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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
228/747

第107話-1 土の大砲

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは、以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、アガランダが展開した守護者の化け物が爆発するのだった。その威力は強いもので、四角いリングは、煙のようなもので覆われるのだった。

第107話は分割することになりました。地の文が予想以上にも多くなりました。次回でちゃんと第107話は完成すると思います。

 【第107話 土の大砲】


 白。

 それは、何もかもを無に帰す色。

 その色は、他の色が加われば、消えてしまうかもしれない。

 だけど、この白は他の色をも飲み込む。食うのではない、広がるのだ。

 RPGで出てくるようなスライムの飲み込みと言った方がいいのかもしれない。それを速くしたという言葉を付け加えないと正確性というものが出てこない。

 周りの色を白に見せる。

 そして、この白が飲み込むものは、物だけではない、者をもだ。

 そう、アガランダによって、自身が展開した守護者の化け物を爆発させたのだ。

 その爆発範囲は、普通であれば、半径百数十メートルをも巻き込むほどの威力である。

 とにかく、その爆発範囲が広いのだ。ゆえに、リースの競技場の観客席の一部はそれに巻き込まれてもおかしくない。

 だけど、四角いリングの周囲に巡らせた透明な壁によって、完全に防ぐことに成功する。つまり、四角いリングの中にいる人物は、爆発に完全に巻き込まれるということを意味するのだ。

 四角いリングの中にいる守護者の化け物を展開したアガランダとその対戦相手である礼奈が、爆発の餌食になってしまったということを―…。

 アガランダに関しては、多くの者が思うであろう。自業自得だと。彼が人の死を道連れにしてでもなそうという意志があるのなら、そういうことでこのような爆発を起こすであろう。

 だが、アガランダにそのような意志と意思は、存在しないし、理解することができない。つまり、アガランダは自らが何らかの方法で、この爆発から逃れるということができし、防ぐことができると踏んで、おこなっていたということになる。

 そして、この爆発による煙が四角いリングの中を覆い、アガランダと礼奈が無事かどうかなのかというものが分からなくなっていた。

 そんななか、煙は、数十分の間続き、何とか、煙を逃がし切ることによって、煙がなくなっていくのであった。

 最初に煙の中から姿を現したのは、もちろんアガランダの方だった。

 (やりすぎたなぁ~。まあ、いいか。四角いリング(フィールド)は滅茶苦茶にしてしまったが、真っ平になったので戦いやすいだろう。まあ、お嬢ちゃんの方が生きていたら、だけど―…。)

と、アガランダは、心の中で思うのだった。

 アガランダは、守護者の化け物が爆発する時に、四角いリングにあった土でドーム形の防壁をつくり、自分をそのドーム形の中心の一番高いところの真下になるようにして、防いだというわけだ。土の造形というものもしっかりとできるのである。

 そして、煙がおさまりかける前に、防壁を解除しながら、外の様子を眺め判断するのだった。一歩間違えれば、爆発の時に発生する炎に巻き込まれるということもあるので、慎重を期さなければならないことは当たり前のことであるが―…。

 アガランダは、結局、あの守護者の化け物の爆発によって、何もダメージを受けなかったということだ。

 そして、一方で、礼奈の方は―…。

 アガランダは、礼奈が守護者の化け物が爆発する前にいたとされる場所があると思われるところに視線を向けるのであった。アガランダは、今いる場所から移動したというわけではない。

 しだいに、煙が晴れていくと、白い何かが見えてくる。

 (何だぁ~、あれは?)

と、心の中で疑問に思うのだった。

 煙が完全に晴れるとそこには、白いドーム状のものがあり、しだいに溶けていくのであった。

 そこから、礼奈の姿が徐々に露になってくるのだった。無傷という状態で―…。

 「これでも、防ぐのか―…。」

と、思わずアガランダは口を滑らせてしまう。

 それでも、この言葉によって、アガランダが状況が不利になったわけではない。不利になりようもない。

 ここで重要なのは、礼奈がどうやって守護者の化け物による爆発から身を守ったのかということだ。

 礼奈は、爆発と同時に最大限にドーム状の氷を展開し、さらに、内側を水の薄い膜で覆い、礼奈が息を十分にできるほどに空気を吸うことができる空間を確保したのだ。呼吸して生きることができる時間は、一時間ほど意識が保つことができるほどの量だ。そして、青の水晶の能力も同時に使い、氷の方を成長させていたのだ。そのせいで、ある程度の消耗することになってしまうということの結果となった。一応爆発の爆炎がどうなっているのかを確認する上で、わずかではあるが、小さな隙間というのを真上に形成していた。あとは、音を頼りに何とかしたという次第である。

 「本当に、周りのことを考えなさい。」

と、礼奈は、完全に怒っていた。

 それでも、冷静になろうとはしていた。このアガランダの攻撃は、本当に、四角いリングに透明な壁がなければ、観客席にも甚大な被害が出て、死傷者が大量に出ていてもおかしくなかった。

 そのことに関しては、アガランダも計算したうえでおこなっているのだ。四角いリングに透明な壁がなかったのならば、守護者の化け物を爆発させようなどという戦略をとる気は、一切なかった。死傷者を出せば、瑠璃チームに勝利後のリースの支配に対して、マイナス要素にしかならないということは理解することができた。周囲に気を遣っていないわけではないが、行動がそれとは逆ではないかと思われることをしているせいで、気を遣っているようにも、周りのことを考えているようにも思われていないのだ。

 ゆえに、礼奈の怒りを買うし、怒られるのであった。

 「それは、試合の中ではできない。四角いリング(フィールド)に透明な壁のようなものがなければ、このようなことはしない。戦いである以上、どちらかが死ぬということはある。そのことがわかって戦いの場にいるのだろ。なら、お嬢ちゃんに怒られる筋合いはない!!」

と、アガランダは言う。

 アガランダとしては、周りの観客に被害を出すことがしたいわけではない。それに、戦いというものは、第三者を巻き込むことはなるべく避けないといけない。当事者たち同士の被害で済ませるのが基本なのだから―…。第三者を巻き込んで、大損害を与えたのならば、余計に恨みを買い、最悪な事態になりかねないからだ。そのようなことは、ちゃんと避けないといけないことだ。そのことをアガランダは、しっかりと理解している。

 (まあ、ムカつくけど、相手の言う通りなのが―…、それも、迷惑をかけている人に言われるなんて―…。………落ち着いていくしかない。それに―…、四角いリング(フィールド)は完全に跡形もなく破壊されているし、なぜか、戦いやすいようにはなっている。なぜ?)

と、礼奈は、心の中で言うのだった。

 礼奈としては、アガランダは四角いリングを割ったり、爆発させたりして、滅茶苦茶にしているから、きっと、四角いリングは足の踏み場さえ確保するのが難しいほどになっているのではないかと思っていた。そう思ってしまうほどに、アガランダは行動が破壊的であり、意味不明だと感じさせるのだった。

 アガランダは続けて言う。

 「そういうことだ。だから、勝負再開だ。」

と。

 そうすると、礼奈の周囲で何かが揺れるような音がし始める。グラグラ、と。

 その音には、礼奈も気づくのであるが、揺れのせいで移動することができなくなっていった。ほんの数秒の間―…。

 礼奈は、数秒の間、自分が攻撃を受けるという感覚を理解した。だからこそ、礼奈は揺れているところから離れようとするのだった。

 その時、礼奈の近く、地面が隆起し始めるのだった。それは、四角いリング全面というわけではなく、ある一部分が隆起し、それが棘のように上が細く、尖っているのだ。

 その隆起の数は、一つではなく、いくつも、いくつも。そして、礼奈の移動した場所において、それが起こるのだった。何度も、何度も。

 そう、この隆起を起こしているのは、アガランダだ。

 アガランダは、この隆起を何回も礼奈に視線を合わせながら、礼奈を串刺しにせんがためにおこなうのだった。

 それでも、礼奈は、ちゃんとその隆起すべてをすぐにかわしていくのであった。

 (本当に、更地のような感じから、針山も顔負けのような感じに四角いリング(フィールド)が変化していってる。どうやって、攻撃する?)

と、礼奈は、心の中で考えながら、アガランダの攻撃を避けるのだった。

 礼奈としては、さっきの守護者の化け物の爆発を防ぐために、天成獣で借りられる力の量の半分近くを消費してしまった。礼奈が天成獣から借りられる力の量は、平均よりも多い方に分類することができるが、アガランダよりもかなり少ないということになる。

 そう、アガランダは、天成獣から多くの力の量を借りることができる。それでも、限界というものは存在するであろうが、この世界のこの時代における天成獣の宿っている武器を使用している者たちの中では、上から数えた方が近いし、上位十パーセントの中に入っていてもおかしくはないであろう。

 それよりも上で、借りられる力の量が多いのが、瑠璃なのであるが―…。まだ、完全にその力の量の扱いを上手く使いこなしているとはいえないので、瑠璃は、礼奈より少しだけ多く力の量が借りられるぐらいだ。

 ゆえに、天成獣から借りられる力の量が多いアガランダの無駄使いとしか周囲からはいえなくもないぐらいに力の量を使っての攻撃は、礼奈にとって予想以上の力の量を使用させる選択をさせているのだ。

 だからこそ、礼奈は考え続けなければならない。

 そう、天成獣から借りられる力の量をどのように、極力消費することを減らして、戦って、勝利を得るのかということに関して、現在の重要事項としながら―…。

 しばらくの間、礼奈は、アガランダの土の隆起による攻撃を避け続けるのであった。


 中央の舞台。

 瑠璃チームのいる側。

 そこから少し離れたところから、この試合を見ている者がいた。

 そう、アンバイドだ。

 アンバイドは、礼奈が予想以上に苦戦していることに、驚きもするが何となく、どうしてそうなっているのか理解することができた。

 (ありゃぁ~。かなり、五月蠅い馬鹿で、周りに空気を読めない奴に見えるが、四角いリング(フィールド)を真っ平にしたりしているし、それを次の攻撃に活かしている。かなり戦い慣れもしていると同時に、頭の方も決して、馬鹿というわけじゃない。アホな行動のせいで、そのことにかえって気づきにくい。演技なのか、それとも素なのか。素なら―…、かなりヤバいな。礼奈なら何とかしてくれそうな感じはするんだが―…。それも―…、確率の低いことなのかもしれん。)

と、アンバイドは、心の中で思うのだった。

 アンバイドとしては、今、試合を終えていない自らのメンバーの中で勝率が高いのが、瑠璃と礼奈であるからだ。それに実力や成長速度で言うと、礼奈の方が断然上であり、戦い方も工夫や応用が見られ、アンバイドでも驚くようなことがあるし、簡単に仕掛けに気づきにくい戦い方をしてくるのだ。

 その礼奈がアガランダの力押しの攻撃の前に必要以上に苦戦している。その様子は、礼奈にとって、どのように対策していけばいいのかわからない状況だった。さらに、アガランダの性格と言動のせいで、怒りとイラつきがでてしまい、冷静さに判断するということができたとしても、どこか甘くなるような感じになっていた。

 ゆえに、アンバイドは、礼奈なら何とかしてくれないと思いながら、その可能性が低いということも頭の中によぎってくるのであった。

 今は、礼奈の勝利を信じるしか方法はないだろう。


 四角いリング。

 礼奈は、疲れていた。

 数分の間、ずっと止まったり、走っていたのだ。

 いくら天成獣の宿っている武器を持つことによって、体力や身体能力を底上げすることができたとしても、数分も急に動いたり、走ったりするのを連続で繰り返すことは、体にも負担が大きく、かつ、疲れやすいことだ。

 それを繰り返さないといけなかった礼奈は、疲れ、息も乱れているのであった。

 「はあ…はあ…はあ。」

と。

 それでも、返って、動いたことにより、何が一番必要かということにより集中して考えることができた。

 だからこそ、礼奈は次にやるべきことに集中する。

 (攻めに転じないと!!!)

と、礼奈は心の中で言う。

 そう、アガランダの攻撃によって、ずっと動いたり、止まったりすることの連続であったので、攻撃に転じないと、いつか体力がつき、倒され、試合に負ける可能性が存在した。それだけでなく、礼奈自身がアガランダによって殺されてしまうかもしれないという可能性も存在した。

 礼奈は、自らの死を確実に回避するために、アガランダに勝利をしないといけない。

 礼奈は持っている自らの武器である槍を横に振るのである。

 「凍らせろ!!」

と、言いながら―…。


第107話-2 土の大砲 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正すると思います。


『ウィザーズ コンダクター』のストックは溜まっていくのですが、『水晶』の方が溜まりません。やっぱり、執筆する時間配分を変更した方がいいかもしれないと思ってしまいます。それでも、変更せず頑張っていきたいと思うのですが―…。パソコンよぉ~。

次回の投稿に関しては、2021年9月25日頃を予定しています。

では―…。

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