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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
231/747

第109話 二重氷結

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは、以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、第十回戦第三試合、礼奈VSアガランダの試合、礼奈はアガランダに対して勝利が確定したことを言うのだった。どうするのか?

 「俺の負けが確定したぁ~。」

と、アガランダは言う。

 アガランダにとっては、謎の一言に過ぎなかった。

 明らかにおかしすぎるのだから―…。

 アガランダは、礼奈よりも実力が上であることを十分に理解しているし、現実そうなのだ。

 その礼奈が、アガランダが負ける未来が確定したと言ってきたのだ。

 どうして、そのようなことが言えるのか。疑問に思わないわけがない。

 (何を言っているんだ。お嬢ちゃんは―…、頭がおかしくなったのか。負けを素直に認められないとかいう、人として成長することのできない性格なのか。)

と、アガランダは、心の中で疑問を言い始めるのだった。

 アガランダとしては、礼奈の天成獣の宿っている武器を使っての戦いに関して成長していることはわかるが、それでも戦略の面、相手の実力を理解するという面で、一切、成長していない、ずっと試合の最初から同じなのではないかと思ってしまうのだった。

 だけど、礼奈は、アガランダと自身の実力を理解せずに自らが勝利するということを言っているわけではない。ちゃんと、勝利するための布石というものを理解しているのだから―…。

 それに、アガランダが気づいていないというだけのことに過ぎない。

 アガランダは、さっき言った言葉を続けて、

 「残念だが、そんな可能性は存在しない。一切なぁ~。」

と、言う。

 アガランダは、すぐに一瞬のスピードであるかのように、高速で移動する。

 礼奈もアガランダが目の前から消えたということを理解し、警戒するのだった。

 それでも、驚きというものがないわけではない。

 そう、礼奈の真後ろではなく、真正面に現れ、すぐにパンチで礼奈を攻撃しようとしていた。

 「この打撃でも喰らえ――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、アガランダは叫ぶのであった。


 【第109話 二重氷結】


 礼奈は一瞬驚く。

 その一瞬が、自身の生死を分けることもある。

 だけど、ここでは、生きるという結果になるであろう。

 礼奈は、後ろへとジャンプして下がり、下がりながらアガランダに向けて、蔦のような形を氷を放つのであった。

 「いけ!!!」

と、礼奈は、命じるのであった。

 「そんな小賢しい防御も意味などない!!!!」

と、アガランダは、礼奈の蔦のような形を氷で防御しようとしていることに対して、イラつきを見せる。

 アガランダにとっては、そのような防御が意味あるものだとは思えなかった。

 ただ、ただ、礼奈の敗北する時間を遅くするだけの結果でしかないし、礼奈の勝利という可能性はないと、アガランダは思っていたのだ。

 あくまでも、アガランダから見てという可能性ではあったが―…。

 そして、アガランダは、礼奈の放った蔦のような形をした氷と衝突すると、

 「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。」

と、叫びながら、右腕のパンチの威力をあげるのであった。

 アガランダとしては、これで、この第十回戦第三試合で、礼奈のこのような攻撃に対処が可能であった。今回もそのような対処法で良かったようだ。

 パリ―ン。

 蔦のような形をした氷が割れるのだった。

 礼奈としては驚きというものはなかった。このように対処されることはわかっていたからだ。

 すでに、水を使ったりしての攻撃、そして、すでに、アガランダに勝利する方法は確定しているのだから―…。

 「ほ~ら、砕けたぜ。こんな氷は、俺の叫びと気合だけで簡単に壊すことができるのだからなぁ~。さっさと俺に倒されてくれていいんだぜ、お嬢ちゃん。」

と、アガランダは言う。

 アガランダとしては、自らの天成獣の宿っている武器から借りられる力の量は、少なくなってきていたが、それでも礼奈を倒すことに関しては、できないことはないという状態であった。

 そして、後は、礼奈が自らの持っている武器の中に宿っている天成獣から借りられる力の量は、アガランダよりも少ないはずだということを理解していた。いや、そのように思っていた。

 現実には、アガランダの判断は正しい。だけど、礼奈も自身の武器に宿っている天成獣から借りられる力の量の配分をしっかりとしないといけないことは理解しており、かつ、無駄な消費することは避けないといけないことはわかっているし、実行しているのだから―…。

 「……砕いてくれて本当にありがたいよ。」

と、礼奈は、アガランダの言葉に対して、自分の策の通りに動いてくれて、感謝している。

 礼奈も同じ攻撃が通じるとは、思っていない。その攻撃も相手は対抗してくる可能性が高いのだ。強者ほどその傾向があるのではないかと思うぐらいには認識することができる。

 そして、アガランダは、すぐに礼奈の攻撃に対抗してくるのが、これまでの試合の中でわかっている。ゆえに、次々にしていなかった攻撃を礼奈は加えるのだった。

 今度も―…。

 パリーン、と、氷が四角いリングの土の上に落下し、ぶつかり、その音をならす。

 「全てを凍りつくせ。」

と、礼奈がそう言うと、四角いリングのすべてが、氷で再度覆われ始めるのだった。アガランダへと優先的に向かって―…。

 アガランダもそのことに気づく。

 (また、凍らせようとしているわけか。本当に、凍らせるのがお好きなようだ。だけど―…、そんなものをすでに対処法もあるんだよ。)

と、アガランダは、心の中で言う。

 アガランダも礼奈の攻撃が何であったか、この第十回戦第三試合でどうやって使ってきたのかを理解している。ゆえに、対処法なんてすぐに浮かぶのだ。単純な方法でしかないが―…。

 アガランダは、右腕を土で覆うのだった。この時、巨人のような大きさにするのではなく、薄く纏うような感じにするのだった。

 「こんなもん!! 砕いてやる!!! ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。」

と、アガランダは最後に叫びながら、四角いリングの地面、いや、そこにある氷に向かって、右腕でパンチするように攻撃するのだった。

 ドォーン。

 叫び声に続き、衝撃音。

 その衝撃音に隠されてしまうかのように、ビリッ、ビリッ、という音がしていた。この音はアガランダでも聞こえないほどであった。

 そして、アガランダは氷を砕くだけで、この攻撃を終わらせようとは思っていなかった。思うはずもない。

 地鳴りが四角いリングし始める。

 そのことに対して、礼奈も気づくのであった。

 (何、この地鳴り。何かある!!)

と、礼奈は心の中で思うのだった。

 理由は、明らかにアガランダが何かをしてきたのではないかと、勘としか言いようのない面で気づいたからだ。礼奈としても勘というものが時に自分を救うということがわかっている以上、無下にするという選択肢は存在しない。

 礼奈は、後ろへとジャンプするのだった。

 そこに、大きな棘のようなもの隆起する。それも土でできたと思われるものだ。

 そして、礼奈は、槍を横に一振りする。

 そこからは、今度は、氷ではなく、水が発生するのであった。

 その水は、さっき、礼奈がいて、棘のようなものが隆起し、土でできたものへと向かって行くのであった。

 その水がその土でできたものを抑えるということはできるものではない。

 (まったく、何をしようとしているんだぁ~。しょぼい攻撃だ。)

と、アガランダは、礼奈の今している水の攻撃に対して、そのような感想を心の中で抱くのであった。

 そして、結局は、放たれた水が土を濡らすという感じになるという結果になってしまったのだ。

 「何がしたいんだ。お嬢ちゃん。まともな選択肢があっただろうに―…。これじゃあ、水の無駄遣いにしかならないじゃないか。まあ、こちらとしてはラッキーなのだけどなぁ~。」

と、アガランダは言うのだった。

 アガランダとしては、後は、大きな攻撃をすれば勝利は確実なところまできていたのだ。そりゃそうだろう。礼奈の攻撃が今までの攻撃に、第十回戦第三試合でおこなってこなかった攻撃を加えるということをして、アガランダを攪乱しているということだ。

 アガランダは、そのような攻撃を本当の意味での完全とは言えないが、人が認めるであろう完全という意味で理解することができた。

 そう、それは、土でできた棘のような隆起物を凍らせて、「氷の世界」と同じようなことをしているのではないか、と。

 残念ながら、礼奈の狙いは、アガランダが想定していることではない。凍らせるという部分以外においては―…。

 アガランダは、移動を開始して、礼奈に対して、打撃で倒そうとする。

 「!!!」

 しかし、アガランダは自身が足が動かないことに気づく。

 (どういうことだ。一体何が―…。)

と、アガランダは、心の中で言いながら、自らの足元を見るのだった。

 アガランダの予想では、足が凍らされているのではないかと思うのだった。ただし、どうやって凍らされたのかは、答えるを得ることは今はできないであろう。

 (足が凍らされている。)

と、アガランダは、心の中で続けて言う。

 さらに、アガランダは、自らの予想が的中したことにより、精神的なダメージは最小限で済ますことができた。

 それでも、足を動かすのには、氷を壊さないといけないがそれをおこなうのにも時間がかかるのだ。

 対処法はある。

 そう、アガランダの足を凍らせている氷を割ればいいのだから―…。単純であり、確実な方法が存在するのだ。ゆえに、アガランダが実践しないという選択肢は存在しないということだ。

 「足を凍らせている氷を割れば―――――――――――――――――――。」

と、アガランダは叫びながら、自らの足に向かって、パンチをしようとするのだった。

 アガランダに迷っているという時間は存在しない。すぐに、実行しなければ凍らされて、負ける可能性がでてくるのだから―…。まあ、実際にそうなる可能性はない。今までに、礼奈がアガランダを凍らせた氷の厚さなら、氷を割って壊すことは今の状態でも可能だ。確実と言ってもいいほどに―…。

 「凍らせろ。」

と、礼奈は言う。

 礼奈としては、アガランダが足の氷を割ろうとしていることがわかる。

 いつもなら、焦るように見せるが、そのようなことをする必要性はもう存在しないのだ。

 これで、決着が着くのだから―…。

 アガランダは、嫌な予感がするのだった。

 (何だ、この敗北しそうな予感は!!)

と、心の中で思いながら、嫌な予感がした自らの上へと視線を向ける。

 そこには、氷の傘の上の部分のようなものが存在した。

 それは、ドーム状になるように、四角いリングに触れるように形成されるのであった。同時に、厚さも厚くなってきていたのだ。

 そう、二重に氷でアガランダを覆いつくそうとしているのだ。

 「クソッ!!! 上も下も俺を凍らせようとしているのか!!!! だけど、こんなものは―…。」

と、アガランダは言いかけるが、時すでに遅しの状態であった。

 「急成長。」

と、礼奈は、青の水晶の効果である回復を使い、一気に氷を成長させるのであった。

 「二重氷結。」

と、礼奈が言う頃には、アガランダは氷に閉じ込められ、身動きすらとれなくなってしまうのだった。

 礼奈は、氷の世界がアガランダに通じないと考えてから、それ以上の厚さと氷の層を二重にすることで、アガランダを凍らせて倒そうと考えていたのだ。

 まず、始めに、水の攻撃で土の隆起したものを濡らさせ、その水を地下に侵入させて、アガランダの元へと向かわせ、しみ出すことでアガランダの足元を凍らせるようにしたのだ。

 さらに、足元を凍らせ、視線を下に向けた時に、水を上空に向けて放ち、操って、アガランダの上空に浮かせるのだった。これは、アガランダの守護者の化け物の爆発する時に、氷のドーム状を形成する時に使った方法と同じである。氷のドーム状の時は自分の真上に、今度は、上空でもアガランダの頭上に向けて、である。

 後は、アガランダの足の部分とその上空の頭上にあるものを青の水晶の能力を急激に回復という名の成長をさせたのである。

 この二重氷結における氷の厚さは、アガランダが簡単に割ることのできないほどの厚さになっているというわけだ。そこでは、身動きすらできないほどに―…。

 

 そして、時間が経過していく。

 観客席にいるこのランシュが企画したゲームの審判であるファーランスは、規定の時間に達して、

 「勝者!! 山梨礼奈!!!」

と、第十回戦第三試合の勝者を宣言するのであった。


 【第109話 Fin】


次回、ログハウスが―…!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


『水晶』の執筆スピードがなかなか上がりません。いや、『ウィザーズ コンダクター』が第6部まで終われば、少しは楽できるので、執筆にあてられる時間が増えるかもしれない。

無理しない程度に、頑張っていくことにします。

次回の投稿に関しては、2021年10月4日頃を予定しています。第110話は分割することになりそうです。

では―…。

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