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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
224/747

第105話-1 氷VS地

カクヨムで『ウィザーズコンダクター』を投稿中。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

アドレスは、以下となります。


https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


宣伝以上。

前回までの『水晶』のあらすじは、第十回戦、最終回戦、第二試合、セルティーVSクローマの戦いは、セルティーの勝利ということになる。一方で、クルバト町の付近では、地震が続くのであったが、その地に派遣されたリースの騎士二人は、二十分ほど続く地震に遭遇するのである。これは一体何なのか?

第105話は、内容の増加により、分割することになりました。

 クルバト町がかつてあった場所の近くの地下。

 そこには、ベルグの拠点、研究所みたいなのがあった。

 ここで、ベルグは、自らの好奇心を満たすための実験をおこなっている。

 ベルグは、ある存在とともにあるために、ローから狙われるようになり、かつ、実験の邪魔をされかねないという立場になっている。

 あくまでも、ベルグの視点に立てばということである。

 (実験の準備もここまでくれば、ある程度は完成ということか。これからが時間がかかることだ。今頃は、ランシュが、自らが企画したゲームの最終戦をおこなっていることであろう。まあ、ランシュの場合は、時間を稼いでくれればいい。魔術師ローは、必ず、俺の中にいる「私」という存在を殺そうとして、代理人を立ててくる。たぶん、その存在は、確実に()()を持たせている。まあ、そいつを殺せばいいのだけど―…。)

と、ベルグは心の中で言いながら、少しだけ間を空けて、続けるのだった。

 (ここからは、地下の中では、実験を進めていくのは困難だから、見つかることを前提として進めますか。そろそろ、この施設を地上に出さないとな。)

と、続けて言うと、ベルグは、自らの近くにあるスイッチを押すのだった。

 地下にある研究所を地上にあげ、実験のための装置を丸出しにしてしまうのを―…。

 そして、この研究所および実験装置の地上へと出すために地面を突き上げる時に、周囲に地震のような揺れを起こすのだった。

 そう、地上に完全に姿を現わすのに、二十分という時間を要することになったのだ。


 【第105話 氷VS地】


 リースの競技場。

 そこの中にある中央の舞台。

 ランシュ率いるチームがいる側。

 (最初から―…、このために―…。本当に、恐ろしく成長しているということか、セルティー。追加ルールがこういう感じで役に立つことになろうとは―…。俺以外の誰かが一勝すれば、俺の勝ちを入れて、最終回戦を勝利することができる。予想外だ。まあ、それでも勝たせてもらう。)

と、ランシュは、心の中で言う。

 半分、負け惜しみと言っても過言ではない。現に、結果は、瑠璃チームが第十回戦を二連勝していて、ランシュが率いるチームはまだ勝利がないのだ。

 ランシュは、心の中では予想外でもあると、同時に悔しさもあるが、まだ、瑠璃チームに勝つことはできる。実力で言えば、アンバイド以外は、ランシュ率いるチームの全員が瑠璃チームのメンバーよりも強いのだから―…。

 それでも、番狂わせというのは起こるものだ。現に、クローマより弱いセルティーが第十回戦第二試合で勝利を収めたのだから―…。

 そして、ランシュは、これからは予想外のことも想定するようにしていこうと思うのであった。


 観客席。

 その中の貴賓席。

 アングリアは、満面の笑みを浮かべるのであった。

 「素晴らしい。我々の悲願もまじかに迫っているといっても過言ではない。それに、ランシュが考えたゲームは興行に、実に使える。次回からは、我々の手の者が勝利するようにすれば良いか。賭けなどをさせて、最初は、賭けの人気がある者たちに勝利をさせたりさせて、勝てると思わせ、最後に、俺らだけが賭けたチームが勝利をする。そうすれば、賭け金も、賭けによって得られた主催者側としての収入も十分に得られる。一石二鳥だ。リースの富は我々の者、下々はただ、我々のために金を稼いでいればいい。お前らにお金などはもったいないからなぁ~。」

と、アングリアは言葉にするのだった。

 アングリアの声の大きさは、あくまでも、貴賓席にしか聞こえないほどの量であり、リースの競技場の観客は知らない。知ることができるはずもない。

 アングリアという人物は、リースの人々が商売および労働によって稼ぐことによって得られる収入はすべて、自らのものにしないといけないと思っていた。リースの人々は、アングリアのような者たちのために資金を提供という名の搾取を受けないといけない。実際に、そのようにアングリアは考えているのだ。ここ百年ほど、アングリアの先祖と本人によって代々会頭の職を世襲してきた一族が、リースの中央の権力を掌握してきたのだ。

 最初の人物は、そこまではなく、むしろ、商売によって得られた利益は、教会、王家、公共事業などに投資をしていた。リースの発展のために―…。リースが発展すれば、自らの商売網が広がる可能性があることはわかっていた。だけど、子、孫と苦労を知らず、最初の人物より劣り、他の人物より劣っていることを自覚し、かつ、自身の長所に向き合ったうえで、自分なりのことをしようとはせず、自らの一族の権力を使って、他者に慮ることをせず、私利私欲だけを追求するようになっていった。この悪しき一面が、代々受け継がれていったのだ。

 現在のアングリアは、その権化と言っても過言ではない。それでも、本人は気づくことはないだろう。反抗すれば、出世ができないどころか、最悪の場合、殺されることさえあるのだ。ゆえに、誰もアングリアの暴走を止める者はいないのだ。我が儘で声と権力の大きさが、このようにアングリアおよびその一族にとっての不幸となっていた。

 人は決して、常に正しいということはないのだから―…。

 「それは素晴らしいことでございます、アングリア様。」

と、アングリアに付き従う一人の人物が言う。

 この貴賓席にいる者で、アングリアに付き従う者たちは、アングリアに決して反抗することなどありえない。自らの命を失うという最悪の結果が待っている。それに、権力、利益、名声、富が得たいだけの者たちしかいないのだから―…。アングリアになぜ反抗する必要があるのか。アングリアの言うことを実行さえしていれば、確実に利益を得られるのだから―…。

 結局、アングリアを諫める者などいるわけもないし、近寄ってくることもない。

 だけど、人の世に始まりがある以上、終わりというものが存在する。ゆえに、権力に永遠普遍はない。あるのは、権力という者が握るという現象が、人類が存在し続ける限り存在するということかもしれないということだ。人類の存在が一人となってしまえば、違うのであろうが―…。

 まあ、こんなことをアングリアが考えているわけではない。まあ、自らに近寄ってきている者たちは、自分の利益目当てであるということは理解しているが―…。煩わしいが使える存在であるというほどの認識だ。

 「そうか、そうか。」

と、アングリアは返事をする。

 (ふん、ランシュよ。お前は今日、ここで終わればいい。私のために、な。)

と、心の中でアングリアは、ランシュの敗北を願うのだった。


 一方で、リースの中のとある教会。

 そこでは、準備を終えて待っていた。

 来るべき時が来るのを―…。

 そう、伝令が逐一、リースの競技場を行ったり来たりして、その情勢を伝えるのである。

 その情報が重要なものだ。現在、瑠璃チームがリードしていることに歓喜するのである。

 それでも、ここにいる者たちにとって、ランシュの勝利も、瑠璃の勝利もそこまで関係がない。あくまでも、やるべきことは決まっているのだから―…。倒すべきなのだ。自らを絶対的な支配者である王と思って胡坐をかき、人という名の神に反抗する者たちに鉄槌という名の終わりを下すために―…。

 わかっている。この日が、新たなリースの始まりだ。

 言葉にはしないが、この教会にいる皆が思っている。時代に終わりがあるのだから、始まりが存在することを―…。

 さあ、待とう。動くべき時の知らせを受けるために―…。


 リースの競技場。

 中央の舞台。

 瑠璃チームがいる側。

 セルティーが、第十回戦第二試合に勝利し、四角いリングから下りて、自らのチームのいるところへと戻っていく。

 (これで、二勝ですね。後は、瑠璃さんの出番までに勝っていれば、負けることはなくなります。)

と、セルティーは、心の中で言うのだった。

 セルティーとしては、ランシュの実力が完全にどれくらいものかはわからないが、騎士団隊長を二年前に倒せるほどであり、それも圧倒的であることから、その実力がどれだけ強いのか想像することすらできないほどであるが、セルティーたちで対抗できる可能性が低いということはわかる。

 セルティーは、第十回戦では第六試合が終了し、ランシュ率いるチームと瑠璃チームの勝利数が同数になる以外は、もうランシュと戦うことはできない。

 そうなってくると、第十回戦第一試合と第二試合に出場したアンバイドとセルティー以外のメンバーにセルティーは、ランシュを倒すことを託すしかない。それしか今、確実にできないのだから―…。

 そして、セルティーは、話しかけられるのだった。

 「すごい。あのような強い実力者を倒すなんて―…。」

と、瑠璃は驚きながら、セルティーに向かって言う。

 瑠璃としては、純粋の驚きであり、言葉以上の意味など存在しなかった。

 「ありがとうございます。だけど、クローマ(私の対戦相手)以上の実力者が確実に二人はいます。ランシュとヒルバスという二人です。彼らの実力は、今だからこそわかるのですが、底というものが見えません。瑠璃さんがその二人のいずれかと戦う場合は、気をつけてください。」

と、セルティーは、瑠璃の言葉に感謝し、同時に気をつけた方がいいと言う。

 なぜなら、ランシュ率いるチームの中で、出場していない人物でランシュとヒルバスだけは、実力というものがずば抜けているということがわかる。

 セルティーとしても、すぐにわかったというわけではなく、この第十回戦になって、やっとわかるようになったのだ。そう、相手の実力を少しでも見抜けるようになったということだ。

 ゆえに、残りの試合を戦う瑠璃に警戒した方がいいと言うのであった。相手を警戒して戦うことも重要であるが、逆に警戒をしないことによって、上手くいく時もあるので、実際にどうすればいいのかということは、時と場合によるということになる。

 だから、瑠璃にとって、セルティーの一言がどういう結果をもたらすかは未来のある時点においてわかることであり、今からそのことの結論を述べても意味のないことだ。

 セルティーは、この後、礼奈やクローナとの会話へと移っていくのだった。瑠璃とともにであるが―…。

 一方で、アンバイドは、

 (実力で言えば、相手側の方が強いが―…、幻という属性は、使い方しだいでは逆転してしまうこともあるからなぁ~。あの、相手にダメージを移す技は、かなりの量を消費する技に感じられる。ゆえに、余計な防御をとるという選択肢をしなかったようだ、セルティー王女は―…。)

と、心の中で思うのだった。

 アンバイドとしては、セルティーが勝利したことは良いことであった。悪いことになるわけがない。現に、勝率の低い試合で勝利をしたのだ。アンバイドも属している瑠璃チームの勢いはかなりのものであろう。そうなると、ランシュ率いるチームの勢いというものは、下がってしまっていることであろう、とアンバイドは、心の中で言葉にしなかったが、そのように感じた。

 しかし、ランシュ率いるチームの勢いというか、士気というものが下がることはなかった。下がる要因がないのだ。彼らは、自らが戦って勝利することが重要であると思っている以上、誰かが負けるということは、たいして意味のないことではないと思っているのだ。

 ただし、仲間に対して冷たいと周りからは感じられるかもしれないが、彼ら自身、チームの力はリーク以外しっかりとあることがわかっているので、彼らの実力を信じて、そう思っているのだ。現に、追加ルールによる変更になって、それが一層増したということなのだ。

 さて、話を戻すと、アンバイドからギーランたちの方に視点を移していく。

 ギーランは、セルティーの勝利に安堵をするのだった。

 (よかったぁ~。本当、セルティー王女の対戦相手は、どんだけ強いのか。まあ、それを倒すことができたセルティー王女はだいぶ強くなられました。)

と、心の中で言うのだった。

 「本当に良かったよ。王女様が生きていて、それに試合に勝利したから、万々歳ってことかな。」

と、横からイルーナがギーランに話かけてくるのだった。

 ギーランとしては、セルティーがリースの要人である以上、このゲームで殺されてしまったとしても罪には問われないとしても、何を言われるかわかったものではない。なので、セルティーがどんな形でも生き残っているのがいい。いや、無事に生き残っている方が良いのである。

 そして、セルティーは第十回戦第二試合に勝利して、無事に生き残っていたので、大変喜ばしいことであった。

 そのギーランの安堵の表情をみて、ギーランがどのように思ったのかがわかったので、イルーナは、ギーランの方へと向かって行って、言葉をかけるのだった。

 「そうだな。きっと、ここで勝利できればいい。瑠璃のために―…。」

と、ギーランは返事するのだった。

 後、瑠璃が無事に試合を終えてくれればいいということを祈りながら―…。


第105話-2 氷VS地 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。

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