることが聞こえるものであったが、しだいに聞こえない、何を言っているのかわからない声で言うのであった。

 これは、ローが知っているこの異世界における文明の状態に関する見解であった。実際、その地域の進歩など本当の意味で計るということは不可能であるが、優位性という観点からみると、ローの知識の中では、瑠璃、李章、礼奈がいた世界はリースよりも発達しているが、ローが知る最も栄えていた時代における発達していたもしくは今もしているかもしれない地域よりは発達していないということである。

 あくまでも、ローが今までに見たということであり、ローの知らない所では、どうなっているのかはわからないというのが事実であろう。

 そして、ロー以外の全員がローに対して、何を言っているのか理解できずに頭の上にはてなマークを浮かべるのであった。

 その後、話しを切り上げ、昼食に移るのであった。

第110話-3 風VS鉄 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


今回、いろんな『水晶』の重要ではないけど、世界観などが一部出てきているような気がします。あっ、でも重要なところもあったような気がします。

では―…。

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