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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
227/747

第106話 素手でパンチすることで氷は壊れる

カクヨムで『ウィザーズ コンダクター』投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは、以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの水晶のあらすじは、第十回戦、最終回戦、第三試合が始まるのだった。

 三つの氷の破片が、礼奈の対戦相手に向かっていく。

 その人物を倒さんとするがために―…。

 それでも、この人物は、驚くが、すぐに対処へと思考を移行させるのだった。

 自らのパンチ攻撃で発生させてしまった四角いリングの破片を三つほど操って、氷の破片の三つそれぞれの場所に、防御として使うのだった。

 結局、礼奈の攻撃は、この四角いリングの破片三つによって防がれる結果となるのだった。

 「防がれた!!!」

と、礼奈としては、珍しく声を荒げるのだった。

 礼奈は、こういう場合、声ではなく、心の中で荒げるようなものであるが、対戦相手である人物は大きな声で叫ぶなど、場の空気というものを一切読まないと感じさせる人物であり、その大きな声のせいで礼奈の冷静さというものを欠いてしまっていたのだ。

 完全に、いつも通りの礼奈という状態ではなくなってしまっていたということだ。

 それでも、礼奈は、ある程度は冷静さというものを取り戻すことができた。

 (声に出してしまった。ホント、この対戦相手との戦いは、自分のペースというものを狂わされてしまう。良くない、良くない。落ち着いて戦わないと―…。)

と、心の中で、さらに落ち着かせようとする。

 一方で、礼奈の対戦相手の方は、

 (ふ~う、防いだぜ。ホント、防御の盾を攻撃のための伏線をも兼ねて使ってくるなんて―…。どんだけ、応用力があるというのだ。やってくれる、というわけか。でも、それだけじゃ俺を倒すことはできないぜ。)

と、心の中で、冷静に言うのだった。

 この人物は、人の声が出る域を超える声を出したりし、空気の読めないところもあるが、頭が悪いというわけではない。騎士である以上、戦いに関しては、実力のあるほうだ。それに、ただパワー一辺倒で戦ったとしても、ランシュの重要な側近である十二の騎士になることはできなかったであろう。

 この人物には、同時に戦闘を冷静に判断することができる、いや、場の状況を理解し、それを解決するためにどうすればいいのかということが感覚的に浮かぶ能力があったのだ。能力者ということに分類することはできない。能力者であれば、完全にどんな場合であったとしても、その正解を完全に導き出すことができてしまうのだから―…。

 でも、この人物はそうではない。完全ではなく、ほとんどというところである。

 それでも、この人として優れているものを持っていたので、戦闘の中でも勝利を重ねることができたし、相手を倒すことができ、実力を身につけることができた。そして、ランシュの十二の騎士というものになることができたのだから―…。

 そして、この人物は、礼奈の展開した三つの氷の破片を観察し、どうすればいいのかを考えるのだった。


 【第106話 素手でパンチすることで氷は壊れる】


 ほんの少しの時間が経過する。

 数秒という時間ではあるが―…。

 その時間の経過の中で、礼奈の対戦相手である人物は、三つの氷の破片をどうするかという結論にいたる。

 「なかなかやるなぁ~。しかし、俺はさらにその上の実力をもつ!!」

と、言うと、礼奈が展開して、放った三つの氷の破片の一つに向かうのだった。

 礼奈にとっては、これはチャンスのようなものでしかない。そう、攻撃すれば、自身の今日の対戦相手である人物を凍らせればいいのだから―…。

 だけど、そこに油断というものは存在しない。してはいけないと理解しているからだ。礼奈の対戦相手の実力が、礼奈より強いということは礼奈も知っていることなのだから―…。そうであれば、どんなに自らが優位であったとしても、自らでも気づかないというミスによって、すぐに戦局を逆転されかねないのだから―…。

 そして、礼奈の対戦相手である人物は、礼奈が展開してはなった三つの氷の破片の一つにパンチ攻撃をするのであった。

 そのパンチ攻撃が、三つの氷の破片のうちの一つに接触するのであった。

 そうすると、氷の破片の方が、パリッ、パリッ、と小さな音をたてながら、徐々に音が大きくなり、パリーンと割れるのだった。

 「フン、俺にかかれば氷は簡単に割れるものだなぁ~。」

と、礼奈の対戦相手である人物は言うのだった。

 この人物にとって、礼奈が展開して放った氷の破片は、ちゃんとパンチをして、氷の脆いところに狙ったのならば、ちゃんと破壊できるほどの強度でしかなかった。そのことは、観察しながら理解することができた。

 そのことに気づかない礼奈は、驚くしかなかったが―…。

 (あっという間に一つ―…、だけど、それでいい。)

と、心の中で思うのだった。

 礼奈にとって、いくら実力が自身よりも強いからといって、迂闊に氷を素手で破壊するようなタイプの人間だ。賢いかどうかは別にしても、相手の攻撃に対して、警戒というか慎重になるということがないということがわかる。

 ゆえに、しっかりと対処しながら、攻撃の中に何かを仕掛けることが得意な礼奈ならば、今日の対戦相手は、礼奈より実力が上だとしても、勝率自体が極端に低くなるということはない。

 礼奈の対戦相手である人物は、次の氷の破片に向かい、再度、パンチ攻撃をするのであった。このパンチ攻撃もあっさり氷を破壊することに成功する。

 そして、最後の氷の破片もしっかりと破壊することに成功したのである。

 「お嬢ちゃん。すべての氷は破壊したぜ。次は、お嬢ちゃんの番だぜ。」

と、礼奈の対戦相手である人物は言う。

 その言葉の意味は、言っている意味以上のものはなく、ただ、礼奈の対戦相手である人物の実力が礼奈よりも上であるということを示したことに過ぎない。

 そう示せば、礼奈が恐れるということを理解しているのだ。

 だけど、実際には、恐れるということはない。

 そう、礼奈は、氷の破片が自らの対戦相手によって、壊されるという時点で、次のことをすでに仕掛けているのである。そうとは知らずに、礼奈の対戦相手が綺麗に引っかかっただけにすぎない。

 それでも、相手に気づかせないようにするために、礼奈は、動揺しているような素顔するのである。

 礼奈の対戦相手は、簡単に礼奈の嘘と、狙いというものには気づいていないのだから―…。

 一方で、その礼奈の対戦相手は、礼奈を見て

 「これでも喰らえ――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

と、叫ぶのであった。

 礼奈は一瞬で、自らの武器である槍を持っている左手から左腕で押さえるようにし、両耳を両手で塞ぐのであった。本当に、礼奈は、心の中で自らの対戦相手の声が五月蠅いことにイラつきを感じるのであった。

 一方で、礼奈は、自らが仕掛けているものを発動させるのであった。礼奈の対戦相手が移動を開始する前に―…。

 「私の仕掛けに引っかかってくれてありがとう。」

と礼奈が言うと、礼奈の対戦相手は、その礼奈の言葉に気づくのであった。

 礼奈も、その対戦相手が気づいたのを表情で確認する。表情がそうであるとちゃんと教えてくれるのだから―…。

 礼奈は続けて、

 「今度は、こっちの番。」

と、言うと、礼奈の対戦相手の周囲には氷が形成されるのである。

 四角いリングの表面は、すでに礼奈の対戦相手のパンチ攻撃によって、壊されており、土の部分がすっかりとその色がわかるほどになっており、安定しているわけではないが、礼奈にとっては、それほど関係のないことであった。

 「!!!」

と、礼奈の対戦相手は驚く。

 (地面に氷。っということは、俺が氷を壊している間に、仕掛けたということか、どんだけ驚かせてくれる。将来の天才か。でも、ひょっこには挫折というものを味わわせないといけないなぁ~。)

と、心の中で闘志を燃やすのであった。

 実際、礼奈は、自らのさっきの氷の破片、そう、礼奈の対戦相手に向けた氷で、その対戦相手によって壊された氷を使って、氷を大量の展開させ、対戦相手の周囲を凍らせたのである。

 その凍らせは、まだまだ続いていた。

 その対象である礼奈の対戦相手を凍らせるまでは―…。

 「この氷は、私以外のこの四角いリング(フィールド)の中にあるものを凍らせるのよ。」

と、礼奈は言う。

 その言葉を聞いた礼奈の対戦相手は、言葉を発そうとしたが口から下がまで凍らされていたのだ。

 結局、抵抗することもなく、礼奈の対戦相手は凍らされていくのであった。

 そして、数秒で、全身を凍らされたのである。


 中央の舞台。

 瑠璃チームのいる側。

 そこでは、礼奈以外のチームメンバーと、ロー、ギーラン、イルーナ、ミランがいた。

 その中でもギーランは、

 「これは、すごいなぁ~。氷が割られても、次の攻撃の伏線してしまうとは―…。天成獣の宿っている武器での戦いの中で、ここまで応用力があるなんて―…。天才という領域にいる。確実に二年も三年もしないで、並み居る実力者たちと渡り合っていけるほどになるだろう。そして、この勝負、決まったな。」

と、礼奈の勝利を確信して言うのだった。

 ギーランは、凍らされて、それを打ち破る場合には、天成獣の属性が火とか生とかのような属性じゃないと限りなく可能性が低いものとなり、よっぽどの実力者じゃないとできないことであろう、心の中で言葉にしないが、そう思うのであった。

 瑠璃は、

 「やったぁ。」

と、言い、隣にいたクローナは、

 「すごい!!」

と、言うのであった。

 二人としても、礼奈が戦闘の中でやることが完璧にできたと確信している。礼奈の戦い方は、相手を凍らせて、凍らせる時間を長くさせることで、審判が勝者の判定をさせるというものである。

 そのために、相手が内側から壊すことができないほどの氷の厚さというものが必要となるのだ。

 そして、ギーランの近くにいたイルーナは、違和感に気づくのだった。

 「ギーラン(あなた)。この勝負、まだ礼奈の勝利じゃないと思う。」

と、言うのであった。

 このイルーナの言葉を聞いたギーランは、

 「相手が氷を内側から壊すことができるのか。」

と、予想をつけながら言うのであった。

 ギーランとしては、有り得ないだろうとは思うが、それでも、戦いの中において、何が起こるかはわからないものだ。それは、自身の戦いの中で幾度も思い知らされたことだからだ。ゆえに、経験という理解が、ちゃんとわかっているので、イルーナの言葉を完全に無視することはできない。愛しているがゆえに無視することはないのだが―…。


 四角いリングの上。

 そこでは、礼奈が勝利の確信をしてはいなかった。

 それでも、自身が勝利する可能性は高いと思っていた。

 礼奈は、今日の対戦相手である人物の試合の中での攻撃の威力をみて、推測で破壊されないほどの氷の厚さにして凍らせたのである。

 だが、それでも、推測でしかないということから、当たらないこと、相手の強さが想定以上ということはあり得るのだ。

 そう、まさにそんなことだったのだ。

 礼奈の今日の対戦相手である凍らされている人物の方から、ピリッ、ビリッ、という音がし始める。その音は、最初、小さいものであったが、次第に音が大きくなり、最後には、パリーンと割れてしまうのである。

 「破ったぁ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、目一杯叫ぶのだった。

 その声は、他者の耳の鼓膜を破壊するような音、破耳声であったのだ。このような声のせいで、礼奈の対戦相手以外の全員が耳を塞ぐということになる。

 本当に、不快でしかない。この人物に対する印象は、ランシュ率いるチーム以外のリースの競技場にいる者たちにとっては、どんどん下がっていくのである。それでも、この人物の知り合いもいるので、完全にダダ下がりしているというわけではないが―…。初対面の人は、確実に下がっていることであろう。

 「五月蠅い。少しは静かにしてほしい。」

と、礼奈は、ついに、自らの対戦相手に対して、怒りをぶつけるのである。

 その礼奈の言葉を聞いた、クローマを軽く担いだ人物は、

 「まあ、そうは言うな。ここは戦いの場だ。相手が、自分の都合の良いことをしてくれるわけではない。それに―…、戦いというのは、強い者が我が儘をすることができる場。俺とお嬢ちゃんの実力では、俺の方が実力としては上だ。ゆえに、俺の我が儘は通るというわけだ。まあ、戦いの場でないのなら、そのお嬢ちゃんの注意はちゃんと聞くのだがな―…。」

と、言う。

 言い終えると、礼奈への警戒を強めて、さらに言葉を続けるのであった。

 「お嬢ちゃんのさっきの戦略は、かなり良かったぜ。攻撃に使った氷をそこだけで終わらせずに、次の攻撃にも使うというのは―…。将来は、指の数に入るほどの天成獣の宿っている武器での戦いの実力者だと思われるだろうよ。だが、今日、ここで俺と対戦したのが悪かったなぁ~、俺は、手加減をしない以上、もう二度と戦うことができなくなってしまうが…、な。それと、お嬢ちゃんの実力を認めて、俺の名を教えておこう。俺はファレバット=ラード=アガランダだ。アガランダと呼んでくれ。」

と。

 クローマを軽く担いで運び、大声を叫び、空気の読めないことをする人物の名は、アガランダといい、礼奈が今戦っている人物の名でもある。

 アガランダは、自らが認めていない者には名を名乗ることはない。名乗っている方が時間の無駄でしかないし、名を教えるということは、人として実力者として認めたということだ。それ以外の人間を見下したがためにそうしているわけではない。

 アガランダは、多くの人々に空気を読めずに迷惑というものをかけるが、それでも、人が嫌いというわけではなく、人に対して自分なりに親切にしているつもりだ。まあ、実際、それで周りは迷惑しているのだが―…。

 結局は、人に親切にしているつもりが迷惑しているのである。だけど、時々、周りではどうしようもない理不尽を倒してくれるので、恨むにも恨みにくいというわけだ。

 アガランダのさっきの言葉を聞いた礼奈は、

 「名前を教えてくれてありがとう。こっちも一応礼儀だから、名乗っておくよ。私の名前は、山梨礼奈。」

と、自らの名を名乗るのであった。

 礼奈としても、向こうが名前を名乗ったとしても、無視して名乗らなくてもよかった。それぐらいのことで、アガランダは、怒り狂うような人物ではない。ある意味で細かいことは気にしないというか、大らかなのである。

 そうであったとしても、礼奈の性格上、名乗ることはあるだろう。アガランダのことは、頭にくるし、イラっとする、周りの空気を読めよと思うが、完全な悪人であるということは認識することができなかった。礼奈は、アガランダが陰湿なことをするということはないだろうと確信を抱くほどであった。ゆえに、自らの名を名乗ったところで、礼奈に不利になることはないと判断したからだ。

 (名を名乗ったとしてもそんなに、この戦局への変化があるとは思えない。それに五月蠅いし―…。それをどうにかして、戦っていかないと―…。)

と、礼奈はさらに、心の中で思うのだった。

 一方で、アガランダは、

 「だけど、俺の実力は、ここからも示せるんだぜ。」

と、言う。

 このアガランダの言葉は、言葉以上の意味はない。なぜなら、これから、アガランダの実力として一つの技がおこなわれるということだから―…。

 アガランダによって砕かれた四角いリングの表面が土をともないながら、空中に浮くのであった。この光景に観客席にいる者たちは、驚き、一瞬、言葉を失ってしまうのであった。武器に宿っている天成獣の属性が土のものの戦い方の中で、土を浮かすということをやる人物はいなかったのではないか、と記憶が曖昧で思い出せないほどであったことから、初めて見るような気持ちになってしまっているようだ。現に、観客には初めての者が多くいることであろう。

 「はあああああああああ。」

と、大人しい声で、アガランダ言う。

 その声に大人しさは存在するとしても、そこには、十分、相手を追い詰めるほどの力というものが込められていると、感じさせられるであろう。

 アガランダは、それほどの実力者であり、大きな声によるだけでなく、小さな声でも可能なのだ。

 それでも、礼奈がアガランダを恐れるということはない。なぜなら、アガランダが礼奈よりも強いということはわかっており、さらに、倒すことは不可能でないと確信しているからだ。敗北する可能性も存在していることも認識しているが―…。

 アガランダは、

 「創造する(クリエイト)。」

と、言うと、浮き上がった土が、アガランダのいる真上に集まっていき、どんどん大きくなっていくのであった。

 まるで、これから何かの生物が生み出されるのではないかと、思えるほどだった。集められた土は、粘土でこねられるように、形を変化させていく。

 その様子は、これから何が起きるのかという期待感を観客たちに抱かせ、同時に、何か気持ち悪いものではないだろうかという気持ちをも同時に抱かせるのであった。

 形はしだいに丸へとなっていき、それから、楕円のような棒状になっていき、その一部分から、四つほどが地面に向かって伸びていくのであった。四角いリングの中ではあるが―…。

 そして、上に一つが徐々に伸びていって、首、そして顔のようなものが出来上がるのだった。

 「守護者の(ガーディアン)化け物(モンスター)。」

と、アガランダは言うのだった。

 守護者の化け物は、四足の足を持ち、顔は、厳つく、勇ましい麒麟(?)といった感じで、口からは牙が生えており、草食動物の麒麟の感じなのにそう感じさせないような感じがするものだ。表現不能に近いと言ったほうがいいかもしれない。

 野生さで言えば、獰猛ということが確実にわかる。この生物に狙われたら、命がいくらあっても足りないということを自覚してしまうであろう。

 礼奈は、この生物を冷静に見るのであった。怯えというものを感じないわけではないが、それでも、この守護者の化け物を倒せないかと言ったら、嘘ということになる。同様に倒されることはないかと言えば、それもまた嘘ということになる。要は、勝つか負けるかは、戦ってみないことにはわからないのだ。


 中央の舞台。

 瑠璃チームがいる側。

 そこでは、イルーナとミランが、守護者の化け物に対して、見た感想を心の中で漏らすのであった。

 イルーナは、

 (大きい。)

と。

 イルーナとしては、守護者の化け物の単純な大きさに関して、目立つほどであったので、心の中で言ってしまったというのが事実であろう。それ以上でもそれ以下でもなかった。

 一方、ミランは、

 (ただデカいというだけね。)

と。

 ミランにとって、アガランダが創造した守護者の化け物は、ミランで対処することが可能なほどの実力にしか見えなかった。ミランはこの時、ただデカくて、単純な攻撃をするものだと考えていた。物理的な―…。

 しかし、そうではなかったということが後に明らかとなる。


 四角いリング。

 アガランダは、

 「見せてみろ。守護者の(ガーディアン)化け物(モンスター)!!! 礼奈(お嬢ちゃん)を潰し倒せ!!!!」

と、守護者の化け物に命令するのであった。

 守護者の化け物は、創造主であるアガランダの命を聞き、右前足を上へ上げるのだった。

 そして、守護者の化け物は、礼奈がどこにいるのかを確かめる。

 礼奈と視線が合う。

 礼奈の方も、守護者の化け物が何をしてくるかは予想することができた。いや、アガランダが言っている言葉から完全に理解することができた。

 守護者の化け物は、礼奈に向かって、自らの右前足を下へ下ろすのであった。踏みつぶすために―…。

 「!!」

と、礼奈は驚くが、対処することができるほどに、心の冷静さを保つことができていた。

 そう、ある程度予測することができるのであれば、対処することも冷静に可能なのである。

 ドオーン。

 礼奈のいた場所に、守護者の化け物の右前足が踏みつけるようにつくのであった。この攻撃を受けていれば、礼奈は生きていることすらできなかったであろう。

 そう、礼奈は、ちゃんと、守護者の化け物からの攻撃をちゃんと避けることに成功していたのだ。ジャンプさせて、移動することによって―…、何とか。

 でも、足場がアガランダのパンチ攻撃で不安定になっていることから、靴の方の氷ではなく、水を纏うことで、着地の衝撃および、不安定さがなくなるようにしようとしたのである。

 これがこうしたのか、上手く着地することに礼奈は、成功するのだった。

 守護者の化け物が、右前足を上げる。

 それを見た礼奈は、驚くのであった。

 (四角いリング(フィールド)が沈み込んでる。かなりヤバいよ。)

と、心の中で叫ぶのだった。

 守護者の化け物は、踏みつぶす力が強く、礼奈がこの攻撃によって踏みつぶされたのならば、命はない。そのことを礼奈に強く印象付けるものであった。

 その後も、何度も何度も守護者の化け物による踏みつぶし攻撃が続くのだった。礼奈は必死に避けていくのであった。


 そして、時間にして十数分が経過したであろう。

 アガランダは、守護者の化け物に踏みつぶす攻撃を止めさせる。

 これ以上、攻撃しても意味がないと判断したからだ。

 礼奈が、守護者の化け物の攻撃を避けてしまうのだから―…。

 これ以上、四角いリングを破壊すると、今日中に残りの試合をおこなうことができなくと思うのだった。さらに、ファーランスの視線にアガランダは気づいたのだから―…。すまん、と思いながらも戦いの場である以上、手を抜かないようにしたためだ。仕方ないことでしかない。

 礼奈は、

 「はあ―…、はあ…。」

と、息を荒げる。

 そのような状態の中でも冷静に考えることができた。心を落ち着かせながら―…。

 (攻撃が止んだ。でも、これから仕掛けてくるかもしれない。警戒しないと―…。)

と、心の中で、礼奈は、アガランダが何かを仕掛けてくるのではないかと思い、警戒するのだった。

 アガランダは、すぐに次の行動に移るのだった。

 アガランダとしては、これ以上、守護者の化け物で攻撃を続けても意味がないということがわかっていた。守護者の化け物は、生物ではなく、あくまでもアガランダが造りだした無機物なのである。ゆえに、このような生物では、残虐なものであると思われる行為にもでられるというわけだ。

 「爆発しろ。」

と、アガランダが言うと、守護者の化け物の体が、光始めるのであった。

 アガランダの武器は、ブレスレットである。このブレスレットの中に宿っている天成獣の属性は地であるが、地の属性の天成獣の中でも少数の天成獣しか扱えないのが、土を爆発させるようにすることである。

 そう、アガランダは、土を爆発させることができるのだ。

 そして、守護者の化け物は爆発するのだった。

 アガランダの大きな叫び声が赤子ほどのものでしかないと思わせるほどの威力の爆発音をさせて―…。


 【第106話 Fin】


次回、氷の世界、再登場!!

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


今回の文章量は、分割するほどではなかったのですが、一回の文量としては多くなりました。ここまでにはならないと当初思っていたのですが、書くと予想外にも長くなります。

第107話では、分割することになる予定です。

次回の投稿に関しては、2021年9月22日頃を予定しています。ストックを増やそうとしたら失敗しまいました。

では―…。

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